SUPER★DRAGON 古川毅『カタリタガリ』特別編 Lucky Kilimanjaro 熊木幸丸と語る、互いの音楽が果たせる役割 – リアルサウンド

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 SUPER★DRAGONの古川毅が影響を受けた音楽やカルチャーについて語ってきた『古川毅のカタリタガリ』だが、9回目となる今回は初の対談企画をお届けする。相手はこの連載の2回目、「影響を受けた“歌詞”を語りまくる」のトピック(※1)で古川が取り上げたLucky Kilimanjaroの熊木幸丸。SUPER★DRAGONもLucky Kilimanjaroも、それぞれ『Force to Forth』、『TOUGH PLAY』というニューアルバムをリリースしたばかり。そしてSUPER★DRAGONは今回から本格的にメンバー自らが作詞を手掛け、トラック制作にも関わった新しいフェーズの作品ということもあり、古川にはこのタイミングで熊木に聞きたいことや伝えたいことがたくさんあるという。いつもとは違う『カタリタガリ』を楽しんでほしい。(TAISHI IWAMI)
――今回の『古川毅のカタリタガリ』は初の対談形式。まずは毅さんが熊木さんにオファーするに至った経緯を教えてください。
古川毅(以下、古川):Lucky Kilimanjaroならびに熊木さんの存在は2018年ごろから知っていて、特に2019年7月にリリースされたシングル『HOUSE』が好きでよく聴いていました。しばらくして、2020年の2月に事務所の先輩であるDISH//のミニアルバム『CIRCLE』が出たんですけど、中でも「SAUNA SONG」という曲に心を持っていかれたのでクレジットを見たら熊木さんの名前があって。そこでさらに興味が湧いてLucky Kilimanjaroの各音源を堀り下げて聴くようになり、1年くらい経ってこの連載が始まって、2回目のタイミングで取り上げさせていただきました。その頃から、この連載が続くならいつか熊木さんと対談できたらいいなって。だから、今回はオファーを受けていただいて、本当にありがとうございます。
熊木幸丸(以下、熊木):こちらこそありがとうございます。僕のことを取り上げていただいた記事、読みましたよ。「HOUSE」と「ひとりの夜を抜け」の歌詞とサウンドの兼ね合いについて書いてくださっていて嬉しかったです。僕はすごく考えて言葉をひねり出すというよりは、自分の思ったことを感覚的にサウンドに乗せてそのまま走らせちゃうところがあって、そういう部分を気に入ってもらえたような気がしたんですよね。
古川:「HOUSE」や「ひとりの夜を抜け」は、サウンドや言葉の乗せ方からハウスやヒップホップを背景に感じるんですけど、曲作りにあたってそれらの要素をロジカルに組み合わせているのか、普段からのインプットが自然にミックスされたものなのかは、こうしてお話を聞いてみないとわからないじゃないですか。そこで感覚的とおっしゃったことはすごく納得できますね。Lucky Kilimanjaroの音楽って完成度が高いんですけど自然体というか、妥協は許さないけど肩の力は抜けているというか。だから勝手に体が動くし言葉もスッと入ってくる。
熊木:SUPER★DRAGONもハウス/EDMやヒップホップやロックなど、さまざまな音楽性をうまく混ぜ合わせて自分たちの表現に落とし込んでいるじゃないですか。そういう部分では共通点があるような気がします。
古川:僕らは結成当初から“ミクスチャーユニット”として動いていて、そのテーマをいかにアップデートしていくかが活動の肝なので「共通点がある」と言っていただけて光栄すぎます!
熊木:その共通点があるなかで、僕らは「HOUSE」というタイトルじゃないですけど、クラブ仕様とか鍛え抜かれたエンタテインメントを目指すというよりは、家でゆるく踊れる音楽を作っているイメージ。だからSUPER★DRAGONのような本格派のダンスとともにタイトでエッジの効いた曲やラップや歌を展開している、僕らにはないものを持っているグループの方に面白いと思ってもらえることはすごく嬉しいですね。
――SUPER★DRAGONは“ミクスチャーユニット”という名の下で、基本的に提供された曲を自分たちなりに咀嚼してパフォーマンスしていたスタイルから、今回のアルバム『Force to Forth』でメンバーがリリックを書いたり、作曲やアレンジ面にも積極的に関わったりするようになりましたが、そのうえでLucky Kilimanjaroから受けた刺激はありますか?
古川:めちゃくちゃあります。Lucky Kilimanjaroは日本のダンスミュージックを基調としたポップミュージックとして、確立された何かがあると思うんです。だからSUPER★DRAGONとはグループの形態もアウトプットの印象も違うけど、勉強させてもらっています。そこで歌詞についてちょっと質問してもいいですか?
熊木:はい。僕でよければなんでも聞いてください。
古川:熊木さんの言葉からは、日本語のわびさびみたいなものをすごく感じるんです。それでいてシンプルでストレート。僕の中ではそのわびさびを意識すればするほど歌詞は硬く重くなっていくイメージがあるんですよね。
熊木:なるほど。
古川:わかりやすいんですけど、ちゃんとレイヤーや深みやユーモアがある。また「HOUSE」の話になりますけど、〈泣く子も黙るインドア派〉とか〈外では恥ずいけどここでは踊り放題〉ときて〈骨を埋める覚悟よ〉とか、日本語ならではの重みのある言葉なのにビートとともに足取り軽く響く。それって特に作品を部屋や散歩中といった日常生活のなかで聴いてもらううえではすごく重要な要素だと思うんです。歌詞についてさきほど「めちゃくちゃ考えて言葉をひねり出すというよりは、自分の思ったことを感覚的にサウンドに乗せている」とおっしゃいましたが、あえてそうなる要因を掘り下げるとどういうことなのか、すごく気になります。
熊木:前提としてみんながふだん話す単語を使おうとは思っています。難しい言葉を使っても歌詞って基本的にもう1回戻って聴くものじゃないですし、前に向かってしか流れない時間軸とともに曲を楽しんでもらいたいという思いもあるので、それを難しい言葉で止めたくないんですよね。
古川:はい。
熊木:その中で〈骨を埋める覚悟よ〉とか、先日リリースしたニューアルバム『TOUGH PLAY』の「無理」という曲だと〈まつり縫う縫う縫う縫う〉とか、多くの人が日常会話だとまず使わないけどイメージはできる、みたいな言葉を入れるのが好きなんですよね。
古川:“まつり縫い”って確かに小学生の家庭科の授業以来使ってないかも。でも確かにイメージは湧きますよね。
熊木:そういうみんな普段はほとんど使わないけど知っている言葉みたいなのが、ポップな流れに入ってくることでより奥行きが出るというか、言葉とともに絵が浮かんでリズムと一緒に躍動するような感じがするんです。そういう言葉遊びみたいなものにフォーカスを当てて作品を作ることは、自分の中に染み付いている大事にしたい要素です。
古川:勉強になります。ほかのメンバーも連れてくればよかった(笑)。
熊木:いやいや(笑)。古川さんみたいに10代の半ばにデビューされてダンスや歌を磨きつつ、ここにきてちゃんと歌詞や音楽性のイニシアチブを持てるように動いていることについては、シンプルにすごいと思います。だって年齢は僕の方が10歳くらい上だけど、業界でのキャリアは先輩ですよね?
古川:SUPER★DRAGONは2015年に活動開始しているので、Lucky Kilimanjaroが最初に出したEP『FULLCOLOR』と同い年ですね。

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