山梨→東京、昭和→平成 自分自身を投影したどこにでもある物語 異能の人・マキタスポーツさん小説デビュー作『雌伏三十年』(夕刊フジ) – Yahoo!ニュース – Yahoo!ニュース


IDでもっと便利に新規取得
ログイン
現在JavaScriptが無効になっています
Yahoo!ニュースのすべての機能を利用するためには、JavaScriptの設定を有効にしてください。
JavaScriptの設定を変更する方法はこちら
配信
小説「雌伏三十年」を書いたマキタスポーツ
【BOOK】 お笑い芸人、ミュージシャン、俳優など幅広く活躍する〝異能の人〟マキタスポーツさん。初小説は、山梨から上京し、何者かになろうとあえぎ続けて生きた自らの過去をモチーフにしたヒューマンストーリーだ。 (文・高山和久 写真・飯田英男) 【写真】お笑いと音楽を融合させたマキタの単独ライブ「オトネタ」 ――小説家としてのデビュー作。執筆の経緯は 「文芸誌『文学界』の編集者さんから声をかけられ、2015年6月号から書かせていただきました。文芸誌で小説を連載する芸人はまだいなくて、おいしいなぁと思いましたが、又吉(直樹)くんが芥川賞を取ったのでおいしさは薄れました。エッセーなどは執筆していましたが、小説はプレッシャーと緊張感の連続。連載は1年4カ月続き、荷は重かったですが、毎回1万字という制約も、書き始めると筆がノリ過ぎて、2万5000字以上になったことも。構想は自伝的な内容と決めていましたが、設定やキャラクターは僕自身であって僕自身じゃない。エピソードに関しては困ることはなかったですが、すごく重たい宿題が長く続いていたという感覚でした」 ――主人公・臼井圭次郎は自らと等身大だと。時代背景もリアルです 「僕は1970年生まれで、多感な18歳まで山梨に住んでいた。昭和のその頃と上京してからの平成を描きました。過去に行ったり来たりの文章の中で、時代考証にはずいぶん神経を使いましたよ。『地下鉄サリン事件』や『阪神淡路大震災』といった大きな出来事を踏まえながら、自分の心の中に湧き起こっていたことを主人公に投影し、そのキャラクターを動かしていった感じ。波瀾万丈なエピソードを積み重ねるというより、自分が見てきた世界の中で登場人物の心の動きを細かく描写したつもり。ドラマチックではないけれど、どこにでも転がっている普遍的な人生の物語になったのではないかと思います」 自分の存在は特別だと思い込んでいる人間。カワイイけれどムカつくなお前は… ――主人公のキャラクターは 「彼は、自分自身の存在は特別だと思い込んでいる人間。だから苦悩するわけです。自意識過剰で、気が小さくてウジウジしていて、なかなか行動を起こさない。そのわりには計画性がなくて、思いがけない出来事が起きるとジュクジュクしてしまう。そういうつまずきを背負った人物を強い筆圧、タッチで書けたと思います。自分自身がベースになっていますが、圭次郎の自意識は僕より強くて、愚かさもより膨らませました。とはいえ、彼の焦りやドジ加減は当時の僕とそっくりです。かわいいけれど、ムカつくなお前は…ってキャラですね」 東京に愛・憎の感情 ――圭次郎が2度上京した「東京」は 「東京には愛・憎の感情がありますね。夢は東京じゃなければ叶わないという気持ちが強い憧れを産んだし、自分のことは誰も知らないから、思い切り自分を試せる街だとも思った。そういう面で東京が好きです。でも、半面そのすべてが嫌いな要素にもなりえるんですよ。東京は自分が演じるステージのような気もします。山梨は生きてきた土地。東京はまた、そこと行き来する〝道〟という感じかな」 ――80年代からの音楽シーンも描かれている 「僕自身、下地になっているものは音楽ですからね。本当はストレートなミュージシャンでいい。でも僕にはそれが耐えらなくて茶化してしまうんですね。それでも音楽は自分の原風景として重要なモチーフであることに変わりはなく、小説に強く反映させたつもりです。音楽は、東京というステージで戦う自分自身を鼓舞する軍歌のようなもの。僕と同時代を過ごしてきた方々に、当時のあるあるを感じてもらいながら、圭次郎の生き様に青春時代を重ね合わせて欲しいですね」 ――小説では「夕刊フジ」が登場します 「圭次郎の妻、愛実が産気づいて入院先の病院に向かうシーンですよね。それは僕の中では夕刊フジのようなタブロイド紙はおじさんメディアの象徴。ザ・ブルーハーツのマーシー(真島昌利)が歌う『ラインを越えて』に、夕刊フジを読む描写の歌詞が出てくるんですよ。夕刊フジは大人へのパスポートであり、父親になる=夕刊フジを読むというイメージなんですよ。まもなく子供が誕生する圭次郎はオヤジへの入り口に立ったという意味で使わせてもらいました」 ■『雌伏三十年』 文藝春秋1870円税込 山梨で生まれ育った臼井圭次郎。東京の大学に進学するが、憧れのキャンパス生活とは程遠く愕然。卒業後は親戚が開いたハンバーガー店の副店長として地元に戻るも野望を捨てきれず再び上京する。紆余曲折の末にバンドを結成するが、なかなか売れず空中分解。「俺は他人とは違う」という口癖が「こんなはずではなかった」に変わり、トラブルも頻出するばかり。八方ふさがりの圭次郎には未来はあるのか…。1980年代から2000年代のポップカルチャーが切なく響く、サブカル青春漂流記。 ■マキタスポーツ 1970年1月、山梨県生まれ。52歳。お笑い芸人・ミュージシャン・文筆家・俳優。国士舘大学卒業後、98年に芸人デビュー。〝音楽〟と〝笑い〟を融合させた「オトネタ」を提唱。2012年公開の映画「苦役列車」(監督・山下敦弘)で第55回ブルーリボン賞新人賞、第22回東スポ映画大賞新人賞を受賞。独自の視点でのコラム・評論などの執筆活動も多く、著書は『越境芸人 増補版』『決定版 一億総ツッコミ時代』『すべてのJ―POPはパクリである』など多数。
自動ブレーキ、「作動しない」「人を検知しない」場合も…過度な依存に警鐘
「痴漢、助けて」少女がかざしたスマホ 気づいた周囲がとった行動
女性がハンバーガーを食べ始めたら…背後からトビが半分奪う、左頬にミミズ腫れ10cm
異変に気づいたのは墜落2秒前…F-15戦闘機の墜落事故 原因である「空間識失調」とは【石川発】
アイリスオーヤマ、社用車の「道交法違反」映像拡散で謝罪「あってはならないこと」
「信じられないくらい未熟でお粗末」元自衛隊幹部が読み解くロシア軍の"決定的な弱点"
「金目当て?」「全滅しろ」事故の被害者遺族にSNSで酷い中傷、遂に告訴へ
佳子さま、秋篠宮ご夫妻とのご関係は「修復不能」? 重要公務欠席の裏事情
大前研一「プーチンの怒りの根源を見抜けなかったゼレンスキー大統領は、決して英雄なんかではない」
「値上げ許容」発言の黒田・日銀総裁 大炎上に荻原博子さんが“妙に納得した”ワケ
Copyright © 2022 産業経済新聞社 無断転載を禁じます。

source

最新情報をチェックしよう!
広告
>すべての音楽情報をあなたに・・・

すべての音楽情報をあなたに・・・

インターネットで情報を探すとき、あなたはどうやって探しますか?いつも見ているページで情報を得る?検索エンジンで好きなアーティスト名を検索してでてきたものを見る?本当にそれであなたの欲しい情報は手に入れられていますか?

CTR IMG