私立恵比寿中学 | Skream! ライヴ・レポート 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト – Skream!

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LIVE REPORT
Japanese
Skream! マガジン 2022年02月号掲載
2021.12.28 @東京ガーデンシアター
Reported by 宮﨑 大樹 Photo by 中島たくみ
エビ中(私立恵比寿中学)は、らしさ、アイデンティティを失わずに新生し、10年、20年先を見据えて歩きだす。そのために”Reboot”するタイミングが今だったのだ。

私立恵比寿中学が、年末恒例のライヴ”大学芸会”を開催した。エビ中の2021年は、7年ぶりの新メンバーが3名(桜木心菜、小久保柚乃、風見和香)加入し、休養中だった安本彩花が復帰、さらに柏木ひなたの芸能活動の一時的な休養もあり、激動の1年だったと言える。フル・メンバーで臨む初の大学芸会のタイトルに”Reboot”=”再起動”を掲げた想いは、推して知るべしだろう。今回の大学芸会は、12月27日、28日の2デイズで実施。その2日目の模様をレポートする。

制服を着たメンバーがそれぞれの学園生活を送るなかで、担当カラーの衣装に出会っていくストーリー仕立てのオープニング・ムービーが流れる。するとその衣装を身に纏った9人が、EDM調にアレンジされたお馴染みのSEを背に、クラブ風の煌びやかなステージに登場。ライヴは安本による「イヤフォン・ライオット」の歌い出しで開幕した。結成から数えたら12年のキャリアを持つエビ中。その先輩メンバーの歌唱の安定感は言うまでもないが、驚くべきは桜木、小久保、風見の3人が見事に食らいついていることだ。曲中にブレイクが入り”今年ラストのワンマン・ライヴ、覚悟しておけよ。盛り上がって行くぞぉ!”と安本が声を上げる。映像の花火とリアルの花火、そしてエビ中ファミリー(※エビ中ファン)のペンライトが9人の笑顔を照らし、最高の形でスタートを切った。

目まぐるしく曲調が変化する超展開のなかEDMパートで飛び跳ねる「Family Complex」から、疾走感溢れる「ちちんぷい」とアッパーな楽曲たちでアゲ続けていく。そんな新体制のエビ中を観ていると、ずっとこの9人体制だったんじゃないかと思えてしまう瞬間がたびたびあった。それだけのグルーヴがステージ上で醸し出されていたのだ。「頑張ってる途中」では、パフォーマンスと共に練習風景が映し出されるなんともエモーショナルな演出が施されたのだが、先ほど感じたグルーヴを出せるようになるまでの過程が表れているようで胸が熱くなる。ラスサビ前には、絶賛”頑張ってる途中”の桜木、小久保、風見の3人が”あたし達まだまだ成長中!”とキラキラした表情で歌い上げた。続いてパフォーマンスしたのは「サドンデス」だ。楽曲を提供した岡崎体育のエンターテイナー精神が爆発したこの曲。お馴染みのダンス・バトル中に、中山莉子が”新メンバーが入っても、興味がない!”と叫んだところには思わず笑ったが、柏木が”3人はもう立派なメンバーだよ”と語り掛けたシーンにはグッと来た。

中盤にはユニット・コーナーが設けられ、安本と風見が「君のままで」をギター・アレンジで届け、真山りか、星名美怜、小林歌穂、小久保の4人はこの季節にピッタリの「フユコイ」を、柏木、中山、桜木は「アンコールの恋」を披露。新メンバー3人は堂々たる歌唱で魅せ、それぞれが存在感を示すと、ここから涙なしでは観ることができない後半へ。”あなたにとってエビ中ファミリーとは”というテーマでメンバーひとりひとりが愛のある想いを語った映像ののち、ブルーの衣装にチェンジして「YELL」でエビ中ファミリーへのエールを届けていく。この場に集まったエビ中ファミリーも、彼女たちに応えるように、おびただしい数のペンライトを輝かせた。「スーパーヒーロー」、「星の数え方」と感情たっぷりに歌われる曲が続き、何度も何度も感動が押し寄せてくるなか、今度は”あなたにとってエビ中とは”と題したムービーが流れ「仮契約のシンデレラ」を披露。”Reboot”に相応しくメジャー・デビュー曲で締めくくり(あるいはこの曲で”Reboot”が始まったのかもしれない)、”これからも初心を忘れず、9人で一緒に頑張っていくぞ!”、”イエッサー!!”と特別バージョンで曲を結んだ。

ライヴは近年のエビ中における、名曲中の名曲「ジャンプ」からクライマックスに突入。長期休養をしていた安本が自身のメイン曲で”今だ”と叫ぶ姿を生で観ている。その感動に打ち震えた。本編を締めくくったのは、そんな安本が遠くを見上げ、涙ぐみながら慈愛に満ちた歌声で落ちサビを歌い上げた「なないろ」だ。青い衣装を着て、”止まらない気持ち/キミが教えてくれた”と歌う。そう、エビ中の記憶、受け継がれた想いは決して消えることはない。だからこそエビ中は止まらないし、未来に向かって進み続けているのだ。

余韻が残るなか、アンコールでは生バンドが登場。初オリジナル曲「えびぞりダイアモンド!!」から「自由へ道連れ」、「響」と披露していき、最後は未来へ繋がる1曲として、3月にリリースされるニュー・アルバム『私立恵比寿中学』から新曲「Anytime, Anywhere」を届けた。温かなバンド・サウンドが生み出す心地よいミドル・テンポ、そして9人の飾らない歌声で東京ガーデンシアターライヴを包み込み、エビ中ファミリーはハンド・クラップで応える。大学芸会は幸福感に包まれつつ終幕した。

ライヴに”Reboot”と掲げたこと、そしてアルバムをセルフ・タイトルにしたこと。この日は、未来に向かっていくエビ中の並々ならぬ想いを感じた。
[Setlist] 1. イヤフォン・ライオット
2. Family Complex
3. ちちんぷい
4. オメカシ・フィーバー
5. SHAKE! SHAKE!
6. 頑張ってる途中
7. サドンデス
8. イエローライト
9. 君のままで(ユニット:安本彩花 / 風見和香)
10. フユコイ(ユニット:真山りか / 星名美怜 / 小林歌穂 / 小久保柚乃)
11. アンコールの恋(ユニット:柏木ひなた / 中山莉子 / 桜木心菜)
12. EBINOMICS
13. イート・ザ・大目玉
14. HOT UP!!!
15. YELL
16. スーパーヒーロー
17. 星の数え方
18. 仮契約のシンデレラ
19. スターダストライト
20. 感情電車
21. ジャンプ
22. なないろ
En1. えびぞりダイアモンド!!
En2. 自由へ道連れ
En3. 響
En4. Anytime, Anywhere

メジャー・デビュー10周年を迎えるエビ中の新体制初アルバム。本作には、石原慎也(Saucy Dog/Vo/Gt)、大橋ちっぽけ、キタニタツヤら旬のアーティストからの初提供曲や、田村歩美(たむらぱん)らお馴染みの作家陣が手掛けた楽曲といった、エビ中らしく多様性のある全10曲が収められた。彩り豊かな楽曲に染まり、同時にエビ中カラーに染め上げることができる彼女たちの確固たる実力とアイデンティティには舌を巻くばかり。完全生産限定盤A/Bにそれぞれ収録された「なないろ – from THE FIRST TAKE」、「ジャンプ – from THE FIRST TAKE」(私立恵比寿中学 with 石崎ひゅーい)も必聴だ。2022年のシーンを代表するであろう名盤だと太鼓判を押したい。(宮﨑 大樹)
当初予定されていた新体制お披露目ステージが中止になり、現9人体制での初ワンマン・ライヴとなったエビ中秋の恒例イベント”ちゅうおん”を収めたライヴ・アルバム。バンドの生演奏をバックに、純粋に歌を楽しむイベントということで、既存メンバーの声色もいつもよりしっとりと大人びている印象を受ける。桜木心菜、小久保柚乃、風見和香の新メンバー3人の歌声は先輩メンバーのそれに溶け込み、新たなエビ中のユニゾンを堪能することができる。個人的にグッと来たのは「大人はわかってくれない」。この名曲を、少女から大人になったメンバーと、まだ幼い新メンバーとで歌い上げる様が感慨深い。DISC 2には各メンバーのソロでの名曲カバー・パートも収録され、9人の声の成分をそれぞれじっくりと味わえる。(宮﨑 大樹)
7年ぶりに新メンバー3名(桜木心菜、小久保柚乃、風見和香)が加入し、休養中だった安本彩花が復帰。新たな9人体制となった私立恵比寿中学が、その初作品として夏の恒例イベント”ファミえん”のベスト曲集をリリースした。新メンバーがレコーディングに参加したことはもちろん、「ご存知! エビ中音頭」をはじめとする初期、中期の曲は再レコーディングされており、新メンバーが吹かせる新しい風と、既存メンバーの成長を存分に堪能することができる。新曲は「イヤフォン・ライオット」。何かとフラストレーションが溜まりやすいこの時勢に、イヤホンで聴いて心の中で暴動を引き起こす、そんな1曲だ。残念ながら今年2021年の”ファミえん”は中止になってしまったが、本作を聴き倒して次回の開催を待ちたい。(宮﨑 大樹)
“永遠に中学生”を掲げる、”エビ中”こと私立恵比寿中学の結成10周年イヤーのクライマックスを飾る記念碑的アルバム。川谷絵音(ゲスの極み乙女。/indigo la End/ジェニーハイ etc)、ポルカドットスティングレイ、マカロニえんぴつといった豪華でフレッシュな作家陣が参加した曲たちや、初めてグループとして作詞を行った「HISTORY」など、本作からは”攻め”や”チャレンジ”といった姿勢が強く感じられる。アコースティック・ギターやストリングスが彩る、壮大でエモーショナルなリード曲「ジャンプ」は、石崎ひゅーいによる作詞作曲。ファンならずとも必聴の名曲だ。10周年とは言っても決して守りには入らず、すでに11年目を見据えているエビ中の目線が窺えるような1枚に仕上がった。(宮﨑 大樹)
メジャー・デビュー10周年を迎えるエビ中の新体制初アルバム “子供のときはよくわからないままやっていたことも、今は意味を持って、自分たちで考えてできている”
“私立恵比寿中学というユニットが今後10年、20年続けばいいな”――安本彩花の復帰、そして新メンバー3人を加えた新生エビ中の初音源
“「今」のアーティストに曲を書いていただいた”――結成10周年のクライマックスを飾る、豪華×フレッシュなアーティストが参加した記念碑的アルバム
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