BABYMETALには死んだメタルオヤジが憑依している!? – ログミー

スーパースター、LADY GAGA(レディー・ガガ)からライブツアー参加のオファーを受けるなど、世界中から注目が集まるBABYMETAL(ベビーメタル)。彼女たちの音楽はメタルなのか? 漫画家の山田玲司氏と番組アシスタントの乙君がロック音楽業界におけるBABYMETALの位置付けについて語ります。また、ヘビーメタルの起源、精神性など、メタルにまつわる歴史についても解説していきます。
乙君:わかりました。じゃあ、(BABYMETALはメタルなのか問題について)もう結論を。
山田玲司氏(以下、山田):いきますよ、北欧神話まで!(笑)
乙君:結論を言うと、メタルって、これはおれのメタルってのは何かっていうのは、こういうことなんですよ。
乙君:憎悪と憤怒のカルナバル!
山田:(笑)。おもしろい、カルナバルですか!
乙君:カルナバルなんですよ。あの、フェスティバルじゃないんです。カルナバルでないといけない。
山田:はいはいはい。
乙君:で、憎悪と憤怒っていうものが、絶対にあるんですよ、人間には。だってね、この間もそうだったじゃないですか。
山田:なに?
乙君:あの新しい、新丁のデザインでもめたとか、いろいろあるでしょ。
山田:あー、はいはいはい。もめますよ。
乙君:漫画が売れないとか。
山田:はいはい、そうですよ。
乙君:そういうものも含めたうえで、なんで生まれたのかってところまでいくんですよ、メタルっちゅうのは。
山田:ほう。BABYMETALからそこまでいきますか。
乙君:そう。イギリスのバーミンガムっていう町、ここから生まれてるんです。工業地帯の、労働者階級ばっかりの。
山田:はいはい。
乙君:もうね、おれたちが一生かけて稼ぐ金の5倍を、ビートルズは一晩で稼ぐ。
山田:ま、ビートルズもその階級出身だよね。
乙君:あれはリバプールだけどね。
山田:そうっすね。
乙君:でも、バーミンガムだったんですよ。もう、灰色の空。灰色の町。
山田:雨ばっかり。
乙君:臭い。もう、なんか暗い。そういう所でおれたち、一生暮らすのか。やってらんねーぞ。
山田:うん。
乙君:で、ある日ね、ビートルズを見て、おれたちもロックンロールしてえ。でも、ビートルズと同じことやったら売れない。絶対に無理だ。「何する?」って言って、パッと見たら映画でホラーがやってたんですよ、『ブラック・サバス』っていう。
山田:ほう。
乙君:『黒い安息日』(注:Black Sabbathのデビューアルバム)ですよ。
山田:あのBlack Sabbathですか。
乙君:「おれたちはロックンロールでホラーやるんだ」って言って組んだのが、オジー・オズボーンとトニー・アイオミ、ギーザー・バトラー、ビル・ワードなんですよ。この4人のBlack Sabbathってバンドが……、まあ、その前はEarthっていうバンドだったんですけど、名前はね。
山田:……はいはい、わかりました。
乙君:だから言ったじゃん、おれ。「止まんないよ」って。
(一同笑)
山田:すいません、こうなるのはなんとなく予想していたんですが。
乙君:だから、Black Sabbathがまず始まってどこから来てるかというと、嫉妬とか、もう「なんだ!」と。「生まれたって何なんだ!」と。トニー・アイオミなんてね、工場で指切っちゃって、ここないんですよ! それでギター弾いてるんです、サウスポーで。
山田:うんうんうん。
乙君:うんうんうん。
山田:さあ、そして! 「おまえも蝋人形にしてやろうか」。
乙君:そこまでいくんです。それ、日本ね。
山田:そうなるんすね、はい。
乙君:で、だから、結局、何が言いたいかっていうと、こういうことなんですよ。
乙君:「人生てめぇ! ちょっとこいや!!」ってことなんですよ。
山田:おっと、そこからの(毛皮の)マリーズですか!
乙君:神様じゃないんです、人生なんですよ。神様は悪くない。
山田:はいはい。
乙君:「人生! おい!」と。
山田:「おい! 人生!」と。
乙君:「おい! 待て! 来い!」と。
山田:人生にケンカ売るんですか(笑)。
乙君:「なんでこんなに世界は不平等なんだ?!」と。
山田:はいはい。
乙君:「ラブ&ピースとかアメリカとかでやってるけど、クソ食らえじゃね!」つって!
山田:うんうん、なるほど。
乙君:ハードロック最高じゃん。でも、もっともっとおれたちの感情っていうのは……。で、パンクがバーッと出てくるんだけど、そのあとに、ハードロックのあとに。
山田:うん。
乙君:パンク聞いた奴らが、「待て待て」と。そんな3分やそこらの曲で、おれたちのウワーっていう激情、憎悪と憤怒が解消されるわけない!
乙君:でも、それをそのまま出しちゃうと品がない。もっとトータライズして、ちゃんと起承転結つけて。もう歌に対してギターソロが半分ぐらいあってもいいみたいな。もうめちゃくちゃ練習して、誰にも届かないところまでいく! 構築して。
で、おれ個人の感情じゃない。もっともっと壮大なものに託す。中世の歴史、キリスト教、悪魔、天使、神様。そういうもの全部ひっくるめて、音楽にしてるわけですよ!
山田:はいはい。
乙君:で、これがどういうことかっていうと、1小節のなかにどれだけ音を詰め込めるかっていう音楽がヘビーメタルなんですよ。
山田:ツーバス。
乙君:ドゥドゥドゥドゥドゥ……なんです。ダダダダダ……っていう。
山田:要するにバスドラっていって、一番でっかい踏むやつね、あれを2台並べて。しかも、それだけじゃ足りなくって、「もう1人ドラム呼ぶ?」みたいな。
乙君:そう。だから、ただ生きているこの1分間を、もっともっと、1分を1時間に感じたいっていう貪欲な生への意志。それが絶望とか全部合わさった渇望。これがヘビーメタルの精神性なんですよ!
山田:はい、ありがとうございます。
しみちゃん:(笑)。
乙君:それに対して、この子たちは……。
山田:そろそろ、ありがとうございます。
(一同笑)
乙君:この子たちは巫女だから、本人たちの……ないじゃない。何を憎んでメタルやってんの?
山田:うん。
乙君:何を憎悪してんの? 何に怒ってんの? それがないから、おれはノレないんですよ。
山田:なるほど。
乙君:音楽としての、入れ物としてワーッてなる。お約束のギターソロもあるし。
山田:なんかそれ、すごいいい話だな。
乙君:うん。
山田:そんな乙君に対して……。
(一同笑)
乙君:振って……、まあいいや(笑)。
山田:視聴者の○○さん、仙台の方から、BABYMETALを取り上げるというので、この方、なんと○○さん、宗教学者の方で、職業柄、なんの情報を見て神をついこう目にいってしまうとおっしゃってるんですね。だから、乙君の言ってることと同じようなことをね、神についての話だよね。
で、BABYMETALについて、海外のメタル誌の取り上げ方がかなりの高確率でフォックスゴッド、さっき言ってた、狐の神様。この子たちのコンセプトが、狐のお面をかぶってこういうポーズするんだよね。で、彼女たちはMCがない。
乙君:うんうん。
山田:で、狐に取り憑かれたような状態が彼女たちの演じてる状態っていう。要するに憑依の状態っていうのを彼女たちが、狐憑きね、狐さまっていう、それが彼女たちの設定になってて。
これは海外のメタル誌ではペイガンメタルといわれてる、要するに土着信仰的なメタルという、それを海外の戦略として取ってると。それがBABYMETALの所属事務所の戦略としてはネオペイガニズム、要するに新たなる土着信仰的なものっていうのをコンセプトにしてるんじゃないかと考えています、と。
で、メタルファンとしての乙君のご意見をおうかがいしたいです、みたいなことをおっしゃってるんですね、○○さんはね。
乙君:だから、バイキングメタルとか、そういう類だと思われてるわけですよ。
山田:なるほど。土着的なね。
乙君:そうなんですよ。だけど、おれたちにとってお狐さま、お稲荷さんがそんなに身近なものかっちゅう話なんですよ。ここで問題は。
山田:うんうんうん。
乙君:これは、このあとの話は文化人類学にいくんで、それはもうちょっとあれなんで置いといて、おれがね、あの、「語れ」と言われたからこうやって出したんですけど、そこはスピンオフでやりましょう、そのうち。
ただ、アニソンだっていうのは、そうなんですよ、おれのなかでは。だから、別にそれでいいんですよ。このへんの、アニソンって思ったときに、「じゃあ、アニソンってそもそもなんだろうな?」って思ったんです、私は。
山田:その話、アニソン来てからにしない?
乙君:だから、それを聞くために呼ぼうっていう前振りを、今、僕はしてるんです!
山田:あーー、ナイス!
(一同笑)
山田:でも、ちょっと待って。おれの分析、入れたいんです。
乙君:まだやんの?!
(一同笑)
山田:おれ、しゃべってないもん! ちょっと言わしてよ。
乙君:わかった(笑)。
山田:じゃあ、ざっくり言いますよ。その狐憑きっていうのとかさ、しゃべらせないっていうことで成功してるんだよね、このコンセプトって。
乙君:うんうん。
山田:で、言ってみれば、これってまあ、中田さんがやってたPerfumeから10年なんだよね。だから、テクノっていう、テクノ大好きおじさんが女の子3人そろえて、で、やらせてるっていう状態。
それで今回は、ヘビメタ大好きおじさんが女の子3人前に出して、で、これももともと少女アイドルグループの別働隊として現れている。
乙君:さくら学院っちゅうやつですな。
山田:その重低音部(注:正しくは重音部)っていうの?
乙君:知らんけど。
山田:まあ、そんな、別働隊として現れているわけでさ。それで、この子たちってすごいテクニックのある重鎮たちがバックについてるんだって。それがいわゆる神バンドっていわれている、神様のバンドでしょ。で、ギターの人、神ギターっていわれてるんでしょ。で、神ベースっていう人がいて。みんな骸骨の格好して演奏してるっていう。
要するに、そこでもう成立してるのが、あの世がサポートしてるっていうね。死者がサポートして狐憑きっていうので出てくるんで、もうこれはこれですよ、これ。浄瑠璃ですよ。
乙君:そうそうそうそう。
山田:そうなんですよ。だから、この後ろにいる方たちがこれ、神バンドですよ。で、これが中田さんだったんだよね。で、もともと、この系譜っていうのは……。
乙君:どれがマーティ・フリードマンかな?
山田:はい、ありがとうございまーす。
(一同笑)
山田:いや、だから、ピンクレディの後ろに阿久悠がいたりだとか、AKBの後ろに秋元さんがいるとかさ、そういうふうなさ、少女たちを前において、おっさんたちが言いたいことをやるっていう、まあ、日本の伝統芸能の1つだなと思うんだけど。
これが当たってるっていうのは、やっぱりおもしろいなと思うのが、この子たちが人形に徹してるからだと思うんだよね。空っぽだからこそ、黙ってるからこそ、みんながノレるっていう。
だからこれ、Perfumeあたりから始まった系譜で、Perfumeはなるべくしゃべってほしくないっていう、みんな。
乙君:Winkでしょ、Wink。
山田:Winkあたりから、そうそう。だから、ドールの系譜ってやつで。実を言うとこれ、それをやることによって、乗っかれるんだよね。要するに、夢を託せるんだよね。これね、背景にあるの、やっぱ例のスクールカースト問題ですよ。
だから、学校にいる女子っていうのが怖いんだよ、やっぱり。で、みんな、トラウマ抱えてるんだよ。「つーか、あいつキモくね?」みたいなことを言うのが女だろって思ってるときに、そういう雰囲気を彼女たちが少しでもにおわせたら夢が託せないから、黙っててくれよと。つまり、ボカロ化しろと。
つまりさ、ボーカロイドってのがあとから現れたんじゃなくてさ、アイドル自体がボカロ化していくっていう歴史を、ここへ来てずっと……。
きゃりーぱみゅぱみゅだったり、……でんぱ組はしゃべるけど、Perfumeからなんかいっぱいでてきたうちの1つの系譜が、BABYMETALさんたちなんじゃないかなって思ってて。
乙君:はいはい。
山田:で、これ、ちょっとおもしろいなと思ったのが、死んだおっさんがサポートしてるっていうさ(笑)。
乙君:うんうん、設定ね。
山田:そうそうそう。取り憑いてるの、死んだおっさんなんじゃねーのっていうさ(笑)。だから、メタル親父の高円寺にさまよえる生霊たちが少女たちに乗り移ったのだみたいな、そういうアニメみたいなかんじにも見えるところがすごくおもしろくて。
それってなんか、ジバニャンみたいなさ(笑)。なんかちょっと思っちゃうわけ。
(一同笑)
山田:妖怪ウォッチ的だな、と思うわけ。
乙君:あーー。
山田:なんでも妖怪のせい、みたいなさ。
乙君:はいはいはいはい。
山田:そうそうそう。だからさ、これさ、メタル業界が裏についてさ、少女たちを踊らせてる状態なんじゃないかな、なんて思ってみたいな。だからさ、これってちょっとなにがおもしろいかって、AKBぐらいまでは少女たちに内面が許されてたんだよ。
だからさ、前田敦子号泣みたいなのにノレたっていうさ。「たかみなについていくぜ」みたいなさ。そのたかみなっていうのに人格があり、人だったんだよ。
でもさ、「そういうのいいっすから」みたいな。「そういうエモいのいいんで」っていうさ。エモいイコールゼロ年代、10年代イコールエモ切りみたいなさ。「あ、ボカロ世代か」みたいなさ。
で、この子たち、デビューが10年なんだよ。で、Perfumeはその10年ぐらい前からやってて。ここへ来て、Perfumeが作り上げてきた土台みたいなのが、Perfumeと初音ミクが作った土台に彼女たちが乗っかったんだな、っていう気がするんだよ。
これがちょっとおもしろいよな、なんて思って。だから、ボカロの役をする少女たち、「少女たちは物でいてくれ」って思っているジャパニーズ。
乙君:だから、それが気持ち悪いんですよ、おれは。
山田:繁殖をできなくなった。ゼロ年代以降。
乙君:処女でしょ、どうせ。
山田:……。
山田:えー、すいませんでした。
(一同笑)
山田:アミューズのみなさん、本当に申し訳なかったです。すいません。なにも言ってません! えー、続いてはですね……。
(一同笑)
山田:いやー、これね、おれちょっと思ったのが、あとね、もう1つはエモ問題でいうと、自分探しっていう時代がゼロ年代あって、「自分とか探さなーい」って言ってるよ、もうね。
乙君:あー。
山田:だから、前田敦子までは自分探してるんだよ。だから、解散総選挙のあと、独立して旅に出ないといけないんだけどさ、あの戦争が終わったあとにさ、「もうそういうのいいかな」っていう。自分探さない期っていうのが来てるよなっていうかんじがするなと思って。
山田:そこでやっぱりこの、もう1つあるのが、「美少女絶対主義に終わりは来るのか?」問題みたいな。これ、いずれ、またしっかりやろうかな。
乙君:これねー!
山田:なぜ少女なのかっていう話で。これちょっと後半、大木くんも交えていきますか。すいません、33分、ちょっと時間かかりすぎました(笑)。
有料会員放送に続く)
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