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配信
オペラ歌手ユニットのイル・ヴォーロ（岩崎叶汰撮影）
【ぴいぷる】 「世界３大テノール」目指し 圧巻の歌唱力で世界を魅了する新世代のイタリア人ボーカルトリオだ。「ＩＬ ＶＯＬＯ（イル・ヴォーロ）」とはイタリア語で「飛行」という意味を持つ。２００９年にソロ歌手を夢見て出演したオーディション番組で知り合い、新たな「世界３大テノール」を目指して結成された。 「３人とも自分自身のことを天才少年だと思っていましたね」 甘いマスクと歌声が魅力のジャンルカ・ジノーブレが、笑いながら最初の出会いを振り返る。 「その少年たちが大人顔負けの歌声を披露したので話題になりました。ナポリ民謡『オ・ソーレ・ミオ』を収録したアルバムが世界的に評価されたことで、僕たちの進むべき道が決まったのです」（ジャンルカ） トリオ結成は番組スタッフの発案だ。イタリアの伝統的な歌唱法「ベルカント唱法」に裏付けされたパフォーマンスは高い評価を集め、オペラのアリアからポップスまで幅広い楽曲を歌って世界的な人気を集めた。彫りの深い顔立ちのイニャツィオ・ボスケットが、しみじみと語る。 「自分たちで選んだわけではなく、大人たちから与えられて始まったことではありますが、今思うと２人とめぐり会えて本当によかった。３人でいろいろなことを学びながら、ここまで成長してこれましたから」 メガネ姿で少しあどけなさの残るピエロ・バローネが続ける。 「出会った頃、イニャツィオが暴れん坊、ジャンルカは恥ずかしがり屋タイプで、僕は２人の中間くらいですかね。でもすぐにフィーリングが合って仲良くなったんです。１０代半ばからすぐに大人の世界に飛び込むことになり、早くから歌手としてのプロ意識も持つようになりました」 とはいえ、ソロ歌手という当初の夢とは違ったはずだが…。 「確かに普通に考えたら、長続きするようなプロジェクトではなかったかもしれませんね。でも僕たちには、それぞれに勉強しながら成長するという共通の目的がありました。それに僕たちの音楽にはもともと長い歴史と伝統があり、流行に左右されるジャンルではないことも関係しているでしょう」（イニャツィオ） 日本では、男子フィギュアスケートの金メダリスト、羽生結弦さんが１６～１７年シーズンのエキシビションで彼らの楽曲「ノッテ・ステラータ（星降る夜）」を使用したことでも話題になった。来日公演は今年を含めて３度開催し、いずれも大成功を収めた。 「日本に来るときは、どのプログラムを選ぶのか、リハーサルをどうするかなど、ものすごく時間をかけて詳細に準備をします。ファンの皆さんの期待に応えられるようにね」とピエロ。 「だって、日本は世界で唯一といっていいくらい、時間通りにコンサートが始まる、きちょうめんな国ですから」とジョークを飛ばす。 実は３人そろって、すしが大好物。滞在中に堪能したかと聞けば、「シー（はい）」と声をそろえた。 「イタリアにもたくさんのおすし屋さんがありますが、やはり日本で食べるすしは格別です！」（ピエロ） ソロの夢よりトリオの絆 今回の来日では東京、大阪、名古屋でのコンサートに加え、京都・清水寺で無観客ライブ映像の収録にも臨んだ。世界遺産に認定された場所をステージにしたことに３人も興奮しきり。ジャンルカが目を輝かせる。 「とても素晴らしい場所でした。外国人が清水寺で歌うのは初めてだったそうで、とても光栄です。自分たちの音楽が、言葉の壁を越え、皆さんの心に響いてくれたからでしょうか」 清水寺でのライブには新型コロナウイルスとウクライナ危機で世界が揺れている今こそ希望の光をともそうと、平和への願いを込めた。映像は９月１８日にインターネットで配信され、来年には映画化される予定だ。 「われわれにとって平和へのメッセージを発信することは、ものすごく必要だし大切なことなのです」（イニャツィオ） ３度目の来日公演を経て、トリオとしての絆も深まったという。 「これからもたくさんのプロジェクトに携わることになるでしょうが、３人で離れず、歌い続けていこうと決めています」（ピエロ） さらなる飛躍を目指し、愛と優しさに満ちた男たちの旅路は続く。 （ペン・磯西賢 ／ カメラ・岩崎叶汰） ■ＩＬ ＶＯＬＯ（イル・ヴォーロ） 写真左から、イニャツィオ・ボスケット（１９９４年１０月４日生まれ、２７歳）、ジャンルカ・ジノーブレ（９５年２月１１日生まれ、２７歳）、ピエロ・バローネ（９３年６月２４日生まれ、２９歳）で結成されたボーカルトリオ。２０１０年に世界デビュー。１４年にはラテン・グラミー賞のベスト新人アーティスト賞とラテン・ポップ・アルバム賞を受賞した。 「音羽山 清水寺 奉納チャリティーライブ」の配信は９月１８日１９時から。視聴チケット（３０００円）はチケットぴあ・ＰＩＡ ＬＩＶＥ ＳＴＲＥＡＭで発売中。
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