KULA SHAKER | Skream! インタビュー 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト – Skream!

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INTERVIEW
Overseas
2022年06月号掲載
メンバー:Crispian Mills(Vo/Gt)
インタビュアー:山本 真由 Interview interpreted and translated by 川原 真理子
90年代に、それまでのブリット・ポップとは一線を画す”ロックとインド音楽の融合”という、独自のサウンドを打ち出して一世を風靡したKULA SHAKER。前作『K 2.0』で、デビュー20周年の歴史を総括した彼らが、今再び歩みを進めた。6年ぶりとなる新アルバム『1st Congregational Church Of Eternal Love And Free Hugs』では、天使と悪魔の戦いという神話的世界を描きながら、自分たちの世界のリアリティに目を向ける。世界情勢やパーソナルな生活にも触れつつ、今作がどうやってできあがったのかをフロントマンのCrispian Millsが語ってくれた。
-この2年間で世界は大きく変わりましたが、あなた自身やバンドはどのように過ごされてきたのですか? 近況について少し教えてください。
2枚組アルバムを作っていたよ。このアルバムのレコーディングを始めたのは、最初のロックダウンの最中だった。いつだったか、もう覚えてもいないな(笑)。曲作りを始めたけど、様々な現実的課題に直面したんだ。Alonza(Bevan/Ba)はヨーロッパにいたし、僕はここ英国にいたので、最初はデモを送り合っていた。そしてそこから、本格的なレコーディングへと発展していったんだ。でも、興味深かったよ。健康不安が長引けば長引くほど、移動がどんどん難しくなっていったから、ヨーロッパに行くのがなかなか大変だったんだ。健康問題に加えて、EU離脱があったからだよ。英国がEUを離脱したので、移動がさらに難しくなったんだ。EUは、英国が離脱したことで英国を懲らしめようとしたんだな(笑)。だから、入国の際には2倍の書類を提出しないといけなかった。というわけで、スタジオ入りするだけでもかなりの冒険だったよ。毎回書類を準備しないといけなかったから、おおごとだった。まるで、火星にでも行くようだったよ。別の惑星に行くのかって感じだった。僕は映画の仕事もしているけど、Simon Peggとの映画を撮り終えていたんで、曲作りはいたって自然に始まったよ。世界は変わって、バンドとして僕たちがずっと考えて歌ってきたことが世間の注目を浴びるようになったから、そろそろいいタイミングだと思ったんだ。
-コロナ禍による世界の状況の変化が、作品自体やモチベーションに影響を与えたのですか?
アルバムに影響を与えたのはコロナじゃなかったと思う(笑)。他の人たちと同じく、僕はもう(コロナには)うんざりだよ。みんな立ち止まって、人生や自分が下す決断について、権威について、また信頼している人たちについて考えないといけない。そして、共通の体験が世界を繋げている。戦争と同じだよ。僕は1999年に、とある曲を作った。いかに世界がひとつになるべきかについて歌っていたんだ。アルバム『Peasants, Pigs & Astronauts』は、僕たちが軽いノリで試みたロック・オペラなんだよ。1999年にリリースされたんだけど、僕たちはまだすごく若かった。オープニングは「Great Hosannah」という曲で、”If we stand here together/And we see the world as one/We may think there’s no future/But it’s the same for everyone(僕らがここで一緒に立っていると、世界がひとつに感じられる。僕らには未来なんてないって思うこともあるけど、それはみんなも一緒なんだ)”というくだりで始まる。僕はまだ若かったけど、あのテーマ(世界はひとつ)は繰り返されていて、僕たちは毎日それと共に生きているんだなって思ったね。世界的な危機に見舞われると、みんなまたそんなふうに考えるようになるんだ。本来なら、いつも考えていないといけないけどね。本当は毎日、世界を作り変えようとしないといけないし、元気にならないといけないのに、僕たちはみんな疲れ果て、絶望的になっている(笑)! ここでまたアルバムを作るからには、言いたいことがあった。今作はKULA SHAKERの物語を、ロックを話すシアターのようなものなんだ。
-2020年の12月には新曲「I’m Against It」が、インド映画のミュージック・ビデオ映像に曲を合わせたファン・ビデオとして公開されていますが、これはどういった経緯でアップされたのでしょうか?
アルバムを作るのが長くかかることがわかったから、僕たちが取り組んでいるものがどんなものだか、みんなにちょっと味わってもらいたかったんだ。あと、僕が知っている人たちはみんな落ち込んでいたから。僕の場合、毎朝起きたときはポジティヴだけど、昼食どきになると落ち込んでいた。お茶の時間になるとまたポジティヴになったけど、寝る頃には気持ちを引き立てていたんだ。1日中、気持ちの浮き沈みがあったんで、”だったらいい音楽を世に出そうじゃないか。もしかしたら、それでみんなが元気になるかもしれない。ならないかもしれないけど、みんなお互いのために何かをやってみないといけない”と思ったからやったんだ。実は、正式なタイトルは”Whatever It Is, I’m Against It”なんだよ。ロックンロールは、反体制でないといけない。常に、権力に挑戦しないといけないんだ。ロックンロールはそうして生まれた。それがルーツなんだよ。”政府が言ったことに100パーセント従って、疑問を抱いてはいけない”と言われても、政府が腐敗していることはみんな知っているし、彼らもまた、僕たちと同じ人間であることをみんな知っている。だから、これを茶化すべきなんだ。とても重要なことだよ。彼らを神にしてはいけない。彼らは神じゃないんだから(笑)!

-そして、昨年の12月には『Kula Christmas Wrap Up EP』というEPをリリースしていますね。これによってファンの間ではアルバムへの期待感がより高まったのではないかと思いますが、こちらはどういう経緯で制作されたのでしょうか? 新作が教会に関するものだったので、繋がりがあるのかなと少し思ったのですが……。
あれは実はかなり前にレコーディングされたものだから、アルバムとの繋がりはないんだ。でも、スピリットは繋がっているかな。郷愁を誘うEPだね。これまた、とても忠実で応援してくれるファンのためのものだった。KULA SHAKERはラッキーなことに、ものすごく熱心なファンのいるバンドだから、彼らをハッピーにしてあげないといけない。彼らはそんなにたくさん(音楽を)貰えない。僕たちはアルバムとアルバムの間隔がすごく空くからね。与えるときは彼らを思いっきり甘やかさないといけないんだ(笑)。
-今回リリースされるアルバムは、2016年に発売された前作『K 2.0』以来、6年ぶりのニュー・アルバムとなります。『K 2.0』はデビュー作『K』(1996年リリース)の20周年を記念した作品で、音楽的にもデビュー作をアップデートしたような作品でした。この作品はバンドにとって、再結成後のひとつの節目だったのではないかと思います。実際『K 2.0』をリリースしたあとの心境はどのようなものだったのでしょうか?
たしかにあれは節目だった。20周年記念で、それまでを締めくくるものだったよ。
-ニュー・アルバム『1st Congregational Church Of Eternal Love And Free Hugs』は、教会や天使と悪魔の戦いがモチーフとなっているようですが、こういったコンセプトになったのはなぜですか?
天使と悪魔の戦いの物語を知っているかな? これは、すべての曲に一貫したとっても大まかなコンセプトなんだ。どの文化にも、民間伝承や宗教や神話に同じ物語があるはずだよ。光と闇、愛と恐怖による戦争があったという概念で、その戦争が地上に反映されている。天上で行われていることは、ここ(地上)でも行われているんだ。結局のところ、戦争は僕たちの心の中で起こっているんだから、僕たちがどう生きるかは僕たち自身が選択しないといけない。僕たちは、闇と光で戦わないといけないんだよ。だからこれは、宇宙の概念を扱ってはいるけれども、パーソナルな物語なんだ。僕は、”マハーバーラタ”(※”ラーマーヤナ”と並ぶ古代インドの2大叙事詩のひとつ)のような壮大な神話の物語が大好きで、うちの子供たちはみんな、”ロード・オブ・ザ・リング”みたいな壮大な物語が大好きなんだよ。だから、そういったものを2枚組のアルバムに組み込んだら面白いんじゃないかと思った。アルバムのテーマは自ずと決まっていったよ。アルバムに収録されている曲はすべて、教会の礼拝の最中に語られているんだ。英国の片田舎にある小さな地元の教会で、大勢の子供が気管支異常で咳をしていて、土砂降りの雨で、屋根から雨漏りがしている。そのボロボロの古い教会で、天上で行われている戦争について語られるんだ。僕たちにとってはそういうことなんだよ。みんな、ロシアとの戦争や悲惨的なパンデミックについての世界の壮大な物語の中を生きているけど、結局のところ僕たちは僕たちの人生を送らないといけない。そして、僕たちの人生はもっとずっと小さなスケールで進んでいる。それと壮大でスピリチュアルな物語を関連づけると、僕たちの人生はもっと重要なものになるんだと思う。神やスピリチュアルな道のりから離れると、僕たちの人生はちっぽけで意味のないものになってしまう。だから、(そこを結びつけるアルバム作りは)とっても楽しかったよ。早くみんなに聴いてもらいたくて仕方がない。みんなすごく気に入ってくれる気がするんだ。僕がこんなに興奮を感じたのは、実に久々のことだよ。
独特の美学を持ったサウンドで、熱狂的なファンの多いKULA SHAKER。その活動はマイ・ペースではあるが、それだけに、ひとつひとつの作品が彼らのターニング・ポイントとも言えるような重要性があるのではないかと思う。前作『K 2.0』はデビュー作から20年という節目でもあって、初期の冒険心溢れるサウンドを進化させたような、文字通りデビュー作の”2.0″なつくりだったが、今作は世の中の変化やメンバーそれぞれの変化/進化を反映した、彼らの”今”を表現するアルバムとなった。神話に基づく壮大なテーマがパーソナルな感情と結びつき、サイケデリック・ロックの浮遊感と肉体的なアナログ・サウンドの高揚感に溢れている。KULA SHAKERという不思議な魅力を持ったバンドの再評価にも繋がるだろう。(山本 真由)
デビューから20年、そして再結成から10年という記念すべき年にリリースする5作目のアルバム。前作から実に6年ぶりではあるけれど、ブレみたいなものはこれっぽっちも感じられない。すなわちインド音楽からの影響を始めとする東洋の神秘と60~70年代のブリティッシュ・ロックへの憧れを、そのまま反映させたサイケデリック且つグルーヴィなロック・サウンドはここでも健在。円熟味で勝負するこのアルバムを、”衝撃”と語られることが多い最初の2枚と比べるのは野暮ってものだろう。トラッド・フォークやウェスタンの影響を、エキゾチシズムのひとつとして取り入れているあたりはまさにKULA SHAKER。ファンキーなTrack.10「Get Right Get Ready」からロック・バンドとしての芯の太さが感じられる。(山口 智男)
BULRやPULP、SUEDE等が相次いで再結成、活動 を再開しブリット・ポップ・ムーブメントが再燃される中、KULA SHAKERの強烈なデビュー作がリマスタリング、そして未発表曲を含めた豪華版としてリリースされた。95年当時異彩な魅力を放っていたKULA SHAKERの作品を改めて聴き直すと、彼らが独自の方向性を持っていたバンドだと言うことがわかる。そのグルーヴィで肉体的なサウンドは今聴いても錆び付いていない。EPとベストでしか聴けなかった「Hush」が収録されているのも嬉しいところ。限定BOXに収録されているライヴ音源は当時の熱気がしっかりとパッケージングされている。 (遠藤 孝行)
再結成を果たし『Strangefolk』を2007年にリリースしたKULA SHAKER。3年ぶりとなる今作は、ベルギーに建てられたスタジオでレコーディングを行い、その土地の空気に多いに影響を受けたという。自身の中にある物語を高純度で濾過したような、時代性を超越したこのアルバムは、ある意味、仙人的なストーリー・テラーによる美しい物語集と言えるかもしれない。インド趣味が後退し、西洋のスタンダードなロックのフォーマットに重心が移ったことにより、その物語性の高さはよりストレートに浮かび上がっている。このピュアな妄想癖と様式美の塊のようなアルバムは、ある意味KULA SHAKERらしいとも言える。時代とかけ離れたストーリー・テラーは変質的に捉えられがちだが、このアルバムは、素直に美しい。(佐々木 健治)
“SUMMER SONIC 2022″で来日予定のKULA SHAKER―― 6年ぶりの新作は神話をモチーフにした壮大なスケールの2枚組アルバム
様々な巡り合わせがあって、アルバムを作るのに十分な理由が整った 僕たちはこのタイミングを、過去を振り返りつつも前を向く機会にしようと思ったんだ
『Pilgrim’s Progress』全体に“優しい楽観主義”が流れている。物語のほとんどが悲劇的な内容なのにも関わらずにね。
英国ロックの異端児として我が道を歩む、KULA節全開のスペクタクルなアルバムが完成
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Skream! 2022年06月号
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