ゼロコロナ政策で“鎖国”が続く中国に代わって訪日観光客の“主役”を担いそうなのがお隣の韓国です。水際対策の緩和を受けて日本への旅行申し込みが５．３倍に急伸。
とりわけ、約１時間半のフライトで航空券も安い「福岡」が、東京や大阪を上回る人気の旅行先になっているといいます。航空会社は増便を決定。しばらくは隣国からのお客さんが押し寄せる日が続きそうです。
◆ソウルの“渋谷”弘大で聞いた若者の本音
ＲＫＢソウル特派員・早瀬川賢也：
私たちは「若者の街」と言われるソウルの弘大（ホンデ）に来ています。今は長袖を着ている人が多くいます。ソウルの気温は１４度ほどであす（１２日）は最低気温が４度まで下がります。韓国で１１日発表された新型コロナの感染者は１万５０００人あまりで減少傾向が続いています。
マスクを着けている人は今も多いですが、街はかつてのにぎわいを取り戻しつつあります。
日本では１１日から１日の入国者数の制限を撤廃し、ビザなしの旅行や個人旅行も再開となりました。これによって韓国では日本への旅行に期待が高まっています。
◆「新しい店を探す」ブランク埋める日本旅行に
日本にビザなし旅行や個人旅行ができるようになった１１日、韓国の仁川空港では日本へ向かう旅行客の姿が朝から多く見られました。
福岡へ向かう韓国人旅行客「美味しい店に行って観光地に行って息子と良い思い出を作ろうと思います」「新しい美味しい店も探し回ったり温泉をめぐったりするつもりです。水炊きも必ず食べたい」
韓国では今年、新型コロナの流行が落ち着き始めたのをきっかけに、海外旅行への需要が一気に増加。中でも人気なのが日本です。
ソウルにある旅行代理店「旅行博士」の従業員「ノービザになるので航空券さえあれば受け付けます」
この旅行代理店では先月、日本への旅行の申し込みが８月と比べて約５・３倍に急増しました。日本政府が水際対策の緩和を決めたのが大きな理由とみられ、人気の旅行先は福岡、大阪、東京の順番となっています。“福岡人気”を受けて大韓航空とアシアナ航空は早くも増便を決定。今月３０日からは福岡と仁川空港を毎日運航する予定です。
旅行代理店「福岡が大阪・東京に比べて航空券が安く、かつて福岡を旅行したお客様がもう一度福岡を訪れる傾向がある」
◆韓国に旅行したい日本人も「ありがたい」
韓国は、今年８月に日本からのビザなし旅行を認めました。夏以降は外国人観光客も増加傾向です。特派員がＫポップのコンサート会場を訪ねると、多くの日本からの旅行客がいました。日本が水際対策を緩和したことは好意的に受け止めているようです。
福岡からの旅行客「すごくありがたいです。コロナ禍で隣の国なのに日本を出ることがこんなに大変なんだというのもすごく実感しました」
大阪からの旅行客「めっちゃいいことだと思いますね。どんどん経済を動かしていった方がいいと思うので」
◆大統領交代で変わった“韓国社会の雰囲気”
キャスター：
早瀬川さん、韓国では日本製品の不買運動が起きていましたが日本への旅行が人気なのはなぜなんでしょうか？
ＲＫＢソウル特派員・早瀬川賢也：
前の文在寅（ムン・ジェイン）政権の時には、徴用工問題などもあって日韓関係は「戦後最悪」とも言えるほどになってしまった。日本製品の不買運動もその流れで起きた出来事だと言えます。しかし今年、日韓関係の“改善”を掲げる尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領が就任しました。先月にはアメリカで日韓首脳会談を行われ、政治、社会にかつての政権の時とは雰囲気が変わっているように感じます。
キャスター：
円安の影響はどうですか？
早瀬川特派員：
仁川空港を取材した時も円安のことを口にする韓国人旅行客がかなりいました。実際、去年１０月と今月でレートを比較して１万円当たりで計算すると、韓国側からみて今が７３０円ほどお得になります。
新型コロナの流行で長い間海外旅行へ行けなかったストレスもあり、近くで行きやすく、食べ物も美味しい日本で思いっきり楽しみたいという人がかなりいるようです。アシアナ航空も「最近韓国から日本に出発する大部分が満席に近い予約率だ」と話していました。
以上、韓国ソウルから中継でした。
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