Kroi、Zepp Hanedaで初フリーライブ 気持ちのシートベルトを外して楽しんだこの場限りの音楽空間 – リアルサウンド

 Kroiが8月12日、東京・Zepp Hanedaでフリーライブ『Kroi FREE LIVE 「TAKE OFF」@Zepp Haneda』を開催した。7月に発売された2ndアルバム『telegraph』のレコ発企画として開催されたこのライブは、YouTube公式チャンネルでの無料生配信も実施。アルバム『telegraph』に収められた新曲と既存の人気曲を織り交ぜながら、ライブバンドとしての魅力を存分に見せつけた。根底にあるのはメンバー5人の卓越したプレイヤビリティと奔放なアレンジメント、そして、とことん音楽を楽しみ尽くそうとする快楽主義的なアティチュードだ。
『Kroi FREE LIVE 「TAKE OFF」@Zepp Haneda』写真をすべて見る
 今回のフリーライブは、ステージをフロア(客席)に設置。メンバー同士が円形に並び、その周りを観客が取り囲む360度のステージで行われた。開演前のSEは、飛行機が飛び立つ音やチャイムなど、空港を想起させる環境音。さらに「“Kroiエアライン”961便にご搭乗いただき、ありがとうございます。気持ちのシートベルトを外していただくよう、よろしくお願いします」というアナウンスが英語と日本語で行われ、メンバーがステージに登場。大きな拍手が巻き起こるなか、ライブがスタートした。

Kroi(写真=jacK)

 オープニングはアルバム『telegraph』のリードトラック「熱海」。メインソングライターの内田怜央(Vo/Gt)が“あまりにもポップに振り切っているためボツにしようとした”というエピソードを持つ楽曲だが、ライブで演奏すると心地よいバンドグルーヴが強調され、〈うっとりしちゃう/うっとりしちゃうよな〉というリリック通りの効果をもたらしていた。熱海の風景を描いたユニークな歌詞を楽しそうに歌う内田の表情も印象的だった。
 内田がパーカッションを叩き、観客のクラップが鳴り響いた「Juden」では、メンバー全員の見せ場がたっぷり。オーセンティックなファンクを基軸にしたサウンドのなかで、千葉大樹(Key)、関将典(Ba)、長谷部悠生(Gt)がソロで演奏。個性的なプレイヤーが揃ったバンドとしての凄みを存分に発揮してみせた。途中、長谷部のギターが鳴らないトラブルもあったが、誰も慌てることなく、それぞれがアドリブでつないでみせるシーンも。音で会話するようなリレーションシップの高さもまた、このバンドの良さだろう。その直後に「ギター、元気?(笑)」(内田)「ちょっと焦ったよ(笑)」(長谷部)とすぐにバラしてしまう(他のメンバーも楽しそうに笑っていた)、あけっぴろげ感も楽しい。

Kroi(写真=jacK)

 そして内田によるギターリフと鋭利なラップを軸にした「selva」のアウトロでは益田英知(Dr)のドラムソロ、千葉のオルガン、長谷部のギターソロを有機的に結びつけ、シームレスに「Page」へ。間奏パートで内田がEarth, Wind & Fireの楽曲のフレーズを引用するなど、ライブならではのアレンジを織り込みながら、この場所、このときにしか体感できない音楽を生み出していく。
「みなさん、調子はいかがですか? Kroiちゃんです」(内田)
「(観客に)囲まれて、緊張するな」(千葉)
「初フリーライブで、しかもZepp Haneda。やばいよね。ただ、すごい“いい”演奏をするので楽しんでください」(内田)
 と自らハードルを上げた後は、アルバム『telegraph』の楽曲を続けて披露。まずは「Drippin’ Desert」。80年代のフュージョンをアップデートさせたアンサンブルと解放的なメロディライン、〈固定している観念 反転/審美眼の鍛錬〉といった深い意味と響きの美しさを併せ持った歌詞が共鳴し、身体と頭を同時に揺さぶられる。新たに導入された関の5弦ベースによるプレイも、この曲のアンサンブルに厚みを与えていた。

Kroi(写真=jacK)






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