BTSの原点となった韓国ヒップホップのレジェンド「EPIK HIGH」 リーダー・TABLO氏の言葉を紐解く(レビュー)(Book Bang) – Yahoo!ニュース – Yahoo!ニュース


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『BLONOTE』を上梓したEPIK HIGHリーダーのタブロ氏
2016年10月1日、BTSの公式Twitterで1冊の本が紹介された。リーダー・RMの胸にしっかりと抱きしめられた書籍のタイトルは『BLONOTE』。BTSメンバーのRM、SUGAの音楽の原点のひとつとして知られる「EPIK HIGH(エピック・ハイ)」のリーダー・TABLO氏の言葉を集めたメッセージ集である。この投稿をきっかけに世界中で大きな話題となり、この度日本でも『BLONOTE』の邦訳版が発売された。  今回は韓国大衆文化ジャーナリスト、そしてラジオDJとして数多くの韓国アーティストを日本で紹介する古家正亨氏が、『BLONOTE』の魅力を解説する。
 筆者が初めて著者であるTABLO氏に会ったのは、Woollimエンターテインメントに所属時代の2004年。セカンドフルアルバム『High Society』をリリースしたタイミングだった。  2000年代初頭のK-POPシーンは、R&Bをベースとしたナンバーがヒットの主流を成しており、ことHIP HOPに関してはかなりアンダーグラウンドなイメージが先行していた。Mnetが『SHOW ME THE MONEY』を放送し、HIP HOPをはじめとするアーバンミュージックがチャートの上位を席巻する今を考えれば、想像できないかもしれないが、当時のHIP HOPといえば、まだマニアックなジャンルというイメージが韓国では強かったのだ。 しかし、当時は韓国の音楽市場で音源・音盤の販売に占めるCDの割合が高かったため、小さなファン・コミュニティーさえ存在していれば、アーティストたちは食べていけるほどの稼ぎを得ることはできた。しかも、流行に敏感な若者たちは、当時アメリカで人気を集めていたHIP HOPファッションに興味を持ち、その源流である音楽に対しても自然と関心が高まっていったことで、ソウルの弘大周辺にはHIP HOP中心のクラブも数多く誕生。規模としては決して大きくはなかったが、ある程度、韓国のHIP HOP経済圏は安定していたのである。  ところがLeessang、Drunken Tiger、MC SniperといったHIP HOP界のスターが誕生すると、彼らの活躍の場は弘大のクラブではなく地上波の音楽番組となり、HIP HOP界の地位は向上したものの、それを支えてきたアンダーグラウンドのHIP HOP界は衰退を余儀なくされ、アイドルの台頭やMP3の普及によるCD市場の低迷によって、わずか数年で韓国のHIP HOP界は栄枯盛衰を味わうこととなった。 そういった状況に、2003年彗星の如く現れたのが、先に紹介したTABLO氏を中心とし、MITHRA JIN氏、DJ TUKUTZ氏の3人で構成されたHIP HOPグループ“EPIK HIGH”である。  彼らの登場が画期的だったのは、EPIK HIGH というグループ名に込められた「詩に酔いしれた状態」「叙事詩的な偉大さ」という意味を具現化させた歌詞を、ポップで洗練されたトラックで聴かせることで、HIP HOPに興味のなかった層に対して、それを「聴きたい」と思わせるきっかけを作ったことだった。またTABLO氏の書く歌詞は、もちろんその時々の社会を皮肉り、時に痛烈に批判するが、それをまるでディベートで相手を諭すように、決して隙を与えない。それは彼の言葉の1つひとつが、日常に存在するあらゆる“共感”によって綴られているからこそ、多くの人々の心に響いたのだと言えるだろう。  話は戻るが、アルバム『High Society』のタイトル曲にあたる「Peace Day」が大ヒットし、“韓国のHIP HOP界の救世主”として、もてはやされていた真っ只中で、ソウルで筆者のインタビューに応えてくれたTABLO氏だったが、決してそれに満足するわけでも、驕ることもなく、「Peace Day」のミュージックビデオの前半に登場する、眼鏡をかけた真面目なイメージそのままのインテリジェンスな魅力を身に纏った、これまで見たことのないタイプのHIP HOPアーティストだったことを鮮烈に記憶している。  そんな彼に「音楽的な源泉はどこにあるのか」と尋ねると、「日常の風景にある」と答えてくれた。ごくありふれた回答に感じるこの言葉には、実は深い意味が隠されていた。彼は当時(筆者が行ったインタビュー音源を聴く限り)、「If」という言葉があまり好きではなかったようだ。つまり「もしあの時、こうしていれば良かった」と思うくらいなら、その時々に、もっと悩んで、苦労して、答えを出すべきだったと。そうすれば、その答えが決して自分にとって良いとは言えない結果をもたらしたとしても、後悔はないに違いない。つまり「If」という言葉なんて思い浮かびもしないだろうと。しかし日常には多くの「If」が存在しており、彼はそれを歌詞というツールで紐解いていくことで、少しでも自分の周りにある「If」を解消したい。そんな想いがあったようだ。 幼少期から海外を転々とし、有名大学を卒業。“HIP HOP界の寵児”と言われ、大人気女優と結婚し、絵にかいたようなエリート&スター街道を歩いてきた彼だが、その道のりは決して平坦でなかったことは、ファンの知るところである。しかしその1つひとつの経験が、血となり肉となった彼から生まれる言葉には、計り知れない説得力が宿っている。 そんな彼がラジオのDJを務めるのは必然だったのかもしれない。TABLO氏は『TABLOと夢見るラジオ』(韓国MBC2008~2009年、2014~2015年)で、現代の吟遊詩人として、言葉のプロとして、リスナーにその想いを届けてきた。そしてその空間には、構成作家ではなく、彼の姿がしっかりと見える言葉が溢れていたのが印象深い。そんな番組から誕生したのが、今回日本語版が出版された『BLONOTE』である。 ちなみに、韓国と日本のラジオでは番組の作り方や構成がまるで異なることを指摘しておきたい。 日本のラジオ番組は基本フリーフォーマットであり、各局が自由にタイムテーブルを作り、時間としての枠制限を持たず、基本、どのような番組を作っても支障はない。 しかし韓国の場合は、すべてのラジオ局で1番組は2時間構成となっており、深夜を除き基本生放送。途中時報やニュース、交通情報を挟むのも決まりのため、2時間番組は前後半の2部構成という番組がほとんどで、その内容はフリートークに聴こえるが、実は(ほぼ)女性の構成作家によって内容がほぼ決められ、構成どおりに番組を進行するパターンが圧倒的に多いのだ。つまり、おしゃべりでラジオDJの個性を出しにくいのは、韓国のほうなのである。しかし、そういった中で彼の番組は、彼の言葉によって、しっかり作られた稀な番組だったように感じてならない。
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