セレナのベスト・ソング20選 : 23歳で射殺された悲劇のメキシコ系歌姫が残した名曲たち – https://www.udiscovermusic.com/

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セレナことセレナ・キンタニーヤ(Selena Quintanilla)は、簡単に言えば、史上まれに見る影響力を持っていたラテン系ミュージシャンのひとりである。1995年に射殺された時はまだ23歳の若さだったが、このテキサス出身の歌手はそれまでに大ヒット曲をいくつもリリースし、ファッションやメーキャップのトレンドを作り、自己表現のカリスマ的な存在になった。
1997年にはジェニファー・ロペスが主演した伝記映画『セレナ』が公開、2020年にはNETFLIXにてドラマシリーズ『セレナ: テハーノの女王』が配信(好評のため2021年にシーズン2が開始)されたことでも話題となった彼女の20曲の代表曲をご紹介しよう。
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セレナに関しては、すべてが革命的だった、それは今も変わらない。彼女はジャンル、言語、アイデンティティの壁を打ち破っただけでなく、世代や地理的な境界線をも越えていた。グラミー賞を受賞したセレナは、男性優位の音楽ジャンルを生き抜いてきた若い女性だった。それは簡単なことではなかった。彼女は保守的な家庭に生まれたメキシコ系アメリカ人の歌手であり、国境線を挟んだアメリカとメキシコ両国の音楽ファンに受け入れらようと苦闘していたこともあった。とはいえスパンコールのビスチェを身にまといながら、メキシコの伝統的なジャンルと1990年代の現代的なサウンドをミックスすることで、セレナは伝説的なアーティストの仲間入りをすることができたのだ。
現代のラテン・アメリカ系のポップ・スターの多くにとって、セレナはお手本となっている。カミラ・カベロ、カロル・G、セレナ・ゴメスなどのアーティストは、主なインスピレーションの源として今でもセレナの名前を挙げている。また多くのファンにとって、セレナは自らの文化的な伝統を堂々と誇示した最初の女性アーティストだった。
そんなセレナの思い出は、彼女の音楽を通して生き続けている。恋に破れたとき、愛と人生を祝うとき、友人や家族と楽しい時間を過ごすとき、彼女の歌はサウンドトラックとなる。彼女の死から数十年経った今でも、彼女が遺した作品はありとあらゆるファンの心に響いてくる。それは、1992年に「Como la Flor」で初めて世の人を魅了したときと同じだ。
 
セレナの根強い人気の土台には、彼女が遺したすばらしい音楽がある。兄のA.B. (彼女の作品のほとんどでプロデュースを担当) と共に、セレナは年上の世代が愛したメキシコのジャンル (たとえばフォーク調のマリアッチやポルカの影響を受けたテハーノなど) を新たな装いで仕立て直した。そしてそうしたジャンルを、ジャネット・ジャクソンやニルヴァーナと共に成長した若い世代の音楽ファンにも受け入れられるものにして、あらゆる年齢層の人々に感動を与えた。その結果、彼女の作品とストーリーは、彼女の全盛期を不幸にして目撃できなかった新しい世代にも受け継がれてきた。
セレナの名曲といえば、真っ先に挙がるのは間違いなく「Como la Flor」だ。哀愁漂う歌詞と鳥肌が立つようなヴォーカル、そしてポップなクンビアのビートに乗ったダイナミックなパフォーマンスによってセレナはスーパースターの座を獲得し、この曲は彼女の代表曲となった。
「Bidi Bidi Bom Bom Bom」もやはり彼女の代表曲のひとつだが、こちらはサウンドの面で対極にある。この擬音語のようなタイトルの曲では、愛に飢えた心臓の動悸が表現されており、セレナの特徴であるポップなクンビア・サウンドにスペイン語のロックとレゲエのテイストを盛り込まれていた。曲全体の雰囲気や歌詞と相まって、これを聴くリスナーの顔には条件反射のように笑顔が浮かんでくる。
セレナはキャリアを通して新しいジャンルやサウンドに挑戦することを恐れなかった。しかもそれだけにとどまらず、伝統的なものと現代的なものを完璧なバランスで融合させてファンを魅了する方法をも心得ていた。
そんな彼女の歌詞の主なテーマは愛だった。片思いの愛を歌った「No Me Queda Mas」は、このジャンルに求められる激しい感情を表現しながらも下品な要素を抑えて、マリアッチ・ポップス・サウンドのお手本を作り出した。
「Si Una Vez」も同じ路線だが、こちらではクンビアがブレンドされている。この曲はセレナが出した中でも特に力強い曲のひとつだ。この曲の歌詞では、DVじみた関係から離れ、二度と戻らないと宣言されている。この曲は女性の権利向上を応援する歌として認められており、カラオケの定番曲となっている。
「Si Una Vez」「Bidi Bidi Bom Bom」「No Me Queda Más」は、この記事の20曲に挙がっているほかの多くの曲と共に1994年のアルバム『Amor Prohibido』に収録されており、このアルバムは、テハーノ・ミュージックに革命を起こした作品として広く認められている。
主に兄A.B.によってプロデュースされた『Amor Prohibido』はセレナの最も人気の高いアルバムであり、彼女の人気絶頂期の幕開けとなった。このアルバムの収録曲は彼女のサウンドの代名詞となっていた伝統的なジャンルに新たな息吹を吹き込み、彼女をメキシコのローカル音楽というくくりからメインストリームのポップスの世界に送り込むことになった。
スペイン語のアルバムを5枚リリースするというラテン音楽業界で前代未聞の偉業を成し遂げ、南北アメリカ全体で計り知れないほどの忠実なファンを獲得したセレナは、ジャンルの垣根を超える大きなステップを踏み出そうとしていた。ポーラ・アブドゥルやマドンナのような当時のほかの歌姫たちからの影響を受けた軽やかなバラード「Dreaming Of You」は、セレナをメキシコ系アメリカ人初のポップ・スターにする可能性を秘めていたが、残念なことに、この曲がリリースされる前に彼女は早すぎる死を迎えてしまった。そして、この曲はファンに愛されるセレナの名曲であると同時に、ほろ苦い記憶の残る曲となっている。
 
音楽は世代から世代へとお祝い行事を通して受け継がれることが多い。そしてキンセアニェーラほど伝統的な、あるいは壮大なパーティーはないだろう。これは女の子の15歳の誕生日に開催される盛大なパーティーで、少女から大人の女性になる通過儀礼になっている。たいていの場合、誕生日の女の子はふわふわしたドレスを着て、パーティに参加した者すべてが一晩中踊り明かす。そこで流れる音楽の中には、もちろんセレナが含まれていなければならない。
カウントダウンのオープニング・ヴァースが含まれている「La Carcacha」は、どんなパーティーでも盛り上がるだろう。
ミッドテンポの「Baila Esta Cumbia」が流れれば、女たちは夫 (または一族の中で一番若い子) を連れ出して踊ることになる。
また「Amor Prohibido」や「El Chico Del Apartamento 512」のようなロマンチックでキャッチーな名曲も忘れてはいけない。
 
恋と失恋は、セレナのディスコグラフィーの中で絶えずテーマになっていた。セレナのこうしたラヴ・ソングを特別なものにしていたのは、非常にキャッチーでポップな決めフレーズだった。「I Could Fall in Love」では、R&Bの影響を受けたポップなバラードによってセレナは未知の領域に踏み込んでいた。歌いやすいサビの部分では曲の題名が2回歌われ、最後に「with you」と付け加えられる。ここで彼女は、誰かを好きになることへのためらいを歌っている。
また1986年の「Dame Un Beso」では、恋人のキスへの無邪気な憧れが表現されている。
セレナの失恋ソングは、彼女のとりわけ愛されている曲の中に含まれている。セレナはほとんどの場合、2つの方法で失恋に対処していた。悲しみに浸るか、あるいは自分を捨てた相手をこき下ろすか……。しかしほとんどの場合、選ばれるのはふたつ目の方法だった。「Cobarde」では、セレナは前の女に走った男に喧嘩を挑んでいる。
またアップテンポなクンビアの「La Llamada」では、これまた別の浮気性の男に「二度と電話をかけて来るな」と警告。
一方スペイン語ロックの「No Debes Jugar」では、恋に落ちた相手に「私の気持ちを弄ばないで」と懇願している。
ダンスポップの影響を受けた「Fotos y Recuerdos」 (プリテンダーズの「Back on the Chain Gang」のスペイン語カヴァー) では、彼女は昔の写真を見ながら過去の恋人に思いを馳せている。
 
セレナは「ラ・レイナ・デル・テハーノ (テハーノ音楽の女王) 」と呼ばれているが、彼女はそのキャリアを通してさまざまなジャンルに手を広げていた。メキシコを代表する音楽といえばマリアッチだが、これは男性に独占されてきたジャンルだった。それゆえセレナが1995年のアメリカ映画『ドンファン』で「El Toro Relajo」をカヴァーしたときは、多くの批評家から批判を浴びた。それにもかかわらず、彼女はこのジャンルの特徴である威勢の良さを完璧に表現し、伝統的なマリアッチのヴォーカル・テクニックを披露して、自らの音域の広さを証明して見せた。
また、マリアッチをカヴァーすることで、年配のリスナーからも尊敬を集めることになった。1988年にカヴァーした「Cien Anos」 (メキシコの伝説的な歌手ペドロ・インファンテのヴァージョンが有名) は、今もなお高く評価されている。
メキシコで親しまれている音楽ジャンルはもうひとつある。それは北部に伝わるノルテーニョである。セレナは「Ven Conmigo」にテハーノのテイストを加え、曲に独特の輝きを生み出した。そのおかげで、この曲 (および1990年にリリースされた同名のアルバム) は、2020年にアメリカ国会図書館のナショナル・レコーディング・レジストリに登録されることになった。
一方1992年に発表した「Amame」では、シンセとパワー・ポップを導入し、テックス・メックスとテクノ・クンビアを完璧に融合させたクラブ・ナンバーを作り上げた。
また死後にリリースされた「Techno Cumbia」でも、テクノ・クンビアにポップス、ダンスホール、さらには軽快なヒップホップのスタイルをミックスしていた。これらを聴けば、彼女が流行のさらに何十年も先まで行っていたことがよくわかるだろう。
Written By Alexis Hodoyan-Gastelum


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