韓国エンタメはなぜ世界で躍進できるのか コロナ禍でデジタル技術がさらに進歩 – ENCOUNT

K-POP、韓国ドラマ、映画、ウェブトゥーン……。韓国エンタメが世界を席巻している。日本でもBTS、TWICE、SEVENTEENのほか第4世代ガールズグループと呼ばれるaespa、IVE、宮脇咲良が参加しているLE SSERAFIMらが続々と上陸。Netflixの大ヒットドラマ「梨泰院クラス」の日本版リメークである「六本木クラス」もテレビ朝日系で放送されている。韓国エンタメの強さはどこにあるのか。「韓国エンタメはなぜ世界で成功したのか」(文春新書)の著者であるソウル在住ジャーナリストの菅野朋子さんに聞いた。今回はインタビュー後編。
 K-POP、韓国ドラマ、映画、ウェブトゥーン……。韓国エンタメが世界を席巻している。日本でもBTS、TWICE、SEVENTEENのほか第4世代ガールズグループと呼ばれるaespa、IVE、宮脇咲良が参加しているLE SSERAFIMらが続々と上陸。Netflixの大ヒットドラマ「梨泰院クラス」の日本版リメークである「六本木クラス」もテレビ朝日系で放送されている。韓国エンタメの強さはどこにあるのか。「韓国エンタメはなぜ世界で成功したのか」(文春新書)の著者であるソウル在住ジャーナリストの菅野朋子さんに聞いた。今回はインタビュー後編。(取材・文=鄭孝俊)
――韓国エンタメが躍進している理由は何でしょう?
「韓国のデジタル技術を使ったエンタメはコロナ禍でさらに進歩したように見えます。今年4月には芸能ニュースメディアの『ディスパッチ』がメタバースを使って、仮想の舞台でアイドルに会えるK-POPフェスティバルを開催しました。K-POPや韓ドラの情報はSNSで大量に拡散されているため日本でも韓国エンタメに詳しい若者が増えています。K-POPが日本の若者の間で人気だということは聞いてはいましたが、日本にいる友人、知人の子どもが『BTSが好きだから韓国に行きたい』という理由でこちらの大学や語学学校に留学するケースが実際に起こり始めました。K-POPアイドルを目指して韓国の大手芸能事務所のオーディションを受け練習生として韓国にやって来る日本の若者も増えているようです。もちろんデビューまでには激烈な競争を勝ち抜かなければなりませんが、もしデビューできればその先に見えるのは米国や日本など世界でのステージです。Netflixの韓国ドラマと同じように世界に自分の名前を知ってもらえるまたとないチャンスです。日本にいてはかなえられない夢でも韓国でならできるという思いがあるのでしょう」
――しかし、夢をかなえられる人はほんの一握りですし、韓国のアイドルシステムにも批判があります。
「BTSが6月に公式チャンネル『BANGTAN TV』でグループ活動の休止を発表したとのニュースが出ました。リーダーのRMは『Kポップアイドルというシステム自体が人を成熟させない』と話しました。練習生やアイドルは連日練習に明け暮れ共同生活をすることによって所属事務所に管理されます。普通の日常との関わりが閉ざされてしまうので、大人として成長する幅を狭めてしまう。所属事務所はメンタル管理を行っていると聞きますが、これはK-POP界にとっての課題でしょう。BTSは2019年に1か月の長期休暇を取得して自由行動を楽しみました。スーパースターのBTSだから可能だったともいわれますが、所属事務所はRMの問いにこたえなければいけないのではないでしょうか」
――そのBTSの兵役をめぐる議論はどうなっていますか。
「20年12月に韓国国会で兵役法が改正され入隊延期の対象として『大衆文化の優秀者』が追加されました。BTSしか該当しなかったので別名『BTS法』と呼ばれましたが、これによりBTSの最年長メンバーのジンが入隊期限直前で延期が可能になりました。兵役は韓国男性の義務で原則満20歳から28歳までに兵役に応じないといけません。主に理工系の修士・博士課程の在籍者や修了者は軍が指定する研究機関や企業での勤務を兵役服務として代替することができたり、医学的に激務に耐えられない場合は役所や福祉施設で働く社会服務要員というコースもあったりしますが、いずれもひと月ほどの軍事訓練が義務です。兵役が免除される制度としては『兵役特例制度』があり、五輪やアジア競技大会で金メダルを獲得した者、国際芸術コンクール2位以上の入賞者など国際的業績を上げて国威発揚に貢献した者が対象です。BTSの兵役免除については21年11月の国会で議論された後、動きがなかったのですが、今月初めに韓国の国防相が『兵役中も練習時間や海外公演ができるようにする方法を考えている』と話して話題になりました。この発言を受けて文化体育観光相も『BTSの兵役特例について世論を収斂(しゅうれん)する』と話しましたが、今のところどうなるかは不透明です。韓国では兵役に就きたい人は誰もいないといわれていて、兵役忌避しようとした、または忌避した芸能人もいました。例えば、97年にデビューしトップスターとして活動していたユ・スンジュンは入隊寸前に米市民権を取得して兵役を忌避して以降、韓国政府は彼を入国禁止にしていて裁判が繰り返されていましたが、いまだに入国できません。それほど兵役問題は韓国ではセンシティブな問題です。20代の男性層では『BTSはあれほどお金を稼いでおいて兵役に行かないのか』という声が多く、BTSのファンであるARMYのひとりに聞くと『今の韓国社会なら兵役に行っておいた方がいい』という答えでした。理由は『兵役に行かなければそれが汚点となって、韓国社会では認められない』でした」
――著書の中では韓国で人気の日本エンタメについても紹介されていますね。
「先日、人気漫画『遊戯王』などで知られる漫画家の高橋和希さんが死去した際、韓国のツイッターでは死を悼むツイートがたくさん上がっていました。日本のアニメは韓国でも人気で、スタジオジブリの『ハウルの動く城』や新海誠監督の『君の名は。』はともに300万人を超す観客動員を記録しましたし、最近も『鬼滅の刃』が大ヒットしています。18年にカンヌ国際映画祭のパルムドールに輝いた是枝裕和監督の『万引き家族』(韓国題:ある家族)も話題となりましたが、俳優ソン・ガンホがカンヌ国際映画祭主演男優賞を獲得した『ベイビー・ブローカー』(韓国題:ブローカー)は韓国ではいまひとつです。是枝監督が描く独特なスローな展開やあいまいさを残すせりふを苦手に感じる韓国人が多いようです。一方、文学では村上春樹と東野圭吾の作品の人気がずば抜けています。新作が刊行されると大型書店では本を山積みにするタワーができます。テレビドラマでは『孤独のグルメ』や『深夜食堂』、アイドルでは乃木坂46に共感を寄せる人もいて、韓国のファンは『日本の作品やアイドルに癒やしを感じる』とよくいっています」
――日本のエンタメコンテンツが“世界クラス”になるにはどうしたらよいでしょうか?
「日本で放送されている『六本木クラス』の予告編を見ようとYouTubeの公式チャンネルにアクセスしたら『この動画は韓国内では視聴できません』という表示が出ました。デジタル社会にあって日本以外の国から視聴できる日本のコンテンツはとても少ないし、アクセスが極めて難しい。著作権保護は大切ですが、少しハードルを下げて世界中の人々に見てもらった方がビジネス的にもPR的にも利益になります。韓国のドラマや音楽は著作権を度外視してもYouTubeやツイッターなどのSNSで世界的なプロモーションを行ってきました。それが現在の韓国エンタメの成功につながっていると思います」
□菅野朋子(かんの・ともこ)1963年生まれ。中央大学卒業。カナダ、韓国に留学。出版社勤務、「週刊文春」記者を経てフリーに。著書に「ソニーはなぜサムスンに抜かれたのか」「好きになってはいけない国。」(共に文藝春秋刊)、「韓国窃盗ビジネスを追え 狙われる仁保の『国宝』」(新潮社刊)などがある。ソウル在住。

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