THE ORAL CIGARETTES、新曲「BUG」で打ち出す新たな“攻め”の姿勢 自由でオープンな現在のオーラルのモード – リアルサウンド

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 7月27日にリリース情報が解禁されてから、ファンの間ではすでに大きな話題となっているTHE ORAL CIGARETTES(以下、オーラル)の新曲「BUG」。8月10日に配信リリースされたこの曲には、今のオーラルが打ち出す新たな「攻め」の姿勢が明確に刻み込まれている。ロック、ヒップホップ、ダンスミュージック、すべてを越境するフリーフォームなサウンドデザインと既存のポップミュージックのフォーマットには収まらない斬新性、そしてリスナーの想像力をどこまでも過激に刺激する楽曲構造。淫らさと妖しさのなかに暴発寸前の感情を詰め込んだ、極彩色のコラージュのような歌詞は、あっという間に私たちを違う宇宙へとぶっ飛ばす。「バグ」っているのは世界か自分か。いずれにしろ硬直した視界に亀裂を入れて新しい景色を見せつける「BUG」は、どこまでも挑発的で扇情的だ。
 この曲のクレジットは、作詞・作曲ともに山中拓也(Vo/Gt)とJOGOのコライトとなっている。JOGOというのは、山中と2人のサウンドプロデューサー、辻村有記と板井直樹によって立ち上げられた楽曲制作&プロデュースチーム(オフィシャルには「ギルド的コミュニティ」と説明されている)。JOGOとしての実績には、山中とゲームクリエイター・脚本家の山中拓也によるプロジェクト『ボイステラス6』のテーマソングである「AWAKENING」があり、また4月にリリースされたEP『Bullets Into The Pipe』収録の「ENEMY feat.Kamui」のプロデューサーとしてもその名前があるが、オーラル単体の楽曲にクレジットされるのは今回が初めてだ。ここにはひとつ、今のオーラルが突き進んでいる道を解き明かすヒントがある。
 遡れば、2021年10月にリリースされた「MACHINEGUN」でも、彼らは盟友シュンタロウ(Hello Sleepwalkers)をプロデューサーとして迎え、バンドの新たな王道を切り拓いてみせた。そのときのインタビュー(※1)で山中は「コライトに対しての抵抗感がなくなってきている」と発言していたが、その後『Bullets Into The Pipe』では、前述のKamuiに加えSKY-HI、Hiro(MY FIRST STORY)、MAH(SiM)という彼らのすぐ近くにいるツワモノとのコラボレーションを繰り広げた。今回のJOGOとのコライトである「BUG」へと至る道のりを振り返ると、「抵抗感がなくなってきた」どころではない、自由でオープンな今のオーラルのモードを強く感じることができる。
 奇を衒うということでも、ましてやバンドの新境地を開拓するために新たな血を取り入れるということでもない、自然とできあがってきたコミュニティの中で、ジャンルもスタイルも関係なく自在に交差しながら生み出される伸びやかで自由なアートピース。ここのところオーラルが世の中に投下しているのはそういうものだ。どこにいこうがそこがオーラルにとっての「真ん中」であり、何をしようが「これが俺たちだ」と胸を張って断言できる。「自信」といってしまえば簡単だが、その言葉にある張り切って力こぶを作るようなイメージとはまったく違うニュートラルさでもって、彼らは確信に満ちた表現活動を続けているのだ。

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