次世代ボーイバンド WATWING、大橋ちっぽけとの必然のコラボ 「Honey, You!」から紐解くグループのアーティスト性 – リアルサウンド

 ホリプロ主催のオーディションをきっかけに結成されたWATWING。メンバーの6人全員がリードボーカルかつメインダンサーという次世代ボーイバンドだ。
 2021年9月にEP「Take off,」でメジャーデビューを果たしたWATWING。彼らの音楽の軸になっているのは、欧米のボーイバンドの潮流を感じさせるサウンドだ。1990年代のBackstreet Boys、Take That、`NSYNC、2000年代のWestlife、Jonas Brothers、Blue、2010年代のOne Direction、Big Time Rush、The Wanted。アイドルポップ、R&B系、ロックバンドまでスタイルは様々だが、その時代を象徴するグループが次々と登場し、世界的ヒットチューンを生み出してきた。日本ではジャニーズやLDH、そして2010年代以降はK-POPの影響を感じさせるグループが主流になっているが、WATWINGはその流れとは一線を画している。その方向性を端的に言えば、“欧米のボーイバンドのテイストを日本語のポップソングとして昇華させる”ということになるだろう。
 気鋭のアーティストとコラボ企画第1弾としてリリースされる新曲「Honey, You!」は、メジャーデビューから1年弱の間に築き上げてきたWATWINGのスタイルをさらに推し進めた楽曲だ。作詞・作曲は「常緑」のヒットで知名度を高めた1998年生まれのシンガーソングライター、大橋ちっぽけ。WATWINGの髙橋颯、鈴木曉(ともに1998年生まれ)、古幡亮(1997年生まれ)、八村倫太郎(1999年生まれ)と同世代のアーティストだ(桑山隆太、福澤希空は2004年生まれ)。
 楽曲の制作に際しては、メンバー自身でミーティングを重ね、テーマや方向性を確認。そのアイデアをもとにスタッフが大橋と具体的なサウンドや歌詞の内容について話し合ったという。以前からOne DirectionやThe 1975といった同時代のグローバルポップ、インディーロックからの影響を公言していた大橋、そして、前述した通り、欧米のボーイバンドのスタイルを取り入れ、この国の新しいポップスの在り方を提示しようとしているWATWING。両者のコラボレーションは必然と言っていい。
 軽快なギターカッティング、透明感のあるシンセ、心地よくグルーヴするビートが有機的に絡み合う「Honey, You!」。愛らしさ、切なさ、開放感を併せ持ったメロディを含め、リスナーの心と身体をナチュラルに揺らすポップチューンに仕上がっている。ギターポップ的な手触りと現代的なダンスミュージックを融合させたサウンドメイクは、大橋の「常緑」や「嫌でもね」といった楽曲にも共通している。つまりこの曲には、WATWINGのスタイルと大橋自身の最新モードがバランスよく共存しているのだ。スクラッチ、ラップを取り入れたミクスチャー感も楽しい。
 〈「しっぱい」も「まちがい」も僕にだけは見せてほしいんだ〉〈だから僕は 僕だけは信じてほしいよ〉というリリックも心に残る。楽曲に登場する“君”は、自分の弱さを隠し、周囲からのイメージを気にしてしまいがちな女の子。彼女に対して、“完璧じゃなくていい。君の全部を受け入れるよ”とメッセージする「Honey, You!」の歌詞の内容はやはり、海外のポップソングの雰囲気が色濃く反映されている。超ストレートな感情表現を洋楽的なフロウに乗せるメンバー6人のボーカルも絶品。特に〈愛しているよ〉というワードを愛らしく響かせる八村倫太郎の歌声は、この楽曲のスイートスポットだろう。
 6月18日に東京・Veats SHIBUYAで行われたワンマンライブ『WATWING ONEMAN LIVE~IN-FLIGHT~』で「Honey, You!」を初披露。優れたポップネスをたたえたサウンド、メンバー全員のボーカルの良さが際立つメロディ、そして、“WATWINGポーズ”(手で”W”の形を作って羽のように見せる)をハートに変えた“WATWINGハート”を取り入れたパフォーマンスによってオーディエンスを惹きつけた。今後のライブでも大きな役割を果たすことになりそうだ。
 来年1月にはZeppツアーの開催も決定。「Honey, You!」から始まったコラボ企画によって彼らのポテンシャルは大きく引き上げられるはず。日本のボーイバンドの新たな潮流を生み出す存在として、WATWINGへの注目度はさらに高まっていきそうだ。

■リリース情報
WATWING New Single 「Honey, You!」
2022年7月13日(水)Digital Release
収録内容
①Honey, You!
配信はこちら
<アートワーク>
Art Direction & Design by Yoshiaki Morita (TAX)
Photograph by Yutaro Tagawa (CEKAI)
Styling by Hideyuki Kanemitsu (CEKAI)
Hair & Make by Taro Yoshida (W)
WATWING関連リンク
WATWING公式HP:https://watwing-info.com/
WATWING公式Twitter:https://twitter.com/watwing_info
WATWING公式Instagram:https://www.instagram.com/watwing_official/
WATWING公式TikTok:https://www.tiktok.com/@watwing_official
TOY’S FACTORY:https://www.toysfactory.co.jp/
音楽ライター/バンド、シンガーソングライターからアニソンまで、日本のポピュラーミュージックの全般が守備範囲。楽曲の背景にあるもの、音楽的な構造を考えるのが好きです。
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