米人気歌手「目標は紅白」―WeezerボーカルJ-POPに挑戦 – Yahoo!ニュース – Yahoo!ニュース


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古田晃司
2017/05/30(火) 09:15 配信
1990~2000年代にヒット曲を連発した米ロックバンド「Weezer(ウィーザー)」。そのボーカル、リバース・クオモが日本語で歌うユニット「スコット&リバース」を結成し、活動を続けている。「J-POP」アーティストとして認知され、「紅白」に出場することが目標だという。なぜ、日本語で歌うことにこだわるのか? 4月に来日したリバースを東京都内で直撃した。(Yahoo!ニュース 特集編集部)
ウィーザーのセカンドアルバム「Pinkerton」(1996年)は、ジャケットに歌川広重の浮世絵を採り入れている。それに限らず、このバンドには日本に関連するものが多い。リバースはニューヨーク出身で、妻は日本人。2012年に「スコット&リバース」としてデビューする前から、日本との縁はあった。

リバース・クオモ。1970年生まれ、ハーバード大卒。米ロサンゼルスを拠点に活動している。同バンドはグラミー賞のミュージックビデオ部門で受賞歴がある。オリジナル・アルバムは10作。総売上枚数は1700万枚以上(撮影:山本宏樹)
J-POPとの出合いは、妻の出身地でもある熊本県・阿蘇で聞いた松任谷由実だったという。ドライブ中に耳にしたベスト盤。その声とメロディーに(一目惚れならぬ)一聴惚れした、と語る。
「ウィーザーのアルバムでも日本盤ボーナストラックで(日本で活躍する韓国人歌手)BoAの『メリクリ』をカバーしましたが、もっと日本語歌詞の曲を作りたかったんです」
――J-POPの良さは?
「とにかくメロディーの良さ。メロディーもコード進行も繊細だし、展開も豊富。アメリカの音楽よりもずっとチャレンジしていると思います。日本語は言葉自体がかわいい。歌に使わないのはもったいないと思うね。英語の作詞は『韻を踏まなきゃ』みたいなところがあるけど、日本語ならそういう縛りもないし」

リバースのギター。日本のキャラクターも見て取れる(撮影:古田晃司)
ただ、とリバースは語る。日本語で歌うことに強い関心は抱いたものの、「僕の日本語スキルだけじゃ無理」だったからだ。
「そこで共通の友人を通して(同じように日本に関心を抱いている)スコットを紹介してもらいました」
「スコット」こと、スコット・マーフィーは米国のパンクバンド「ALLiSTER(アリスター)」を率いていた。初来日した2001年、屋台で流れていたTHE BOOMの「島唄」を聴き、三線(さんしん)の独特な音色に惹かれたという。スピッツのベスト盤に収録されていた「チェリー」などにも触れ、日本の音楽への関心を深めていく。

スコット・マーフィー。1979年生まれ。日本語を習得しJ-POP/J-ROCKのカバー・アルバムをリリースしている。2015年、日本のバンド「ELLEGARDEN」のメンバー・細美武士ら「MONOEYES(モノアイズ)」を結成した(撮影:山本宏樹)
「ウルフルズとか、サカナクションとか好きだね。よく歌ってるよ」とスコットは言う。「自分たちのバンド(アリスター)にも『型』ができあがっていた。『そうじゃない、新しいことにトライしよう』としたとき、日本語があったんだ。高校生のころ、ウィーザーの大ファンでもあったし、リバースからの誘いはうれしかったね」
そして2015年からは日本に活動拠点を移している。


渋谷のライブハウスで熱唱する「スコット&リバース」=上。会場も盛り上がった=下(撮影:古田晃司)
4月半ばの東京。「スコット&リバース」は渋谷のライブハウスに立った。小規模な会場ながら、ファンは約500人。ウィーザーのファン世代なのか、30~40代とみられる女性が目立ち、大いに盛り上がった。
ライブでのMCは日本語だ。
「いい汗かいた〜。それにしても日本のお水は美味しいね」とリバース。すると、スコットは「違う違う。ペットボトルをちゃんと見なよ」。ペットボトルには海外ブランドの文字が‥‥。
漫才のようなMCも、彼らのお得意だ。
J-POPに挑戦する2人。外国語を習得し、その言語で作詞、さらに自ら歌うということはそう簡単ではない。
リバースは言う。
「日本のテレビを何回も見て勉強しているんだ。『テラスハウス』(フジテレビ系)とかね。でも日本語は難しい。日本語で作詞するときは、いつもと違う脳の部分が動いている感覚があるね。あと、やっぱり日本語の方が、妻と分かり合える気もするし。日本語で書いたツイートも、全部自分で書いてます」
pic.twitter.com/E8VxVEWB9A
リバースのツイートより。頻繁に手書きの文章をアップしている。

スコットは「結構勉強したし、今もしている。邦画もいっぱい見たね。ジブリ作品や、岩井俊二作品とかで日本語を学習したよ」と言う。
「『おつかれさまです』とか、挨拶ひとつとっても、英語にはない表現がいっぱい。『さすが』とか『やっぱり』とか、ふとした拍子に何げなく使えるフレーズもいい」

「神社が好き」というリバース=右=とスコット (撮影:山本宏樹)
この春にリリースしたセカンドアルバム『ニマイメ』は2作目の「二枚目」と、美男子の「二枚目」を掛け合わせた。その収録曲『風吹けば』は、彼らの方向性を端的に示す楽曲だという。
再びスコット。
「アメリカの、特に西海岸のシチュエーションを翻訳して伝えるのがスコット&リバースの狙い。たとえば小麦色に焼けたブロンドの女の子が出てくる『風吹けば』は、全体にカリフォルニアのイメージを日本語に置き換えている。あの日差しや空気感を感じられるようにね。J-POPではなく、『カリフォルニアJ-POP』って感じかな。でも、『ビキニで自転車乗って 通るあの子が』っていう最初のフレーズでみんな(お客さんが)笑うんだよね。日本人が書かない感じの歌詞なんだろうな、って解釈してるけど」

スタジオで雑談。「ホント日本語は難しいね」とリバース=右(撮影:山本宏樹)
『ニマイメ』ではモンゴル800のキヨサクや、miwaら、日本の有名アーティストらともコラボ。活動の幅を広げている。
ロサンゼルスを拠点とするリバース、東京に暮らすスコット。太平洋をまたいだ「スコット&リバース」も6年目に入った。

2人は「J-POPとして見られたい」と語る(撮影:山本宏樹)
東京のスコットは言う。
「邦楽と(して)見られたい思いがずっとある。どんなに頑張って日本語で歌詞を書いても、CDショップだと洋楽の棚に置かれちゃって、寂しいんだ。もっと知名度を上げて、『カリフォルニアJ-POP』でもいいのでカテゴライズされたいね」
リバースも「日本のバンドが英語で歌っても邦楽なのに、ね」と苦笑いし、続けた。
「スコット&リバースを続ける理由は、日本が大好きだからだよ。日本の文化、音楽シーン、そして日本語」。今後の目標は「紅白歌合戦」だ。「紅白に出て、CDショップの1階の邦楽セクションに参加したい。そうすれば、晴れて日本のバンドとして認めてもらえるんじゃないかな」
インタビュー後、2人に好きな日本語を色紙に書いてもらった。

リバース(撮影:山本宏樹)
リバースは「べんぴ」。「音の感じ、語感が好き。意味はよくわかんない」

スコット(撮影:山本宏樹)
スコットは「凸凹」。「このカタチがたまらないでしょ」
「スコット&リバース」
世界的なヒット曲をいくつも出した米国のロック・バンドWeezerのフロントマン、リバース・クオモと、ALLiSTER/MONOEYESなどのグループに所属し日米でバンド活動をするスコット・マーフィーが、共通の友人を介し結成したユニット。歌詞のほとんどが日本語。2012年に初のアルバムを、今春に2枚目を発売した。
[制作協力]
古田晃司・久保田誠・佐野秀初
                             [写真]                        撮影:山本宏樹

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