金爆 鬼龍院翔、サイサイ すぅも声を提供 サブスク型の音声合成ソフト「VoiSona」登場の意義 – リアルサウンド

 昨年のヒット曲「フォニィ」などで脚光を浴びた音楽的同位体・可不などをラインナップに持ち、近年ボカロシーンで存在感を増している歌声合成ソフトウェア・CeVIO AI。このソフトウェアを開発するCeVIOプロジェクトの一員で、加山雄三のバーチャル若大将や、ユーザーが入力した夢を嵐が歌うジェネレーター「A・NA・TA for DREAM」など、最先端の音声合成技術の開発研究を行う株式会社テクノスピーチが、買い切り型で提供されてきた歌声合成ソフトウェアの常識を打ち破る新サービス「VoiSona」(読み:ボイソナ)をスタートさせた。
 9月1日よりはじまったこのサービスは、もともとはCeVIOの姉妹ブランドにあたるソフトウェアとして開発され、「CeVIO Pro (仮)」の名称で今年2月にデフォルトシンガー・知声(読み:ちせい、英語表記:Chis-A)のα版を無料公開。その後、「Voice」(音声)と「Persona」(人格、魅力)を掛け合わせた造語の「VoiSona」に名称変更して6月にβ版を無料公開し、CeVIOシリーズの音声合成技術を支える会社ならではのAIによる自然な歌声のクオリティや、歌声合成ソフトウェアにおける初の本格的なサブスクリプションサービス誕生への期待で注目を集めていた。ここでは、改めてVoiSonaの魅力とサブスク化による期待をまとめてみたい。
 近年、Apple MusicやSpotifyなどの音楽を「聴く」定額ストリーミングサービスと同様に、音楽を「つくる」現場にもサブスク型サービスは広がっている。DTMの分野ではStudioOneやAVID Protools、Reasonなどがサブスク型サービスの提供を開始。そうしたソフトウェアに新たな音を追加するプラグインにも同種のサービスが登場し、現在も増加傾向にある。
 サブスク型の利点はいくつかあるが、ユーザーにとって最大の利点は、初期費用が大幅に抑えられること。ゼロから楽曲をつくる場合、ユーザーはPCや作曲ソフト・DAWを揃えた後、追加で約1~2万円の音声合成ソフトウェアを買う必要がある。ボカロ文化がJ-POPの中心のひとつを担うようになった現在、こうした音楽をはじめたい若年層や、趣味で作曲を楽しみたい層が増加しても、本格的な環境を整えるには、やはりまだ敷居が高い。その点「VoiSona」は基本セットとなる本体ソフトウェアと「知声」ボイスライブラリが無償で利用でき、拡張サブスクプランとして別のボイスライブラリを1つ追加するごとに年額ライセンスで6,600円、月額ライセンスでは880円から利用できる。
 そしてもうひとつは、初期費用の軽減によって様々なサービスを試しやすくなるため、より自分に合ったAIシンガーとの出会いを果たしやすくなること。ミュージシャンが一緒に演奏する中でバンドやユニットになるのと同じように、様々なシンガーとの相性を試しやすくなることは、そのままAIシンガーの普及やラインナップの充実にも繋がる。また、サブスクの場合、継続しての利用が想定されているため、常にアップデートされた最新のサービスが利用できる点も大きい。特に、音声合成のように現在進行形で技術が進化し続けている分野の場合は、継続的なアップデートは大きな意味を持つはずだ。

 とはいえ、このVoiSonaが最も画期的なのは、「ユーザー」にとっての利点だけでなく、「声の提供者」にとっての利点について考えられたサービスであることだ。従来の歌声合成ソフトウェアは買い切り型のビジネスモデルのため、歌声の提供者に発生する収益は基本的に製品が完成したタイミングのみとなる。つまり、その製品がどれだけ売れて、どれだけ提供者の歌声が広がっても、提供者にそれが収益として還元され続けることは非常に難しい。実際、テクノスピーチの代表を務める大浦圭一郎氏は、こうした「声の提供者への還元」にまつわる課題解決のために、音声合成ソフトウェアのサブスク化を思いついたそうだ。この仕組みであれば、提供者も継続的に収益を得られる他、人に使われれば使われるほど収益が増える。声を提供する人々と、それを使って音楽を制作する人々の間に、文化的な繋がりだけでなく、経済的な繋がりや循環サイクルを用意することで、音声合成の分野での「アーティスト/クリエイター」への継続的な還元を目指していることが、VoiSonaの最大の特徴となっている。

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