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2020年3月24日 13:30
ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)は、AIアシスト楽曲制作プロジェクト「Flow Machines(FM)」によるサービスを開始した。第一弾の楽曲として、ソニー・ミュージックレーベルズが始めたアニメーションと楽曲によるLo-Fi Beatsチャンネル「Tokyo LosT Tracks -サクラチル-」を展開する。
ソニーCSLは1996年より音楽に関する研究をパリの拠点で行なっている。2012年には音楽でクリエイターの創造性拡張を目指す研究開発と社会実装プロジェクトとしてFMを発足。現在は東京とパリで開発を進めている。
FMでは最先端の機械学習や信号処理技術でアーティストと共に様々なスタイルの新たな音楽の生成に取り組んでいる。FMの核となるのはAIアシスト楽曲制作ツール「Flow Machines Professional(FM Pro)」。これは様々な音楽を解析して構成された音楽ルールに加え、先端ソフトウエア技術を用いて、クリエイターの構想のもと多様なスタイルのメロディーを自由自在に生成できるもの。FM ProによりAIが提案する独自のメロディーをクリエイターのセンスで選び楽曲制作を進める、人間のクリエイティビティとAIによる音楽の融合が実現したという。
一般的に曲を作る際の工程として、作曲、作詞、編曲、演奏、ミキシング、マスタリングがあるが、FM Proは作曲に特化したツールであり、作曲者の作りたいスタイルに合わせたメロディー、コード、ベースを提案するAI。曲のスタイルを表現するため、FM Proには、ソニーCSLが開発した音楽データを解析した機械学習モデルの「スタイルパレット」という独自の概念がある。
まずデジタル・オーディオ・ワークステーション(DAW)中でFM Proのプラグインを立ち上げ、作りたい曲のコード進行に合わせてスタイルパレットを選択。「compose」ボタンを押すと、選択したコード進行に合わせてAIにより複数の候補(メロディー、コード、ベースが連動した、4小節×4パターンもしくは8小節×2パターンの曲)が提示される。
「compose」ボタンを押す度、何度でも新しい候補に更新でき、複数のパターンを1小節ずつ組み合わせる機能もある。気に入ったものができたら、それをDAWのトラックにドラッグ&ドロップすることで、そのまま音楽の演奏情報をデータ化したMIDIデータとして使用できる。MIDIデータのため、作曲者自身が後で自由に微調整することも可能。
曲の全体をFM Proで作る必要はなく、例えばサビではFM Proから出てきたアイデアを使い、Aメロ、Bメロはそこからインスパイアされて自ら作るという方法を取るクリエーターも多くいるという。
音楽制作において、メロディー、トラック、編曲、作詞など各クリエイターが得意分野を活かして共同で作曲する手法「コーライティング」が増えているように、FM Proによって、AIが提案する独自のメロディーをクリエイターのセンスで選び楽曲制作を進め、人間のクリエイティビティとAIの音楽が融合する“新たなコーライティング”が実現したという。
Lo-Fi Beatsは、インターネット上で産まれたChill Hopとも言われているインストゥルメンタル音楽で、主に勉強や作業用BGMとして聴かれている。
「Tokyo LosT Tracks -サクラチル-」は、ソニー・ミュージックレーベルズが手掛けるアニメーション・楽曲を軸とするLo-Fi Beatsチャンネル。「チルアウト」の空気を共有する動画・世界観と共に心地の良い音楽を24時間365日配信する。YouTube、Spotifyなどで3月21日より公開している。
藤本健のDigital Audio Lab
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