「なぜ君は総理大臣になれないのか」野党議員の17年描く 映画監督 … – 西日本新聞

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福岡
根井 輝雄
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大島新さん
 ドキュメンタリー映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」がKBCシネマ(福岡市)などで公開中です。主人公は衆議院議員の小川淳也さん(比例四国、5期目)。政治信条、野党再編のドタバタ、厳しい選挙戦、家族の葛藤などを、大島新監督(50)が17年間にわたり取材しています。福岡を訪れた大島監督に、映画への思いを聞きました。
 -小川さんの取材を始めたきっかけは。
 ★大島 私の妻が、小川さんの奥さんと高校の同級生で、小川さんとも同級生でした。2003年、妻から「奥さんの反対を押し切って小川君が出馬する」と聞いて、最初の選挙戦の取材を始めました。
 -2016年に改めて映画化の企画を立てます。
 ★大島 当時、安倍政権が盤石で、野党は政権交代できないし、小川さんも何でこんなにまっとうで優秀な人がうまくいかないのか、と考えました。彼は03年に目を輝かせて「やるからには総理大臣を目指す」と言っていた。政策を実現して国のかじ取りをするためですが。で、16年にはなれそうにもない。小川さんという人材の無駄遣いだと。でも同時に「この人は政治家に向いてないのでは」とも思って、うまくいかない理由を教えてほしい、と企画しました。
 -17年秋の総選挙で密着取材しました。
 ★大島 最初はこういう形のドキュメンタリーとは思ってなくて、インタビュー中心のイメージでした。選挙は、(当時の民進党が小池百合子東京都知事の新党との合流を決めるなど)状況が毎日どんどん変わる。「まさか」の展開ですよね、
 -選挙撮影の苦労は。
 ★大島 そんなに感じなかったです。というのも、十数年の間、カメラを回さずに会う時の方が多かったから。撮影でも自然体でした。ただ、例えば選挙戦の最中、商店街で男性に厳しいことを言われる。娘さんたちの前で言われるのはつらいな、と居合わせるしんどさはありました。ドキュメンタリーとしては、それが見応えあるものにつながりますが。
 -直近のシーンも登場します。
 ★大島 映画は3月に完成したんですが、新型コロナウイルスのニュースが日々流れる中、世界中の政治家の言葉が問われましたね。安倍首相やトランプ米大統領も含めて。本当に迷いましたが、(全国では)6月公開の映画でコロナに触れないのはどうかと思って、17年間追った政治家の言葉をちゃんと入れたい、と。今、威勢よくて乱暴な言葉遣いの政治家の方が分かりやすい。でも小川さんは誠実に丁寧に説明するあまり、言葉が長くなるんですが。
 -映画全体として、有権者に向けた問い掛けでもある。
 ★大島 作っている途中からそう思うようになりました。取材の後半、編集しているうちに、この現状が生まれているのは野党議員の問題ではなく、われわれ有権者一人一人の問題だろう、と。投票しない人も含めて。今の政治状況に絶望するか、希望を見いだすのか、この映画が政治を考えるきっかけになればと思います。
 -監督はテレビ番組の取材が長いのですが、映画との違いは。
 ★大島 取材は変わりませんが、編集は大きく変わります。テレビだと常に、視聴者がチャンネルをすぐ切り替える恐怖におびえている。飽きさせない編集になる。映画は最後まで見てくれるので、ストイックな見せ方が許されます。長いと思うシーンでも意図を理解してもらえる。テレビほど間口は広くないんですが、心に深く届きますね。
 -父の故大島渚さんはフィクションを数多く製作しましたが…。
 ★大島 私はフィクションをやったことはなく、作ろうと思ったこともないです。フィクションは見て楽しむものですね。
 -九州との関わりは。
 ★大島 九州とは縁があり、先祖は対馬藩(長崎県)の藩士で、明治維新以後に離れました。私は“九州デビュー”が遅く、28歳のとき初めて仕事で福岡を訪れました。先輩に長浜の屋台に連れられ、こんな楽しいところがあるのか、ってびっくりしましたね。それから年1回程度来ています。最近、九州はアジアとの向き合い方で東京とは違う役割があり、それがいいなと思います。
 (文と写真・根井輝雄)
 ▼おおしま・あらた 1969年、神奈川県藤沢市生まれ。95年、早大卒業後にフジテレビ入社、ドキュメンタリー番組のディレクターを務める。99年退社後フリーに。2007年にドキュメンタリー映画「シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録」監督。16年に「園子温という生きもの」監督。
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