挑み続ける少女たち、BABYMETAL──世界が彼女たちを追いかける – GQ JAPAN

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2010年の結成以来、快進撃を続けるBABYMETAL。2014年からのワールドツアー、同年7月にはレディー・ガガのステージにおいてオープニングアクトをつとめるなど、グローバルな場数を踏んできた彼女たち。2016年4月には、ロンドンのウェンブリーアリーナでのワンマンライブという大舞台が待っている。望むと望まざるとにかかわらず、彼女たちを取り巻く環境は大きく変化しているに違いないだろう。10代の彼女らは、それをどう受け止め、消化しているのだろうか。
「自分たちでは、変わったようには思わないですね。テレビに出ることも多くなりみなさんの目に触れる機会は増えたんですが、3人で街を歩いていても全然気づかれないんです。この間おもしろいことがあったよね(と、SU-METALとYUIMETALを見る)。3人でファミレスに行ったとき、隣の席の人たちがBABYMETALの話をしてたんです。でも、私たちにはまったく気づいていない。いいことばかりを言ってくれていたのでよかったのですが、ホント、ドキドキしちゃいました」(MOAMETAL)
そんなことを語りながらも、その笑顔は堂々として自信に満ちている。ほほえましいというよりむしろたくましさを感じるほどだ。彼女たちの自信は、日々の国内外でのライブの現場で培われてきた。
「スタッフの方々もふくめ、もともと団結力は強かったけど、海外公演が多くなり、寝食をともにするうちさらに結束が固くなり、ファミリー感、チーム感がでてきました。ひとつひとつのライブをていねいにやらなくちゃいけないなという意識は変わってないし、変わらないようにしなくては、と思っています。小さいライブハウスでも、大きなアリーナでも、『いつもどおりを届けられたらいいね』って毎回話しているんです。これまでの経験で、焦ってしまうといいライブはできないということを学びました。どこの会場でも普段どおりできればいいなと思っています」(SU-METAL)
どんな世界でも「本番で普段どおり」が一番難しい。それでも彼女たちは、それができているのだという。
「結成して5年。いろいろな逆境を乗り越えていまがある。どんなにつらくても3人で支えあってきたから、何があっても大丈夫。そういう確信があるから、何事にも恐れずに平常心でやっていける。私たち、ライブ中でもお互いの顔を見合うことが多いんです。お互いの顔を見てると何を考えているのか、どういう状態かってわかる。だから大変そうだったら『大丈夫?』って目でメッセージを送るし、絶好調っぽかったら『調子よさそうだね』って感じで肩をポンッてしたりします」(YUIMETAL)
ライブはかなりの数にのぼる。いくらティーンエイジャーとはいえ、疲れることはないのだろうか?
「確かに体力は消耗しますが、それ以上に観客のみなさんからエネルギーをもらっています。それにその土地の食事をすれば復活!元気になれます。おいしいものとか変わったものとか、ね(と顔を見合わせる)。3人とも同じ意見だと思うけど、お気に入りはドイツのソーセージとポテト。ドイツはなんでもおいしかったので、これからごはん!っていうときの3人のテンションったらすごかったよね。私たち、海外ツアーではいつも食べすぎてしまうんです。でも、常に動いてるから消費しちゃうみたい」(MOAMETAL)
目の前にちょこんと座っているこぎつねの姉妹のような少女たちと話していると、大人なんだか子どもなんだか、強面なんだかかわいらしいんだかわからなくなる。でも、それこそが彼女たちの魅力なのだろう。正体不明、変幻自在。だからこそ、その一挙手一投足が気になり、彼女たちが進んでいく道を見ていたいと思ってしまう。
「2016年前半はとにかくウェンブリーに向かってがんばりたい。国内はまだ限られたところにしか行っていないので、もっといろんなところでライブをやりたいと思っています」(YUIMETAL)
「ロンドンは、いつも大きな転機をもたらしてくれる。私たちにとってターニングポイントの場所なのです。だから今度もまた新しい自分たちが見つけられるはずだって確信しています」(MOAMETAL)
「とにかく走りながらメタルを学び、海外遠征でその土地のカルチャーを吸収したりと必死でがんばってきました。私たちの『Road of Resistance』という曲に“君が信じるなら 進め 道なき道でも”という歌詞があるのですが、まさにいまはその言葉どおり。ゴールは見えないけれど、3人にしかできない音楽をいろいろな国、いろいろな人に届けることが目標です」(SU-METAL)
デビューしたころの衣装は、とっくに着ることができない。メンバー3人の身長は、4年間で大幅に伸びた。限界のない伸びしろこそ、若さの特権だ。
2016年もBABYMETALの快進撃は続くだろう。来年のいまごろは、3人で食事をしたり、街を歩いたりすることもままならなくなっている可能性もある。それでもきっと彼女たちは、3人で前を向いて、“その先”へと突き進んでいくだろう。これまで日本人アーティストが辿りつけなかった場所に、彼女たちなら行けるかもしれない。
SU-METAL(1997年生まれ・中央)、YUIMETAL(左)、MOAMETAL(右)(ともに1999年生まれ)からなるメタルダンスユニット。2010年の結成以来、あどけないルックスと本格メタルのギャップが人気を呼び、国内外のライブチケットは即日完売の状態。日本以上に、海外での人気が高い。
文・三井三奈子 Photos: Maciej Kucia (AVGVST)
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