ビジネス視点で考える「推し活」グッズ開発のヒント| – @DIME


「推し」がいるのは、もはや当たり前の時代となり、その影響力は想像以上に大きいことがアンケート結果よりわかった。同時にその推しを追いかけるため、楽しむために活用する、グッズをはじめとした推し活ビジネスは今後さらに期待がかかるジャンルといえそうだ。そこで、早期から推し活ビジネスに取り組んできた専門企業に、推しビジネスの現状や、推し活グッズ開発のポイントを聞いた。
ブルーレイディスクレコーダー「全自動ディーガ」を手がけるパナソニックが2022年4月に、「現在、推し活をしている」20代~50代の女性500名を対象にアンケート調査を行った。ここで言う「推し活」とは、「自分にとって“イチオシ”の人や物事など=『推し』に対して、応援など情熱を注ぐ活動」を指している。
この調査では、女性たちの推し活状況を知ることができる。
推し活の対象のジャンルとして多かったのは、「アイドル(性別問わず)」(37.0%)、「アーティスト(音楽活動をする歌手、奏者)」(30.7%)の2つで、次いで「K-POPアイドル・アーティスト」(18.4%)、「アニメ(コンテンツ自体やキャラクターを含む)」(17.7%)、「漫画(コンテンツ自体やキャラクターを含む)」(16.8%)などだった。
普段の推し活の活動内容のトップ3は「公式SNSのチェック」(68.4%)、「DVD/ブルーレイ鑑賞(映像鑑賞)」(60.2%)、「テレビ番組の録画(58.6%)」に。

推し活を快適に行っていくためには、グッズ・アイテム以外に、「スマートフォン」(92.2%)、「SNS」(76.2%)、「動画サービス・プラットフォーム」(67.2%)や「テレビ」(64.2%)、「録画機器(DVD/ブルーレイレコーダーなど)」(54.4%)と続いた。

推し活を通じて得たものについて質問すると、トップ3は「楽しみ」(76.2%)、「活力・元気」(63.8%)、「幸せ」(63.0%)となった。

また、「あなたは『推し活』を通じて、人生が変わったと思いますか?」と聞いたところ、92.2%とほとんどが「思う」と回答した。

推し活はスマートフォンを中心に日々、女性の間で活発に行われており、楽しみや元気、幸福感をもたらし、人生を変えるほどの影響力を持っていることが分かった。

近年、オタク市場は伸びているといわれるが、そのうち、推し活市場や推しビジネスについては、どのような状況なのだろうか。
ノベルティグッズやライブコンサートグッズ、キャラクターグッズなどの企画製作を行う株式会社トランスは、「推しビジネス研究所(仮)」において推しビジネスを研究するなどして推し活に詳しい。そこで同社のWEBディレクター白峯アサコ氏と、エンタテイメントプロダクツ1部部長 有田優子氏の2名に、推しビジネスの現状について聞いた。
「推しビジネスの盛り上がり状況はSNSで知ることができます。Instagramのハッシュタグ『#推し活』や『#オタ活』、『#推しのいる生活』を見ると、それぞれ50万~100万件と、膨大な数の投稿があります。さらに、数値だけでは見えにくい、推し活が具体的にどういったものなのか、推し活をする人たちが日々何を感じ、何を楽しんでいるのか、何を欲しているのか、などをInstagramの投稿写真やTwitterのつぶやきから知ることができます。
ジャニーズやKPOPアイドルなど3次元推し活の様子はInstagramがメインの情報源に、アニメやゲーム、VTuberなどいわゆるオタ活や2次元推し活はTwitterがメインの情報源になります。
Twitterは、Instagramに比べてハッシュタグでの数値データが取りにくいように思われますが、リリース情報やアニメ放送時間帯のTwitterトレンドやTwitterキーワード検索を追いかけると、リアルタイムでのファンの反応が見えてきます」
推しビジネスは、なぜこれほどまでに盛り上がっているのだろうか。その背景について白峯氏と有田氏は次のように述べる。
「オタ活、推し活というものは『これをするのが推し活』という決まりはなく、自分の好きな形で好きなものを楽しむ活動のことを指します。そこには、ひとりひとりの創意工夫があります。自分が見つけたグッズや、編み出した遊びを『買ってみたらいいものだったよ!』『こんな遊び方したら面白かったよ!』とSNSで発信すると、それに呼応して他の人も『私もやってみた!』と広げていく。そういったエネルギーがあるのが推し活市場かと思います」
「コロナ禍でエンタメビジネスとそのファンも大きな影響を受けました。所得減少・物価上昇により普段の生活も今までに比べて厳しくなった人も多いかと思います。そんな中でも、自分の好きなモノを楽しみたい、推しを応援したいという『オタク消費』『応援消費』のエネルギーは、他の消費に比べて衰えていないように感じています。
例えば、楽しみにしていた推しのライブが中止になってしまったとします。『だったらホテルを取ってケーキを注文して盛大に推しの生誕祭をやろう』『払い戻したチケット代で推しのグッズを買って応援しよう』さらには『推しだって中止は悔しいはず。今こそ私たちで推しを支えるぞ!』など、積極的に楽しみを作り出します」
こうした背景から、推し活にまつわる商品やサービスは、推しの肖像やキャラ絵を立体加工したアクリルスタンド(アクスタ)など推しグッズをはじめ、ケーキ、ドリンク、レンタルスペース、ホテル、クラウドファンディングなど、今までよりも多岐に広がり、推し活関連ビジネスの活性化につながっているのではないでしょうか」
推し活に関連するグッズは、今後も需要が高まると考えられる。そうしたグッズを作るためのポイントにはどんなことにあるのだろうか。これまでの制作実績をもとに聞いてみた。
まず、年代によって、好まれる推し活グッズやサービスの傾向は異なるという。ターゲットの年代をあらかじめ定めておく必要がありそうだ。それぞれの年代別の傾向について挙げてもらった。
チェキホルダー(画像出典:トランスホームページ
「10代には、リーズナブルな価格帯のペンやノートなどの文具や小物など、学校に持参しても問題なさそうなものが好まれます。肖像やキャラ絵のトレーディングカードやインスタントカメラ『チェキ』で撮影した写真、アクスタをケースに入れてデコレーションし、いつも持ち歩いています。まだ自分で何でも買える年代ではないので、手に入れた推しのグッズを保護するケースやポーチ、グッズそのものなどを、アレンジしたり手作りしたりする傾向があります」
「20代には、ファッショントレンドを取り入れたコラボや推し色コーデに使えるようなアパレルグッズ、ファッションアイテムが好まれます。推しのライブ参戦やメイクもファッションもばっちり仕上げて臨む、おしゃれにも余念がない世代です。推し活する自分の姿をSNSへ投稿するので、SNS映えするカフェやドリンクも大好きです。
最近は、名入れや色選びをカスタマイズができる香水やドリンク、キーリングハンガー(※)が人気のようです」
※スマホケースに装着する短いストラップや、スマホケースの背面につけるストラップなどのこと。
「30代以上には、デザイン性が高いアパレルグッズやアクセサリー、造形の細かいフィギュアや装丁の美しい画集などのコレクショングッズが好まれます。トレンド性や金額にはあまりこだわらず、品質の良いものなら手にする、という傾向の世代なので高価格帯でも価値を見出したら手に取ります」
「どの年代でも常に一定の需要があるのは、アクスタや推しぬい(ぬいぐるみ)です。いつも持ち歩くのか、部屋に飾るのか、年代で愛で方に違いはあります。最近はアクスタや推しぬいの写真が撮れるように、推し活需要を見越したカフェなどでは、フォトスペースやライティングサービスを提供する店舗も見かけます」
推し活関連グッズを開発するに当たって、どのようなことをポイントとしているのか。次の3つがあるという。
「推し活は、トレカ、アクスタ、うちわ、ぬいぐるみ、フィギュアなど推しのオフィシャルグッズありきで楽しまれています。そうしたグッズを保護・保管するためのチェキホルダーやトレカケース、アクスタケースの需要も高まっています。こうしたアイテムには、便利で、手軽で、可愛いものが求められます。推し活を取り巻く生活シーンを観察し、どのような愛で方(使い方)をしているかを把握することも、開発のポイントだと思います。そして、どんどん新たな愛で方が生まれて伝播していくので、継続的にキャッチアップしていくことも重要です」
「アイドルやキャラの持つイメージカラーは『推し色』と呼ばれます。戦隊モノで言えば、レッドが推しなら推し色は赤。バッグ、ポーチ、コーデを推し色でまとめたい人は多いですが、いくら推し色が赤でも全身真っ赤にはしません。くすみカラーが人気の昨今では、ワインレッドやピンクなど同系色を組み合わせてコーデします。ですので、推し活グッズにも、くすみカラーを取り入れたほうが手に取ってもらいやすいのです。こうしたファッショントレンドをチェックしておくことも、推し活に付随する商品開発には重要になってくると思います」
「10代後半~20代のZ世代と呼ばれる年代は、推し活市場の中心にいます。彼らは、韓国ファッショントレンドに敏感で、中国ECサイトも使いこなし、モノだけでなく、体験を買う消費傾向もあります。日本の推し活トレンドの中には、KPOP発祥のものや中国コスメ由来のもの、グッズをカスタマイズして購入する“過程を楽しむ”体験消費などが見られます。Z世代ニーズの把握は、ダイレクトに推し活商品開発につながっていると感じています」
推し活は人の生活、及び人生にポジティブな影響をもたらしているというアンケート結果が出た。それを踏まえると、推し活市場は想像以上にさらに大きな規模に発展していく可能性もある。いち早く、ビジネスの種を見つけておくのも良いのではないだろうか。
【調査出典】
パナソニック「20~50代女性「推し活」に関する調査」
【取材協力】
トランス「推しビジネス研究所(仮)」
取材・文/石原亜香利
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