そこに鳴る | Skream! ライヴ・レポート 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト – Skream!

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LIVE REPORT
Japanese
Skream! マガジン 2022年06月号掲載
2022.05.13 @下北沢シャングリラ
Reported by 山口 智男 Photo by ニイミココロ
そこに鳴るの藤原美咲(Ba/Vo)いわく”10代の頃からの付き合い。刺激を貰える存在。勝手にライバルだと思っている”感覚ピエロ(以下:感エロ)との対バンが、昨年12月にそこに鳴るに正式加入した斎藤翔斗(Dr/Vo)のお披露目ツアーの東京ファイナル公演で実現した。

実に8年ぶりのことだったそうだが、熱っぽく観客に訴え掛けながら、存分にフロアを揺らした感エロ、そしてアクロバティックという言葉に置き換えられる超絶テクニカルなプレイを粛々と繰り広げ続けたそこに鳴る――近しい志向が感じられる一方、全然違う表現方法を持つ2バンドが描き出したコントラストの中で、感エロとそこに鳴るそれぞれのユニークさが際立ったという意味で、短くない時を経た再会は旧交を温めるだけにとどまらない、とても見応えあるツーマン・ライヴになったのだった。

感エロを誘ったとき、そこに鳴るがそこまで考えていたかどうか。それはさておき、鈴木重厚(Gt/Vo)と藤原がタッピングと歌声を重ねる1曲目の「Less Than Zero」からいきなりギアを入れ換えるように、ミュートしながら刻むメタリックなギター・リフが、観客のヘッドバンギングを誘った「METALIN」、ダンサブルなドラムの四つ打ちが観客に手を振らせた「雨に消えて」と繋げ、勢いを増していった3人の演奏は、同期のピアノとストリングスも交えた耽美的なサウンドと、ツイン・ペダルを駆使した斎藤によるブラスト・ビートが入り混じる、ドラマチックなアレンジを持つ「表裏一体」で早くも恍惚の境地に!

多くの場合、このタイミングで、観客の気持ちを煽るような誘導がバンドによってなされるんじゃないかと思うのだが、そんなことにはあまり興味がないのか、ステージの3人は前述したように粛々と、しかし、鈴木と藤原が背中合わせになって奏でるツイン・ソロ(「complicated system」)や3人の演奏が複雑に絡み合いながら、ギリギリ成立しているように聴こえるエキセントリックなアンサンブル(「絶対的三分間」)、ラスサビをスリリングに演出する体感的にはかなり長い時間に思えた”溜め”(「re:program」)といった見どころを交えながら、確実にステージのみならず、フロアの熱度をぐんぐん上げていった。そしてその熱度は「孤高」、「恣意的三分間」と曲を重ね、感エロとの関係を語ったMCを挟んでからの後半戦、さらに跳ね上がる。

鈴木の歌声が際立った「業に燃ゆ」、超高速の8ビートと、3人の演奏が火花を散らす間奏の勢いに観客が思わず拳を上げた「VortEx」、破壊的なアンサンブルが圧倒的だった「vermisst」、そこに鳴るには珍しいグルーヴィな「brilliant city」、そして本編ラストを飾ったキャッチーな「indelible time」。演奏もさることながら、キラーチューンの数々を揃えた曲順も見事だった。まさに圧巻と言える後半戦がそこに鳴るのポテンシャルを印象づけたことは言うまでもない。

本編を締めくくる前に鈴木は”ほんまにいいものを作ったら、みんながいいと思ってくれるという心の底の自信と、自分が作った曲がふたり(藤原と斎藤)の音に置き換わった瞬間の興奮を突き詰めていくので、ついてきてくれたらと思います”と改めて前進の意思を語った。”3ピースに戻ったそこに鳴るをよろしくお願いします!”と斎藤がダメ押しで語ってからのアンコールは、「掌で踊る」に加え、終演を告げるBGMが流れても帰ろうとしない観客のために3人がその場で曲を決め、「Lament moment」も披露。音楽そのものに語らせたいと考えているメンバーたちが内に秘めた情熱は、ちゃんと観客にも伝わっていたようだ。90分超えの熱演の最後を締めくくった予定外のダブル・アンコールは、そんなことも想像させたのだった。
[Setlist] 1. Less Than Zero
2. METALIN
3. 雨に消えて
4. 表裏一体
5. complicated system
6. 絶対的三分間
7. re:program
8. 孤高
9. 恣意的三分間
10. 業に燃ゆ
11. VortEx
12. vermisst
13. brilliant city
14. indelible time
En. 掌で踊る
W En. Lament moment


“7 ultimate materials”はそこに鳴るが7週連続で「vermisst」、「VortEx」、「渇望の日」、「恣意的三分間」、「回帰」、「雨に消えて」、「brilliant city」の7曲をCDシングルとしてリリースする結成10周年記念企画だ。結成10年目にリリースした1stフル・アルバム『超越』の成熟から今一度、そこに鳴るらしさに回帰するという大きなテーマのもと、超絶テクニカルなサウンドを極限まで鳴らす一方で、歌モノとしての魅力をさらに磨きあげながら、曲ごとにバンドが持つ可能性を追求している。男女ツイン・ヴォーカルを軸にしながら、ハーモニー・ワークにさらに力を入れるという新たな挑戦も。それは7曲に共通する聴きどころとなっている。(山口 智男)
破壊的な「Lament Moment」以下、そこに鳴るならではの魅力を全9曲約30分にぎゅっと凝縮した1stフル・アルバム。超絶テクニカル・サウンドと男女ヴォーカルの掛け合いという超個性を持つ歌モノのギター・ロックの可能性を、曲ごとに趣向を凝らしたアプローチで追求するという意味では、これまでの集大成とも言えるが、デビューから5年の活動で彼らが研ぎ澄ましてきた感性が、極めて鋭いものになっていることを感じ取りたい。そして、その感性が冒頭に書いた破壊的な方向にもポップな方向にも思いっきり振れることを! 聴き手を選ばないラヴ・ソングの「white for」はまさに後者の成果。女性ヴォーカルのバラードとしてJ-POPシーンでも勝負できるそのクオリティは、大きな聴きどころと言えるだろう。(山口 智男)
これまで以上に男女ツイン・ヴォーカルのスタイルを前面に出しながら、さらなる可能性を追求した3曲を収録。イントロのギター・リフがちょっとフラメンコにも聴こえる表題曲、ベースがジャズっぽいウォーキング・フレーズを奏でる「枷の先で」、キャッチーなギター・リフが、曲が持つ哀愁を際立たせる「孤高」――どの曲も爆裂するそこに鳴るサウンドを、これでもかと鳴らしながら、新境地をアピールしている。通常盤にはライヴDVD付きの初回限定盤に収録されないボーナス・トラック2曲を追加。どちらも初期に制作された曲の新録だそうだが、シンプルなアレンジで疾走感を追求したオルタナ・ロックの「善略」、メタルの影響が窺える「迷い子」ともに、彼らの王道からちょっと外れる魅力が聴きどころになっている。(山口 智男)
メタル、プログレ、和メロ。これまでにそこに鳴るが示してきた方向性から、さらに一歩踏み込んだような今作。7曲というコンパクトなボリュームのミニ・アルバムながら、一曲一曲がものすごい情報量で、畳み掛けるように聴く者に訴え掛けてくるサウンドは、まるで嵐のようだ。きめ細やかでテクニカルなギター・プレイや、ときに激しく主張するベースの重みなど、ショーアップされた見せ方は、ライヴで培ってきた感覚によるものだろう。ゴリゴリに暴れ回る楽曲も、繊細なハーモニーを奏でる楽曲も、自分たちの内から湧き上がる感情が迸っている。シーンにその存在感を示してきた今だからこそ、リスナーを裏切らない突き詰め方で進化を見せつけたふたりには、まだ彼らにしか見えないその先があるのだろう。(山本 真由)
要素のひとつとして持っていたメタルに彼ららしいやり方でアプローチした前作から約1年3ヶ月というペースで、そこに鳴るが完成させた4作目のミニ・アルバム。前2作で新たなサウンドに挑んできた彼らは、ここでいかに作為なく本来のそこに鳴るらしさを表現するかに挑んでいるが、原点回帰とも言えるその挑戦が、そこに鳴るというバンドの新たな基準になったところに大きな意味がある。たぶん、ここから彼らは一心不乱に自分たちの進むべき道を邁進することだろう。「表裏一体」と「indelible time」の2曲では、緻密なアンサンブルと3ピースで演奏する超絶テクを誇っていた彼らが、同期を使ってピアノやストリングスの音色を加えているが、その自由度が今後の創作にどう影響するかも楽しみだ。(山口 智男)
前作『YAMINABE』以上に曲の幅が広がった3rdミニ・アルバム。リリースはドラマーの交代を挟んで、前作から11ヶ月ぶりとなる。これまでもメタルの要素を取り入れていた、そこに鳴るが真正面からメタルに取り組んだ表題曲Track.3、Track.4「family」が大きな聴きどころと言えるが、メタルのデフォルメとしても楽しめるという意味では、ともに彼ららしいものになっている。『YAMINABE』における試みを新たなスタンダードとして磨き上げたTrack.2「新世界より」、爽やかなギター・ロック・サウンドが新境地をアピールするTrack.7「sayonara blue」も聴きどころ。より力強いものになった男女ツイン・ヴォーカルのコンビネーションとともにバンドの前進を物語る。(山口 智男)
最新モードも含め、彼らが持っている振り幅をアピールする全8曲が収録されているからこそ、このタイトル。メタル、プログレの影響も吸収したうえで和風のメロディが効いた哀愁ポップ・ナンバーを、アクロバティックに奏でる大阪の男女トリオ。前作発表後、Benthamと全国ツアーを行い、じわじわとその存在をシーンに知らしめてきた彼らが満を持してリリースするEP。あえて削ぎ落したストレートなサウンドと共にダンサブルなリズムを導入し、よりキャッチーに攻めたTrack.2「エメラルドグリーン」、Track.6「内緒にしててよ、醜い私のことを嫌っても」の2曲は、これまで以上に多くのリスナーから歓迎されそうだ。しかし、これは過渡期をとらえた作品にすぎない。本当の進化はここから始まりそうな予感。(山口 智男)
凛として時雨のコピーからスタートしてその後、オリジナルを作るようになった大阪の3人組。彼らが今、自分たちにできることをとことんやったうえで、どこからも声が掛からなかったらバンドをやめようという覚悟の上、完成させたミニ・アルバムでついに全国デビュー。アクロバティックな演奏、ギミックを駆使したミックスともに過剰さの追求を”面白がってもらってなんぼ”とメンバーたちは考えているようだが面白いというひと言だけでは表せないカタルシスがここにはある。それは過剰さの追求が何かを突破するものすごいパワーに繋がっているからだろう。和メロが印象的な「さらば浮世写し絵の如く」で聴かせる男女ツイン・ヴォーカルをもっと聴きたい他、聴きながら、もっと!もっと!と期待が膨らむ全5曲を収録。(山口 智男)
“動機は「おもろいから」”――結成10周年のそこに鳴るが7週連続CDリリースに挑む
デビューから5年――そこに鳴るならではの魅力を凝縮した1stフル・アルバム『超越』が完成
男女ツイン・ヴォーカルをさらに推し進めた、そこに鳴るの新たな王道
迷いを吹っ切った前作『ゼロ』の延長で鳴らされる究極のそこに鳴るサウンド
自分の想いに対して、どれだけピュアに作れるか――そこに鳴るが成し遂げた原点回帰からの跳躍
試行錯誤を経て、確信に変わった”そこに鳴る”らしさとポップな魅力の融合
最新モードも含め、激しい振り幅をヴィヴィッドなサウンドでアピールする新作が完成
リスナーが思わず笑っちゃうぐらいの過剰さとやりすぎ感を求めて
2022.05.13 @下北沢シャングリラ
2021.12.03 @LIQUIDROOM ebisu
2021.07.23 @下北沢LIVEHOLIC
2021.04.03 @下北沢シャングリラ
2019.09.27 @渋谷TSUTAYA O-Crest
2019.01.29 @下北沢SHELTER
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Skream! 2022年05月号

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