ハルカトミユキの「伝言ゲーム」【最終回】 | Skream! 特集 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト – Skream!

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COLUMN

2021年12月号掲載
ついに最終回。
長い間読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。こんなに長い間、一つの場所に関われるというのはすごく幸せなことだなと思っています。

最近、久しく会っていなかった人に会う機会がとても増えています。1年どころか、5年ぶり、10年ぶり、という人たち。その人のことをふと思い出していたら、突然連絡がきたり、新しくできた友達が、実は古くからの友達と共通の知り合いだったり。そんな不思議なことが、最近多く起こる。こういうのってタイミングなんだろうなーと思ったりする。10年ぶりに会った人に、「あの頃は、すごく人間的なあやうさがあった」と言われて、人として強くなれた嬉しさと、大人になってしまった悲しさを同時に感じたりもした。自分の変化って、自分ではあまりわからないものだなと改めて思っています。

さて、前回私が書いた伝言、「ハルカトミユキの何も変わっていないところは?」
に対する答え。
それは反骨心かもしれないです。月日と共に大人になったり丸くなった部分ももちろんある。でも、全ての人間を敵意剥き出しで睨みつけるような二人が、まだ心の中にちゃんといる。それがいなくなったら、きっと歌う意味はなくなってしまうんだろうなと思います。
強く優しく刺々しく、10周年に向けてまだまだ歌っていくので、どうか見ていてください。

ハルカ

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8年数ヶ月という長い間担当させて頂いた伝言ゲームも今回で最終回。ちょっと振り返ってみようと、8年数ヶ月振りに最初の頃のコラム覗いてみました。言葉下手ながら一生懸命悩みながら書いていたもの、写真頼りなもの、ネタ切れで迷走してるものもちらほら。懐かしさと小っ恥ずかしさを感じつつ眺めていると、子供の頃のサンタの思い出を綴った記事を発見。初めてコラム面白かったよって人に言われたんです。言葉で表現するのが苦手な私が、初めて文章を褒められたんです。あれは、本当に嬉しかったな……。
そうやって少しずつ自信をつけた今、未だに内容や構成を考えて提出するのに数日かかってしまうのけれど、言葉で表現することは、もう嫌いではなくなりました。継続は力なり、ですかね。なので、コラムを書く機会を頂けて大変感謝しています。

さて、名残惜しいけどハルカからの最後の伝言。ハルカトミユキの何も変わらなかったところ。
私は距離感だと思う。未だにお互い住んでる家も、普段何をしてるかも謎が多いし。LINEは9.8割は業務連絡と制作のやりとりだよね。多分学生時代から(笑)。ただ9年間ハルカトミユキが続いているのは、この絶妙な距離感も大いに関係あるのかなとも思い始めてる。人と人にはいろんな距離感があるけど、ハルカとミユキの距離感は、これがベストなのかも。この距離感で10周年も迎えましょうね。

最後に私から、皆さんに最後の伝言です。
今まで読んで頂き、本当にありがとうございました。

ミユキ
歌人 ハルカ(Vo/Gt)と奇人 ミユキ(Key/Cho)によるフォーク・ロック・ユニット。立教大学の音楽サークルで知り合ったふたりは”同じ匂いがする”と惹かれ合い結成し、2012年にインディーズ・デビュー。2013年にメジャー・デビューを果たす。デビュー5周年を迎えた2017年には3rdアルバム『溜息の断面図』のリリースに加え、5周年記念ツアーや日比谷野外大音楽堂でのワンマン・ライヴ、ツアーを実施。2018年に初のTVアニメOPテーマを表題に据えたシングル『17才』を、2019年に初ベスト・アルバムを発表。ふたり編成で日本橋三井ホールでのライヴも開催した。2021年8月には約4年2ヶ月ぶりのアルバム『明日は晴れるよ』をリリースし、2022年1月10日に新代田FEVERにてワンマン・ライヴを開催する。
前のコラム
初のベスト盤は、曲のテイストにより、比較的メジャー・キー、しかし前を向くなり答えを出すまでの葛藤が色濃いDisc-1″Honesty”と、マイナー・キー且つ慟哭が表現された曲が多めのDisc-2″Madness”という振り分けがなされている。新録は3曲。YouTubeで公開され未完だった「どうせ価値無き命なら」での、生きる意味がわからなくても生き方や命は他人に売り渡すなという強い意志や、ライヴで披露されていたものに加筆した「LIFE 2」での、ないものとあるもの――例えば”本当の居場所などない”、”まだ欲しいものがある”と真実を積み重ねていく表現、変わらない/変われない部分が浮き彫りになる「二十歳の僕らは澄みきっていた」のいずれもが、ふたりの肝と言えそうな作品であることが嬉しい。(石角 友香)
ハルカトミユキがこんなにまっすぐに明るい曲を書くとは。ふたりがデビュー記念日にリリースする初のシングル表題曲は、TVアニメ”色づく世界の明日から”のOPテーマ。ハルカ(Vo/Gt)が丁寧に紡いだ色彩豊かな歌詞は、アニメの世界観とリンクしながらも、”ひとり”に寄り添い、”ひとり”を肯定してきた彼女たちの信念が貫かれている。コーラス・ワークや鐘の音が楽曲をいっそう華やかに色づけているのも印象的だ。そして、今作でひと際強いインパクトを放つのが、「そんな海はどこにもない」。ハルカが敬愛する歌人、穂村 弘に作詞を託したこの歌は無伴奏で届けられる。表現力を増したハルカの歌声と強烈な歌詞世界にどっぷり浸ってほしい。同じ場所には留まらず前進と進化を続けるふたりの意欲作。(大木 優美)
本作の”攻め”のモードを象徴する「わらべうた」から「Sunny, Cloudy」までの冒頭3曲、ミユキの音楽家としてのさらなる成長を印象づける「終わりの始まり」や「WILL(Ending Note)」といった中盤の曲もいいが、本作のキーとなっているのは生ピアノを基調としたバラード「宝物」だろう。本作には”Confessions of a sigh”というサブ・タイトルがついていて、”溜息”とはつまり、心の奥に隠していた想いの告白であることを意味しているわけだが、「宝物」は27歳という表現者にとって鬼門となる年齢を迎えたハルカが想いを告白する1曲。この曲があるからこそ、本作に込められた”怒り”にリアリティが宿り、ラストを締めくくる感動的な希望の歌「種を蒔く人」へと繋がっていくのだと思う。(金子 厚武)
ソングライターとしての覚醒を感じさせるスケールの大きな「奇跡を祈ることはもうしない」を筆頭に、シンセ・ベースを活かしたお得意の80年代風ポップ・ナンバーから、UNDERWORLDのようなトランシーなダンス・ナンバーまで、ミユキの音楽的な冒険心が、本作の完成に大きく寄与していることは間違いない。一方、ハルカはオルタナ感のあるミドル・ナンバーやフォーキーな「you」によって、”ハルカトミユキ”というブランドを保持しつつ、シンガーとしての確かな成長を刻んでいる。”太陽になれないそんな僕だけど/君の足元を照らす月になろう”と歌い、本作の”飾らなさ”を象徴するラスト・ナンバー「夜明けの月」からは、ひとつのフェーズが終わりを告げる安堵感と、新たな始まりに向けた解放感が同時に感じられ、胸を締めつけられる。(金子 厚武)
今年始めに公開された”年内にミニ1枚とフル1枚”というマニフェストに急遽付け足された今年2枚目のミニ・アルバム。”変わらなければいけない”という強い意志によって生み出されたのが前作ミニ・アルバム『世界』だったのなら、本作『LIFE』は、もはや自分たちの中から溢れ出る新しい何かを抑えることができない――そんな野性的な衝動によって成り立っている。特に、”ただ、このひと言を伝えなければいけない”というハルカの剥き出しの情熱が、無垢なほどダイレクトな言葉とメロディを産み出したTrack.1「肯定する」、そして80’sポップを入口に快楽と狂気の入り混じる音楽探究を続けるミユキが、モダンEDMの煌びやかさと90年代ビッグ・ビートの重量感を融合させた壮大なサイケ&ダンス絵巻であるTrack.7「火の鳥」は、この先を占う2曲だろう。(天野 史彬)
それでも、生きなきゃいけない――この『世界』というミニ・アルバムでハルカトミユキが鳴らすのは、そんな屈強な覚悟である。覚醒感のあるシューゲイズ・ロック「世界」、マッシヴなダンス・チューン「嘘ツキ」、冴えない日常に寄り添う情景描写が素晴らしい「ヨーグルト・ホリック」など、新たな話法を駆使しながら、彼女たちはこの”世界”を、自らを傷つける場所ではなく、大事なものを守るための、大事なものを賭けて戦うための場所として見据えた。純潔さで身を守り、嘘と汚れを嫌悪したか弱い少女の姿はもはやここにはない。生まれてしまった。愛してしまった。この薄汚れた世界で。なら、生きるしかない。その覚悟を鳴らすからこそ、この作品には、朝と夜が、涙と笑顔が、嘘と本音が混じり合う。光と闇が、渦を巻いて溶け合う。(天野 史彬)
傑作1stアルバム『シアノタイプ』から約半年ぶりに放たれる3rd EP。インディーズ時代のEP作品に引き続き冠せられた短歌タイトルが、あまりにストレートに今のハルカトミユキの気持ちを代弁している。『シアノタイプ』以降の音楽的レンジの広さと抜けのいいポップネスを持った全5曲中前半3曲の新曲群は、今まで大きなモチーフになっていた怒りや哀しみだけではない、様々な感情の入り組んだストーリーを展開しながらも、”歌を伝える”というその命題に対する確信と祈りを強く響かせている。後半2曲には「385」と「青い夜更け」という音源化が待たれていた過去の名曲を収録。未だ消えることのない痛みと他者を求めるピュアな想いが剥き出しで描かれている。変化の真っ只中にいる現在進行形のハルカトミユキを捉えた作品と言える。(天野 史彬)
世界に向かって怒りと疑いの眼差しを向けながらも、そんな自分自身の叫び声すらも信じ切ることができず、おのずと自嘲すら孕んだ内面探求へと向かっていく……インディーズ時代のハルカトミユキは、そんな”外側と内側”を極端に往復していくような存在だった。だが、このメジャー・デビュー作には、その1歩奥にある彼女たちの本質、本音が深く刻まれている。怒りの言葉はより幅広くポップに展開される楽曲との相乗効果で攻撃性を増したが、同時に「シアノタイプ」、「長い待ち合わせ」、「ナイフ」といった楽曲には、傷だらけになりながらも他者に手を差し出すことを諦め切れない無垢なまでのコミュニケーション欲求が描かれている。ここには愛することを、求めることを止めない裸のままの想いがある。そこに何より感動する。(天野 史彬)
ニッチな音楽ファンが思わずニヤリとしてしまうであろう世界観を持つハルカトミユキが吐きだす2ndミニ・アルバム。立教大学の音楽サークルで出会った詩人のハルカと奇人(HPのまま)のミユキによるフォーク・デュオ。1stミニ・アルバム『虚言者が夜明けを告げる。僕達が、いつまでも黙っていると思うな』を発表してから各方面で話題の存在だ。あるときは抒情的、あるときは疾走感のあるさまざまなサウンドに乗せて、まるでこちらの心を見透かしたかのような言葉の数々を繊細で危うい歌声で生々しく投げかけてくる。”何を考えているか分からない世代”と言われがちな20代が抱える繊細でシリアスな部分を鮮やかに、時に絶望的に表現。その都度心を震わされリスナーは文字通り”ヒヤリ”とさせられるに違いない。 (櫻井 カオリ)
今って”無意味なものが偉い”みたいなことを感じるっていうか、私はそれがすごく嫌だったんです
“LOVELESS/ARTLESS”は”欠けてる私たちから欠けてるあなたへ届けたい”みたいな意味ですね
野音のフリー・ライヴは極限状態でした
私が汚かったり、崩れていたり、壊れていることが観ている人を肯定する
ひとりひとりが集まって3,000人、あるいはそれ以上の集まりになっている……そんな奇跡的な空間を作りたい
聴いただけでわかるメロディは、絶対他のバンドにない。真似しようとしてもできない(ハルカ)
“世界”っていう言葉の意味がわからない、混沌とした状態こそがこのアルバムなのかなって
自分たちを壊してもう1回生まれ直すことで本当にど真ん中にあるものだけが残ったんです
期待と諦め、どちらが根本にあるかと言うと、やっぱり期待なんです
2019.07.03 @下北沢LIVEHOLIC
2018.02.02 @LIQUIDROOM ebisu
2017.09.02 @日比谷野外大音楽堂
2017.06.14 @下北沢LIVEHOLIC
2017.02.25 @赤坂BLITZ
2016.09.24 @日比谷野外大音楽堂
2016.04.07 @下北沢LIVEHOLIC
2015.10.03 @日比谷野外大音楽堂
2015.09.01 @CLUB CITTA’川崎
2015.04.25 @LIQUIDROOM ebisu
2014.11.15 @LIQUIDROOM ebisu
2014.02.08 @渋谷CLUB QUATTRO
2013.12.10 @新代田FEVER
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