C&K、しがらみを取り払って果敢に挑戦していく15年目 タオル回し解禁や骨折ライブの裏側まで、赤裸々に語る – リアルサウンド

POP

 胸に沁み入るようなバラードから、ファンク、ソウル、レゲエ、スカなどを飲み込んだダンスミュージックまで、緩急に富んだサウンドスタイルを“JAM”と命名し、CLIEVY(スーパーハイトーンボイス)&KEEN(シルキーボイス)の圧倒的なハーモニーで聴く者を虜にしてきたC&K。四池さん(ファンの総称)たちを巻き込んでの熱狂的なライブでも知られる彼らが、ニューシングル『I.M.A』を6月15日にリリースする。2度目の横浜アリーナ公演『超無謀な挑戦状〜炎の15周年目、執念で迎える横浜アリーナ。頼む全員集合〜』(11月20日)を控えたこのタイミングに放つ本作のリード曲では、これまで封印してきたタオル回しを解禁。さらにオリジナル作品では初となるカバー曲も収録している。果たして、そのココロは? リアルサウンド初インタビューでは、サウンド面やライブパフォーマンスへのこだわりなど、彼らの“ゲンテン”から“I.M.A”に至る道のりも含め紐解いていく。(古知屋ジュン)
――シングルのリード曲「I.M.A」ですが、どういった経緯でタオル回しを解禁という流れになったんですか? 
CLIEVY:僕らは基本的にライブをメインに考えているので、横浜アリーナ公演が決まって、そこに向かっていく上でのテーマソングを作ろうと思ったのが最初です。考えついたことは大体やってきた中で、僕らがやってきていなかったけれども「C&Kっぽいよね」と思ってもらえる方法でお客さんを驚かすにはどうしたらいいかなと考えて。タオルを回すというのは定番の盛り上げ方ですけど、楽曲のジャンルが絞られてしまったりするので、僕らは避けてきたんです。でもデビュー15年目に入ったし、そういうしがらみもなくして、あえてやってやろうじゃないかと。それで「タオルを振り回す。しかもいいタオルで」というふざけ方がいいかなということで、上質な今治タオルをテーマにして、今(I.M.A)だからこそいいものを作ろうというのがスタートでしたね。
――タオルを回すことを前提に曲を組み立てていったと。

CLIEVY:ただ、タオルを回すならこのサウンド! という基本的なルールには則っていながら、随所で雰囲気が違うバースをいろいろ組み合わせているんですよね。往年のタオル回しソングにはなかったような新展開やメッセージも込めているので、最終的には泣けるバラードっていう仕様になってます。
KEEN:うん……バラードだっけ(笑)?
――全開でタオルを回せるような勢いがあるけれども、メロディにはどこか『NHK みんなのうた』のような、子どもにも伝わるキャッチーさもありますね。
KEEN:〈イーマバリーナ みんなバリーナに〉の辺りはそうかもしれないですね。
CLIEVY:みんなが訳もわからずタオル振り回してるっていうのが、世界平和っぽくていいなと思って。事情を知ってる大人も事情を知らない子どもも一緒になって楽しめる、みたいなね。
――先ほどの“楽曲のジャンルが絞られてしまう”という話ですけど、C&Kといえばかなり幅広い音楽性の楽曲を世に送り出してきたにもかかわらず、検索するとレゲエのアーティストだと出てきちゃったりすることもあるわけじゃないですか。そのカテゴライズのされ方に対しては、どう思われていたんですか?
KEEN:そこへの憤りからタオルを回さなくなったというのもありますよね。当初はCDもレゲエのコーナーに置かれていましたけど、出るイベントにしてもレゲエというジャンル限定ではないものにシフトしていったし、活動自体がそこから距離を置く感じにはなりました。
ーーレゲエはあくまでもC&Kの顔の一つですよね。九州男さんをフィーチャリングした「Sun Son Sound feat.九州男」(2008年)なんかは、まさにタオルを回す系の曲だったと思うんですが。
CLIEVY:今聴くと時代を感じる部分がありますよね。やっぱり当時はタオルを回したら「レゲエのアーティストなのかな?」とか、逆に「レゲエじゃないのにレゲエのアーティストみたいに見せたいのかな?」とか、そういうステレオタイプな見られ方も嫌だったというのはありましたね。音楽として、僕らはC&Kというジャンルを確立したかったので。
KEEN:そうだね。カテゴライズされてしまったために「あいつらはそうじゃない」って言われたりして、「いや、そもそもそうじゃないんですよ」とも思っていましたけど、そういう図らずもアンチを作ってしまうようなところも嫌だなっていう気持ちはありました。
CLIEVY:でもそこはポジティブに解決していったんで、なんてことない話なんですけどね。
――C&Kのライブにはファミリー層も多かったりして個人的にはピースなイメージがあるんですけど、長い歴史の中にはいろんな戦いがありましたよね。
CLIEVY:戦いを感じさせないC&Kって素晴らしいなと思うんですよね。
KEEN:自分で言っちゃう(笑)? でも歴史を掘っても何も出てこないよりはね。
CLIEVY:噛めば噛むほど味が出る的なアーティストを目指してます。それがもう、このジャケットにも表れているじゃないですか。
――というのは?
CLIEVY:最初にバスタオル1枚で撮ろうと提案した時、スタッフの頭には「?」しかなかったと思うんですけど、タオルの曲だったらもう衣装はタオル以外ないと思ってたんですよね。この躍動感あふれる奇抜なポーズ、これこそこの時代のフォーマル感ですよ! ようやく出したかった世界が具現化できた感じですね。
――「I.M.A」で表現したかったことやメッセージのすべては「I.M.A ~ライブ音源ではないGENTEN LIVE ver.~」に集約されているのではないかと思っていたんですよね。まさにライブのスタイルでCLIEVYさんのアジテーションにKEENさんの合いの手、どこから本編に入るのか予想できない流れとか。四池さんたちへのメッセージもあって、言いたいことが凝縮されているんだろうと。
KEEN:もはや歌わなくても、イントロ部分でだいたい伝わっちゃうと思います。
CLIEVY:でも言いたいことはシンプルで、今年のツアーのタイトルに『ゲンテン』というワードが入ってるんですけど、“現点”と“原点”のWミーニングのような感じなんです。そして今年のテーマとして考えているキーワードが“今”なので、そういうものがたくさん詰まっているということを、聴きながら紐解いていただければ。
――歌詞の〈皆がやるときは あえてやらない〉とか〈まともにやった方がいいよって よく言われるよ〉という赤裸々な言葉はなかなか歌詞には入ってこない表現だと思うんですけど、そういうスタンダードなスタイルに抗おうとする原動力ってどこから来ているんでしょうか。
CLIEVY:抗っているつもりはないんですけどね。できればまともにやりたいけど、まともにやったとてそんなに評価されないので、そこを逆手に取ったら意外と反応が良かった、みたいな感じです。
KEEN:かっこつくなら、本当はめっちゃかっこつけたいよね?
CLIEVY:うん。たとえばバラードを出して「いい曲ですね」ってキャーキャー言われてもてはやされるようになれば、それが一番嬉しい(笑)。
――「Y」や「みかんハート」みたいな名バラードもたくさんあるじゃないですか。
CLIEVY:ふざけたこともやっているから、バラードを聴かせた時に「上手いね」みたいな反応をもらえるんだと思うんですよ。僕らのライブは常にそういうギャップで攻めていく戦略で作ってます。
――あくまでも横浜アリーナに向けたこのタイミングということを踏まえて、この曲が制作されたわけですね。
KEEN:ただ、ライブで歌ってみて初めて気づいたんですけど、もう僕らの体力がこの曲についていかない(笑)。タオル振り回しながら歌うの、過去イチきついです。
CLIEVY:思いっきり歌ってみたらそのあとのバラードで息が上がりすぎて、声は枯れてないのに肺がもたないっていう、初めての体験をしました。
KEEN:ライブが終わってから「『I.M.A』はあのタイミングにやっちゃダメだ」って、真っ先に話しましたもん。
――(笑)。今回のシングルではカバー曲の音源化という試みもありますね。
CLIEVY:スタッフから「カバー曲をこのタイミングで収録するのはどうかな?」という提案があって、これもまた「I.M.A」のコンセプトと繋がったんですよね。今までやってこなかったことを詰め込んだシングルに、今までやってこなかったカバー曲も入れるということで、コンセプチュアルな仕上がりになったのもいいなと。
――CLIEVYさんの「ひこうき雲」(荒井由実)、KEENさんの「誓い」(Rake)の選曲はどう決めたんですか? 
KEEN:僕らのフェイバリットソングの中から決めました。
CLIEVY:もうシンプルに、好きな曲ですね。ピアノ1本でやるということは決まっていたから、意外と選びやすかったです。
――リード曲がテンション高めなので、そことのギャップもまた面白いですね。
CLIEVY:エンジニアの今関邦裕さんは、シングルにこの温度差をどう詰め込むかという部分で苦労したそうですけど、僕らからするとライブに向き合う気持ちと同じなので、そこには全然違和感はなかったですね。
――お二人の音楽的なルーツはバラバラなんですか?

KEEN:バラバラなところもありつつ、歌謡曲とブラックミュージックにおいては二人とも合致して好きなものが多いんです。あと、僕はロックを通っていないんですけど、CLIEVYはロックやパンクを通っていて。たとえば彼が大好きな忌野清志郎さんの良さだったり、その分野の魅力や奥深さを彼を通じて教わったというか……だからCLIEVYにはすごく感謝してます。
CLIEVY:たとえばスウィートなR&Bは二人とも好きなんですけど、厳密に言えばその中でも種類が分かれたりするじゃないですか? Boyz II Menみたいなスウィートさもあれば、もう完全にセックスソングみたいなスウィートさもある。どちらかといえばKEENは前者みたいな感じ、僕は後者の感じが好きだったんですよね。
KEEN:僕はボーカルグループが結構好きなんです。僕らは大学の先輩・後輩なので、学生の頃はお互いの好きな曲を聴かせ合って「そういうのあるんだ?」みたいなノリでした。
CLIEVY:雰囲気で言うとR・ケリーがちょうど僕らの真ん中にいるかもしれないですね。綺麗なゴスペルの曲からスキャンダラスな曲まで歌ってますから、そこが共通点かな。
――C&Kサウンドの源はそういうところにあるんですね。
KEEN:でも、何をやっても「C&Kっぽいよね」って言われるような、僕らだけのジャンルを作ることを目指してきたので、僕らがアーティストとしてやってきた歴史が詰まっていれば、それだけでいいんですよね。

関連記事
インタビュー
Pick Up!
「インタビュー」の最新記事
blueprint book store
© realsound.jp

source

最新情報をチェックしよう!
広告
>すべての音楽情報をあなたに・・・

すべての音楽情報をあなたに・・・

インターネットで情報を探すとき、あなたはどうやって探しますか?いつも見ているページで情報を得る?検索エンジンで好きなアーティスト名を検索してでてきたものを見る?本当にそれであなたの欲しい情報は手に入れられていますか?

CTR IMG