エルヴィス・プレスリー、The Beatles、Sparks……伝記映画はなぜブームに? 閉塞した現代社会を生きるヒント – Real Sound

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 ビリー・ホリデイ、エルヴィス・プレスリー、ブライアン・ウィルソン、リンダ・ロンシュタット、スージー・クアトロ、シェイン・マガウアン、フランク・ザッパ、a-ha、Dinosaur Jr.、Sparks。
 上に挙げたのは2022年になってから日本で封切られた、伝記、ドキュメンタリー映画の題材となった洋楽アーティストだ。QUEENを描いた伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』の大ヒットを契機に、日本でも洋楽アーティストを取りあげた映画の公開が増え、小規模ながらもブームのようなものになってきている。一昔前にはスクリーンで観ることすら考えられなかったアーティストが、映画館で堪能(しかも最新の音響システムで)できるようになったことは洋楽ファンの喜びであろう。また、そういった流れはネット配信の世界にも広がっている。ジョン・ライドンが訴訟まで起こし話題になったSex Pistolsの伝記ドラマや、ジャネット・ジャクソン、ジェニファー・ロペス、オリヴィア・ロドリゴなどのドキュメンタリー映画も今年ネット配信された作品だ。
 作品の内容はさまざまだ。大雑把に分けると、ほとんどが以下のように分類されるだろう。
①関係者の証言や演奏シーン、裏のエピソードなどを織り込んだ、第三者からの考察が主となるアーカイブ作品
②アーティスト本人が出演し、その活動を自身の言葉で振り返るヒストリー作品
③キャリアのとある一時期に絞り込んでその活動を考察する年代記作品
④史実に脚色を加えるなど、制作者の意図が入った(とはいってもノンフィクションの体裁は維持している)ドラマ作品
 映画の多くは、オーソドックスな①、②に集中する。アーティストの紆余曲折の人生と、その音楽の背景を知ったファンは驚きとともに感動を味わう。個人的にはSparksの『スパークス・ブラザーズ』は、その証言する人数の多さとテンポの速さに仰天したが、ただそこには制作者の愛情の深さが性急さとともに滲み出ていて、特に印象深い作品だった。④に当てはまる作品は、ときに事実と異なる脚色もされるため、ファンからの異論が出てくるのが常だ。さきの『ボヘミアン・ラプソディ』も制作側のアレンジによる時系列の違いが指摘された。同じように、エルヴィス・プレスリーの伝記映画『エルヴィス』も、大仰な演出を許容できない一部のコアなファンが異論を唱えた。その一方で、ビリー・ホリデイの伝記映画『ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ』は、作品の核である「ドラッグ」というテーマに強く寄せた脚色ゆえにビリーの描き方にいくらか偏りはあったが、しかしそれによってかえって彼女の壮絶な生き様をより浮き彫りにする結果をもたらした。
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