Broken By The Scream[ライブレポート]ラウド/メタル系の強者たちとの競演で魅せた強靭なるパフォーマンス – Pop'n'Roll

Broken By The Scream[ライブレポート]ラウド/メタル系の強者たちとの競演で魅せた強靭なるパフォーマンス
Pop'n'Roll 編集部
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Broken By The Screamが、9月10日(土)に赤羽ReNY alphaにて主催フェス<FEST OF EXTREME 2022 SUMMER>を開催した。本記事では、オフィシャルレポートをお届けする。
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取材&文:岡見高秀(メタルハマー・ジャパン編集部)
撮影:桝田涼太
曇天が続いた東京の空が秋晴れとなった9月10日、4人組アイドルグループ『Broken By The Scream』(通称:BBTS)が主催するライヴフェス<FEST OF EXTREME 2022 SUMMER>が、赤羽ReNY alphaにて開催された。イベントタイトルに“エクストリーム”という文字が入っていることからもわかるように、同フェスはエクストリームなラウドサウンドを鳴らすメタル〜ラウド系バンドが顔を揃えたが、“なぜアイドル主催のイベントでメタルバンドが?”と言えば、彼女たちこそ“エクストリームラウドサウンドで歌い踊る、無二のアイドルグループ”だからにほかならない。そのため、そういった面子における違和感はまったくないのである!

そもそも同イベントは、7月20日に通算3枚目となるフルアルバム『RISE into CHAOS』をリリースした彼女たちが、満を持して行なう……はずだったのだが中止に。日を改めかつ登場バンドをさらにパワーアップさせ、今回の再開催となった。そんな経緯があるから、会場となった赤羽ReNY alphaには開演前からいつも以上の熱気がこもっていた。そしてまだ陽の高い15:30、強烈な音を詰め込んだフェスがスタートする。

全8組が出演する同フェスティバルのオープニングを務めたのは、女性2名+男性2名のラウドポップバンド『Wisteria』。まだフルハウスとはならない時間帯だったが、ウラ拍を強調したビートでノセたり一緒に手を振りあったりと、アッパーでノリのいい楽曲はすぐに場内を熱くさせてくれた。また元気なだけではなく、コウメのズシリとしたベースはハードロックファンにも響いたことだろう。まだまだ若いバンドにつき、今後が楽しみだ。そんなパワフルかつ初々しいバンドに続いて出てきたのが、雰囲気はむしろ真逆と言っていいのかもしれない……“川越の残虐王”『兀突骨』だ。3ピースなれどカンニバル・コープス、ディーサイドに通ずる純然なデスメタルをプレイする彼ら。冒頭の「争乱ノ死地へ」からガチガチに音が硬い! 肩を痛めていたという情報もあるベース&ヴォーカルの高畑だが、得意のスラップをビシビシとハジき、フロアを一気に血なまぐさい戦場へと誘っていく。ただ、それ一辺倒ではないのも兀突骨のいいところで、MCはむしろコミカルでもある。「因果応報」ほかでも強烈なシュレッドをキメる円城寺も、プレイの途中で文字どおり豪腕を披露するなど、そのバランスでさらに会場を盛り上げていった。ちなみに、円城寺を始めとしてその後出てくるバンドのメンバーには、バルクのいい人が多い。やはり“ヘヴィを突き詰めるには肉体から!”ということなのかもしれない。

そんな屈強な身体から強烈なデスヴォイスを吐き出すKiyo Nishihara率いる『WORLD END MAN』が、兀突骨の作ったデスメタルの空気をさらに加速させる。ズンと腹にくるドロップA#のリフはかなり重々しく、個々のアピールよりも全員野球の一体感が大きいグルーヴを生み出すブルータルサウンドだ。対バンイベントにつきさまざまな客層が入り混じっているため、最初のうちはそのプレッシャーに圧倒されているオーディエンスも少なからず見受けられたが、超速チューンが徐々に全体を巻き込んでいく。ラストはセット中最も速かった「KING DISSECTION」にてデスメタルの暴虐さを見せつけたのだった。

4番手となる『おはようございます』は、4人組のラウドロックバンド。前のWORLD END MANとは対象的に文化系の香りも感じられるグループだが、やはりサウンドはグルーヴィなコア系で、同期サウンドと合わせてカオティックな音像をくり出していく。曲調の幅も広いため、例えば初見であったBBTSのファンたちもすぐに一緒に楽しめたのではないだろうか。混沌感がありつつダンサブルな「極普通」では、フロア全体が上下に揺れ動いていた。彼らまではいい意味でアンダーグラウンドな雰囲気だったフェスだが、ここからはポピュラリティが高まっていく。その口火となった『MAKE MY DAY』は、Isamの掌握術をもってフロアを1つにしていく。電子音を大胆に取り入れるなどモダンなメタルコアスタイルの中で、キャッチーなパートもしっかりと演出し、フロアをどんどんとアゲていくのだ。途中「Wake Up」では、本日の主役であるBBTSより、デスパートの担当である野月平イオと雲林院カグラがゲスト出演! イオの地を這うグロウルが、これまでの男性ヴォーカルにまったく引けを取らないということがハッキリわかった瞬間でもあった。またカグラのザラリとしたスクリームのほかにない鋭さも、多くのオーディエンスに伝わったのではないだろうか。

フェスもいよいよ終盤戦、登壇バンドもメジャー感が増す。NOCTURNAL BLOODLUSTの登場だ! 1曲目「Punch me if you can」からして、音が非常に明瞭である。チューニングはやはりほかのバンドと同様低いのだが、(多弦ということもあるが)ギターのフレーズもよく見える。ツインギターでハイフレットを奏でる「Red Soil」もキレイに紡がれていく。グロウル/クリーンと使い分ける尋の歌唱もその行き来がとてもシームレスで、パフォーマンスの華やかさと相まって、同フェスに集った幅広い層の音楽ファンによりアピールできているなと感じられた。そんな彼と“一対一(×2)”で渡り合ったのが、やはりイオとカグラ。荘厳なSEから導かれた「Cremation」では尋の向こうを張り、顔を突き合わせてヴォーカルバトルをくり広げた。もちろん2人も負ける気はなし、短いセクションだったが、3ヴォーカルのクールなシーンが展開されたのだった。

ここまでひたすらにヘヴィなサウンドが響きわたり続けた赤羽ReNY alphaだったが、大トリの前に登場したのはキャリア的にグッと先輩格となる『SEX MACHINEGUNS』だ。BBTSとはこれまであまり交流はなかったようで、そのことをANCHANGもMCでイジっていたが、メタルフェスということでは間違いなくアタリの選出だったと言える。そしてそのスキルにやられた! ここまでは大幅なダウンチューニングがむしろスタンダードとなっていたが、マシンガンズは半音下げ。ドラムのEQも生っぽさが充分に残る出音作りとなっていたが、それでも体感する音は非常にヘヴィなのである。いや、ヘヴィメタルバンドが出す音だから、それは当然なのだ。代表曲「みかんのうた」で始まるセットも流石のひと言で、続く「ファミレスボンバー」など、このあたりはどのファンであるか無関係に30代以上のバンド好きなら誰もが知っている知名度で、“ヒット曲の盛り上がりっぷり”を否応なく発揮しだのだった。ファンも一緒にシャウトするシーンも“ヘヴィメタル拍手”で乗り切るなど、ほかのバンドに比べてMCにも力を入れており(その分曲は少ない/笑)、和製スラッシュの佳曲「桜島」からラストの「ジャーマンパワー」まで、明るく楽しく激しいメタルを堪能させてくれた。そして、ついにBBTSの時間がやってきた。

SEとともに彼女たちを支える “ゾンビ・バンド”が入場し、続いてメンバーが1人ずつステージに姿を現わす。流鏑馬アヤメ、野月平イオ、雲林院カグラ、七々扇ツバキの4人が壇上で一列に揃うと、会場からは歓声の替わりとなる大きな拍手が起こる。そしてデスヴォイスの絶叫とともに「ココロ、晴レ晴レ」でショウがスタート! 最新アルバム『RISE into CHAOS』からの1曲だが、もちろんファンはすでにしっかりと身体に入っており、最初からトップギアでの盛り上がりだ。この日のメンバーは全員がイベントTシャツ姿とBBTSとしては珍しいステージ衣装だったが、それでも左右ギリギリまで大きく使ったパフォーマンスはきらびやかで、かつエクストリームアイドルたるバンドサウンドとグロウルとのマッチングもバッチリ。共演者のファンで彼女たちを初めて観るという人は、むしろその出音に大いに驚いたことだろう。続く「I tai no…」も最新作から。アヤメ&ツバキのクリーンチームによる語りパートの映えがあり、中間のリズムチェンジにてヘヴィさを浮き立たせるという、BBTSの個性が凝縮した1曲とも言えるだろう。当然ながらファンは手拍子と振り合わせで彼女たちを後押ししていく。

MCでそれぞれが挨拶をしたのちの3曲目「サヨナラバースデー」は、イオ&カグラのグロウルでエンジンをかける。全体的にはファンキーさもある曲で、前半はかなりハードなセクション、そしてコーラスで一気にポップになるという、初期曲らしい各セクションの大きなギャップが魅力だ。間奏でのギターインサートのテクニカルなフレーズなど、ゾンビ・バンドの見せ場もしっかりとあり、“7人組バンド”らしさもしっかりと見せてくれた。アヤメとツバキが背中合わせで歌うシーンでは、しっかりと“純アイドル”らしい姿も披露し、ほかのグループにはないBBTSの個性を来場者全員の脳裏に刻んだことだろう。

“ライヴ初披露”となったのが「TOKYO RIDE」だ。少しハネたダンサブルなナンバーで、手拍子とともにジャンプしたくなるようなリズム。デスヴォイスでのラップ風パート、4つ打ちセクションと忙しい展開を見せるが散漫な印象はなく、コーラスパートでは……抽象的な表現になってしまうが……“夏っぽい印象”も受け、今後はライヴハウス全体で汗をかきながら踊れる曲になるのではないだろうか。続く「MESSAGE」でもエネルギーはそのまま、会場全員でクラップが始まる。本曲では“アヤメ×イオ”、“ツバキ×カグラ”という“クリーン×デス”という絡みも。宝塚における男役と娘役……と言ったら大げさかもしれないが、こういった組み合わせパートも彼女たちだからこそという演出であり、そこにドキドキさせられてしまうファンも少なくないのでは!? コーラスでは全員がクリーンで歌う曲が多いが、クリーン&デス入り乱れてというのも「MESSAGE」の旨味どころだ。

改めてフェス再開について語り、来る途中には「ファミレスボンバー」を聴いてきたというイオは“メタルフェスなのに泣きそう”と感極まり、ほかのメンバーも対バン共演者に謝意を告げる。ここまで約6時間……1度は中止となったイベントが規模を大きく再開できたことに、メンバー一同、そしてファンも万感の想いというところだろう。そしてアヤメの“踊りましょう!”という掛け声とともに、フェスを締めくくる大ラストナンバー「夢花火」がスタート。“オオオー”という冒頭での合唱、ブリッジパートでのジャンプ、ファストなデスセクションと彩り豊かな曲で、コーラスでの舞い飛ぶ花びらを模したような柔らかな手の動きからは、フェスの大団円という達成感と少々の寂しさも感じさせられたのだった。すべての曲が終わったのちは全バンド揃っての記念撮影となったが、それぞれのショウでは強面だったバンドマンたちが、彼女たちに促されとてもニコニコしていたことも印象的だった。

メインアクトとはいえ持ち時間はほかのグループと同様で披露したのは6曲と、決して自分たちを特別扱いしていないところに、仲間で集まったイベント、全出演者&ファンのためのフェス……という主旨があっただろう<FEST OF EXTREME 2022 SUMMER>。MCでアヤメは“もっと大きいところで! 2デイズ!?”と、同フェスの今後の展望も語っていた。同日の全貌を見るにそれは大いに期待できるところではあるし、規模が大きくなれば、メタルだけに留まらず、さまざまなタイプのバンド/グループが登場することになるかもしれない。終演後、偶然会場で話を聞いたメタル側と思われる来場者は、“あんな声を聴いたら応援しないわけにはいかない”と熱っぽく語ってくれたが、アイドルファン/コア系バンドファン問わず楽しめたフェスであったことは間違いない。第2回大会、そして何よりBroken By The Screamの今後の躍進に期待だ!
2022年9月10日(土)
赤羽ReNY alpha
1.ココロ、晴レ晴レ
2.I tai no…
3.サヨナラバースデー
4.TOKYO RIDE
5.MESSAGE
6.夢花火
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