ヒップホップは声なき者のカルチャー ヒップホップ・フェス「POP YOURS」レポート Day 1(GQ JAPAN) – Yahoo!ニュース – Yahoo!ニュース

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二木信が1日目のベストアクトだと語る、田我流
5月21日(土)、22(日)に幕張メッセで開催された、“ポップカルチャーとしてのヒップホップ”をテーマにしたフェスティバル「POP YOURS」。音楽ライターの二木信が、イベントの歴史的意義を振り返る。その前編。 【Day 1を写真で振り返る(全12枚)】
会場に足を踏み入れると、文字通り鼓膜を震わすビートが大音量で鳴り響いている。天井が高い。ステージはかなり遠くの方に見えるが、2つの大型ビジョンがパフォーマーを鮮明に映し出す。このワクワク感は久々だ。 場所は、千葉県千葉市美浜区にある、幕張メッセ国際展示場 9-11ホール。ここで行われる音楽イベントに来たのはいつぶりだろうかと記憶をたどる。フライング・ロータスや電気グルーヴ、いまは亡きアンドリュー・ウェザーオールらが出演した「electraglide 2012」ではしゃいだのも良い思い出だし、同年の「FREEDOMMUNE 0<ZERO> A NEW ZERO」にも行った。そこで、小室哲哉や大友良英、いまや国際的に活躍するDJ NOBUをはじめとするダンス・ミュージックの凄腕のDJら錚々たる出演者に交ざって唯一出演したヒップホップ・グループが、デビュー間もないころのSIMI LABだった。彼らの清々しい孤軍奮闘もいまは懐かしい。 ヒップホップ・フェスティバル「POP YOURS」が開催! PUNPEE、BAD HOPなど超豪華全36組をチェック それから10年が経った。国内のヒップホップのアーティストを37組も集め、それらと同様の規模のフェスが実現することに感慨をおぼえる。しかし、そんな私の感慨など軽々と吹き飛ばすぐらい遊びに来ている人たちは若く、エネルギッシュで、物怖じしない雰囲気があった。 20代が中心ではないか。入場口で並んでいると、5、6人の男性の目立った集団が現れる。BAD HOPではないが、身につけたアクセサリーはずいぶん派手で、スキニージーンズを穿きこなすタイトなファッションも貫禄があるので一瞬出演者かと思った。が、遊びに来た若者だった。オーヴァーサイズのチェックのネルシャツにデニムといった格好でリズミカルに歩く、ダンサーと思われる女性を多く見かけたのも印象に残った。観客やファン、ヒップホップに帰属意識のあるヘッズの多彩なファッションや振る舞いは、このジャンルの現在を表すものだ。とにかくヒップホップが大好きで、本気で遊びに来ている気合いが伝わってくる彼、彼女らの存在には気持ちをだいぶ押し上げられた。 会場内に屋台はあるものの、新型コロナウイルスの感染予防対策のため、アルコールの販売はなし。それでも出入り自由のため、近くの公園や広場ではおのおのがビールなんかを買って、仲間や恋人と自由に楽しむ和やかな光景も見られた。そうした適度なゆるさは、非日常のお祭りの盛り上がりにとっては重要だろう。 公開されたオフィシャル・レポートに拠れば、2日間合計の来場者数は約1万6000人、YouTubeの生配信で観た人は約18万人、視聴回数は78万回に達したという。その数字が多いのか少ないのかは私には判断ができないが、現場で感じたのは「ライヴをしっかり観たい!」という観客のピュアな意気込みだった。 自分が最初に引き込まれたのはDADAだ。「福岡の団地からここまで来ました!」とあっけらかんと挨拶するものの、昨年のバイラル・ヒット「HIGH SCHOOL DROPOUT」などを聴かせるラップはハードでエモい。複雑な家庭環境やドラッグ、セックスについて淡々と描く写実性とウェットな感情の表出との奇妙なバランスは、本人が影響を公言するKOHHをたしかに彷彿とさせた。まだ正午過ぎだというのに涙腺が緩んでしまう。大きなメインステージや長い花道をいかに上手く使うかはすべての出演者の課題だったが、DADAはその点も卓越していてカリスマ性があった。彼はもっと遅い時間に出演しても会場を盛り上げたにちがいない。 花道を颯爽と駆けながら「いつでも輝くmeをChasing」と誇らしげに歌う代表曲「DISIRE」を披露したのはCYBER RUI。「NEW COMER SHOT LIVE」という新世代を紹介するブロックでの登場だ。物理的に大きな舞台にひとりで立って存在感を放つのは容易ではないし、ただ動き回ればいいという話でもない。そこで異彩を放てること自体が才能だと感じる。 一方で、豊富な経験と磨いてきた技術によって聴衆を引きつけるライヴも際立った。繊細な感情のニュアンスを上手く伝えるSALUはさすがで、腰を下ろし、ピアノの伴奏のみで人生の葛藤をつづった「In My Life」のヴォーカルが特に見事だった。 そして、休憩をはさんでからの田我流は私にとっての1日目のベスト・アクトで間違いない。まずDJのMAHBIE、後関好宏(サックス)、川崎太一朗(トランペット)の布陣が良かった。豊富なビートの種類、ホーンが生み出す艶っぽいムードとレトロな照明、stillichimiyaとの「やべ~勢いですげー盛り上がる」の狂騒、「ゆれる」のアカペラから「夢の続き」への流れといった緩急のある構成──それらは田我流がソロ・ラッパーとして、七尾旅人やcero、Zazen Boysらとの厳しいツーマン・ライヴを経験して鍛え上げたスタイルだ。 しかも、Miles Word、丸、Sheef The 3rdという3人のMCを呼び込み、新曲をやったのも素晴らしかった。自分より知名度はないものの、実力は確かな才能を大舞台で多くの人に紹介する演出は、ヒップホップにおける“フックアップ”という最も尊い行為だ。最年長の出演者だった田我流のパフォーマンスは、とても粋であっぱれだった。 国内のヒップホップにはいまや多くのスターがいる。そのスターの姿を目に焼き付けたい。そうした熱狂的なファンがいるからこそ、活気のあるシーンや大きなフェスが成立するのは事実だ。田我流の直後に登場したのがJJJ。ハットを深く被ったバックDJの小柄な男性が大型ビジョンに映し出されると、どよめきが起きる。KID FRESINOだ。JJJ、FRESINO、故・FEBBから成るFla$hBackSの「2024」で、DJブースから花道に踊り出てきたFRESINOがハットを脱ぐと、会場は大きな盛り上がりを見せた。 また、言うまでもなくLEXの人気は凄まじかったが、私がいちばん心打たれたのはスタンドマイクで歌う「大金持ちのあなたと貧乏な私」。あの独特のハスキー・ヴォイスには聴き惚れたし、驚くようなミュージシャンと共演する未来も近いのではないかと思わせた。最後にJP THE WAVYとの大ヒット曲「なんでも言っちゃって」をパフォーマンス、そのままJP THE WAVYのライヴへと切り替わる構成はショーとしての1日目の最大の見せ場だった。 時間がすこし押していたので、ヘッドライナーのPUNPEEが出るころにはすでに20時を回っていた。観客の疲労もそれなりだろうし、私もヘトヘトだった。そんななか、PUNPEEは贅沢なエンターテインメントを展開した。POP YOURSのために制作したオープニング映像、スクリーンからカスタムした車に乗って出てくる登場の演出、OMSB、JJJ、STUTSらの客演、原島“ど真ん中”宙芳とDJ ZAIの2人のライヴDJ。それらがこだわり抜かれたショーを作り上げる。 が、それだけではなかった。フリースタイルで「ヒップホップは声なき者のもの」という内容のライムを吐き、曲間のMCでは「昔は10人ぐらいのお客さんの前でやっていた」としみじみと語り、向かい合う人数は変わったけれど、基本は変わらないと数千人の観客の前で続けた。 心のこもったMCだった。私の記憶に間違いがなければそうだった。というのも、それらの言葉がなければ、STUTSとの共作曲「夜を使い果たして」がいつも以上に深く沁みることはなかっただろうから。 言うまでもなくスターは一握りの存在だからスターだ。彼らや彼女らの活躍が、いまの日本のヒップホップを盛り上げているのは間違いない。ただ、それだけではない。各地にあるクラブやライヴハウス、駅前のガラス張りの壁の前で日夜鍛錬を積むプレイヤーや彼らをサポートする人たちの日常がなければ、こうしたお祭りは成立しないだろう。そんなことを考えさせられ、PUNPEEが“パンピー”と名乗るゆえんを見た気がした。私は居酒屋で友達と意見を交わしたあと、明日も朝が早いから夜明け前には眠ったのだった。 【Day 2へつづく】 POP YOURSのアーカイヴ映像はこちら https://www.youtube.com/c/POPYOURS 取材と文・二木 信
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