K-POPとJ-POPの振り付けの明確な違いは? | s**t kingz・shojiとGANMI・Sotaの「コレオグラフ研究会2021」 – 音楽ナタリー

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s**t kingz・shojiとGANMI・Sotaの「コレオグラフ研究会2021」 [バックナンバー]
世界で活躍するジャニーズやPerfume、新境地を切り開くBE:FIRST
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s**t kingzのshojiとGANMIのSotaが2021年に発表されたダンスパフォーマンスについて語る「コレオグラフ研究会2021」。当初はそれぞれがピックアップした計12作品について語り合ってもらうだけの予定だったが、ひさびさに会った2人のトークは止まらない。
後編で彼らが意見を交わすのは、K-POPが世界的な飛躍を遂げる一方で、J-POPが地産地消であり続けてしまう理由など、国内外の振り付けを手がける2人だからこそ話せるテーマ。また海外を視野に入れた活動を続けるジャニーズや、海外のファンも多いPerfume、そして昨年鮮烈なデビューを果たしたBE:FIRSTについてもそれぞれが抱く印象を明かした。
取材・/ 清本千尋 撮影 / 曽我美芽
──前編では2021年に発表されたダンスパフォーマンスの中から、特にお二人が気になった6作品ずつについて語り合ってもらいました。改めて2021年に発表されたダンスの傾向がどんなものなのか聞かせていただけますか?
左からSota(GANMI)、shoji(s**t kingz)。
shoji(s**t kingz) 最初のほうでSotaも話していましたが、楽曲をコライトするのと同じように、いろんな振付師が少しずつ振り付けして、それをツギハギにつなぎあわせて1曲にするのがトレンドだと思いますね。そういうことをやりだしたのはBLACKPINKBTSといったグローバルで活躍するアーティストたちで、すべてのブロックがサビに見えるというか、そのブロックごとに個性のある振り付けなのが特徴なんじゃないかなと。でもここからまた潮目が変わって、1人の振付師が1曲まとめて、なんなら1人の振付師が事務所の全グループの振り付けを請け負うような流れに変わりそうな気もしています。
Sota(GANMI) 俺はYGXのリジョンさんがこれからそういう人になるんじゃないかと思ってますね。ツギハギで振り付けが作られる中でも、ここ1年くらいで圧倒的にリジョンさんの振り付けがめちゃくちゃ増えてて、YGもきっと「この1人でよくない?」って思っているんじゃないかなって(笑)。
shoji そうだね。きっとそこからまた新しいトレンドが生まれていくんじゃないかな。やっぱりダンスの中心は今はK-POPだけど、K-POPって各事務所のトップがクリエイターやアーティスト出身で、しっかりトレンドを追いながら新しい才能を見出して、若いクリエイターをガンガン起用するようになって勢い付いたと思うんだよね。ダンサーや振付師もどんどん若い子が出てきている印象だし。でもそれはここ2、3年の話で、こんなことを言うと失礼かもしれないけど、昔の韓国のMVに出ているバックダンサーってたいしてうまくないんです。もともと韓国ではK-POPのダンスをカバーするのが流行っていて、誰かがビデオを観て覚えたK-POPのダンスを生徒たちに教えるダンススタジオだらけだった。その状況にストリートダンサーたちはずっと嘆いていたんですけど、今はカバーだけじゃなくて、ダンスを学べるスタジオも増えて、自らクリエイトするダンサーもどんどん出てきてカルチャーが盛り上がっているんですよね。
Sota あと、韓国からのオーダーってめちゃくちゃ細かくないですか? 数秒刻みで「ここはこういう感じ」「ここにはポーズが欲しい」というリクエストがあるし、キーワードも事前にしっかりと伝えられて、それを踏まえた振り付けを作る。僕は新参者なので、昔からK-POPがこうだったのかはわからないですけど、イメージが明確なのですごくやりやすいんです。K-POPってコレオグラファーよりもパフォーマンスディレクターに権力があるんですよね。パフォーマンスディレクター自身に明確に作りたいものがあるけど、詳細な振り付けについては職人に頼もうって、俺らに依頼が来るという。
左からSota(GANMI)、shoji(s**t kingz)。
shoji K-POPはダンスに興味がある人たちがディレクションをして、コレオグラファーに発注をしているのがわかるからこっちも気合いが入るよね。つい最近、日本のとある事務所の方と一緒に仕事をしていて、そのときに「振り付けって大事なんですね!」って言われて。そことは10年くらいお付き合いがあったので、思わず「今気付いたんですか!?」って驚いて立ち上がって叫んだよ(笑)。10年くらいご一緒してきているのに、俺らに何を頼んでいたんだと(笑)。でも確かにその人から「こういうダンスがいい」という具体的なオファーは一度も受けたことがなかったなって……。
Sota (笑)。K-POPって曲自体にしっかりダンスのガイドがあるじゃないですか。例えば「サビをキャッチーにしてください」と言われても、音自体がキャッチーじゃないと限界があるけど、K-POPの曲は振り付けをはめやすいリズムが最初から用意されているし、きっと音作りの時点で、大まかな振り付けのイメージがあるんだと思います。
shoji 「この音を拾ってください」と言わんばかりに用意されている音があって、キャッチーな振り付けを作るヒントになっているよね。それをどれだけ生かした振りを作れるのかが、コレオグラファーたちの腕の見せどころだと思う。世の中にはキャッチーじゃない音楽にキャッチーな振りが付いて化学反応が起きるみたいなこともあるけど、それはとてつもないギャンブル(笑)。パフォーマンスをイメージせずに曲を作って「なんとなくキャッチーな振り付けにしてください」は丸投げ過ぎなのよ(笑)。
Sota そうそう(笑)。そういうオファーが来ると、「俺らってやっぱり“乗っける”作業なんだな」って悔しくなるんですよね。1つの作品を作るためにもっと一丸になってやりたいのにって。
──耳が痛い関係者が多そうな話ですね(笑)。
shojiSota (笑)。
Sota いろんな相乗効果があって、K-POPはどんどんレベルが上がっているんだと思います。日本でもダンスカルチャーが盛り上がっている感じはありますけど、若い子がそれを生業にするためにがんばるみたいなことはあまり国内では起きていない気がしますよね。
shoji 俺らの世代がずっと牛耳っちゃってるからね(笑)。うまいダンサーはたくさんいるけど、次のクリエイターがあまり頭角を表していない印象がある。韓国は逆で、どんどん若いクリエイターたちが出てきている状態なんだよね。ありがたいことに、俺らの世代以降はYouTubeやSNSの力も借りながら海外への扉が開いて、s**t kingzは「BODY ROCK」、GANMIは「VIBE DANCE COMPETITION」というアメリカのダンスコンテストでいい成績を残して海外でも注目してもらえるようになった。海外での認知はダンサーにとってすごく大事で、ある種のブランドみたいなものになる。これをきっかけにs**t kingzはK-POPの振り付けの仕事が来るようになったし、GANMIもほかのダンスグループよりも1つ頭の抜けた存在になって。日本人で海外でも活躍しているダンサーと言えば、仲宗根梨乃さんやRIEHATAさんがいるけど、2人はやっぱりアメリカで人気を得てスーパースターになった。日本国内だけでダンスをやっているよりも、海外志向が強かった人たちが今こうやって評価されて活躍しているというのが現実なんだと思います。韓国はK-POP自体が海外で注目されているから、必然的にクリエイターたちもワールドワイドになっていくという構図な気がするけど。
Sota(GANMI)
Sota 結果論ではあると思うんですけど、シッキンもGANMIも「ダンスで売れたかったら海外でなんかしたらいい」という答えを示してしまったんですよね。逆に言うと日本国内でどれだけがんばっても限界があるとも言える。海外のコンテストで優勝したことがそのダンサーやグループの価値ではないけれど、日本の人たちからするとやっぱりそれだけで格が違うと思ってしまうというか。
shoji よくも悪くもJ-POPは地産地消なんですよね。それを日本の音楽業界がどう捉えるかだと思うんですけど、韓国がこれだけ国際志向になったのは、国内のマーケットだけでは雇用をまかないきれず、事業の拡大も望めないからですよね。だからこそ隣国の日本で成熟したプラットフォームやマーケットを手に入れて、アメリカやヨーロッパなどにも進出していくようになった。日本の場合は国内で完結できるマーケットがあるので、韓国に比べたらまずは自国民に刺さるものを目指すほうが結果を出しやすいのかも。そんな中でも、J-POPの海外輸出の話で言うと、宇多田ヒカルさんはすごいですよね。この前こんな動画を観たんですけど、任天堂の「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」に「キングダム ハーツ」のキャラクターが追加されたときに、宇多田さんが歌うテーマ曲が流れてきたのを聴いた海外のゲーマーたちが「Hikaru Utada……」って言って泣き崩れたんです。彼女は自分がやりたい音楽を突き詰めて、それが世界中の人の心に届いている人なんだなと思いました。デビュー曲は洋楽っぽかったけど、そうじゃない楽曲も世界で評価されている。J-POPなりの海外での戦い方もあるんだなと思いましたね。
──海外で活躍する日本のダンスボーカルグループと言えば、Perfumeがすぐに思い浮かんだんですが、彼女たちについてはどうでしょうか?
shoji Perfumeのぴあアリーナでやったライブを観に行ったんですけど(「Perfume LIVE 2022[polygon wave]」)、とにかく素晴らしかったんです。PerfumeはMIKIKOさん独特のユニークな世界観のダンスももちろん面白いんですけど、このライブは特に映像や照明の演出も込みで1つのエンタテインメントになっていて素晴らしかったです。あのエンタテインメントの総称としてPerfumeという感じがして。ああいうグループは世界中を探してもPerfumeくらいしかいないんじゃないかと思います。
──ジャニーズも海外に向けて積極的に発信しているメージがあります。SixTONESは海外志向なグループとしてデビューしましたし、今年に入ってからですがTravis Japanはアメリカに留学することも発表しました。
shoji ジャニーズさんは昔から海外ツアーもしてますしね。国内でももちろん人気がありますけど、しっかりそういうマインドを持ち続けている数少ない事務所だと思います。それこそSotaはSixTONESやTravis Japanの振り付けもしているよね。
Sota ジャニーズの人たちはすげえなって思いますね。
shoji どんなところが?
Sota 単純にパフォーマンス能力が高い。ジャニーズJr.の子のレッスンもさせてもらうとわかるんですけど、しっかり基礎ができているんですよね。特にジャズに強いと思います。関わるようになって、俺らの彼らへの印象はまったく変わりました! 本当に彼ら、ダンスがうまいんですよ。
──それは小さい頃からジャニーズJr.として練習を積んできたからなんでしょうか?
Sota それもありますけど、やっぱり場数が違うんですよね。小さい頃からステージに立ってたくさん踊ってきたからこそ、しっかり基礎が身に付いているんだと思います。ジャニーズさんとのお仕事は、彼らが持っているものをどうやって洗練していくかの作業なので、一緒にやっていてすごく楽しいです。
読者の反応
品川紋次郎 @bpn8888
めちゃくちゃ納得なお二人の対談で読み込んでしまった
トラジャの話もしてくれてる!
これはほんとに事務所のお偉い人というか…マネジメントしてる人達に読んでもらいたい記事ですね…笑 https://t.co/IVdB6En2Kv
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