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九重“夢”大吊橋の前に立つ、管理センターの河野公保さん
「約６０年前、町民が『滝と紅葉が見られる橋があれば良いのに』とつぶやいたのが建設のきっかけだったそうです」。大分県九重町の深い渓谷にかかる九重“夢”大吊橋管理センターの河野公保さん（４０）はそう振り返った。 【開通から50年を迎える関門橋】 当時は「夢物語でできっこない」と言われた大吊橋は、町の観光振興計画に基づき、２００４年５月に着工。２年半の工事を経て０６年１０月に開業した。総工費は２０億円。高さ１７３メートル、全長３９０メートルの吊橋は、歩行専用として日本一の高さを誇り「天空の散歩道」とも呼ばれる。 鳴子川渓谷に臨み、春の新緑や秋の紅葉の他、「日本の滝百選」にも選ばれた震動の滝を眺めることもできる。観光客は開業から１年半で約３００万人、その後も１９年度までは多い年で年間１００万人超が訪れ、大分県の観光名所の一つになった。 ２０年４月の新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言で休業を余儀なくされるなどして、客足は遠のいたが、河野さんを中心にさまざまな工夫をして集客に取り組んできた。 話題になったのが２１年１０月の大吊橋のテーマ曲の公募。重金属（ヘビーメタル）でできた大吊橋にちなみヘビメタ限定にしたところ、全国１５組から１７曲が寄せられた。その中から吊橋の成り立ちや周囲の風景などが盛り込まれた大阪府在住の落語家・桂紋四郎さん率いるヘビメタバンドの「ＰＲＯＭＥＮＡＤＥ ＩＮ ＴＨＥ ＳＫＹ（天空の散歩道）」を選び、日本語版と英語版を放送している。さらに、大分県出身の漫画家・衛藤ヒロユキさんの作品「魔法陣グルグル」の登場人物などを描いたマンホールも２１年１０月と２２年１０月に２枚ずつ設置。作品やマンホールの愛好家などさまざまな人たちに知ってもらうきっかけになっている。 今年で開業から１７年を迎える。河野さんは「もう一度来たいと思ってもらうために、今ある素材を使ったＰＲや、多国籍化、バリアフリーに対応した設備を整えていきたい」と意気込んでいる。【神山恵】 ◇九重“夢”大吊橋 大分道九重インターチェンジから車で約２５分。営業は午前８時半～午後５時（７～１０月は午後６時）。年中無休。天候次第で入場制限も。問い合わせは同大吊橋管理センター（０９７３・７３・３８００）。
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