韓国バーチャルアイドルサバイバル企画「少女リバース(RE:VERSE)」が発表 実在のK-POPアイドル30名が正体を隠して参加 – Mogura VR

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韓国のエンターテインメント企業「Kakaoエンターテインメント」は、バーチャルアイドルサバイバル番組「少女リバース(RE:VERSE)」の制作を発表しました。初回は11月28日より、カカオページとYouTubeにて配信予定です。

「少女リバース」は、30名の現役女性K-POPアイドルがデビューを懸けて競争を繰り広げる、いわゆる「サバイバルオーディション」番組です。参加メンバーは現実世界における「正体」を隠し、3Dアバターと架空の設定を用いて番組に参加します。
審査はダンスや歌をはじめとするさまざまなパフォーマンスによって行われ、メンバーは視聴者投票によって徐々に選定されていきます。最後まで勝ち残ったメンバーは「バーチャルアイドルグループ」の一員としてデビューし、楽曲を発表できるとのことです。
30名それぞれに固有の世界観とキャラクター設定が用意されており、それらはすでに公開されている各PR映像で確認できます。メンバーの表情や動きはアイトラッキングやモーションキャプチャ等の技術でリアルタイムにアバターに反映され、あたかも実際にK-POPアイドルがパフォーマンスしているかのように感じられるのが特徴です。

30人分のPR映像ハイライト。自動翻訳で日本語字幕も表示可能。
モーションが高精度な一方、キャラクター設定については突飛なものも多く、「月から来た天使」、「アイドルを目指すタコ」、「地球を侵略しにきたエイリアン」などバラエティ豊か。K-POPアイドルがこうした「設定」をいかに演じるのかも見所の一つといえるでしょう。
なお各アイドルの「正体」は脱落するまでは伏せられたままとなりますが、参加する30名はいずれもすでに一定の活動実績があるアイドルたち。それぞれのファンは歌声や話し方、シルエットなどを手がかりに、すぐさま「正体」を特定していました。
「少女リバース」はK-POPシーンでは珍しく、いわゆる「ACGカルチャー(それぞれAnime, Comic, Gameの頭文字)」の流れを汲んだ日本のアニメ風の3Dモデルを採用しています。従来のK-POPでのアバター利用がおもに、「aespa」や「K/DA」のような欧米圏のゲームによくある実写風3Dモデルか、あるいはバーチャルK-POPアーティスト「APOKI」のようなピクサー調のモデルだったことを考えると、これはたしかに異例といえます。
なぜこれだけの大型企画で、従来のものとはテイストが異なるアニメ風のアバターが使用されたのか。その背景には、韓国のバーチャルアイドルグループ「異世界アイドル(ISEGYE IDOL)」の存在があると考えられます。
異世界アイドルは、TwitchやVRChatで活動する韓国の有名ストリーマー「ウワクグッ(WOOWAKGOOD)」主催のストリーマーコミュニティ「WAKTAVERSE」の企画から生まれた6人組のバーチャルアイドルグループ。VRChat内で行われたオーディションを通じて昨年8月に結成され、同年12月にはデビュー曲「RE:WIND」をリリースしました。同曲は2022年10月現在で1000万回再生を突破しており、韓国国内のチャートにもランクインするなど、韓国のバーチャルアイドルとしては大きな成功を収めています。
こうした異世界アイドルの成功が「アニメ風アバターを利用したK-POPプロジェクト」の着想源となり、またその実施を後押ししたことは想像に難くありません。もちろん異世界アイドルはネット文化やストリーマー文化にルーツを持っており、いわゆるK-POPシーンには属していません。今回の「少女リバース」との間にも、直接的な関係はないように見えます。
しかし、WAKTAVERSEのクリエイターが多数参加する企画会社「PARABLE ENTERTAINMENT」の元代表ハム・ジョンフン氏によれば、実際に同社は「少女リバース」の制作に協力しているとのことです。コンテンツそのものが直接的に関連性を持っていなくても、シーンを支えるVR関連クリエイターに関しては業界の枠を超えてコラボレーションしていることがうかがえます。

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PARABLE ENTERTAINMENT元代表ハム・ジョンフン氏のInstagram投稿
もともとWAKTAVERSEはリスナーから新たな参加ストリーマーを募ったり、ファンアートを積極的に配信に活用したりと、「ファンによるクリエイターコミュニティ」の存在が活動に欠かせないという特徴をもっています。さらに異世界アイドルのデビュー以降はファンコミュニティにVRコンテンツを扱えるクリエイターやリスナーが集まり、そこで生まれるコンテンツのクオリティも高まっていったそうです。
それに伴いPARABLEも大きく飛躍し、韓国企業としては初めてVRChatとパートナーシップを締結、今年6月にはコンテスト形式で大々的にVRコンテンツ制作者を公募するに至りました。

PARABLE ENTERTAINMENTによるVRChatでのメタバースコンテンツ制作・編集コンテスト
30名のPR映像にそれぞれ別のバーチャルワールドを用意できたのは、こうした経緯でVR関連のクリエイターを豊富に抱えていたからと考えることもできるでしょう。異世界アイドルがほとんど草の根的にデビューしてからまだ1年しか経っていないことを考えると、コミュニティの成長スピードは相当なものといえます。
とはいえ前述のとおり、あくまでもネット文化にルーツを持つ「異世界アイドル」と、K-POPシーンに属する「少女リバース」は現時点では別物に思えます。公開から数日時点での「少女リバース」への反響はおおむねK-POPファンからのものが中心で、とりわけ参加アイドルのファンダムからの反応が多いように思われます。
総括演出のひとりであるチョ・ウクヒョン氏がCJ ENMでカムバックサバイバル番組「QUEENDOM」などを手がけたプロデューサーだということもあり、番組自体のフォーマットについても既存のK-POPサバイバル番組を踏襲したものになることが予想されます。WAKTAVERSEや韓国のVTuberなどのバーチャル文化圏とのコラボは現時点では含まれなさそうです。
また、音楽番組におけるアバターの活用に関しても同様です。8月放送開始の『Avatar Singer』(MBN)や10月放送開始の『AVA DREAM』(TV朝鮮)など似たような趣向の番組がいくつも出てきていますが、これらはいずれもバーチャルアバターを「アーティストの正体を隠す」ために用いており、そこでのバーチャルは文化というよりあくまでも「技術」でしかありません。
「少女リバース」の「バーチャル」要素はK-POPサバイバル番組のフレーバーに留まるのか、それともバーチャル文化圏とK-POPシーンの何らかの化学変化にまで至れるのか。現時点ではまだ未知数ですが、放送開始を楽しみに待ちたいと思います。
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ライター : 松本友也

1992年生まれのライター。東アジアのアイドル・バーチャル・言語文化に関心があります。直近の実績に寄稿『アイドルについて葛藤しながら考えてみた   ジェンダー/パーソナリティ/〈推し〉』(青弓社、2022)、寄稿『アイドル・スタディーズ 研究のための視点、問い、方法』(明石書店、2022)。

1992年生まれのライター。東アジアのアイドル・バーチャル・言語文化に関心があります。直近の実績に寄稿『アイドルについて葛藤しながら考えてみた   ジェンダー/パーソナリティ/〈推し〉』(青弓社、2022)、寄稿『アイドル・スタディーズ 研究のための視点、問い、方法』(明石書店、2022)。
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