【洋楽を抱きしめて】ニュー・ロマンティックの一つの頂きであるスパンダー・バレエの「トゥルー」 – オーヴォ

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『True/Spandaw Ballet』 (輸入盤:Rhino/Parlophone)
『True/Spandaw Ballet』
(輸入盤:Rhino/Parlophone)

 1980年代初めにロンドンのライブハウスを中心に流行したロック・ミュージックを指すニュー・ロマンティックの一つの頂きであるスパンダー・バレエの「トゥルー」。その流麗なサウンドは英米のリスナーたちの心をとらえて大ヒットを記録した。
 イギリスのバンドであるスパンダー・バレエ。’79年にゲイリーとマーティンのケンプ兄弟を中心に結成された。’80年秋にシングル「早い話が(To cut a long story short)」でデビューし、これが全英5位を記録。翌’81年春にはファースト・アルバム『ジャーニーズ・トゥ・グローリー』をリリースし全英5位となるなど、順調なスタートを切る。
 カルチャー・クラブ、デュラン・デュラン、アダム&ジ・アンツらとともにニュー・ロマンティックの花形として脚光を浴びる。だが、彼らはそこから軌道修正を図っていく。
 「ブラック・フィーリングを持ちながらフォーマルなスタイルを持つトニー・ハドリーのヴォーカル、さらにはロック・フィールドに属しながらサックス奏者を有するユニークなバンド形態」を活かすことになる(CDの北井康仁氏のライナーノーツによる)。
 バナナラマらを手掛けたことで知られるトニー・スウェインとスティーヴ・ジョリーをプロデューサーに迎え、’83年に発表した第三弾アルバム『トゥルー』がその転機となった。全英1位、全米4位を記録したタイトル曲の他に、「ゴールド」、「ライフライン」といった佳曲が収録されたアルバムも全英チャートの首位を獲得した。
 アメリカでもMTVで彼らの芸術的でおしゃれなプロモーション・ビデオが繰り返し放映され人気を博した。アルバムは全米でもトップ20入りした。
 この後、イギリスでは人気をある程度維持したものの、米国ではヒットを出すことが出来ず、90年代に入るとケンプ兄弟は俳優活動を中心に据えるようになった。また、楽曲の権利をめぐる裁判もあって、ケンプ兄弟とトニーら他のメンバーが対立。
 20年近く反目が続いたのちに、2009年3月にオリジナル・メンバーで再結成することを発表。同年秋にはニュー・シングル「ワンス・モア」と同名の新作アルバムをリリースして活動をしていた。だが、2017年7月にトニーがはっきりとした理由を示さずにスパンダー・バレエからの脱退をツイッターで明らかにした。
 「ぼくはもはやスパンダー・バレエのメンバーではなく、将来にわたって、このバンドとはパフォーマンスしない」とトニーはつぶやいた。
 ショックを受けたものの、バンドは前進を続ける決意を表明して新ヴォーカリストを迎えた。だがファンが望んでいるのはオリジナル・メンバーによる活動だと実感し、2019年5月、トニーが戻るまでバンド活動を中止することが発表された。
文・桑原亘之介
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