熱い!熱すぎる!BABYMETALを追っかけるカネコシュウヘイ氏を追っかけてみた – ダ・ヴィンチWeb

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音楽
公開日:2016/4/17
 先日、知人のライター・カネコシュウヘイ氏から1冊の本が届いた。なんでも、自分で初めて書籍を手がけたという。届いた包みを開くと、中から赤と黒の世界観がただよう表紙が顔をのぞかせた。『BABYMETAL追っかけ日記』(カネコシュウヘイ/鉄人社)のタイトルが見える。

「べ…ベイビーメタル?」
 私は、そうつぶやいた。
 本書はタイトルどおり、カネコ氏がBABYMETALについて見たこと、感じたことをありのままにまとめたライブレポートを中心とした“追っかけ日記”だ。体験したライブについてはひじょうに細かく詳細が書かれている。これほどのライブレポートの書籍はなかなか見当たらないだろう。そのくらいカネコシュウヘイ氏はBABYMETALの熱狂的なファンなのだ。
 文体は読みやすく、カネコ氏がベビメタに出会った経緯、ファンの様子も含めたライブで見た景色、感情や考えなどもことこまかに書かれている。まさに『BABYMETAL追っかけ日記』だ。
 とはいえ、記事をまとめた私はというと、BABYMETALについてあまり知らない。先述のとおり、「ベビーメタル」を「ベイビーメタル」と読むくらいである。そこについては、カネコ氏より熱血指導を受けたので、ぜひご容赦いただきたいが、とにかく何も知らない私がなぜBABYMETALの記事を書くことになったのか不思議だった。
 しかし、本書を開いてみるとなんとなく分かった。とにかくカネコ氏が熱いのだ。手に取ってくれた方にぜひファンになってほしい。本書を読んでもっとBABYMETALを知ってほしい、そんな思いがひしひしと伝わってくる。
 だからこそ、カネコ氏はファンでも何でもない私に客観的な判断をしてほしかったかもしれない。ご心配におよばず、本書はとてつもなく熱い。せっかくなので本書よりその一文を引用したい。それは、カネコ氏がBABYMETALのメンバーであるSU-METALの生の歌声を初めて耳にしたときの感情についてだ。
ベビメタそのものというより、SU-MATALとの初めての出会いはおそらく、人生でもう一度あるかと聞かれても、32歳にしてすでに「ありません!」と胸を張って言えるほどの衝撃だった。
 さらに、熱量ある文章は続く。巻末には、BABYMETALのキーワードや、歴史を記した年表もまとめられている。「そんなにおすすめされるなら、BABYMETALのライブに行ってみようか」と思わせる熱い1冊だ。
 ならばいっそ、本人に インタビューするべきではないのか。知人だからこそ、くだけた雰囲気の中で突っ込んだ話が聞けるかもしれない。あんまり専門的な話をされると、道端にいるBABYMETALファンに助けを求めることになりそうだが……。とにかく私はカネコ氏に連絡を取り、インタビューのため喫茶店へ向かった。
 当日、カネコ氏の機嫌はかなり良さそうだった。「明日は健康診断で固形物は食べられないんだよね~」なんてぼやいていた。そして、世間話もそこそこに、さっそくインタビューが始まった。
 まずは本書を出版した経緯を聞いた。カネコ氏によると、 知人の編集者から「書籍を作ってみませんか?」と話を持ちかけられたのがきっかけだったそうだ。制作中は「あれもやりたいこれもやりたいって、盛り込みすぎてたいへんだったよ。」と苦笑いしていた。
 繰り返すが、本書はかなり細かいところまでライブの様子が書かれている。「よく記憶していましたね」と私が尋ねると、カネコ氏は「とにかく記憶 を掘り出すのがたいへんだった」と話していた。
 出版の話が動き出したのが2015年11月頃だったという。それから2013年当時のできごとを思い出したのだから、たいへん根気のいる作業だ。インタビュー中、カネコ氏の表情は心なしか執筆当時を思い出して疲れていた。
 少し経つと、私が質問をすることなく勝手に話し始めた。そこまでBABYMETALについて語りたいのだろう。私が一生懸命まとめてきた質問表など、お冷やの結露でびしょ濡れになっている。熱さゆえに仕方がない。ここからはカネコ氏が勝手に話し始めたことを、私が勝手にまとめることにしよう。
 本書の執筆では、なるべく当時の感情を優先したという。そのおかげか、読者から「ライブの疑似体験ができた」という声がもらえたのがうれしかったと話していた。
 その後も、インタビューという名の“独演会”は続いた。内心「そろそろベビメタの魅力について語ってほしいな……」と思っていると、まだまだ話し足りないようだった。
 何でも、ベビメタのライブには「こうなったらこうなる」というお約束のようなものがある。それが何よりもの魅力で、ファンの熱量がものすごく一体感が生まれるという。そんな「ベビメタが好きすぎるファンたち」が大好きなんだという。
 ただ、ベビメタのライブは人気が高く抽選に当たりづらい。行きたくてもライブに行けない。そんなジレンマを抱えるメイトさんたちは多いからこそ、行かないと分からないようなライブの輝きや雰囲気を伝える本書で、体験したと感じてもらえるような内容にしたかったと語り、加えて「純粋な 『追っかけ日記』が書けた」と話す姿が、胸を張っているかのようにみえた。
 その後もカネコ氏の独演会はいた。「ベビメタについて24時間は語れる」「メンバー1人ひとりについて掘り下げたい」などと言い出す姿を見て、正直「この場でもう1冊出版する気か」と思った。
 ただ、今回のインタビューでもう1つ聞けたことがある。それは、カネコ氏の覚悟である。
 本書では、カネコ氏のTwitterアカウントが公開されている。こんな時代である。批判の声が飛んでくる 可能性もある。しかしカネコ氏は「批判はできれば直接受け止めたい」と話していた。その理由は「批判の声に耳を傾けないとその反省を活かすことはできない」からだとしていたが、なみなみならぬ胆力である。
 結果として、カネコ氏の熱い思いを受け止めようと私はずっと目の前の“彼”を追いかけていた。
 インタビューを通して、BABYMETALには“熱くなれるほど”人を虜にする魅力があるのだと感じられた。しかし、よく考えてみると、カネコ氏の向こう側にはBABYMETALがいる。BABYMETALを追いかけるカネコ氏を追いかけたのだから、間接的に私もBABYMETALを追いかけたのではないか。
 次の機会には、私自身がカネコ氏といっしょにBABYMETALを追いかけてもいいかもしれない。……いや、やっぱりカネコ氏といっしょは疲れそうなのでやめておこう。
文=いのうえゆきひろ

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