今や最大の人気指標とも言われるInstagramのフォロワー数。日本男性タレントの中で１位なのは誰かご存知だろうか？ それは現在日本ツアー真っ最中の、韓国のアイドルグループ・NCT127のユウタ（26）だ。
こう聞いて、正直「誰？」と思った人が多いのではないだろうか。
現在、ユウタに次ぐ日本男性２位のフォロワー数を持つのは山下智久。そして３位が山崎賢人だ。しかしその数となると、ユウタが800万以上であるのに対して、山下と山崎の２人は400万台。まさに倍近い差をつけているのである。
それどころかユウタは、日本人タレント１位の渡辺直美にすらあと100万ほどと頂点に迫る勢いだ。これほどの人気を誇るユウタとは一体何者なのか。なぜ彼は、日本ではなく韓国で活躍するアイドルながらここまで飛躍したのか。その背景を探ってみた。
「ユウタが活躍しているのはNCT127という10人組のアイドルグループ。東方神起などを生み出した、韓国の大手事務所・SMエンターテイメントが手がけるグループです。彼はSMで初の日本人練習生となり見事デビューを勝ち得ました。
今でこそ韓流グループに日本人メンバーがいることは珍しくなくなりましたが、彼はいわゆる先駆け的存在。当時はK-POP界での反日感情も今以上に強く、初めてやって来た日本人練習生に対する差別や嫌がらせは相当なものがあったことでしょう。おそらくですが、そこで彼は血のにじむような努力を重ね、実力でデビューを勝ち取った。そんなガッツある若者です」（音楽ライター）
とはいえ、デビュー後もユウタは思うような活躍を見せられずにいた。歌、ダンスともに実力は高く評価されていたが、ファンの間では「パフォーマンス中もユウタだけ画面に映らないことが頻繁にある。まるでユウタがいないグループみたいになっている」とささやかれているなど、障壁も少なくなかったようだ。
しかしNCT127が韓国デビューしてから５年。ユウタに対する風向きが変わり始める。それは先に触れたInstagramの開設だ。
「ユウタがインスタを始めたのは20年の３月。その前年、ワールドツアーを成功させ人気を高めたところでの開設だったので、一気にフォロワーがついたようです。そのインスタでユウタは、グループ活動ではなかなか出せなかった日本人ならではのオリジナリティを発揮します。それが今までの韓流アイドルとは一味違う魅力となって、ブレイクにつながったのです」（前出の音楽ライター）
ではそのユウタの、他の韓流アイドルにはない魅力とは一体何なのか。K-POP事情に詳しい音楽レーベルPRの女性に話を聞いた。
「ユウタがブレイクした最大の理由は、そのキャラクターにあると思います。K-POPの男性アイドルといえば、アイドルながら男らしいところが魅力です。ユウタも男らしいのですが、そこは日本人。韓国男性の、分かりやすくマッチョで頼りがいがある男らしさとは違い、多くは語らないけれども誰よりも仲間思いで静かに皆を守っている、という印象です。
たとえばメンバーの誕生日には必ずプレゼントを贈るとか、ふとしたときにさっと手を差し伸べるとか。韓国には『サセン』と言われるストーカーまがいのファンがいるのですが、ユウタは珍しくサセンに真っすぐキレたことで注目を集めました。きっとメンバーを守りたい思いもあったのでしょう。
一方でユウタは大阪人ならではの面白さと可愛らしさも兼ね備えています。そのギャップがかわいくて、メンバー内で一番人気があるメンバーとも言われています。でも頑固なほどにマジメなところがあり、ステージ上ではあまりそういったくだけた部分は見せない。そんなふうにユウタの魅力は一目見て分かるものではなく、やや時間がかかる。ジワジワと魅力が知られてきたタイミングでインスタを開設したので、一気に火がついたのかもしれません」
もう一つ、日本人メンバーであるがゆえの特性がプラスに働いているようだ。
「ユウタもデビューから数年はK-POP色が強く、かわいいけれどダンスはカッコいい、というよくいる韓流アイドルでした。ところがある頃からか急激に“氷室京介”化してきて(笑)、日本っぽいロックな雰囲気を打ち出し始めたのです。でもダンスはオーソドックスなK-POPダンス。そんなギャップが、他のK-POPアイドルには見られなくて新鮮に映っているよう。インスタでも、彼のロックな世界観は存分に発揮されています。
ユウタはいわば、反日感情の強い韓国で、初めて本格的なデビューを果たした日本人男性K-POPアイドル。事務所も慎重になるのは当然で、なかなか日本人的な個性を打ち出すことが許されなかった。それがインスタというソロの舞台を得て、開花したのではないでしょうか。
先日の東京ドーム公演では、ユウタだけソロカットが映らないシーンがあってファンからクレームが殺到したなど、まだまだ困難は続くかもしれません。でも今のインスタの勢いを見る限りは、ユウタ人気はさらに高まりこそすれ、衰えることはないでしょう」（音楽誌編集者）
思えばフォロワー数２、３位の山下智久、山崎賢人も、ネットフリックスやHuluなど、世界を市場とした配信系ドラマで活躍している。様々なハンディを乗り越えワールドワイドに活躍する若者たちの姿を見ることは、何とも勇気をもらえるものだ。
取材・文：奈々子
愛媛県出身。放送局勤務を経てフリーライターに。タレントのインタビュー、流行事象の分析記事を専門としており、連ドラ、話題の邦画のチェックは欠かさない。雑誌業界では有名な美人ライター
写真：Splash／アフロ
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