"DRAMA FESTA 2022" | Skream! ライヴ・レポート 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト – Skream!

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LIVE REPORT
Japanese
Skream! マガジン 2022年04月号掲載
2022.03.06 @日比谷公園大音楽堂
Reported by 蜂須賀 ちなみ Photo by 佐藤広理
ドラマストア主催のフェス”DRAMA FESTA 2022″が3月6日、日比谷公園大音楽堂で行われた。4年半ぶり5回目にして、過去最大規模での開催である。Skream!では同フェスの開催を記念し、ドラマストア、BIGMAMA、the shes gone、reGretGirl、Hakubiのヴォーカリスト座談会(※2022年2月号掲載)を実施したが、その後Base Ball Bearの出演が発表(解禁の都合により座談会には参加できず)。ドラマストアと切磋琢磨してきた同世代バンド=the shes gone、Hakubi、reGretGirlから、ドラマストアの音楽性に影響を与えた上の世代のバンド=Base Ball Bear、BIGMAMAへとバトンが繋がれ、主催のドラマストアによって堂々と締めくくられた1日を改めて振り返りたい。

the shes gone

トップバッターはthe shes goneで、”「DRAMA FESTA」、楽しんでいきましょう!”という兼丸(Vo/Gt)の挨拶、そして「Make my day」で爽やかな幕開けだ。”青すぎる空に目が眩んじゃって”と始まるこの曲は野外フェスの始まりに相応しいし、兼丸の温かい歌声やフォークを感じさせるメロディ、ギターのアルペジオもこのロケーションに合っている。ドラムのキックが曲間を繋げ、手拍子も起こるなか、”それでは、今日という1日を甘い記憶にしていきましょうか”(兼丸)とギターの甘美なラインから始まったのは「甘い記憶」。物語の紡ぎ方も、観客のエスコートの仕方も非常に丁寧だ。そんなところから音楽を愛する気持ち、だからこそ観客とともに時間の流れを共有したいのだという気持ちが伝わってくる。

続く「ふためぼれ」然り、音の層をじっくりと重ねていく演奏はやはり丁寧と言いたくなるが、時折ステージからメンバーの気合の声が漏れ聞こえてきたり、(サポート・ドラマー含めた)4人で息を合わせながらダイナミクスをつけていったりと、生の感情が発露する瞬間も魅力的だ。”もう行かないでよね 耐えられないの/あなたが他の子と/話しているところとか 一緒にいるところも”という歌い出しに惹きつけられたのは4曲目に披露された「想いあい」。この曲は特にシンプルなアレンジで、歌詞として綴られた言葉ひとつひとつが心にすっと、時にはグサッと入ってきた。

MCでは兼丸が、長く続いているドラマストアとの関係が今日に結びついたことに対する嬉しさを語った。”自分の中にある優しさというものをできる限り出し尽くして作った曲を”とラストに選ばれたのは「ラベンダー」。アコースティック・ギターでの弾き語りから始まる曲なのだが、歌い出しの声色からして他の曲とは違っている。そのやわらかさ、優しさを崩してしまわぬように増幅させるアンサンブルの塩梅が絶妙で、彼らがステージを去ってからも、温かな気持ちを手渡されたような余韻が残った。

Hakubi

サウンド・チェックからして気合が伝わってきたのは2組目のHakubiで、ライヴは「辿る」からスタートした。ベースは疾走感溢れるアッパー・チューンだが、弾き語りで静かに伝える場面があったり、その後じっくりと音像が立ち上がっていったりと、緩急豊かに展開する曲だ。Hakubiの曲はひとりで部屋にいるときに聴きたくなるイメージがあるが、ライヴとはそういった孤独同士が孤独のまま出会い集う場であって、片桐(Vo/Gt)は客席のひとりひとりへ”見せてくれ、日比谷!”、”遠くまで見えてます。ありがとう!”と熱く叫んでいる。今ここで湧いた感情がリアルタイムで言葉に変換され、発せられていく。そんな片桐の言葉をひとつの駆動力とし、3ピース・サウンドは転がり、変化していった。

“信じてくれたドラマストア、そしてここに集まってくれたみなさん、あなたのことを思いながら目と目を合わせてライヴやってます。それぞれのバンドの同じところ、違うところ、あなたの目と心で見極めてください”(片桐)とフェスならではの醍醐味を伝えたあとに披露したのは、ミドル・ナンバー「Friday」。そして客席をひと通り見渡したあと、”それぞれに毎日があって、今日あなたがここに来てくれたこと、初めましてかもしれないあなたと出会えたこと、とても嬉しく思います。ここに来てくれて、聴いてくれてありがとう。あなたが明日からも、あなたらしく、あなたとして、歩いていけますように”と伝えてから披露したのはバラード「在る日々」だ。”生きてるそれだけで許してくれませんか”という切実なフレーズが心に残る曲で、片桐弾き語りによる内省/吐露のパートとバンド全体で鳴らすパートを行き来する構成。ここに集まるひとりひとりが人知れず抱える苦しさに寄り添いながら、最後には希望を握らせてくれるような演奏だ。そして最後は「mirror」。”今この瞬間が物語の始まりかもしれない。すっごくワクワクしてる!”(片桐)と出会いの尊さに高鳴る鼓動を、みずみずしいサウンドに託していくラスト・シーンとなった。

reGretGirl

曇天の3月上旬ということで、日中でも肌寒かったこの日。しかしreGretGirlが登場する頃には晴れ間がのぞき、平部雅洋(Vo/Gt)は観客にまず”少し晴れてきましたね!”と語り掛けた。そんな彼らのライヴは「スプリング」からスタート。ひとつの失恋を徹底的に歌い続けているバンド、と言うとなんとなく線が細そうなイメージが湧くが、オールディーズ感のあるギター・ロック・サウンド、岩肌剥き出しの音像から音楽大好き3人組としての姿が透けて見えた。続く「ピアス」はアッパー・チューンで、前列ふたりがステージ前方に躍り出るなど絵面的にも動きが出るが、細かいハイハットさばきをはじめ、ダイナミックなだけではない側面も光る。

MCでは平部が絶妙な沈黙を生み出していたが、舞台裏でドラマストアの長谷川 海(Vo/Gt)が、”今日寒いのは俺らのせいやわ”と言っていたことを明かし、”今(MCで)滑って寒いのはドラマストアのせいです”と責任転嫁。一方、曲終わりの風が通り抜ける時間まで特別に感じられた「ロードイン」、失恋した主人公の心情描写に沿ってドラマチックに展開するバラード「デイドリーム」と、演奏では聴く人の心を根こそぎ奪っていく。

特に「デイドリーム」での平部のロング・トーンはビブラートまで美しく、彼の歌唱力を改めて実感させられたが、照れ隠しなのかなんなのか、”さっき滑ったと思わへんくらい、いい歌歌うでしょ?”と笑う。そんな平部の性格を、ドラマストアの松本和也(Dr/Cho)は以前対バンした際に気に入ったのだという(座談会のときに明かされたエピソードだ)。そして、ライヴ・アレンジだと歌い出しが”「私、好きな人ができたの」”であるため、初見の人におそらく強烈なインパクトを残したであろう「ホワイトアウト」、そして「ブロッサム」といったアッパー・チューン2連投で爽快にフィニッシュ。”ドラマストア、今日はこんな素敵な日に呼んでくれてありがとう! 大阪reGretGirlでした!”(平部)という締めの挨拶がアウトロとともに伸びていった。

Base Ball Bear

ここでBase Ball Bearが登場。1曲目は「すべては君のせいで」で、リズム&グルーヴで早速観客を揺らしてみせた。3ピース・バンドが3組続いているが、当たり前ながら、楽器編成は同じでも音楽性はまったく異なっているのがバンドの面白さであり、それがよくわかるタイムテーブルだ。「DIARY KEY」は堀之内大介(Dr/Cho)のタイトなリズムから始まる曲で、関根史織(Ba/Cho)によるリフを筆頭に、バンド全体がじわじわと熱を帯びていく。

“日比谷ノンフィクション”と題したワンマンを、ここ野音で年に1度開催しているBase Ball Bear。そんな彼らの経験をもってして、小出祐介(Vo/Gt)から語られる”今日の日比谷野音は僕らの経験上、一番寒いです!”という言葉の重みは凄まじく、会場全体が”やっぱりか……(笑)”という空気になったのもいい思い出だ。なお、ドラマストアとは今日初めて会ったらしく、それでも今回出演を決めたのは、ロック・バンドとは憧れの連鎖によって成る文化だという考えからとのこと。”ドラマストアを聴いてバンド始めました! ってバンドがこれから現れたら素晴らしいなと思って。今日は軽く先輩の背中を見せて帰りたいと思います”と「short hair」の大らかな演奏へと繋げた。

また、小出のラップから始まり、ベース&ドラムとバトルしながら展開する「The Cut」の鮮烈さは、初めて観る人にも強烈な印象を与えたことだろう。ヒップホップやファンクに接近するアプローチを見せたあとは、王道ギター・ロックに揺り戻しをかけ、ラスト・スパートへ。最後の2曲は、2009年リリースのアルバム『(WHAT IS THE) LOVE & POP?』の収録曲である「Stairway Generation」と「BREEEEZE GIRL」。おそらくドラマストアのメンバーが学生時代に嬉々としてコピーしていたであろう時代の曲が、13年後の、今が一番カッコいいBase Ball Bearによって鳴らされるという熱い展開となった。

BIGMAMA

「交響曲第9番」のSEが鳴るなか、青色の照明が幻想的な世界を作り出し、BIGMAMAのステージに。時刻は18時過ぎ。空には三日月が浮かぶなか、届けられたのは「SPECIALS」に「Sweet Dreams」、「春は風のように」。ロマンチックなシチュエーションが見事にハマっている。

4曲目で”ここでゲスト・ヴォーカルを紹介してもいいですか。fromドラマストア、長谷川 海!”という金井政人(Vo/Gt)の紹介を受けて、セットアップでキメたドラマストアの長谷川が登場。先述の座談会ではコラボを期待させる金井&長谷川のやりとりがあったが、そう、本当に実現したのだ。披露された「A KITE」は長谷川がリクエストした曲で、BIGMAMAの音楽が確かに身体に染みついているのだと感じさせられるような、誠実な歌唱が印象に残る。1番では長谷川が、2番では金井がメイン・ヴォーカルをとる構成だったが、ふたりでハモる贅沢な瞬間も。ステージ上の楽しげな空気が会場中に伝播していった。

そして「YESMAN」も座談会の流れを汲んでの選曲だろうか。相手のすべてを肯定する心を表現した曲だが、野音まるごと抱きしめるような大きなスケールの演奏もすなわち愛だろう。間違いなくこの日のハイライトのひとつだった。締めは「Let it beat」。軽やかなヴァイオリン・フレーズ&ギター・カッティングをきっかけに、バンドみんなで走り出すオープニング。ビート感を変え、新鮮さをもたらすアレンジのBメロ。2ビートで疾走するサビ。ひとりずつ順にフレーズを重ね、この5人でBIGMAMAであることを改めて伝えるシーンを経てのクライマックス。”どんな困難もアトラクション”と日々を乗り越え、今優しく輝いているバンドの姿そのもののような最新曲だ。Base Ball Bear同様、先輩バンドであることにあぐらをかかず、しっかりと熱の入ったステージを展開。”このあとはドラマストア。みなさん、最後まで楽しんで帰ってください!”(金井)とバトンを繋いだ。

ドラマストア

そしてドラマストア。ここまでいい時間が続いていただけに、5組の繋いできたバトンの重さがプレッシャーに変わり、彼らの肩にのしかかってしまわないだろうか。一瞬そんな心配もよぎったが、それは杞憂に終わった。本番が始まる前のマイク・チェックの段階からメンバーは”寒いよ~”、”寒ーい!”と言い合っていて、どうやらリラックスできている様子。リーダーの松本が”スタッフのみなさん、作戦Bでいきますので!”と全体に指示を出してからライヴは始まった。

1曲目は「Stand by You」。4人の出音によって野音がしっかりと鳴っていて、本当に頼もしいバンドになったなと改めて感じさせられる。その疾走感のまま突入した「世界はまだ僕を知らない」、さらにそこから曲間0秒で始まる「可愛い子にはトゲがある?」までを自己紹介に替え、長谷川が”大阪ドラマストアです、よろしく!”とおなじみの挨拶をすると、”「DRAMA FESTA」、全員で行こうぜ!”という投げ掛けとともに「スイミー」へ。松本が最初に言っていた作戦Bとは、用意していたセットリストにこの曲を追加する指示のこと。やれるだけの曲数をやろうという判断のもと、追加されたこともあってか、この日の「スイミー」はテンポがかなり速くもはやパンクと言いたくなる感じだった。低姿勢になりギターをかき鳴らす鳥山 昂(Gt/Key)。金髪を振り乱しながら叩く松本。彼とばっちりアイコンタクトをとりながら、食らいつくどころか自身も前のめりなプレイをしていく髙橋悠真(Ba)。長谷川のヴォーカルにも力が入っている。前5組の熱演や観客のリアクションを受けて今ここで生まれた感情、とりわけ高揚感や衝動が「スイミー」という曲に託されたのだった。

“僕らの仕事は「DRAMA FESTA」をしっかり完成させて、ええ日やったなってみんなに思ってもらうこと、それだけやと思ってます”、”日比谷野音、俺たちと一緒に音楽を作りましょう。よろしく!”と長谷川。MC後の「ガールズルール」では、照明が手拍子する観客ごと照らしているが、それをいい表情で見ていた髙橋、直後のフレーズが躍動感たっぷりで喜びが早速音に表れている。そして自然に囲まれたこの空間で聴く「花風」の趣深さたるや。長谷川の心のこもった歌唱はもとより、ギターの繊細なフレージングにベース&ドラムが合流し、花吹雪舞う光景を描く間奏の展開が格別だ。

「グッバイ・ヒーロー」も4人の高まりが感じられる演奏で、シンガロングができないぶん、手拍子をしたり腕を上げたりしながらバンドに応える客席の熱量も高い。受信者であり発信者でありたいという想いから、ポップ・ミュージックを志向するようになったこのバンドの心が今、非常に幸福な形でライヴに結びついている。こんなドラマストアが見たかった。心の底からそう思える時間が続くなか、長谷川が言う。”今の自分たちが大好きです。自分たちが楽しいと思っている、それを伝えたいという気持ちで今ステージに立ってます。伝わってますか?”と。直前のMCによると、開催を迎えるまでには様々なことがあり、チーム内で足並みが揃わないことも時にはあったが、各々が考え4人で一緒に解決しながら今日に至ったとのこと。自分たちで頭を働かせ、自分たちで手足を動かす過程がこれまでもドラマストアを確かなものにさせてきたし、おそらくこれからもそれは変わらないのだろう。

“最後の曲を感謝の想いに替えられたらと思います。またみんなの人生の中で俺たちの音楽が鳴ることを祈って、心と心を繋ぐ曲、最後に歌って帰りたいと思います”(長谷川)。そうして演奏された「knock you , knock me」で幸福感溢れるラスト・シーンを迎えると、アンコールでは「三月のマーチ」を披露。最後まで笑顔で駆け抜けた。

この日のライヴ中、今年の夏に2ndフル・アルバムをリリースすること、秋に全国ワンマン・ツアーを開催することを発表したドラマストア。そしてその前、4月21日には、[DRAMA FESTA EXTRA ~感”無料”ワンマン~]と題した無料ライヴが行われる。振り返れば今回の”DRAMA FESTA 2022″、イベント開催に向けて実施したクラウドファンディングは、開始30分で目標達成率100パーセントを突破し、最終的には319パーセントに達するなど、ファンからの支えもあって成功した側面もあった。そしてこの無料ライヴは、ファンへ感謝を伝えるため企画されたのだそう。こうしてリスナーとともに感情を交換し合いながら、ファンとともに一歩一歩を確かめ合いながら、ドラマストアはこれからも進んでいくことだろう。
[Setlist] ■the shes gone
1. Make my day
2. 甘い記憶
3. ふためぼれ
4. 想いあい
5. ラベンダー

■Hakubi
1. 辿る
2. 夢の続き
3. Friday
4. 在る日々
5. mirror

■reGretGirl
1. スプリング
2. ピアス
3. ロードイン
4. デイドリーム
5. ホワイトアウト
6. ブロッサム

■Base Ball Bear
1. すべては君のせいで
2. DIARY KEY
3. short hair
4. The Cut
5. Stairway Generation
6. BREEEEZE GIRL

■BIGMAMA
1. SPECIALS
2. Sweet Dreams
3. 春は風のように
4. A KITE
5. The Naked King ~美しき我が人生を~
6. YESMAN
7. Let it beat

■ドラマストア
1. Stand by You
2. 世界はまだ僕を知らない
3. 可愛い子にはトゲがある?
4. スイミー
5. ガールズルール
6. 花風
7. グッバイ・ヒーロー
8. knock you , knock me
En. 三月のマーチ
待望のメジャー1stシングル。3曲すべてのタイトルに食べ物の名前を使ったBIGMAMAらしいコンセプチュアルというか、遊び心が感じられる1枚だが、楽曲はライヴ・シーンを沸かせてきた彼ららしいアッパーなロック・ナンバーの3連打。2ビートで突き進む……と思わせ、ハード・ロッキン且つプログレ的な展開に意表を突かれる表題曲。あっという間に駆け抜けるメロディック・パンクのTrack.2「POPCORN STAR」。そしてグラッジなリフと言葉を投げ掛けるようなヴォーカルが印象的なTrack.3「Donuts killed Bradford」。緊張感に満ちたヴァイオリンのフレーズをはじめ、BIGMAMAらしさの中に巧みに新境地も溶け込ませ、単純にライヴ映えするというひと言では収まりきらないものに仕上げている。(山口 智男)
2月10日の恵比寿LIQUIDROOM公演で初披露した「ファビュラ・フィビュラ」で幕を開ける7thアルバム。ライヴ・アンセムとしてすっかり定着しているTrack.2「MUTOPIA」など、お馴染みの曲も含む全14曲を収録。それぞれの曲に(架空の)街の物語とテーマが込められ、アルバム1枚でひとつの地図ができあがるというコンセプトのもと、多彩な曲が散りばめられているが、ハード・ロッキンな「ファビュラ・フィビュラ」を始め、大人っぽい曲がグッと増えてきたという印象だ。ファンキーな演奏と哀愁のメロディが絶妙に入り混じるTrack.5「BLINKSTONEの真実を」、しっとりと聴かせるバラードのTrack.10「レインコートになれたなら」に今年、10周年イヤーを迎えるBIGMAMAの成熟を聴き取りたい。(山口 智男)
昨年のツアーに密着したドキュメンタリーとツアー・ファイナルとなったZepp東京公演を収録した映像作品と同時リリースするニュー・シングル。すでにライヴで披露され、新たなライヴ・アンセムの誕生を印象づけている表題曲は、EDMにアプローチした「MUTOPIA」から一転、メンバー5人だけで演奏したエモーショナルなロック・ナンバー。昔からのファンは彼らがYELLOWCARDに憧れてスタートしたバンドであることを思い出すに違いない。カップリングの「A Chocolate Ghost」は1ヶ月遅れのバレンタイン・ソング(?)。歌詞、アレンジともに彼ららしい遊び心が感じられるダンサンブルなポップ・ナンバー。前述のツアーの追加公演から「最後の一口」と「MUTOPIA」のライヴ音源が加えられている。(山口 智男)
今回のシングル『MUTOPIA』は、地域ごとに歌詞が違うご当地限定曲を収録という試みのある盤。タイトル曲とTrack.2の「SKYFALL」は共通で、Track.3に全国を7地区に分けてそれぞれの土地の光景や空気が盛り込まれた「MUTOPIA」のご当地版を収録。”MUSIC=音楽”、”UTOPIA=楽園”とを掛け合わせ、音楽の力でどんな場所も楽園にという思いが形となった。アルバム『The VanishingBride』でサウンド・スケープや曲が持つ昂揚感やエネルギーを最大限まで高め、バンドとしての創造性や、フィジカルなバンド力においても豊穣の時を更新している現在。BIGMAMAならではのスウィートなサウンドに、エレクトロの煌びやかさと躁的なエネルギーを注入した「MUTOPIA」の晴れやかなパンチは、これからの活動の新たなカンフル剤となりそうだ。(吉羽 さおり)
BIGMAMAの通算5作目となるアルバム。コンセプトは”最低で最高な愛”。リリースを重ねる度にこのバンドの音は確実に洗練され、限りなく繊細な音の束は今作でとうとう空気を創り出す。昨年リリースされた各シングル曲に共通して感じた気配が形になった。プレイヤーの再生ボタンを押した途端、どこまでも広い青空と爽やかな風の中に浮かんでいるような錯覚に陥る。どのあたりが”最低”なのだろうと首をかしげてしまうのは私の未熟さゆえだろうか。まるでステップを踏むように軽やかに”愛”が奏でられる。清々しく、幸せに溢れた空気が”最高”に気持ち良くて、思わず深呼吸がしたくなる。春の穏やかな日差しと暖かいそよ風を感じたら、今作をプレイヤーに入れて出かけよう。(石井 理紗子)
大切な人の誕生日って自分の誕生日より大切で特別なもの。いつもより少し背伸びしたお洒落な渾身のバースデイ・プレゼントを用意して、それを受け取って喜んでくれる大切な人の笑顔を想像して、さあ今から会いに行こう。そんなワクワクした足取りを思わず連想させるようなBIGMAMA流バースデイ・ソング。BIGMAMAならではのヴァイオリンの華やかな音色がバースデイに相応しい彩りを添える。ファンにとってはBIGMAMAからのクリスマス・プレゼントだ。Track.2の「負け犬と勝ち猫」はギターのワウが”負け犬”、撫でたヴァイオリンの旋律が”勝ち猫”というコミカルな1曲。そして、負け犬にならないように必死に猫を被る姿の描写はなんともシニカル。さて、貴方は”負け犬”と”勝ち猫”、どちらだろうか。(石井 理紗子)
BIGMAMAの今年2枚目のシングルはダブルA面。Track.1はドイツ産天然炭酸水“GEROLSTEINER(ゲロルシュタイナー)”の音楽プロジェクト“GEROCK(ゲロック) ”タイアップ曲だ。炭酸水の気泡を風船に例えた爽快感溢れるこの曲はまさに夏フェス向き。爽快な曲が多いBIGMAMAの曲の中でもまさに“キング・オブ・爽快感”。きっと今年の夏も各地で盛り上がったに違いない。そしてTrack.2は“俯瞰”をテーマにした異色のナンバー。コンプレックスを歌っているのだから当然ネガティヴな言葉が連なるのだが、それでも尚ポジティヴに仕上がっている秀逸な歌詞に舌を巻く。そして、“不感”と掛けた言葉遊びと軽快なリズムが、歌詞の内容とは裏腹に妙にお洒落なロックである。(石井 理紗子)
“僕にとっては音楽というのは1対1のコミュニケーション・ツールだということ。直接言えないことや照れくさいことも、音楽にすると一歩踏み込んで話せる”これは紙資料に書いてある金井政人(Vo&Gt)の言葉だ。世間に絶望しようと喪失感に苛まれようと、愛に溢れた、等身大の人間の姿がありのままに描かれた歌詞。スピード感溢れるエネルギッシュなバンドとヴァイオリンの情緒的な音。気になるアルバム・タイトルもさることながら、音と言葉が相まって、彼らでしか鳴らせない世界を生み出し、心を躍動させ涙腺を刺激していく。「秘密」や「#DIV/0!」といったシングル曲やライヴでおなじみのナンバーも収録。聴いた各々が様々な感情を抱く、音楽ってやっぱりコミュニケーションだ。(花塚 寿美)
昨年はロックとクラシックを融合させたコンセプト・アルバム『Roclassick』などで話題を集めたBIGMAMA。2011年初リリース作品となる今作は「秘密」と「Lucy」の両A面シングルだ。滲むように広がるギターと流線形を描くように繊細なバイオリンのイントロが印象的な「秘密」は、天国へと旅立ってしまった恩人との約束について歌われている。切なさと物悲しさを含みながらも、そんな涙を吹き飛ばすような爽やかさと力強さ。5人のどこまでも真摯でポジティヴなエネルギーを真っ向から受け、忘れかけていた純粋な感情と熱い思いが込み上げてきた。「Lucy」は、炸裂するドラムが軽快な、疾走感溢れる全英語詞のポップ・ナンバー。BIGMAMAの無邪気さが凝縮された非常に瑞々しい1曲だ。(沖 さやこ)
2001年に東京で結成された、女性ヴァイオリンを含む5人組ロックバンド。一度彼らのライヴを観たことがあるのだが、メンバーの確かな演奏力と、モッシュやダイヴで応戦するキッズの熱狂が強く印象に残っている。昨年12月にセカンド・アルバム『Dowsing For The Future』をリリースし、一年を待たずにこのサード・アルバムが発表されるわけだが、今作もBIGMAMAらしいパワフルでエモーショナルな曲が満載で、時に全体のメロディーを牽引するヴァイオリンの音色と、透き通った歌声とのコントラストが大きな魅力となっている。”全曲を通して、一つのストーリーで繋がるコンセプシャルな小説的アルバム”ということで、特に曲と曲との繋がりや歌詞に注目して、自分なりの解釈を楽しもう。(杉浦 薫)
結成20周年を迎えたBase Ball Bearの新作。この時代を深く見つめながら描かれた”人生讃歌集”だという今作だが、ここには小出祐介(Vo/Gt)の中にあるだろう様々な意図や想いを深読みせずにはいられない言葉たちが綴られている。また、近年突き詰めてきた3ピース・サウンドはさらに洗練されており、曲が複雑化したというよりは、ピュアな気持ちで生み出されたものがそのままソリッドに研ぎ澄まされて進化を遂げているような印象。長年のベボベファンは新しさと懐かしさを同時に感じる部分もあるのではないだろうか。作品をひもとく”鍵”となる1曲目の「DIARY KEY」、メンバー全員で作曲した「悪い夏」、valkneeとのコラボ曲など全11曲。一曲一曲を大切に聴きたいアルバムだ。(三木 あゆみ)
“SYUUU”(=驟雨)とは夕立のことを指す。一見哀愁を帯びたイメージを持たれかねない言葉だが、夕立はしばらくすると止むものである。「SYUUU」はそんな雨上がりの晴れた空に似合う、爽快なリズムと共に新たな一歩を踏み出す人に寄り添うナンバーだ。対して「ドライブ」は、何気ない日常にある”生きている音”をメロウなメロディに乗せて表現するミドル・バラード。シンプルな3ピースのバンド・サウンドだからこそ、磨き上げられた音と小出祐介(Vo/Gt)のしなやかに伸びる歌声が際立っている。また、3人の歌声が美しく重なるコーラスも必聴。両曲を聴き終えると、ベボベがそっと照らしてくれた光によって自然と前を向ける、そんな1枚に仕上がった。(伊藤 美咲)
2010年代になぜヒップホップが覇権を握ったのかと言えば、ジャンル内ゲームから抜け出し自由に外側と接続することで、メタモルフォーゼを遂げていったからである。”ヒップホップだけど、ヒップホップじゃない”からこその面白味が、YouTube/SNS時代以降のジャンルレスな感覚とシンクロしたとも言える。そう考えると(特に日本の)ロック・バンドはいつからか、”ロック・フェス”という内々のゲームに拘泥してしまっていたように思えてならない。そして、それに対して常にラディカルな抵抗を見せてきたBase Ball Bearは、本作において”どうしようもなくロック・バンドなのに、これまでのロック・バンドとは明らかに違う”という境地に辿り着いた。新たなディケイドの幕開けに相応しい。(金子 厚武)
“3人の音”にこだわったのはライヴにおける再現性の重視が大きな理由だが、それは録音物としてトラック的な音作りと肉体性の同居を表現するための最適解でもあり、間違いなくこれまでのバンド像を更新する作品となった。関根史織(Ba/Cho)のアイディアから曲作りが行われた「試される」と「PARK」は、やはりベース・ラインが楽曲の主役で、存在感抜群のフレージングとミッド・ローの抜けの良さによって強い印象を残す。堀之内大介(Dr/Cho)も含め3人がヴォーカルやソロを担当し、徹底的に”3″にこだわったリリックが小出祐介(Vo/Gt)のナードっぷりを際立たせる「ポラリス」も最高。DISC 2には2018年10月に行った”日比谷ノンフィクションⅦ”のライヴ音源も収録している。(金子 厚武)
本作を前にすれば、『C2』での大胆な音楽的変化は、ここへ向かうための通過点だったように思えてくる。もちろん、それは湯浅将平(Gt)の脱退によって結果的に導かれたものではあるが、国内外の音楽を対象化することによって、自分たちの独自性を獲得してきたバンドが、ここに来て音楽と本質的に向き合ったという事実はとても大きなことだ。一方で、”青春”を対象化することによって、”時間”を描き出すという、コンセプターとしての小出祐介(Gt/Vo)は、本作でもキレキレ。歌詞が青春から今へと向かうのに対して、音楽的には逆にルーツを遡り、ファンキーなカッティングからスタートしつつ、UKロックを経由して、ラストの「Darling」でブルースに辿り着くという構成もお見事。新たな扉を開いた、真の転機作。(金子 厚武)
ベボベことBase Ball Bear初のダブル・タイアップによるダブルA面シングル。RHYMESTERや声優の花澤香菜と共演した『THE CUT』から一転、”締め切りも、契約もある”という一節に思わず、あれこれと想像を膨らませてしまう「ファンファーレがきこえる」と「senkou_hanabi」ともにギター・ロック・バンドとして彼らが持っている醍醐味をストレートに打ち出してきた。焦燥感いっぱいの同世代のリアルと刹那的な10代の青春。それぞれテーマに違いはあってもどこかオプティミズムが感じられるところが清々しい。疾走感で押す「ファンファーレがきこえる」、巧みなアレンジで聴かせる「senkou_hanabi」。それぞれに魅力があるが、個人的には関根史織(Ba)がハーモニーを重ねた後者に聴きごたえを感じる。(山口 智男)
今年2月にベスト・アルバムとシングルを同時リリースし、全国ツアーと6/15の日比谷野外大音楽堂でのワンマンも大成功を収めたBase Ball Bearから、新曲3曲+64分に渡るライヴ音源を収録したミニ・アルバムがリリースされた。RHYMESTERとのコラボ曲「The Cut」はベボベがこれまでで築き上げたダンス・ビート、DJ JINのダイナミックなスクラッチ、小出祐介のソフトなヴォーカル、宇多丸とMummy-Dの切れ味鋭いフロウとライム、全ての相性がばっちり。自然と体が揺れるキャッチーな楽曲だ。関根史織(Ba)と声優の花澤香菜のツイン・ヴォーカル曲「恋する感覚」は小出のポップ・センスが炸裂したキュートなナンバー。ギターが刻む緊迫感が心地よい「ストレンジダンサー」も新たな側面を覗かせる。 (沖 さやこ)
アニメ『惡の華』の主題歌を完全収録したコンセプトEP。宇宙人によるOP曲「惡の華」は、しのさきあさこ、後藤まりこ、の子(神聖かまってちゃん)、南波志帆をそれぞれヴォーカルにフィーチャーした全4種類が収録され、ED曲であるASA-CHANG & 巡礼の「花 -a last flower-」も収録。物語の不穏な空気感、歪さを表現するため、ロトスコープと呼ばれる実写を元にした映像作成も話題を呼んだアニメだけあって、音楽においてもアニメならではの世界観を生み出そうとしていることが、本作を聴けばよくわかる。出口の見えない陰鬱な青春が、それぞれの楽曲に見事に表現されている。その中でボーナス・トラックとして収録されたBase Ball Bearの「光蘇」は、暗闇の中、かすれた瞼に映る微かな光のようで、美しい。(天野 史彬)
「DEATHとLOVE」をテーマに作られたBase Ball Bear 初のコンセプト・アルバム。3.5thアルバムというクレジットの通り、同コンセプトのもと制作された2タイトルの同時リリースとなっている。コンセプトが”DEATH とLOVE”って…。ベタだなーと思っていたが、このベタベタ具合が、ある種J-POP 的ともいえるドラマチックなメロディ・センスと楽曲の構成力を持つ彼らとはベスト・マッチだったよう。様々なジャンルを取り入れた曲作りをしながらも、楽曲のドラマ性を最大限尊重するプロデュース力が際立っているのだ。『CYPRESS GIRLS』は男性目線の情熱的で力強い意思表示の躍動的な作品。『DETECTIVE BOYS』は女性目線の曲が多く、やわかいタッチの作品で、思わずドキドキさせられるロマンチックが溢れた作品。一つ言えることは、確実にベボベの新たな側面が見られますよ!(島根 希実)
Base Ball Bearというポップで可愛いバンド名から想像していたサウンドとは違い驚いた。学園祭に出演するためのバンドとして始まったのが2001年。そこからライヴ・バンドとして着実に力を付けていき2006年にメジャー・デビュー。これまでに2枚のアルバム、11枚のシングルをリリースしている。そしてこの作品は4曲のタイアップ・ソングを含む1 年9 ヶ月ぶり、3枚目のアルバムとなる。エッジーなギターとタイトなバンド・アンサンブル。言葉に気持ちをぶつけていくエモーショナルなボーカル。疾走感溢れるサウンドがとにかく気持ちがいい。今作は加速していく彼らにとっての代表的な一枚となるだろう。(遠藤 孝行)
“夜中、あなたに寄り添う音楽”をコンセプトに活動中の京都発3ピース・ロック・バンド Hakubiが5枚目のEPをリリース。片桐(Vo/Gt)が一歩踏み出す決意を、今の自分自身へ喝を入れる気持ちで書いたという本作は、全3曲がそれぞれ違う色を持ち、新たなバンドの姿を見せてくれる1枚になっている。リード曲「22」は、前EP収録の「17」に続くバラード。17歳のときに書いた歌を手紙として受け取った22歳の彼女が綴った、等身大の想いのようにも思える。ドラマチックなピアノの音が加わった壮大なバンド・サウンドに乗る、片桐のまっすぐで美しい歌声が胸に刺さる1曲だ。そして新機軸な「Friday」とバンドの決意が窺えるライヴ・チューン「ハジマリ」も必聴。Hakubi第2章の幕開けも感じられる。(三木 あゆみ)
昨年1月にメジャー・デビューした大阪発のセンチメンタル・ギター・ロック・バンド reGretGirlの1st EP『生活e.p.』。全4曲すべてが失恋ソングでありながら、切なさだけでなく人の温もりをも残す傑作だ。心地よく弾むギター・サウンドに乗せて、叶うはずのない淡い期待や望みがリアルな情景描写とともに描かれた「ロードイン」で恋の始まりを懐かしみ、何気ない幸せの時間を切り取る「シャンプー」、キャッチーなメロディの上に綴られた”忘れることをやめた”というメッセージが刺さる「LDK」へと続いていく。ラストで唯一のバラード「オールディーズ」を届けてくれるのだが、2サビで畳み掛ける君との思い出の数々と”どうか君も傷ついてくれないか”の一節に、つい目頭が熱くなる。(是永 鈴菜)
the shes goneの1年ぶりとなるミニ・アルバム。今作には、どこか季節の巡りが感じられる色とりどりな5曲が収録されており、全曲で異なるサウンドスケープが鮮やかに描かれている。そして、なんと言っても彼らの強みでもあるメロディ・ワークが素晴らしい。不思議な温度感を持つ兼丸の歌声を乗せた”シズゴ節”とも言えそうなそのメロディは、聴き手の日常にスッと溶け込む唯一のものだろう。希望と不安の狭間でぐらついた気持ちに優しく触れる「春の中に」、飲みの席で感じる不甲斐なさを軽快なリズムの中で歌う「alcohol」、すれ違い沈んでいく想いの行先を綴る「Orange」。どれだけ季節が過ぎようと人それぞれ悩みや葛藤は絶えないけれど、今作はそんな心を少しだけ、楽にしてくれる気がする。(三木 あゆみ)
デジタル・シングル「備忘録を綴る」を挟み、フィジカルとしては約1年ぶりのリリース。疾走感溢れるギター・ロック、ブラス入りピアノ・ポップ、ドラマチックなバラードと3曲の粒立ちはしっかりと。ひと捻りある展開、歌詞カードを見るとわかる言葉遊びなど、彼らならではの工夫、企みも効いている。全曲ひもとき甲斐があるが、初期衝動が前面に出た「希望前線」然り、高揚感に満ちた「knock you , knock me」然り、”同じメロディに別の歌詞を充てる”というトライをした「回顧録を編む」(「備忘録を綴る」と一緒に聴いてほしい)然り、演奏者も書き手も前のめりに制作に臨んでいることが一番に伝わってくる。”トリプルA面シングル”と派手に銘打つスペシャル感も嬉しい。(蜂須賀 ちなみ)
遠くまで球を投げるにはいいフォームを体得する必要があり、肘の角度から目線に至るまで、初めはひとつひとつを気にしなければならない。しかし繰り返すうちに身体が覚え、いつしか意識せずともきれいに投げられるようになる。比喩表現になってしまったが、ドラマストアは今そういう意味で新たな段階に差し掛かりつつあるのでは。思考を重ねて積み上げてきたこれまでがあるからこそ、自分たちの感性を信じられるようになってきた。だから”ベタを疑う”という考えでやってきたにもかかわらず、あえてベタに踏み切った曲がある。今だからこその再録もある。幅広い曲調に挑んだ経験が、当初からの哲学を固くさせるものとして機能しているのも嬉しい。過去、現在、未来がここにひと繋ぎになっている。(蜂須賀 ちなみ)
表題曲は女性からのプロポーズがテーマで、アコースティック・ギターの音色を基調としたミドル・ナンバー。匿名の影に隠れる悪意を揶揄した「イリーガルハイ」は、ピアノのイントロからしてスリリングで、各メンバーのプレイにスポットが当たる場面も。そして「Work&Work」は、新米社会人を励ますような、カラッとしたテンション。以上3曲を収録した今回のシングルは、1stフル・アルバムから半年足らずのスパンでリリース。にもかかわらず、固定観念に疑問を呈し、新たな価値観を軽やかに提示する長谷川 海(Vo/Gt)の筆は相変わらず冴えているし、フル・アルバム制作時に強化された引き算のアンサンブルはさらに良くなっている。作品の洗練具合にバンドの調子の良さが表れているようだ。(蜂須賀 ちなみ)
凛とした空気で幕を開け、華やかなフレーズの数々で踊らせるかと思えば、エッジの効いた表現でチクリと刺す。そしてストレートなバンド・サウンドを堂々と鳴らしたあと、思いっきりダッシュしてドタバタとフィニッシュ――関西発のポップ・バンド、ドラマストア初のフル・アルバム『DRAMA STORE』は、彼らの思うポップスを突き詰めた色彩豊か且つ起承転結が鮮やかな作品となった。テーマは”挑戦と回顧”。いつになく頼もしく、しかしやっぱりどこか放っておけない感じのあるバンドの姿が、生き生きとしたサウンドから透けて見えるようで、なんだかグッときてしまった。いよいよ、4つのピースが揃ったということだろう。ここから彼らのさらなる快進”劇”が始まることを期待したい。(蜂須賀 ちなみ)
イントロからいきなり聴き手の意表をついてくる「三文芝居」が象徴するように、バンドの果敢な挑戦がたくさん詰まったドラマストアのニュー・ミニ・アルバム。メンバーの加入&脱退もあった昨年はこのバンドにとって変化の年となったが、激流のなかで歩みを止めなかった経験がこのタイミングになって花開いた様子だ。3rdミニ・アルバム『白紙台本』で手に入れた新たな武器=ピアノ・ロック・サウンドにさらなる磨きをかけ、変拍子や転調を華麗に取り入れたシングル『ラストダイアリー』での作曲法を踏襲&進化させた本作は、ホップ・ステップ・ジャンプで言うところの”ジャンプ”にあたる、まさに飛躍の作品と言えるだろう。バンド内にいい風が吹いていることが至るところから伝わってくる。(蜂須賀 ちなみ)
前作から約半年でニュー・シングルをリリース。表題曲「ラストダイアリー」は一聴するとこのバンドの王道を貫くようなポップ・ソングだが、ストリングスを取り入れていたり、転調や変拍子を用いたトリッキーな展開が用意されていたりと、新たな試みも多い。歌謡テイストの「あさきゆめみし」、アコースティック調の音色が優しいミディアム・チューン「ハロー彗星」と、収録曲はそれぞれ異なる色を持っており、シングルながら、このバンドの多様性が表れた意欲作だ。そんな3曲に共通しているのは、作詞作曲を担当する長谷川海(Vo/Gt)の人間性が今までよりも濃く、歌詞に投影されていること。ファンはもちろん、これからこのバンドを知っていく人にとっても打ってつけの1枚なのでは。(蜂須賀 ちなみ)
3rdミニ・アルバムにして2枚目となる全国流通盤。全国デビューや初ワンマン、メンバーの脱退など、バンドを取り巻く環境は一気に変化。それを反映するかのようにピアノを取り入れたTrack.1「至上の空論」を始め、全体的にサウンドは多彩に。とはいえ、それもすべて”何気ない日常にドラマを”という結成当初からのテーマを貫いた結果であることがこの6曲から伝わってくる。架空の主人公が設定された曲が並ぶなか、バンドのこれからを語るTrack.6「バースデー」のノンフィクションっぷりには胸を打たれた。変わらないために変わっていくこと、ネガもポジも音楽に昇華させながら一歩ずつ進んでいくことを選択したこのバンドの物語は、多くの人に勇気を灯してくれるはずだ。(蜂須賀 ちなみ)
“何気ない日常にドラマを”そして”あなたの日々に転がるたくさんのドラマに、最高のBGMを”をコンセプトに活動する大阪発正統派ギター・ロック・バンドがTOWER RECORDS新レーベル”myh records”第1弾アーティストとしてリリースする1stミニ・アルバム。空間系のギターに奥行きのあるドラムが重なるリード曲のTrack.1、四つ打ちとクラップが爽快なファスト・ナンバーTrack.2、キャッチーでセンチメンタルなメロディが突き抜けるTrack.3、ドラマチックに展開するポスト・ロック風のドラムが刻む3拍子とアルペジオの相性が良いTrack.4、8ビートで駆け抜けるTrack.5と、歌を重んじたアンサンブルで構成された5曲が揃った。上モノの裏でテクニカルなリズム隊のアプローチがアクセントになっている。(沖 さやこ)
“DRAMA FESTA 2022″出演バンド大集合!5人で語るそれぞれの愛の形
BIGMAMAの金井政人が素直に応援したいと認めた福岡の5人組、aintが全国デビュー
アニバーサリー・イヤーの初リリースはメンバー5人の音だけで奏でたBIGMAMAの新たなライヴ・アンセム
鳴っている音楽と歌詞をリンクさせたいんです。音をより音楽にしていく。 より楽しめるものにしていくことに対して自信があって、こういう道を選んでいるんでしょうね。
2019年の自分の体感としては、もう1回”バンドかっこいい”がくるんじゃないかと思ったんです
“0から1″の作業をリズム隊にやってもらうことで、肉体的なバンドの音作りができた
自分にとっての青春が何だったのかようやく言語化できて、”未解決事件”なんだなって思ったんです
Hakubiが成長することや、音楽を作ることでたくさんの人が喜んでくれたら
音楽は娯楽。それでも必要としてくれる人に届けることだけを考えたい
曲の一部を預けたいと思えるほど、みんなのことが愛しくなった
“ドラマストア、今キてるんちゃう?”っていうタイミングで引きの一発を打つのはめっちゃ粋やなって
4年間で変わったところ、変わってないところをみんなに見つけてほしい
“万人に受けなくても別にいい”、”僕が僕でいることの方が大事だ”と気づけたのが大きかった
“君を主人公にする音楽”を鳴らし続けたバンドによる”僕を主人公にした音楽”
表現を発信する側で居続けたい傍ら、表現を受信する人間でもありたい
太陽が沈んだあとの世界を少しだけ照らす5つのお話
2022.03.06 @日比谷公園大音楽堂
2017.02.10 @LIQUIDROOM ebisu
2014.08.21 @新木場STUDIO COAST
2012.05.13 @ZEPP TOKYO
2011.03.30 @SHIBUYA-AX
2018.04.13 @下北沢LIVEHOLIC
2019.10.22 @吉祥寺CLUB SEATA
2021.09.20 @EX THEATER ROPPONGI
2020.11.18 @渋谷TSUTAYA O-EAST
2020.01.11 @渋谷CLUB QUATTRO
2019.07.07 @渋谷WWW
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Skream! 2022年05月号

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