AMEFURASSHI ガールクラッシュとアイドルの融合に挑む – 日経クロストレンド

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ライター
2021年のシングル『BAD GIRL』を機にK-POPグループのようなガールクラッシュ路線に舵(かじ)を切り、洗練されたダンスパフォーマンスとボーカル、ビジュアルとアートワークで、STARDUST planet(芸能事務所スターダストプロモーションのアイドルセクション。以下、スタプラ)のなかでも異色の存在感を放つ4人組ガールズユニット・AMEFURASSHI。18年11月の結成以来「アメフラっシ」としていたグループ名を、英字表記に一新し、5月24日リリースの2ndアルバム『Drop』では、シティポップやディスコファンクの風味漂う癖になる楽曲から、R&B、ハイパーポップなど幅広いジャンルを網羅。色彩豊かでありながら、統一感のある作品に仕上がった。アイドルとして新たな道を切り開こうとする彼女たちに、今後の野望と展望を聞く。
市川優月(以下、市川) グループ名が英字表記になったことは、私たちも正式に告げられたわけじゃなくて、Twitterを見て知ったんです。最初は、よくスペルを間違えましたね(笑)。「AMEFURASHHI」って書いちゃったり。
愛来(あいら) 表記が変わったからと言って何かが変わった感じはしないんですけど、ファンの方は「かっこいい名前になったね」って言ってくださってます。
市川 今の楽曲のイメージに合うグループ名になったのかなって思いますね。
愛来 『メタモルフォーズ』(20年)から新しい楽曲路線に挑戦していて、本格的に今のスタイルで活動するようになったのは『BAD GIRL』からなんです。
小島はな(以下、小島) 『BAD GIRL』を初めて聴いたとき、歌詞が全部英語なのかなって思ったよね。これまでの曲と雰囲気が違ったので、最初はびっくりしました。
愛来 方向転換したのはちょうど新型コロナウイルス感染症がはやり出したころなんですけど、声が出せないライブが続くなか、「パフォーマンスを見ることに集中できる、このスタイルは見やすい」っていう声をいただきました。もともと「変幻自在」っていうテーマを掲げていたので、ファンの方にも変化を受け入れてもらいやすかったのかな、と思います。
小島 歌い方も変わったよね。前は「歌詞をちゃんと聞き取れるように歌いなさい」って教えられていたんですけど、最近の曲は何を言ってるか分からないくらいで良い、むしろそれがかっこいいんだって、指導を受けています。
鈴木萌花(以下、鈴木) その上で、曲によっても歌い方を変えてます。レコーディングをしながら「こういうふうにやってみて」って指導をいただいて、都度工夫して作っていますね。
――好みの音楽やルーツはそれぞれ。K-POPをはじめ、洋楽やガールクラッシュになじみのないメンバーもいた。さらに楽曲の路線変更に伴い、これまでアイドルとして教えられてきたことを一度フラットにする必要があった。彼女たちのクールなパフォーマンスの裏には、並々ならぬ努力がある。
愛来 私はBLACKPINKさんが好きで、よく聴いているんです。だから、かっこいい楽曲が増えたのはうれしいですね。
鈴木 私も洋楽が好きなのでうれしいです。よく聴くのは、メロウラップ系のゆったりした曲。
市川 萌花、ずっと洋楽を聴いてるよね。みんなで筋トレするときのBGMにも、萌花はすっごいゆったりした洋楽を選ぶんです。
愛来 もっとアップテンポな曲にしてほしい。頑張れない!
鈴木 私は頑張れる。
市川 みんなは頑張れないよ(笑)。私は、日本の「ザ・王道アイドル」が好きなんです。例えば=LOVEさんみたいな、まさにかわいい系が大好き。かっこいい系のアイドルにはなじみがなかったし、自分には元気な曲が合ってるかなって思ってたので、今のAMEFURASSHIが歌っている大人っぽい、小悪魔みたいな曲を表現するのが最初はすごく苦手で……。新曲のレッスンのたびに泣いてました。
愛来 ゆづ(市川)は、普段あんまり泣かないんですよ。でも『メタモルフォーズ』のダンスがすごく難しくて、そのとき珍しく涙を見せたんです。
市川 みんなが上手にできているのを見て、自分に腹が立ってきちゃったんですよね。めちゃめちゃかっこよく踊ってるイメージが頭にはあるのに、いざやってみると全然できなくて、鏡に映っている自分の姿が嫌になっちゃって……。毎日、葛藤があって泣いてました。でも、メンバーみんなそうなんです。MV(ミュージックビデオ)撮影でも、1人ずつのシーンがあるじゃないですか。他3人の撮影を見てるとみんな泣いちゃうんですよ。はなも『BAD GIRL』のMV撮影のとき泣いてたよね。
小島 うん。みんなうまい、私はできてない、ヤバいって思って泣いちゃうんだよね。
市川 もっとかっこよく踊りたいのに、体がついていかない。まだまだ表現力が足りないんです。『メタモルフォーズ』以降、新しい見せ方を増やしていかないといけないことが多かったので、自分の引き出しのなさに気付いてしまったんですよね。
愛来 特に先生から指摘されるのは表情です。
小島 表情については私、本当に言われることが多いです。練習を動画で撮って見返してっていう作業がつらかったですね。見ていられなかった。
愛来 すべては、かっこよく表現したいからこその苦労だったり、悩みだよね。それに、もう戻れないというか(笑)。私たちには『バカップルになりたい!』っていうかわいい楽曲があるんですけど、それを久しぶりにやることになったとき、みんな本当にかわいくなくて。(笑)
市川 ダンスの先生に「ガニ股になってるよ」って言われちゃいました。だから、スタプラのアイドルの皆さんとご一緒させていただいたとき、コラボで踊るのが本当に難しくて。
愛来 ね、難しかった!
小島 自分たちの振りを覚えるより難しかったよね。
鈴木 今ではもう、このスタイルに慣れつつありますね。
――今後は、新規ファンやライト層を、ライブの魅力で引き込みたい思いだ。そのためには、AMEFURASSHIとの出会いの場となり得るリリースイベントを「楽しんでもらうこと」も重要と考えている。実際、2月から始まった『Drop』のイベントでは、ショッピングモールを中心に20カ所以上を回った。一方で、グループ名の表記を変えて路線変更を図りながらも、大切な楽曲は今後も歌いつないでいく。現にライブでは『Rain Makers!!』や『Staring at You』など、なじみの曲も披露。彼女たちが楽曲を愛していることはもちろん、既存ファンのニーズを捉え、離さない。
市川 ライブでは、かっこいい照明が当たるステージならではの、バチバチにきめたAMEFURASSHIを見てほしいんですけど、リリイベ(リリースイベント)はもっと近い距離でいたいんです。そこは、分けて考えていますね。
小島 リリイベの会場の近くを通る一般の方も、ファンの皆さんが盛り上がっているのを見ればきっと、足を止めたくなると思うんです。だから自然と、楽しい楽曲が多くなりますね。ライブに来る、私たちを好きでいてくださる方の前では「かっこいい今の私たち」を見せられるし、見せたいんです。だけどリリイベには、私たちを知らない方もたくさんいるので、その方たちに向けた踊り方や歌い方を意識しています。
市川 同じ曲を歌うにしても、リリイベとライブでは気持ちもちょっと違うよね。例えば『DROP DROP』はかっこよくきめる曲だけど、リリイベでは踊る楽しさを残している感覚です。同じ曲でも変化があるから飽きない、そうなればうれしいなって思います。
愛来 逆に「ライブならでは」も大切にしたいので、『Staring at You』はこれからも絶対にやると思います。
市川 やらなきゃ私が怒っちゃうよ、大好きだから。ライブでの『Staring at You』の一体感が大好きなんです。
愛来 曲中、メンバー同士でアイコンタクトして遊んだり、ファンの方と「ジャンプして!」みたいなコミュニケーションをとったり、すごく楽しい曲なんです。
小島 これからも一緒に楽しみたいですね。そして、初めてAMEFURASSHIのライブに来るよって方はぜひ『DROP DROP』だけは絶対に聴いてきてほしいです。まさに今の私たちを象徴する曲で、これを聴いてもらえばAMEFURASSHIが分かるっていう曲。ライブでもたくさんやってきて、ファンの皆さんにもなじみがある曲になってきました。
愛来 強いメッセージがある、挑発的な曲だよね。歌い方もいつもと変えて、癖のあるふうにしてみたり。ライブ会場で聴くとよく分かるんですけど、ベースのズドンっていう重低音が響く、迫力のある曲なんです。
鈴木 以前は『Rain Makers!!』が私たちのアンセムだったんですけど、新しい……(市川に)なんで笑うの?
市川 資料を見てるなぁと思ったら、そこに書いてある通りのことをしゃべり始めたから(笑)
鈴木 言わないでよー。やだ、もうしゃべりません私。
市川 ごめんごめん(笑)。新しい、何?
鈴木 ニューアンセムです。今のAMEFURASSHIのスタンスをシンプルに表したニューアンセム。ちなみに、AMEFURASSHI第1期を表したアンセムは『Rain Makers!!』だと思っています!
市川 分かりやすい説明、ありがとう(笑)
小島 「ジワジワ」とか「キニナルキニナル」とか、印象に残るフレーズにもハマってほしいですね。日常生活でも「キニナルキニナル」とか言っちゃうことがあるんです。
市川 「今日のお弁当、何?」「キニナルキニナル」って言っちゃう(笑)
愛来 皆さんにも使ってほしいです。
――2ndアルバム『Drop』は、既発シングル収録の6曲に加え、新たに5曲を収録した全11曲で構成。バラエティーに富んだラインアップで、“ニュー・ウエーブ・ガールズ・ポップ” AMEFURASSHIの「今」を表現した。日本のガールズグループ界に一石を投じる可能性を秘めた、ハイクオリティーかつチャレンジングな作品だ。
愛来 いい意味で統一されてなくて、楽曲の幅がすごく広い。曲順が絶妙に良くて、聴いていて楽しいんです。
小島 1曲ずつだとバラバラなのに、通して聴くと不思議とまとまってるのが面白いよね。
鈴木 1stアルバムとはまるで違う作品。グループ名の表記が変わったのと同じくらい、曲のタイトルや雰囲気も全部、変わりました。「今のAMEFURASSHIってこうなんだな」って知ってもらえると思いますし、同世代の子たちにもぜひ聴いてほしいです。私自身、自分がメンバーじゃなくても聴きたいなって思える曲ばっかりだから、もっと広がってほしいなって思ってます。
小島 私は、女性の皆さんに聴いてほしいかな。ファンの方も、最近は女性が増えたような気がしていて。ライブに「女性エリア」っていうものができたことが、すごくうれしいんです。
鈴木 じゃあ、皆さんにおすすめの曲は? 私は『ARTIFICIAL GIRL』と『Blue』。『ARTIFICIAL GIRL』は洋楽っぽい、聴いてて楽しい曲。『Blue』は落ち着いた感じの、メロウな曲です。
小島 私は『Drama』がおすすめ。K-POPでもJ-POPでもない、グルーヴィーな曲じゃない? Aメロ、Bメロは元気な感じなんですけど、サビで一気に落ちる感じがすごくかっこいいんです。今どきっぽい曲ですね。
市川 MVも新しく2曲撮ったので、楽しみにしていてほしいです!
小島 『MOI』と『Blue』を撮ったんですけど、雰囲気がまるで違うよね。『MOI』は最初に見たとき「映像が壊れたのかな?」って思いました。びっくりすると思います。
鈴木 編集がすごく面白いんですけど、これは見ないと分からないよね。YouTubeにもアップされるので、ぜひ見てほしいです。
――夏には、AMEFURASSHIにとっても主戦場といえるアイドルフェスが多数開催される。しかし今年は、単独ライブにも意欲的だ。自身らを「欲張り」だという彼女たち。自信作『Drop』と、磨き上げたパフォーマンスを武器に、既存のアイドルファンをつかむことはもちろん、ターゲットは広く広く。新しいアイドルの在り方を目指す。
鈴木 私たちを知らなくても、今はただ、アルバムを耳にしてもらえるだけでいいんです。私はSpotifyを使っているんですけど、流れてきた曲を「良いな」と思ったらプレイリストに入れて、好きになっていくんですね。偶然流れてきたときに「良いな」って思ってもらえる曲が『Drop』にはたくさんあるので、広く届いてほしい。ゆくゆくはグローバルな活動も目指していきたいです。
市川 YouTubeに海外の方がコメントしてくださることが増えて、すごくうれしいよね。いろんな人にAMEFURASSHIを宣伝していきたいなって思っています。
愛来 私たちはアイドルですけど、楽曲やパフォーマンスでいうと他のアイドルの皆さんとは違うやり方だから、正直なところまだ、在り方を探している最中なんです。だけど、アイドル好きの方にも、実力のあるアーティストさんが好きな方にも、みんなに好かれるような存在になりたい。
市川 どっちかの形にとらわれず、その間を行きたいよね。「アイドルに興味ない」っていう方にも知っていただきたいし、もともとアイドルが好きな方にも入ってきていただきやすい存在でありたいです。
小島 いろんなところにわなを張っとこうって気持ちでいます。新しいアイドルの道を開いていきたい。
市川 欲張りなので、私たち(笑)
(写真/佐賀章広)
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新 亜希子
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