韓国芸能界があきらめられない「中国への執着」問題と「日本人メンバー必須時代」 – 文春オンライン

ノ・ミンハ
genre : エンタメ, 芸能, 国際, メディア, テレビ・ラジオ, 音楽
 いま圧倒的な人気を誇る韓国1位のアイドルは、BTS(防弾少年団)である。韓国はもとよりK-POPと韓国芸能界に関心がある人なら否定はしないだろう。
 BTSが韓国のトップアイドルとして認められたのは2018年5月発売の3枚目の正規アルバムのリード曲「FAKE LOVE」が米国「ビルボードHOT100」で10位にランクインして海外に知られるようになってからだ。
 それまでは、韓国ビッグ3の芸能事務所SMエンターテインメント、JYPエンターテインメント、YGエンターテインメントに所属するアイドルグループが、業界トップの座を奪いつ奪われつの大活躍を遂げていた。とりわけ、兵役で活動を休止したYGのビッグバン(BIGBANG)に代わって人気を博していたのが、SMエンターテインメントのEXOだ。
 EXOは2014年から2019年まで、日本や中国、台湾、香港といったアジアでコンサートを開催し、なかでも日本ではデビューから3年7ヵ月目の2015年11月、東京ドームのコンサートを成功させて、日本のK-POPファンの注目を浴びていた。 
 また、2018年の平昌冬季五輪では閉会式のフィナーレを飾った。2019年6月には米国大統領だったトランプ氏と娘のイバンカ氏の来韓に際し、アイドルグループとして唯一、大統領府に招待され、トランプ氏の家族と挨拶を交わしサイン入りアルバムを贈呈するなど、国内外で認められた韓国ナンバーワンのアイドルだった。
 しかし、いまやBTSの大衆的な歌とダンスのほうが世界中のファンに受け入れられている。メンバーの軍入隊を別にしても、EXOをBTSのライバルと見る人はいないだろう。
 なぜ、人気が逆転したのか。その逆転の背景には、中国への無謀な執着がある。
 EXOの初期メンバーは12人で、韓国系メンバー8人と4人の中国系メンバーで構成されていた。歌にダンス、ビジュアル……。メンバー全員が「完璧」といわれるほどの実力を持ち、SMエンターテインメントは「東方神起」以来の宝を発掘したと評価され、中国での活動も順調に進められていた。
 2010年代当時、韓国芸能界は、日本に加えて中国市場に注力していた。SMエンターテインメントのSUPER JUNIORやf(x)、JYPエンターテインメントのmiss Aなど、中国人をメンバーに含むアイドルグループが相次いでデビューしたが、EXOもその一つだった。
 中国人メンバーが所属したグループは、中国でのコンサートやバラエティ番組の出演で会話に困ることはなかった。韓国や日本とは比べ物にならない高収益を手にできた中国は、韓国芸能界にとって欠かせない市場になっていた。 
 なかでもEXOは他のアイドルグループと比べて中国系メンバーが多く、そのビジュアルとダンス、所属事務所のプッシュもあり、中国での人気が高かった。
 だが、EXOの「凋落」は、皮肉にも中国での人気を生み出したメンバーから始まった。
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