ジャック・ホワイト『Boarding House Reach』持ち前のアナログ愛とモダン … – Mikiki

You Got Me Sweatin’
アナログへの強い愛と飽くなき音楽的探究心を持ちながら、過去と現在を自由に行き来する21世紀最高のブルースマン。充実の課外活動を経て、4年ぶりに登場したソロ3作目にはいったいどんな驚きが隠されているのだろう?

 かつて〈新世代のギター・ヒーロー〉と騒がれたジャック・ホワイトもすでに42歳! 出てきた当初の〈古い音楽にも造詣の深い風変わりなガレージ・ロッカー〉という印象から、正直、こんなに大物になろうとは思ってもいなかった。そのジャックがグラミー賞も獲得した『Lazaretto』より4年ぶりのニュー・アルバム『Boarding House Reach』を完成。前作のツアー終了後、ライヴ活動こそストップしていたものの彼の動きは活発。ビヨンセやア・トライブ・コールド・クエストといった少々意外な客演仕事をこなす一方、アメリカーナの深層に迫るドキュメンタリー番組「American Epic」に深く関わり、持ち前のアナログ愛を込めて1920年代の録音機材を使ったセッションのプロデュースで尽力。主宰するサード・マンからも、同放送に合わせてミシシッピ・ジョン・ハートやレッドベリーらのLP盤を多数リイシューした。
 そんなふうに現在と過去、両方に大きく振れた外部ワークスの成果は、ここでも見事に表れている。先行シングルの“Connected By Love”は、左右に揺れる分厚いシンセの音に導かれて始まる壮大なバラード。ナッシュヴィルのゴスペル姉妹、マクラリー・シスターズがコーラスで盛り立て、間奏ではニール・エヴァンス(ソウライヴ)のオルガンが斬り込んでいく。と書くとゴスペルのようだが、どうにも耳に残るのはアグレッシヴなシンセだ。言っておくと、ギター・オリエンテッドな楽曲ではない。それが今作全体の特徴のひとつで、必ずしもギターが曲の骨格を作っているわけではあらず。もちろん、ジャック印のギターが凶悪に響くロック・チューンもあるが、シンセやキーボード類が中心となる場面が多く、エレクトロな感覚が溢れていたり、ヒップホップやファンク的なニュアンスが飛び出したり、キャプテン・ビーフハートみたいなアヴァンギャルドさもあったり……。
 ギターはもちろん、ピアノ、シンセ、オルガン、ベース、ドラムスなど多くの楽器を本人みずからが演奏。そうかと思えば、作曲とプロデュースのみに関わるナンバーなんかもあったり……。と、〈~たり〉という表現が多くなる、そんな内容なのだ。しかし、彼の世界は一貫しているし、楽曲の感覚はローファイなのに、音はめちゃくちゃ良い、というジャックならではのマジックもお見事。で、アルバムの締めは、何とアントニン・ドヴォルザークの“Humoresque”だったりする。「American Epic」の余韻か? 最後まで振れ幅が広く、ここ数年の経験を反映した意欲的な内容だ。この男には落ち着かないでまだまだ動き回っていてほしいものだね。

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