【辺境音楽マニア】世界中のデスメタルバンドで使われる言葉「731」とは? – ロケットニュース24

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世界中のブラックメタルバンドの間で、自殺の名所である樹海「青木ヶ原」が人気となっていて、「Aokigahara」というバンドやアルバム、曲名が大量に蔓延(はびこ)っていることを以前指摘した事がある。
その「Aokigahara」と並ぶ日本のネガティブなイメージを増長してしまいかねない、海外のデスメタルの間で人気なキーワードが「731」である。今回はこのワードがいかにブラックメタル界で浸透しているかについて、お伝えしよう。
「731」は第二次世界大戦中に中国で人体実験を行った、満州第七三一部隊の略「731部隊」の事。森村誠一の『悪魔の飽食』が有名だが、それ以外にも731部隊をテーマに扱った小説や映画が多く存在する。クリエイターの感受性を刺激するのだろう。
しかし実際のところ、731部隊が日本人の日常会話で出てくる事はほとんどないし、あまり歴史に興味がない人は知らないかもしれない。
実際に2013年に安倍首相が自衛隊の基地を訪問した時に、試乗した訓練機の番号が「731」だった事から諸外国から批判を受けたが、日本人からすると、強引なこじつけにしか感じられなかっただろう。そこで「Aokigahara」と並ぶ、世界のデスメタルバンドの間で大人気の「731」を集めてみた。
・ピッツバーグの「UNIT 731」
バンド名で「731」をそのまま用いている中でも最も人気があるのはピッツバーグのビートダウン・ハードコア「UNIT 731」。ハードコアだが「Irate」や「No Zodiac」、「Nasty」などと並ぶ界隈でもトップバンドと目されている。
・オランダの「U-731」
オランダにはアンビエント「U-731」が存在する。なぜかジャケットにはユダヤ人の囚人達が映っており、第二次大戦中に関係する音声がサンプリングされている。
・イギリスの「UNIT 731」
イギリスのインダストリアルノイズ・ダークアンビエント「UNIT 731」。第二次大戦時の日本の映像がふんだんに用いられている。
・ポーランド、オーストラリア、ロシアでは
他にバンド名で「731」を用いたバンドはポーランドのスラッシュや、オーストラリアのグラインドコア、ロシアのブラックメタルなどいくつか存在するのだが、いずれも短命で無名である。
・マニラのバンドのデモ
マニラ近郊のダスマリニャス出身の「Vomitarium」も2006年に『Unit 731』というデモをリリース。こちらはロゴからも分かる通り、スラミングスタイルのブルータルデスメタル。残念ながら解散してしまったようだが、10年も前にこのスタイルをやっていたのは、結構先進的である。
・スラッシュ四天王のひとつも
曲名はというと、スラッシュメタル四天王のうちのひとつ、Slayerがまさに『Unit 731』という曲を発表している。
・旧東ドイツでも
旧東ドイツ最大の港湾都市ロストック出身のデスコア「Acranius」は、2014年のアルバム『Dishonor』で『Unit 731』という曲を発表。このジャンルではそこそこ人気が高いバンドだ。
・90年代のメタルバンド
90年代から活動しているブルータルデスメタル界ではベテランバンド「Vile」も2002年にリリースした『Depopulate』で『Unit 731』という曲。
・カザフスタンのバンド
カザフスタンのオスケメンに「Seven Sins」というデスメタルバンドがいるが、『Отряд731(731部隊)』という曲がある。
・タイのバンドも
基本的にはオールドスクールのデスラッシュだが、ブラストが結構速いタイの「Savage Deity」も『Unit731』という曲が。タイは第二次大戦中は日本と同じ枢軸陣営にいて、便乗して仏領カンボジア領を獲得しているのだが……。
・中国、台湾にも存在した?
731部隊が暗躍した中国本土には「731楽隊」というバンドが河北省、遼寧省鞍山と重慶に存在する(した?)みたいだが、詳細は突き止められなかった。台湾のブラックメタルManumが『Hatred towards 731』という曲を発表していたようだが、詳細不明。
・日本では
ところで日本現代史の裏面とも言える731部隊だが、日本からも同部隊をテーマにした曲をリリースしているバンドがいくつかいる。例えば大阪のブルータルデスメタル「Deadly Sins」は『731,The Banality of Evil』という曲を発表。ドラマーが急逝され、日本のアンダーグラウンド界を悲しませた、名古屋のグラインドコア「Unholy Grave」も『Troops 731』を発表。
他にも「Fast Draw」、「Suns Owl」や「Gunship 666」といった有名バンドが731部隊にまつわる曲を制作しているようだ。日本軍の蛮行を世に訴えたい政治意識の強いメンバー、あるいは歴史好きのメンバーが在籍しているのだろうか。
以上、日本現代史の負の側面である、731部隊をバンド名や曲名、コンセプトに用いた世界中のアンダーグラウンドバンドを紹介してみた。実は検索するとまだまだ出てきてしまい、「Aokihagara」をはるかに凌駕する勢いなので、この辺でやめておく。もしかしたら世界のメタル界で最も使用されている日本のキーワードは「731」かもしれない。
執筆:ハマザキカク
イラスト:Rocketnews24
▼ピッツバーグのハードコア「UNIT 731」

▼オランダのアンビエント「U-731」

▼フィリピンのブルータルデスメタル「Vomitarium」のデモ『Unit 731』

▼Slayerの有名曲『Unit 731』

▼ドイツのデスコア「Acranius」の『Unit 731』

▼カリフォルニアのブルータルデスメタル「Vile」の『Unit 731』

▼タイのデスラッシュメタル「Savage Deity」の『Unit 731』

▼大阪のデスメタル「Deadly Sins」の『731,The Banality of Evil』

▼名古屋のグラインドコア「Unholy Grave」の『Troops 731』

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