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LIVE REPORT
Japanese
Skream! マガジン 2022年07月号掲載
2022.05.28 @池袋 harevutai
Reported by 三木 あゆみ Photo by 郡元菜摘
“め組は愛を歌うバンドだ”――それを確信したライヴだった。2021年に新キーボーディスト 久佐賀 麗を迎え、今年4月に新体制初となるミニ・アルバム『LOVE』をリリースしため組。同作品を引っ提げまわったツアーの最終公演、バンドは全身全霊で”LOVE”を観客に伝え、そしてメンバー自身もたくさんの愛を受け取った1日となった。

ライヴは『LOVE』の1曲目「あの恋をなぞれば」から幕を開けた。菅原達也(Vo/Gt)がマイクを握り、大事に一歩を踏み出すように歌い始めると、LEDヴィジョンに歌詞が映し出される。この日は要所要所で映像の演出があったことも特筆すべき点だ。使用されたリリック・ビデオは菅原自身が制作したものだそうで、歌詞が視覚からも入ってくることによって、より言葉の重みや想いがダイレクトに伝わってくる。

緩急の効いた多彩なセットリストでライヴを展開していくめ組。”東京行くよー!!”と菅原が煽って突入した「マイ・パルプフィクション」では、ポップでカラフルな照明の中で一気に楽しい空間を作り上げ、すれ違う切なさを歌った「故愛(ゆえあい)」や深く一途な愛を歌う「REC」では、ドラマチックな演奏と映像で観客を惹き込んでいく。「お化けだぞっておどかして」のようなアッパー・チューンでは、イントロが鳴った瞬間に観客の心が跳ねたように見えた。メンバー同士がはしゃぐ様子も窺えて、会場一体となって全身で音楽を楽しみたいという想いがあふれ出ている。”切ないと書いてはきりがない”と歌う「切ない」は、ウクレレの心地よい音とノスタルジックな映像が聴き手に優しく寄り添っているように思えた。

この日のMCでは、新作のタイトルにちなんで菅原からメンバーへ”みなさんに伝えたいLOVEなことは?”という質問が振られる。久佐賀は今回が加入後初のツアーとのことで、不安はあったけれどお客さんの笑顔がいっぱい見られて幸せだと語り、”ステージからも今この人と目が合ったとかわかる。応援してくれているのはどんな人なんだろうっていうのがわかったのが、一番LOVEなことでした!”と伝えた。寺澤俊哉(Ba)は「愛し、愛され」のMVを観て号泣したという裏話を、外山 宰(Dr)は宮崎弁でいろんな場所からこのツアーに来てくれたことが嬉しかったと話す。富山京樹(Gt)は”この男(菅原)が作る音楽に必要とされたいし、このメンバーとやるのが楽しい。より多くの人の心に響くバンドになるので、どうかついてきてください”と普段はあまり口にしない熱い想いを語った。それぞれの心の内を知ることができ、ピースフルな空気が会場を包む。メンバー同士も観客も、より心の距離が縮まったような感覚があったはずだ。

ライヴも後半戦、ミラーボールがキラキラとまわる「Bad Night Dancer」では、久佐賀のソウルフルな弾き姿に見惚れてしまう。ステージに向かって高く手を伸ばす観客の後ろ姿からも”楽しい!”が伝わってくる。久佐賀がヴォーカルをとった「あたしのジゴワット」、”ちゅるりらら”の合言葉でひとつになった「悪魔の証明」と、メンバー全員が情熱的なパフォーマンスを見せ、会場の熱気も最高潮に。菅原は”こんなに楽しいのに、本当に今日が最終日なの?”と口にする(この日MCがあるたびに”本当に最後?”と確認していた)。”今日は本当にいっぱいLOVEを届けられたと思うし、僕らもLOVEをたくさん貰った気がします。これからもこういうライヴができるように努力していきますので、どうか付き合ってください”と話した。本編ラストは「愛し、愛され」。菅原と久佐賀の歌声のハーモニーと夜景の煌びやかな映像がメロウな雰囲気を引き立たせ、聴き手を釘づけにして、本編を終えた。

アンコールでは3曲を披露。「Amenity」、「500マイルメートル」と明るく晴れやかなナンバーで菅原は会場の隅々まで見渡しながら歌い、最後の最後まで愛を届けるようなスタンスを見せる。”みなさん生きててくれて、今日来てくれて本当にありがとうございます”。菅原が改めて感謝を述べ最後の曲「YOLO」へ。この日がバンドにとっても、観ている人にとっても素晴らしい日であったことがひしひしと伝わってくるような、そんなフィナーレだった。
[Setlist] 1. あの恋をなぞれば
2. マイ・パルプフィクション
3. 春風5センチメンタル
4. 故愛(ゆえあい)
5. REC
6. 余所見
7. お化けだぞっておどかして
8. 切ない
9. ぼくらの匙加減
10. ござる
11. わたくしごと
12. Bad Night Dancer
13. あたしのジゴワット
14. 悪魔の証明
15. 愛し、愛され
En1. Amenity
En2. 500マイルメートル
En3. YOLO


昨年、新キーボーディストに久佐賀 麗を迎えため組のニュー・ミニ・アルバム。これまでも彼らの楽曲には愛が深く通底していたが、今回はタイトルにも”LOVE”を掲げ、バンドのアイデンティティを強く表明するような1枚になった。緻密に音を重ねた賑やかなバンド・サウンドだけではなく、電子ピアノの柔らかな音色を軸にムーディに聴かせる「愛し、愛され」や、打ち込みを取り入れたミニマムなアレンジで仕上げた「REC」などは、間違いなくバンドの新機軸。ウクレレの調べがトロピカルな南国の気分を呼び起こす「切ない」は、”せつないはキリがない”という菅原達也(Vo/Gt)のユニークな着眼点が面白い。珠玉は2020年にリリースされた配信曲の再録「YOLO(2022ver.)」。大きな愛が胸を打つ。(秦 理絵)
“今まで以上に誰に対して歌ってるかがわかってきた” 対人間であることに目覚めため組。約2年半ぶりのミニ・アルバムで放つニュー・モード
2022.05.28 @池袋 harevutai
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Skream! 2022年06月号

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