春ねむりのパンクは“最も弱いものに最も優しい”ーーアルバム『春火燎原』収録曲も披露した日本凱旋ライブをレポート(リアルサウンド) – Yahoo!ニュース – Yahoo!ニュース


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春ねむり(写真=米山三郎)
 日本から世界へ。Spotify、Apple Music、YouTubeなどストリーミングサービスや動画サービスの普及により、ポップミュージックにとって国境という壁は壊れつつある。しかし、壁を乗り越えようという意思がなければ世界は遠いままだ。 【写真】春ねむり、ライブでの熱演  春ねむりをご存知だろうか?   横浜生まれのシンガーソングライター。作詞作曲編曲、トラックメイクを手がけ、音楽に言葉をのせてラップする表現者だ。  そのサウンドは、パンク、ヒップホップ、R&B、ハードコア、讃美歌、アンビエント、オルタナティブロックなど、ひと言では形容しがたい個性を放つ。  2016年10月、1stミニアルバム『さよなら、ユースフォビア』でデビュー。音楽プロデューサー蔦谷好位置とのコラボレーション、タワーレコード全店展開『タワレコメン』への選出、オーディション優勝を経て『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017』への出演、さらに、東京女子流などへ作品提供するなど、その特異な才能は幅広く開花していく。  決定打となったのは2018年、1stフルアルバム『春と修羅』のリリースだった。  しかしながら、思ったことを素直に解き放つナイフのような春ねむりによるリリックは、J-POPシーンで注目されるには、まだ時間を必要とした……かのように思えた。  ターニングポイントは2018年~2019年。アジアやヨーロッパを代表する20万人級の巨大フェス『Primavera Sound』でのライブを含む、6カ国15公演のヨーロッパツアー、米音楽メディアからの評価の高さだった。世界は、春ねむりの日本語によるポップミュージックを発見したのだ。  2020年はフェスの延期など、コロナ禍に翻弄されながらも、海外での活動が加速していく。  注目すべきは、現時点での集大成となる2022年4月22日にリリースした2ndフルアルバム『春火燎原』だ。本作は、アメリカの音楽メディア『Pitchfork Media』にて、8.0点と高評価を獲得したことは知る人ぞ知るニュースとなった(※1)。日本人アーティストが選出されることは希少な『9 Albums Out This Week You Should Listen to Now(今週聴くべき9枚のアルバム)』にも取り上げられた。音楽レビューサイト『Rate Your Music』では、4月28日現在で世界11位にランクインしている。  これも、パンデミックに世の中が揺れるなか、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ダラスなどの北米ツアー5公演をすべてソールドアウトと大成功で終え、大型フェス『SXSW2022』で大きな評価を得たことのあらわれだ。敬愛するPussy Riotとのオースティンでの共演は、自身のキャリアにとって大きな影響となったことだろう。  そんな春ねむりによる、有観客での日本凱旋ライブを目撃した。  会場は、彼女にとってホームのライブハウスである東京・吉祥寺SHUFFLEだ。高校時代から愛聴していたというCIVILIANとのスペシャルな対バンイベントとなった。  大雨が降る、荒れた天候の連休初日となった4月29日。19時をまわりSEが流れ、春ねむりはステージに現れた。オープニングは、脱構築を意味する「Deconstruction」での、刺激的なライムが連なる感情を解き放つロックチューンからスタート。  続いて、“世界中の叫び声が聞こえる!”と、アッパーなビートチューン「あなたを離さないで」へと、その想いの強さを紡いでいく。  春ねむりのサウンドには、Rage Against the Machine、ビョーク、そして神聖かまってちゃん、BOREDOMSなどの系譜を感じる。90’sカレッジチャートから受け継がれるDIYスピリット。USや欧州のインディーロックシーンが、春ねむりという類稀なる個性を放っておかなかった理由がよくわかるライブパフォーマンスだ。  キラーチューンといえば、パンキッシュな「愛よりたしかなものなんてない」だろう。テンポの速いポップパンクアンセム。当たり前が儚く壊れていく、不確かな事象に揺れる世界、そして日本。そんな時代がゆえに、音楽は人々の心を支える軸となる。リアルなパンクが必要とされる時代が再びやってきたのだ。そう、自分を確認するために、世界を認識するために。  MCで、春ねむりは自分について語り出した。過保護な家庭に育ったこと。自分の音楽には、加害性があるということ。気づきを感じてからは、目を背けていたものと向き合って表現活動をしてきたこと。そして、「生きる」ことについても。  「生きていることや人生って、意味とか価値とかじゃないと思うんですよ。ただ、生まれてきて、今ここにいて、ただそこにあるということを、お互いがなるべく尊重し合って生きていけたらいいなって思います」   ただの応援歌ではない、傷だらけの感情、血を吐くロックンロール。春ねむりのパンクとは“最も弱いものに最も優しい”ということなのかもしれない。  オルタナロックなギターリフ、デスボイスが響き渡る「Kick in the World」。ライブハウスに溶け合う大音量、ライブハウスならではの匂い、春ねむりの音楽はリアルだ。ヒリヒリとする。だから信頼できる。 「今日、ここで私を見つけてくれて本当にありがとう!」  代表曲「Riot」をプレイ。空虚な時代を突き破るアッパーなビートセンス。春ねむりによる〈ぼくはやさしくなりたい だからやさしくなるのだ〉という、真理を解き放つパンキッシュな叫び。まるで賛美歌のようにも聞こえた。  〈いつかきみがこころを使い果たしても うたはここに在ってまた巡りあう こころが目覚める きみがいのちになる そのときぼくはここに生きてる〉というフレーズは、2022年の今こそ耳に残るパワーワードだ。
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