日本の植民地になった「昭和66年」のアメリカでゾンビと戦う中国産ゲーム『昭和米国物語』開発者インタビュー。全ての描写には意味がある、中国のスタジオにしか作れない“私たちの昭和”とは(電ファミニコゲーマー) – Yahoo! – Yahoo!ニュース


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日本の植民地になった「昭和66年」のアメリカでゾンビと戦う中国産ゲーム『昭和米国物語』開発者インタビュー
 元号が令和へと変わりすっかり定着しつつある2022年の年明け、穏やかな正月気分を引きずるインターネットの海にその映像は突如として現れた。  「カタナを振り回す、愚かなジャパンガールか…」の声に続き、流れ出すどこか聞き覚えのあるイントロ。違和感の正体を探る間もなく、すぐさまカットインされる衝撃的な架空の歴史。 『昭和米国物語』画像・動画ギャラリー  「昭和66年、日本は強大な経済力でアメリカを植民地にした」という壮大な設定が提示されるとともに、郊外の車道やビルの立ち並ぶ都市といったアメリカの風景が次々と映し出されていく。  だがそこには日本の支配下による影響が随所に見られ、ハリウッドを象徴する屋外のサインは「NEO YOKOHAMA」の文字へと換わり、道路沿いには巨大な千手観音像が突き刺さっている。  この間、実に約30秒。と同時に優しくも芯の通ったボーカルが「負けないこと 投げ出さないこと~♪」と歌詞の始まりを告げ、BGMが大事MANブラザーズバンドによるヒット曲『それが大事』【※1】であることが確かとなる。  「でも一体なぜ?」という問いへの答えは置き去りにしたまま、その後およそ3分にわたり展開されるゾンビ、怪獣、ヤクザ、キャンピングカー、そして至るところに散りばめられたさまざまなコンテンツへの怒涛のオマージュ。  懐かしさと見慣れなさが混然とした“昭和アメリカ”の異様で圧倒的なまでの情報量の洪水は、数々の反応を生みつつネット上を駆け巡り、SNSを賑わす騒ぎとなった。  ほぼ無名の中国のスタジオによるタイトルながら、トレイラーの再生数は執筆時点で17万回以上を記録。世界中から注目を浴び、今もっともリリースが待望されている作品のひとつとなったのが、NEKCOM Entertainment(以下、NEKCOM)が開発するPS5/PS4/PC向けアクションRPG『昭和米国物語』だ。  そこで弊誌では同作の製作総指揮を務めるXY. Luo氏と、「中国独立游戏联盟(CiGA)」【※2】での活動と並行して『昭和米国物語』のアドバイザーや日本向けリソース提供と開発支援役を担うF氏の両名へオンラインでのインタビューを敢行。  取材を行う中で、奇抜な発想の根底を支えるロジカルかつ情熱的な開発の動機や、偶発的な要素も積極的に取り入れ遊びの延長としてゲーム作りの過程を楽しむチームの姿勢が明らかとなった。  胸中に渦巻く幾多もの疑問をぶつけるたび、彼らがいかに日本のカルチャーを愛し、強い志で昨今のゲーム業界へ一石を投じようとしているのかが垣間見え、話題は日中米の3ヵ国を股にかける文化や経済の歴史、近年の中国ゲーム市場の現状にまで及んだ。  「もしもバブルが続いていたら」というユニークな切り口で日本とアメリカの関係を縦横無尽に描き切ろうと試みる意欲作の背後には、果たしてどのような物語が存在するのだろうか。令和の世に新たな形で産声を上げた、めくるめく昭和ワールドの舞台裏をのぞいてみよう。 取材・文/dashimaru 取材・編集/実存 ■開発チームは全員昭和生まれ。コロナ禍で開発が遅れるも、届けたい“私たちの昭和” ──『昭和米国物語』は発表後大きな話題を呼び、弊誌のTwitterでも投稿が1万リツイートを超えるなど日本国内からの注目も集まっています。本作の構想には約5年もの月日が費やされたと聞きましたが、開発を含めると実際にはどのぐらいの期間がかかっているのでしょうか。構想にそれだけの時間を要した理由とあわせてお尋ねできたらと思います。 XY. Luo氏(以下、Luo氏):  仰るとおり、開発自体はもう5年目になります。「なぜこれだけの時間がかかったのか」という点についてですが、当社はインディーゲームの開発スタジオということもあり、予算とマンパワーが限られているのがおもな理由です。  NEKCOMとしては初のタイトルとなる『DYING: Reborn』を2016年にリリースしたのち、すぐに次作の開発へ取りかかりました。会社全体では他のゲームの制作も2~3本並行して手がけているのですが、『昭和米国物語』に関しては私とディレクターの者を中心に企画を進め、携わっているスタッフは5名ほどしかおりません。 F氏:  社員数は確か30名前後でしたよね。 Luo氏:  はい、ですので業界的に見れば大きな規模ではないかもしれませんが、私たちにとって『昭和米国物語』は社運を賭けた作品となります。ストーリーからキャラクター、総合的なボリュームに至るまであらゆる要素を試行錯誤しながら練り上げてきました。方向性が決まってからは全体のコストの試算も含め、開発へ着手するまで2年ほどの時間がかかっています。  しかしいざ開発に移ろうとしたタイミングで、新型コロナウイルスが流行しはじめました。当社が拠点を置く武漢はロックダウン(都市封鎖)により、活動が大幅に制限を受ける形となります。  影響はスタッフの通勤にまで及び、約1年にわたり進捗が停滞してしまいました。その間も企画の調整は続けていたのですが、本格的に作業を始められたのは2021年に入ってからですね。なので「企画に2年、コロナで1年、開発に2年」という現状です。 ──海外のスタジオが日本の歴史をテーマに制作したゲームでは、近年は『ゴースト・オブ・ツシマ』が高く評価されています。13世紀の遠い過去を描いた同作とは異なり、現代ともやや時間軸の異なる昭和時代の日本はどのような点が魅力に映ったのでしょうか。 Luo氏:  本作のチームは全員が昭和の生まれです。1980年代から90年代の半ばにかけて、日本発のコンテンツがリアルタイムで押し寄せ、中国内でも一世を風靡しました。NEKCOMのスタッフは日本に暮らした経験こそありませんが、そうした時代の空気を吸いながら育ったという背景があります。  当初のコンセプトは、「私たちの記憶の中に残された昭和の思い出を再現しよう」というものでした。世界観と物語はフィクションに基づいていますが、細部に関しては写実的に描こうと努めております。  サイバーパンク風の作品として進める案もありましたが、途中で設定を見直しました。昭和の世界観を表現するにあたり、SF要素がノイズになると判断したんですね。ですので雑味は極力排したうえで当時の懐かしい感覚をできるだけ素直に伝えるという方針のもと、繰り返し修正作業を重ねました。  結果として日本のみなさんが知るところと異なる部分も出てくるのは承知しておりますが、私たちに伝わった、体験した昭和、いわば“私たちの昭和”とでも呼べるスピンオフ的なものを世界へ向け発信していけたらと想いながら制作を進めています。 Luo氏:  Fさんが説明したとおり、昭和当時の日本のコンテンツはほぼ時を同じくして中国へ伝わっていました。マンガや映像作品をはじめ、音楽もその一部ですね。正直な話、国内でイケてる音楽はまだそれほど多くない時代で、日本発の美しいメロディの楽曲が香港で言語を変えカバーされたのち、中国へと輸入されブームになる……という流れがそのころはよくありました。  中島みゆきの提供した曲が香港の音楽業界の半分ぐらいを養っていた時期があったという話も有名です(笑)。クイーンやイーグルスなど欧米のロックバンドが日本での人気が高く、オマージュ要素として日本コンテンツによく見られる例からも明らかなように、優れた音楽は言語の壁を超えて心を動かす力を持っていると言えるでしょう。  当時の日本の音楽は80年代生まれの中国世代にとって大切な思い出の一部であり、本作の主題歌に採用している『それが大事』もそうした時代のヒット曲です。この曲も私たちから見れば、“昭和ロマン”を彩る歴史の記憶に他なりません。 F氏:  日本文化をよく理解していない外国人は「サムライ」や「ニンジャ」といった要素を「文化的タグ」として、勝手に日本のシンボルマークとすることは仕方がありませんが、日本人までも「まあ外国人だからしょうがないな」とウケやすい要素ばかり海外に発信することもそろそろ見直したらどうかと思うところです。「日本らしさ」はそうしたキャッチーな見た目に頼らない、体験的・精神的な要素ももっと強く発信していくべきだと考えています。  『昭和米国物語』の予告映像には「竹馬」や「輪回し」など日本の伝統的な遊びに興じるシーンが収められていますが、これらは中国でも昔から親しまれているものでした。このように同様の遊びから背景がそれぞれ違う人々を共感させるのは「サムライ」や「ニンジャ」だけで日本文化を発信するよりよほどいいでしょう? 理解しやすい面ばかり配慮すれば、相手の興味と探究意欲を喚起させる好奇心を台無しにするわけですね。  欧米ほどは遠くかけ離れていない、けれども微妙な部分で日本の方が抱くニュアンスとは異なる……。このポイントを本作の特徴として活かしていくつもりです。距離感としては限りなく本物を志向しつつ、一方で私たちの記憶の中に残された感性も意図的にミックスしていくことで、「昭和当時の日本は、中国にはこのように映っていた」というイメージを提示できればと考えています。  “本物”という点においては、なるべく事実に即して描きたいという想いもありますが、一部ではネタとして脚色したチューニングも行っています。ふたつの視点を行き来しながら渾然一体となって出来上がっていっているのが実際のところですね。 ──日本では、海外の目線から生まれるいわゆる“勘違い日本”的な表現が国民的に愛される傾向にあります。『昭和米国物語』に関しては、その解像度が圧倒的に高いように思われました。 F氏:  そうなのですね(笑)。じつはその件についてはちゃんと認識はしていて。荒野の中に脈絡なく千手観音像が置かれていたりするのは『北斗の拳』へのオマージュなんですよ。 ──なるほど、リスペクトを捧げていらっしゃるわけですね。ではその件について、もう少し詳しく聞けたらと思います。  Steamページの紹介文にも記されているように、“濃厚なB級映画感”が本作のトレイラーでは強烈な印象を放っていました。映像ではさまざまなコンテンツからの引用が見受けられますが、制作にあたり特に着想の参考になった作品はどのようなものでしょうか? Luo氏:  実はトレイラーを公開した際、このなんとも説明しがたい映像を前に中国のネット界隈も騒然となりました。「コロナ禍でやけになり、毒キノコを食べて幻覚を見ながら作ったのでは?」なんていうコメントもありましたね(笑)。  もちろんそうした事実はないのですが、制作の背景には改革開放【※3】によって70年代後半から国内で普及してきた諸海外の映画作品の影響があります。これらは日本企業のビデオデッキを通じて広く親しまれるようになりました。  その中にはB級映画も数多く含まれています。当時は国産の文化コンテンツが少ない状態でしたので、検閲もほとんど行われていません。小学生のころからクエンティン・タランティーノや三池崇史といった監督の作品をよく目にしていましたし、現在でも定期的に見返すことがあります。脳裏に焼き付いた彼らの表現を分解して再構築するという発想は、私たちにとって極めて自然に起こり得るものでした。 F氏:  本作の作風が『ノーモア★ヒーローズ』に似ているという意見も、国内外から数多く寄せられました。というのも、Luoさんは須田剛一さんのファンなんですね。しかし今まで話してきた内容を直接的に描くというよりは、私たちの内側に染みついてきた要素を混ぜこぜにして吐き出す、といった手法を『昭和米国物語』では取っています。 ──B級映画も青春のひとコマだったのですね。 F氏:  そうです。ちなみにこれは私個人の意見ですが、専門分野の外側に関心を向けないクリエイターが近年、業界を問わず増えてきたように感じられます。2000年代ごろまでは異なるジャンルを積極的に取り入れ、表現へ昇華しようとする気概が日本の至るところで満ちており、私自身も非常に大きな感銘を受けました。違う分野の栄養分を吸収して、自分の創意に凝ってアウトプットすることはこれまでの名作を生み出す要因だと考えています。  たとえばある大手ゲームメーカーの採用面接があるとします。そこで「どんな作品を作りたいですか?」と問われ、その会社の代表的タイトルを挙げるような人が果たして本当に必要とされるでしょうか。今の時代に求められているのは過去の名作を上回ろうとする意欲と創意工夫ではないかという気がしますが、そうした想像力も狭い視野からは生まれづらいように思われます。 ──その点でいうと、尊敬されている昭和時代の作家にはどのような方がいらっしゃいますか。 F氏:  たくさんいますね。例えば芥川龍之介が『今昔物語集』から栄養分を吸収して自分の代表作としてアウトプットしたように、あるいは車田正美の『聖闘士星矢』でギュスターヴ・ドレの作品をたくさん引用したように。  諸説はありますが、人間はまったく見たことのないものを想像できない、むしろ見たものを巧みに組み合わせるのは想像力そのものに近いのではないかと思います。 ■ダメになりそうなとき、偶然流れた『それが大事』に天啓を得る ──トレイラーでは大事MANブラザーズバンドの楽曲『それが大事』にも多数の反響が寄せられました。この曲は中国でもメジャー歌手の李克勤氏によるカバー版が『紅日』というタイトルで浸透しているかと思いますが、本作の主題歌に抜擢されるまでの経緯とはどのようなものだったのでしょう。 Luo氏:  『それが大事』は日本や中国だけでなく、アジア全体で高い人気を集める名曲のひとつです。中島みゆきの例でもお伝えしたように、当時の中国ではJ-POPが流行の象徴となっていました。CHAGE and ASKAや安全地帯、近藤真彦などの楽曲が日本とほぼ同時期に広まり、北京語版や広東語版など複数のバージョンによるカバーが生まれたことで、多くの人々の心に今もなお刻まれています。  この楽曲を採用した経緯を話しますと……私はロックダウン期間中に自宅から出られず、鬱々とした時間を過ごしていました。そうした暗い気分を少しでも紛らわせるため、プレイリスト内の音楽をランダムに再生して楽しんでいたんですね。するとたまたまこの『それが大事』が流れ出し、忘れかけていた懐かしい記憶が蘇ったのです。  そしてその歌詞に耳を傾けると「簡単にあきらめてはいけない」という前向きな想いが湧いてきました。また、企画の行く末に悩んでいた心境と曲中の内省的かつ前向きなメッセージが重なり、「これだ!」と天啓を得たかのような衝撃が私を貫きました。  この膠着した状況が長く続けば『昭和米国物語』は日の目を見れず、会社を潰す結果となるかもしれない。それでも「面白い作品を世の中に送り届けたい」という信念だけは失わないようにしよう。  この曲はまさに“それが大事”なんだと、あらためて気持ちを奮い立たせてくれたんです。それでこの曲以上に本作のテーマソングにふさわしいものはないと考え、権利を交渉して許諾を取りました。 F氏:  さらに運命的なことに、オリジナルの楽曲のリリースが1991年だったんですね。この「1991年」は、ちょうどバブルの崩壊が始まった時期や架空の“昭和66年”を描く作中の設定ともピタリと一致したんです。  ライセンスについては「こんなデタラメなゲームに許可が出せるか!」と言われる覚悟を持って交渉に臨んだものの、意外にもあっさりと承認を得られ嬉しく思っています。検討にはそれなりの時間がかかっていたようですが、私たちの情熱が権利者の元にもしっかり届いたのだと信じたいですね。まさに歌詞通り、「負けないこと、投げ出さないこと、逃げ出さないこと、信じ抜くこと、駄目になりそうな時」、「それが大事」、ゲームの開発もそうです。  また、まだ検討中ですが他のグループの楽曲についても使用許可を取れたらと考えています。個人的にはバブルガム・ブラザーズの『WON'T BE LONG』をエンディングで流せたらと思っていますが、こちらはどうなるかまだ分かりません。まずはLuoさんを説得するところから始めなければなりませんので(笑)。  私たちのような小規模のチームでも、有名な楽曲の力を借りて瞬時に共感を呼び起こせるのはありがたいことです。トレイラーの反響からは日本発の文化コンテンツを愛する人たちが世界中におり、私たちの想いがそうした方々へも確かに伝わっているのを実感させられました。 ──素晴らしいお話ですね。このあたりで開発チームのNEKCOMについても詳しくうかがっていけたらと思います。本作には日本文化が幅広い形で取り込まれていますが、これらの監修やリサーチはどなたか造詣の深い方が担当されているのでしょうか。 Luo氏:  特に専門家を置いているわけではなく、各スタッフの裁量で進めています。『ゴースト・オブ・ツシマ』は舞台が何百年も前に据えられているため、入念な調査を欠いては物語を描けません。  ですが本作のテーマとなる昭和は、私たちが実際に経験した時代そのものです。「心の中にすでに存在するもの」として扱えるという点で異なります。竹馬や輪回しについては、小学校の体育の授業でも教えられるほど、中国では身近な遊びでした。  たとえ昭和の日本に生まれ育ったという方でも、当時のすべてを明確に覚えている人はほとんどいないでしょう。“正しさ”はときに重要ではありますが、多少のズレや思い違いもゲームの世界に豊かさをもたらす味わいとなるかもしれません。  それはプレイヤーが誤って覚えていた知識や足りなかった記憶を認識するきっかけとなり得るかもしれませんし、新たな発見を生む可能性にもなり得るでしょう。 ■日本でもアメリカでも作れない作品、『昭和米国物語』が中国から生まれる必然性 ──本作では90年代のアメリカ映画で描かれていたような「経済的脅威」としての日本の姿が設定に反映されています。開発側の立場から見た日本とアメリカ両国の位置づけについてお聞かせください。 Luo氏:  アメリカにおいて「もしもこの国が侵略されたら…」という筋書きのフィクション作品は、小説や映画やゲームに限らず冷戦時代から数多く作られています。現在もなお新しいものが生まれ続けている点を考慮すると、私たちは「アメリカの方はそうしたテーマを好んでいる、あるいはネタとして国内で成立しやすい題材なのではないか?」と思っているところがあるんです。  アメリカ産のタイトルとしては日本軍を相手に戦う『メダル オブ オナー ライジングサン』も人気を集めましたが、類似のジャンルは近年減少傾向にあります。この点に注目すると「日本を脅威とみなす必要が薄れつつある」という暗黙的な認知が、国内でも広く共有されているのが浮かんできます。  ですが過去にさかのぼって考えてみれば、ジミー・カーター大統領の時代にはドル相場の強烈な値動きや第2次オイルショックなどの影響も相次ぎ、「アメリカが日本の手に落ちてしまうのではないか」という雰囲気が生々しく感じられました。その勢いは1985年のプラザ合意【※4】以降もしばらく続き、三菱地所によるロックフェラーセンターの買収を経て、バブル全盛期には東京23区を合計した地価の総額がアメリカ全土を上回る高騰ぶりとなっています。  その是非についてはさておき、太平洋戦争での敗北やGHQによる占領、安保闘争といった歴史を通じてアメリカに対する苦い記憶を強いられた方は日本でも少なくなかったことでしょう。バブルを迎えてようやく経済的に一矢報いられるというような気持ちは、私たち第三者の立場からも容易に理解できるものです。  ところがバブルが弾けてからというもの、日本とアメリカ両国の人々の間でそうした出来事が忘れられつつあるように感じられます。創作のテーマという意味では、これは非常にもったいないですよ。そこで「崩壊が起きず、その後も日本の好景気が続いた」というifの想像を出発点に、アメリカが買収され植民地となる架空の世界を描くことにしたのです。 ──本作の“昭和66年”という舞台設定はそこから来ているのですね。 F氏:  そのとおりです。“昭和66年”という設定は、「あのイケイケだったころの日本の情熱を呼び起こしたい」という私たちの想いでもあるんです。閉塞感が漂うこの時代に、本作を通じて「昔を思い出して自信を持ち直してほしい」という激励のメッセージを、日本のみなさんに届けたいと願っています。  また業界的な視点から見れば、ここ数年はスマホゲームへの集中が世界中で加速しています。初代PSやPS2の時代には、いわゆる“駄作やクソゲー”と呼ばれるようなタイトルでも次々とリリースされていました。クオリティという意味では完璧でなくとも、そこにはどこか面白味やユーモアがあふれていたものです。それもまた一種のバブルのような幸せな時期だったと言えるでしょう。  スマホゲーム市場が大きな盛り上がりをみせている一方、コンシューマー界隈は予算的にシビアな状況を迎えています。果たして採算が取れるのか、利益を生める作品なのかを厳しく問われる体制において『昭和米国物語』のような企画案を提出したらどうなると思いますか。「バカヤロー! こんなものが売れるか!!」と上司から怒鳴られるに決まっていますよね(笑)。  ですので、同じような設定を思いつくこと自体は難しくないかもしれませんが、作品として実現させるチャンスは日本でもほぼゼロに近いはずです。  そこで応援と共感の気持ちを込め「同じ昭和という人類史上二度と現れない激動の素晴らしい大時代を生きてきた人として、日本の開発者のみなさんの代わりに、私たちが形にしてみせよう!」という想いで制作に臨んでいる側面もあります。 ──確かにこのタイトルが日本から出てくる可能性は低いかもしれませんね。 F氏:  コンシューマー向けの作品を今も多く輩出しているアメリカは、昭和当時には経済的な敵対関係にあったわけですから、日本の文化コンテンツを肯定的に捉え吸収していた層の規模は中国の方がはるかに大きいわけです。そのため、アメリカでは作れない。日本では作れる環境がない。だからこそ「代わりを務めるべきなのではないか」という使命感が私たちを突き動かしています。  さらにはゲームでナチスからゾンビ、エイリアン、宇宙人などの侵略と被侵略の関係を描く際、アメリカでは似たような発想が多く新鮮味はさほどありません。日本では題材として扱うことがそもそも好ましく思われていない背景も踏まえると、私たちのような中国の小さなインディースタジオの手でなら、よそでは成し得ない作品づくりが実現できるのではないか、と思ったんです。  当然ながら、昭和以後に生まれた中国人の中にこれまで日本文化に詳しい、自分の記憶と作品で日本の皆さんに敬意と感謝を捧げたい人はもういないですから、いろんな意味で大事にしてほしいなと思いますね(笑)。 ──聞けば聞くほど奥が深いです。このタイトルが中国から生まれる必然性が身に染みてきました。 F氏:  こうしたモチベーションですから、開発自体は大変にぎやかな作業となっています。思いついたアイデアを互いに披露し合うミーティングでは、いつも笑いの声が絶えません。私たちもなるべく楽しもうというスタンスで開発に取り組んでいますし、これから触れるプレイヤーのみなさんにも同じように遊んでほしいと思っています。  また一方では、西洋の世界に東洋的な文化がどこまで通用するか、その可能性を試したいという意味合いも今回は込めています。地球規模で見ればいまだに西洋の価値観が主流ですが「逆に打ち負かしてやろう」ぐらいの気概を持ってチャレンジすることで、刺激を受けたクリエイターたちから次々と面白い作品が現れるかもしれません。 ■“例のプール”は日本の文化コンテンツを象徴するアイコン ──素晴らしいハングリー精神ですね。日本とアメリカ両国の象徴的な要素が融合した奇抜なビジュアルにも多くの反応が集まりました。これまでのお話から察せられる部分もありますが、あらためてこうした表現の意図について教えていただけたらと思います。 Luo氏:  もちろん、本作で提示したビジュアルなどはすべて狙いのうえです。先ほどお伝えしたように『鈴木爆発』や『蚊』など、売れ筋の本流から外れたユニークな作品の数々が生まれた時代を私たちは心から楽しんできました。  『バイオハザード』や『ファイナルファンタジー』といった大作シリーズにも夢中になりましたが、「こんなゲームでもアリなんじゃない?」という大らかな考えがより広く共有されてほしいと願っています。   ゲーム開発の立場からすれば、アイデアだけで勝負が可能な状況はとうに過ぎ去っているとも言えます。日中米の各国ではリスクへの挑戦を恐れ、既存の成功パターンを踏襲するメーカーが増えているように感じられます。しかしながら小規模なチームへの風当たりは強く、売れる売れないに関わらず面白い作品を生み出すこと自体が困難となっているのも事実です。  盤石な体制を有する企業は軒並み、『原神』などに代表されるスマホ向けのAAAタイトルを志向してきました。業界的には美しいビジュアルと高いクオリティの内容、圧倒的なボリュームを兼ね備えた作品がメジャーどころの“優れたゲーム”として浸透しています。際限なく奥行きあるプレイが楽しめる一方、遊び疲れたユーザーがやがて離れていってしまうようなタイトルがここ10年間で増えているのではないでしょうか。  こうした状況下では途方もない予算を投じた末に、期待された収益が達成できないことも珍しくありません。  しかし、ゲームの面白さは見た目だけに依るわけではないはずです。グラフィック単体で評価するならば、初代『ダークソウル』は決して優れた部類とは言えないでしょう。ですがそんな『ダークソウル』がたいへん面白いゲームであることはみなさんもよくご存知だと思います。  ゲームというものは「プレイそのものがいかに楽しめるかが重要だ」という本質に今一度立ち返り、ユーザーに負担をかけすぎず独特な楽しさを発見できる作品を私たちは実現したいと思っています。 F氏:  ゲームの中身がボリュームを増している点については、遊ぶ側だけでなく作る側にも疲弊をもたらします。それを否定するつもりはありませんが、私たちが目指すのは関わる全員が気楽に楽しめる方向性ですね。  世界中に浸透しているトヨタ自動車の「ジャストインタイム」【※5】という生産理念に例えると、「必要以上に作ったゲームは無駄になっていることもあるんじゃないか?」と思うんです。あまりにボリュームが多すぎて、途中でクリアを諦めたり、「ゲーム疲れ」になる現象も増えてきていると思います。ゲームのスタイルに正しいものも間違うものもなく、ただそれぞれあります。  つまり、いまはボリュームよりも、ゲーム自体の楽しさがより求められるようになってきているはずです。ですから、映画2~3本程度のリーズナブルで、気軽に楽しめるゲームがまた増えるでしょう。  ですので繰り返しにはなりますが、出発点としては意図や狙いというよりも自分たちが体験し触れてきた感覚をゲーム表現として実践したいという想いが先にあります。笑えるユーモアも交えつつ文化や言語の壁を超えていけるよう、ボイス音声はあえて日本語しか収録していません。『昭和米国物語』はあくまで日本を主軸とする作品ですからね。  英中の字幕表示にこそ対応しているものの、「キャラクターの会話や行動の内容を詳しく知りたければ、ぜひ日本語を学んでみてください」というのが私たちの姿勢です。しかし無理に勉強をしなくても充分に楽しめるタイトルではありますし、倦怠感を抱える世界中のゲーマーのみなさんに、これまでとは異なる角度から日米の文化を照らす一筋の光として本作を捧げたいという気持ちです。 ──弊誌の紹介ツイートが大きく伸びた要因として、“例のプール”【※6】とネット上で呼ばれる有名なロケーションの画像を投稿に用いた点が挙げられます。この場所をトレイラー内で使用したのは、どのような背景からなのでしょうか。 Luo氏:  一般的に語られる機会は少ないですが、日本のポルノ作品はアニメと同じくらいの規模で影響力を持つ文化的コンテンツなんですよ。欧米圏でのリアクションは少なかったものの、“例のプール”の登場にはアジア全体が「あの場所だ!」と鋭く反応しました。  とはいえ、決して脈絡なく用意したわけではありません。実際に作中でプールが必要な場面が出てくるんですね。そこでどんな形のものにしようかという議題になった際、再び天啓が訪れたのです。この件についてはちょっとしたイタズラ心も発揮してしまいました。  うちの女性アートディレクターにモデル素材を渡したところ、まるであの「例のプール」を知らないという様子だったのでしばらく黙っていたんです。本人は至って真面目に淡々と作業を進めていきました。  するとトレイラーの公開と同時に「“例のプール”じゃん!」とあらゆる言語でコメントが殺到し事情が明らかとなってしまいます。「一体どういうことですか! こんな不謹慎なものを作らせて…」と怒られたのは言うまでもありません(笑)。 F氏:  “例のプールは”、日本の文化コンテンツの象徴とも呼べる存在です。アニメ作品におけるツインテールのようなアイコンだといっても過言ではないでしょう。開発チームの中で遊び心が暴走して、こうした笑いを誘う結果を招いたエピソードは他にも数多くあります。 ■ほどよく笑えて楽しめるバランスを目指しつつ、過激すぎて「見せられない」描写も ──そのあたりのお話も気になりますね(笑)。本作はメインストーリーのほか、戦闘や探索に加えてミニゲームといった各種要素が伝えられています。ゲーム全体としての開発規模はどの程度を想定されていますか。まだ発表されていない見どころについても可能な範囲でお聞かせいただけたらと思います。 Luo氏:  まずメインストーリーでは、いくつかのフィールドを備えたオープンワールドに近い形式となっています。といっても“ハーフオープンワールド”ぐらいのものだと捉えてください。これを完全に目指そうとすれば、少なく見積もってもあと2年はかかってしまいますので(笑)。  サブクエストやコレクションといった要素も本編では楽しむことができます。まったくスルーしてもクリアは可能ですし、寄り道を満喫するのも自由です。  トレイラーの映像からは、『お姉チャンバラ』シリーズやゾンビ版『ニーア オートマタ』のような印象を受けるかもしれません。ですが実際の特徴としては、武器とスキルをさまざまに組み合わせて試せるようバトル面での工夫をしています。  武器の種類は非常に多くのバリエーションを用意しており、その中には表現の過激さからモザイクをかけざるを得ないようなものも含まれています。ゲーム史上いまだ類を見ないような武器の登場に、どうかご期待ください(笑)。トレイラーの第2弾も公開を控えているので、その際にいくつかお披露目できればと考えております。  また、エリア間の移動は基本的にキャンピングカーで行いますが、車にはいろいろな機能も搭載されています。武器やスキルのレベルアップをはじめ、ランニングマシンでステータスを上昇させるなどキャラクターの成長にも深く関わってきます。  そのほか、コレクション要素についても特筆すべき箇所と言えるでしょう。本作では昭和時代を体現する遺物の数々がマップ上に点在しており、持ち帰って車の中に飾ることが可能です。  もちろん単なる鑑賞用のアイテムではありません。キャラクターを強化したりスキルを解放する役割も与えられていて、「まさかこんな能力が?」と誰もが驚くような仕掛けやオマージュに満ちています。ところどころに散りばめられたイースターエッグもぜひ探し出してみてください。  戦闘の難易度は『ダークソウル』シリーズほど高くはないものの、ボタンを押すだけで無双できるという易しいものでもありません。それぞれの場面に適切な攻略法が用意されており、武器とスキルの組み合わせを上手く使わないと勝てない仕様となっています。プレイヤーにはそれなりの手応えを感じつつ、試行錯誤しながら独自の作戦を練り上げる楽しさを味わってもらえたらと思っています。 ──リリースの時期はいつごろを予定されていますか。 F氏:  2022年の末からその次の年あたりを考えてはおりますが、完成度やいかに笑えるポイントを盛り込んでいくかといったバランスが肝心なため、納得できるクオリティを目指して焦らず進めていきたいというのが本音のところです。 ──ありがとうございます。それでは最後の質問です。中国では新作タイトルのライセンス承認が厳格化されるなど、ゲーム産業への締め付けが強化されていると聞きます。こうした規制が開発に与えた影響や、制作にあたって苦労された点などがございましたらお知らせください。 Luo氏:  ご指摘の件については、国内のゲーム業界全体に大きな影響を与えています。ですが、そこには“諸刃の剣”のような一面が存在することも見逃せません。中国におけるゲーム産業の始まりは、2005~2006年と比較的最近です。それまでは世界の市場で主要な位置を占める他国のタイトルが一般的に親しまれていました。  ですが国内では2000年に「青少年に対する悪影響への懸念」を理由として、ゲーム機とゲームソフトの製造と販売を規制する「ゲーム機禁止令」【※7】が敷かれます。それによって芽が出始めていた国産のコンシューマー向けタイトルはほとんど全滅してしまったんです。記念すべき中国版PS2もその年に発売されましたが、まもなく規制のため幻の存在になりました。  また、韓国では時を同じくして『ディアブロ』ライクのPCゲームやオンラインゲームが台頭します。これらが中国へも流れ込み、当時の中国ゲーム産業の礎を作ったのです。コンシューマーは規制でやめざるを得ない一方、規制の対象外となるPC用のタイトルが圧倒的に増えました。  その中には利益だけを目的としたメーカーも多数存在し、ガワだけを取り替えたり数週間で適当に作られた“ゲームもどき”がはびこる時代が10年ほど続きましたが、当時のタイトルは1年足らずで飽きられてしまうものばかりでした。  そうしたオンラインゲーム界隈の動きに対して、コンシューマー側のユーザーは「こんなのはゲームとは呼べない」とマウントを取るわけですね。確かに開発者の立場からすると共感できる部分も少なくありません。  たとえば今年1月に出た報道では、このたびのオンラインゲームにおける審査の厳格化で約1万4000社ものメーカーが倒産したとされていますが、じつは今回の新たな規制で一掃されたのは大半がゲーム作りに真面目に向き合ってこなかった会社なのです。 ──それが“諸刃の剣”と仰っていた理由なのですね。 F氏:  はい。ここからはやや深い話になってしまうのですが、現在の中国のコンシューマー市場はいわば“ねじれた状態”にあります。  ゲーム業界白書などマクロ統計データによれば、中国ゲーム業界の総売上2300億元余りのうち、1%前後がコンシューマーのシェアだと言われています。実際、中国版のNintendo Switchは発売1年ぐらいで早くも100万台を突破しました。  一方で、中国国内で開発されたSwitch向けゲームソフトはたった30本余りにすぎません。これは矛盾しているように思えませんか?  一方でSteamに目を向けてみれば、中国で作られたアカウントの数は6000万にも上り、Steamのユーザー地域別では世界一となっています。つまり、統計データだけでは中国市場にコンシューマーゲームは絶望的に興味が感じられていないように見えますが、実際は世界でも有数の大市場なんです。  つまり、中国のゲーマーはコンシューマーゲームを遊びたいのに国内向けにほとんどゲームが出ないので、海外のコンシューマーゲームを遊んでいる……というねじれた状況にあるわけです。この点は海外メーカーが中国向けのセールスを展開する際にも意識する必要があるでしょう。  そうした動向は中国国内でコンシューマー向けタイトルを開発する場合にも当てはまります。あらかじめグローバルでの販売を念頭に置き、リリースへとつなげるのが望ましいのは間違いありません。  また、CEROのレーティングをはじめ各地域でのコンプライアンスに配慮した調整も求められてきます。中国では暴力描写に関しての規制が厳しく、戦う相手には人間の代わりにゾンビを採用する傾向が強いのですが、出血表現をオフにするなどの工夫により対策が可能なのです。 ──大変勉強になるお話でした。最後に日本の読者へ向けたメッセージをお伝えください。 Luo氏:  まずは私たちの作品に興味を持ってくださりありがとうございます。これから実際に楽しんでいただけるようクオリティの維持と並行して開発を進め、みなさまの期待を裏切らないリリースを目指していきたい所存です。  NEKCOMのスタッフは全員が漏れなくサブカルチャーに夢中な“オタクたち”です。だからこそストーリーの本筋はしっかり演出したうえで作品の中に各自の趣味やオマージュを入れ込み、思わず笑ってしまうようなユーモアも交えつつ創意と工夫の積み重ねを届けていきたいと考えています。  そのような私たちの想いを受け取られた方は、ぜひともTwitterやメールなどを通じて意見やご感想を送っていただけると嬉しいです。「こんなアイデアはどうでしょうか?」といったネタの提案も大歓迎ですので、どうぞお聞かせください(笑)。 F氏:  私自身はNEKCOMの社員ではないものの、半ばプロデューサーのような形で当初から本作の企画に携わってきました。声優やローカライズ回りの手配に加えライセンスの交渉も含めて深い部分で関わってはいますが、開発チームとは古くからの友人でもありサークル的な感じで楽しみながらやっています。  これからは日本のクリエイターや開発スタジオのみなさんとも何か面白いことを一緒にしたいです。このインタビューを読んで興味が湧いた方は、ぜひご連絡ください! 北海道から沖縄まで、日本中に私たちのことを伝えてください! ──ありがとうございました。(了)  インタビューを終え視線を手の平に落とすと、じわりと汗がにじんでいた。モニター越しの取材にも関わらず、ふたりの熱にすっかり当てられてしまったようだ。両名とも理路整然とした語り口ながら、その目にはイタズラな子どものような輝きが宿っており、心から楽しんで開発に向き合っている姿が想像できる。  振り返ってみれば、筆者も小学生のころは当時流行っていたマンガやアニメのネタを詰め込んだ自作のカードゲームを自由帳にしたため、休み時間に周囲へ披露して笑わせようとしていた時期があった。限られた時間でのやり取りではあったが、思いついたアイデアを形にしたい、そしてその先に他者への共感を呼び起こしたいという衝動は、創作活動における根源的な欲求として世代を問わず通じ合うものがあるのかもしれない。  『昭和米国物語』にも、そうした精神が息づいているのは言うまでもないだろう。童心を抱えた大人たちが正しさの檻に囚われることなく、国や歴史の境界線を超えて「私たちにしかできないことだから」と信じる道を突き進む様は見ていて痛快だ。  コロナ禍での開発の停滞や5名という少人数のチームでの作業を踏まえると、決して楽しい瞬間ばかりではないのも容易に思い浮かぶ。そんな中でLuo氏を勇気づけたのが日本発の楽曲であるという事実には胸を打たれるとともに、国内の文化へと関心を向け伝え残していく重要性もあらためて思い知らされた。  そして何より驚くべきは、昨今のゲーム業界に対する彼らの鋭いまなざしだ。「社運を賭けた作品」と称しつつ、同時にコミュニティの未来を照らす光としての願いも込めたという開発陣の少しおせっかいで温かな想いは、「ほら、これ見て!」と集めた宝物を友人に差し出す活発な同級生のイメージにも重なる。中国で生まれた“私たちの昭和”の物語が私たちの令和の一部となる日を、海を隔てたこの国で待ちたい。
電ファミニコゲーマー:dashimaru
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