2021年 個人的年間ベストアルバム 10選 – オトニッチ

2021年に聴いたアルバムで個人的に特に好きな作品を10枚選びました。
 
今の自分は音楽に点数や順位を付けることに懐疑的なので、ランキングではなく五十音順で紹介しています。
 
日本語以外がネイティブではない自分は、日本語詞以外の歌モノは正当に評価できないと最近は思っているので、今回は邦楽だけの紹介です。
 
ポップでキャッチーな音楽が好きなミーハーなので、マニアックな作品は選んでいません。
 

 

キャンディーレーサー〔通常盤〕
 
きゃりーぱみゅぱみゅの最新アルバム、めちゃくちゃ凄い。多くの音楽ファンにスルーされがちだけど、めちゃくちゃ良い。今すぐに聴くべき。
 
何が凄いかと言うと、ポップなJPOPできゃりーの歌声もキャッチーなのに、単純な「歌モノ」ではない曲が多い部分だ。特に前半の楽曲は、きゃりーの声がリズム楽器のように使われている。声がビートを構成する要素として使われているのだ。
 
例えばアルバムタイトル曲の『キャンディレーサー』。
 
この曲ではエフェクトがかかったきゃりーの声が多重録音されており、それが重なることで不思議なな音色を生み出す。それなのに彼女の持つ声質のキュートさによって心地良さも感じる。わけわからないことをやっているのに、ポップスとして成立している。
 
『どどんぱ』なんて声を素材として使って楽器にしている感じだし、『かまいたち』は歌モノながらも様々な擬音を繰り返し歌わせることで、独特なリズムを作っている。J-POPの枠からはみ出さずに、一般的なJ-POPとは違うことをやっているのだ。
 
しかし『原点回帰』以降に収録されている楽曲は、彼女のデビュー時を彷彿とさせるようなポップでキュートなテクノポップが中心。
 
つまり新しい挑戦と原点回帰の定番路線が共存している作品なのだ。それでも定番路線の楽曲は、音が過去作以上に洗練されているので進化を感じる。だからアルバムとして統一感もある。
 
初心を忘れずに進化した、きゃりーぱみゅぱみゅの最高傑作と言いたい名盤。
 

【メーカー特典あり】 新しい果実 [初回限定盤] [CD + 2LIVE CD] (メーカー特典 : ポストカード 付)
 
『新しい果実』は不思議なアルバムに思う。
 
今までのGRAPEVINEとは違うサウンドにも感じるのに、彼らにしか鳴らせない音楽だとも思う。ベテランとしての貫禄や実力と、磨き抜かれた才能を使って、現代のトレンドをGRAPEVINEとして吸収し昇華したアルバムに感じる。
 
例えば『ねずみ浄土』はいつも通りのロックサウンドでありつつも、ソウルミュージックのノリを持っている。
 
音を重ねるのではなく、洗練させ最小限にして無音の部分を作ることで、過去曲とは違うノリを作っているのだ。『目覚ましはいつも鳴り止まない』や『居眠り』も、同様のノリである。ロックバンドとしてソウルミュージックを鳴らしている。
 
また『Josh』のように打ち込みの音が全面に出ている楽曲や、R&Bをロックバンドとしてアプローチした結果を示すような『ぬばたま』など、様々なタイプの楽曲がある。
 
しかし音楽の軸はロック。だからどんなジャンルを取り入れても、ロックの印象が最も強く残る。そしてトレンドの音楽を取り入れても、GRAPEVINEの個性はしっかり残っている。
 
むしろ様々な音楽を取り入れることで、ブレない個性があることを強く感じる。揺るがない個性があるから、何をやってもGRAPEVINEになるのだろう。『新しい果実』は、そんな事を感じる名盤だ。
 

レイジーサンデー
 
Saucy Dogがバンドとして完成したと思った。

まだデビューして数年しか経っていない若手なので、実際はまだまだ伸び代がある。これからも進化していくだろう。
 
だとしても彼らの揺るがない個性が『レイジーサンデー』で完全に確立し、目指すべき方向が決まったと感じた。そう思うほどの彼らにしか作れない音楽を追求したアルバムに感じたのだ。
 
音楽フェスで盛り上がりそうな派手な収録曲はない。ミドルテンポの地味で落ち着いた楽曲が中心である。それなのにメロディも歌も演奏も耳にこびりついて離れないし、心地よいのにグサッと胸に刺さるような感覚もある。
 
それはキャッチーで良いメロディを歌っていることが大きな理由だろう。耳馴染みが良い上に、1度聴いたら忘れられない印象の強さがある。彼らはJPOPとひて上質で優れた楽曲を作っているのだ。
 
しかし音の質感は3人の音のみで作られたギターロック。スリーピースバンドという楽器も音数も制限された中で、あえて表現をしているように感じる。
 
だからか一本調子な編曲にしないようにと、1つひとつのフレーズは凝ったものが多い。1番と2番でも細かく演奏を変化させている。歌をしっかり伝えることを目的としつつも、3人の演奏が支え合ったり主張したりの繰り返しで、演奏が構築されていく。
 
そんな音色と演奏を聴いて、Saucy Dogは今まで行ってきた方向性を突き詰めて極めたと感じたのだ。このアルバムでスリーピースロックバンドとして、J-POPに食い込める音楽を完成させたと思ったのだ。
 
収録曲の『シンデレラボーイ』は大きなバズを生んだ。媚びることなく自らの表現を突き詰めて評価された。3人がロックバンドとしてJ-POPシーンをかき混ぜる姿を、これから見ていきたい。
 


 

find fuse in youth (初回生産限定盤) (DVD付) (特典なし)
 
詳細な感想はリリース時に記事を書いたので、そちらを読んで欲しい。
 
今までの魅力を残しつつも新しい挑戦をしたり、今までのイメージをぶち壊すような実験的な楽曲を制作したりと、崎山蒼志の才能はまだまだ底知れないことを実感してしまう楽曲たち。彼の凄さと恐ろしさが詰まったアルバムだ。
 


【メーカー特典あり】 ジェニースター 初回限定盤 (CD+Blu-ray) (ショッパー袋+オーディオコメンタリーCD付)
 
詳細な感想はリリース時に記事を書いたので、そちらを読んで欲しい。
 
ユーモアとキャッチーさを忘れずに、音楽的に前作を超える深みを手に入れたと感じる。企画モノかもしれないが、バンドとして進化している。
 


【Amazon.co.jp限定】ぐされ(初回限定LIVE盤)(1CD+BD (STREAMING/DL))(特典:オリジナル8bit(ファミコン風)アレンジCD(2曲入り)付)
 
詳細な感想はリリース時に記事を書いたので、そちらを読んで欲しい。
 
リズムを乗りこなすように歌うACAねのボーカルの凄みと、作り込まれた編曲とやりたい放題なハイレベルな演奏に鳥肌が立つ。特にビートを大切にしている作品で、ネット初の音楽として新しい価値観を提示したアルバムに思う。
 


【Amazon.co.jp限定】X (完全生産限定盤) (メガジャケ付)
 
詳細な感想はリリース時に記事を書いたので、そちらを読んで欲しい。
 
アイドルだからとバカにできない音楽で、彼らがバンドとして素晴らしいことが伝わる作品だ。提供された楽曲も多いが、個人的にはメンバーで制作した『ルーザー』などの楽曲が、彼らの魅力が最も伝わる楽曲に思う。偏見を持たずに純粋に聴いて欲しい作品。
 




あなたになりたかった(初回生産限定盤Blu-ray Type) (特典なし)
 
詳細な感想については以前書いた記事にまとめたので、そちらを読んで欲しい。
 
日本の音楽シーンを長年引っ張っているベテランなのに、若手以上に尖った作風で衝撃的。それでいてベテランだからこその貫禄を感じる曲まである。平井堅が恐ろしいシンガーソングライターであることがわかる名盤。
 


後日改めて伺います (初回生産限定盤)(3枚組)(Blu-Ray+フォトブック付)
 
PEDROが活動休止前最後のリリースであり、アユニ・Dが初めて全曲の作詞作曲を行ったアルバム。
 
正直なところ、作詞作曲については拙い部分もある。青臭さも残っている。でも、それなのに、それだからこそ、たまらなく感動してしう。
 
『後日改めて伺います』でアユニの綴る歌詞は、赤裸々で自身の感情を吐露するような内容が多い。音楽性や制作された背景は全く違うものの、フジファブリック『CHRONICLE』を聴き終えた時に近い感情になった。
 
フロントマンの思想や感情が色濃く出ている部分が共通している気がしたから、そう思ったのだ。
 
内省的な表現やマイナスな言葉も多く使われている。それでも最終的には前を向こうとしている。それも『CHRONICLE』と『後日改めて伺います』の近い部分に感じる。
 
とはいえ音楽性はオルタナティブロックなPEDRO。サウンド自体は過去作で最も洗練されている。やはり田淵ひさ子のギターは存在感が強い。曲や詞は青臭いのに演奏はキレッキレで編曲が作り込まれているギャップも魅力的でクセになるのだ。
 
音楽のクオリティというよりも、音楽に込められた魂に感動した。
 

からだポータブル (特典なし)
 
この音楽は、どのジャンルに当てはめればいいのだろうか。そんな疑問を持ってしまうようなアルバムである。ジャズやポップスやロックなど様々な音楽の影響を感じるが、そのどれにも当てはめても違和感を覚えてしまうのだ。初めて出会った新しいジャンルの音楽を聴いた感覚になる。
 
そんな違和感を覆えるということは、唯一無二で今まで存在しなかった音楽ということの証明でもある。
 
複雑なリズムの上に斬新な音色が重なっているトラック。実験的でやりたい放題やっているようにも聴こえる。しかし歌のメロディはキャッチー。そんなアンバランスな組み合わせが化学反応を起こすから、刺激的な音楽になっているのだろう。これが諭吉佳作/menの個性に繋がっているのかもしれない。
 
ちなみに諭吉佳作/menは常々「アイドルになりたい」とツイートしている。はやくアイドルになってくれ。推すぞ。
 



・キャンディレーサー / きゃりーぱみゅぱみゅ
・新しい果実 / GRAPEVINE
・レイジーサンデー / Saucy Dog
・find fuse in youth / 崎山蒼志
・ジェニースター / ジェニーハイ 
・ぐされ / ずっと真夜中でいいのに
・X / DISH//
・あなたになりたかった / 平井堅
・後日改めて伺います / PEDRO
・からだポータブル / 諭吉佳作/men
 
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