巷の「BABYMETAL論」は、ほぼ間違っている | 映画・音楽 – 東洋経済オンライン


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「海外に殴り込み、彼の地でもコンサートを成功させた歌手」「海外での好評を得て凱旋帰国した日本人アーティスト」――。こうした肩書きは、かつてインターネットが存在しなかった時代に繰り返し使われてきた。情報が拡散しにくい時代にあっては、海外で何かの実績を残したという事実だけでも、国内での売り込みに大きなプラスが見込めたからだ。
もちろん、中には本当の実績を残したアーティストもいる。しかし日本発のメタル・ダンスユニット「BABYMETAL」ほど大きな実績を残したグループ(プロジェクトと言ったほうがいいかもしれない)は、これまでに存在しない。
BABYMETALは、メインボーカルのSU-METALの歌を中心に、天使をイメージさせる女の子2人(YUIMETAL、MOAMETAL)が周囲で踊るアイドルグループだ。近年のアイドルグループと異なるのは複数の少女が合唱するのではなく、歌唱力のあるひとりを中心に立てたうえで、本格的なメタルミュージックのスタイルを踏襲したバッキング(伴奏)が当てられていることだ。
その様式は日本のエンターテインメント業界に根付いている“アイドルグループ”というフォーマットそのものだが、彼女たちは信じられないほど大きな実績を挙げている。
この記事をこのタイミングに、しかもアイドル業界とは何の接点もなかった筆者が書いているのは、彼女たちが4月2日から始まった欧州、米国を股にかけたワールドツアーを成功させた直後だからだ。
昨年の段階でロックミュージックの母国ともいえる英国でいくつもの賞を受賞していた彼女たちだが、今年はアジア系女性アイドルグループには厳しいと目されていた北米の会場でも軒並みソールドアウトを記録した。
彼女たちの海外での実績が作られたものでないことは、ツアー最初のライブイベントとなった英国ウェンブリー・アリーナでの日本人初となるワンマンライブで1万2000人(しかも日本から渡航したファンは500人程度で大多数が欧州のファン)を集めたことでも証明されている。このワンマンライブの模様は、7月31日にBS衛星放送局のWOWOWで初放送される予定だ。
ツアー開始直前に発売された2枚目のアルバム「METAL RESISTANCE」は、英国の総合アルバムチャートで15位、米国の総合アルバムチャートでも39位を記録したほか、各国のアルバムチャートを席巻した。米国でのトップ40入りは、坂本九の「Sukiyaki and Other Japanese Hits」以来53年ぶり2度目、という快挙だ。
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