新社会人よ、「ネアカ」でいこう ソニー平井社長 – 日本経済新聞

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新年度が始まり、多くの若い人が社会に出て様々な仕事に向き合う。何が待ち、どんな心構えをしたらよいのか、期待と不安が交錯しているだろう。各界で立場を築いた人たちの話は参考になるはずだ。6人に経験を聞き、メッセージを送ってもらう。第1回は復活にまい進するソニーの平井一夫社長が語る。(聞き手は日経産業新聞編集長 野沢正憲)
――音楽事業子会社のCBS・ソニー(現ソニー・ミュージックエンタテインメント、SME)に入社しました。どんな社員でしたか。
「入社初日は総務の手配ミスで自分の机がなく、先輩の働く様子を立って見ているだけ。社長に『入社したばかりで利益に貢献できなくても会社は給料を払っている。その投資を回収できるように働いてくれ』と言われました。振り返ればその通り。今の若い社員にも伝えています」
――なぜCBS・ソニーを選んだのですか。
「父親が銀行員だったからか、柔らかい業界がいいなと。好きな音楽を通して世の中に一石を投じたいとの思いもありました。帰国子女だったので英語力は生かしたいけれど日本で暮らしたい。高校と大学の先輩で友人でもあるジョン・カビラさんがCBS・ソニーで働いていました。彼にOB訪問をしたら面白そうだったので、東京・市ケ谷の本社に行くと会社のノリがぴったりでした」
「最初の仕事は洋楽アーティストの日本でのマーケティングでした。新譜の発売前にインタビューをして、来日時には通訳や身の回りのお世話もしました。アーティストの多様な物の見方は良い経験になりました」
「先輩も気さくで、サークルのような雰囲気で情熱を持って仕事をする環境を作ってくれました。今も部下が集まるCEO(最高経営責任者)室では『J-WAVE』のラジオ放送や音楽をずっとかけています。そうやって活気がある仕事の場を提供したいのです」
――日本で働きたかったのに、1994年にニューヨークへの赴任を命じられました。
「88年にソニーが米CBSレコードを買収して事業が世界に広がったので転勤は予想していました。複雑な面もありましたが、結果的には良かった。米国では『プレイステーション』事業の立ち上がりを指揮して成功を収められたため、ゲーム事業子会社(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)の現地法人の社長になれと言われました。35歳だったので青天のへきれき。でも『この大胆さがソニーなんだな』と思いましたね」
――経営者として何に心がけましたか。
「最初の数カ月は従業員1人ずつと毎日話をして、信頼を勝ち取ることに徹しました。涙を流して不満を訴える社員もいてカウンセラーのようでした。SMEからの出向だったのですが、現地の社員に『いずれ日本に戻るんだろう』と思われるのが嫌で、SMEに辞表を出しました。『事業が失敗したら俺だって首が飛ぶよ』と示しました」
「後に全世界のプレステ事業の責任者になった時もエレクトロニクス事業を立て直すためにソニー本体の副社長に就いた時も同じ。社員に外様だと思われていたので、部長たちを集めて毎日話を聞き、信頼関係を築くことから始めました」
――リーダーとしての仕事は低迷事業の立て直しが多いです。断らないのですか。
「チャレンジが好きなのです。趣味のロードバイクでは坂道をローギアで上った時の到達感を求めます。周囲から無理だと言われても、自分が『絶対できる』と思うとやらずにはいられません」
「自分の武器は何があっても悩まないことです。つらい時や悲しい時もありますが、『ネアカ』でないといけない。みんなリーダーの表情を見て仕事をするので、自分が暗い顔をしていると雰囲気もそうなりますから」
 ――仕事とは何だと思っていますか。
「自分の人生そのもの。人生を定義付ける活動です。若い人は大げさに考えず、何にでも好奇心を持って下さい。『なぜこの人はこの発言をするんだろう』とあらゆる好奇心で情報を集めるのです。電話やメールだけでなく、会って話すことも大切です。面と向かって相手について考え、自分を売り込む。メールで済ませる『メアドの人』になってはいけません」
「キャリアは自分でつかむもの。主張するだけでなく、与えられた仕事をしっかりやって『自分はこれができる』と証明してこそチャンスが回ってきます」
■ ■私のこだわり■ ■
オンとオフを明確に分ける。休日のメール確認は朝と夜の2回だけ。「必要な時には電話がくる」と、愛車で遠方にドライブして気持ちを切り替える。
ジョギングもたしなみ、体重を落とした。月の半分を米国で過ごし、移動の機内では流行の映画や音楽をチェックする。エンターテインメント部門の出身だけに「日本の連続ドラマも毎クールに5本は見る」。
(中藤玲)
[日経産業新聞 4月3日付]
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