Jam Fuzz Kid | Skream! インタビュー 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト – Skream!

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INTERVIEW
Japanese

メンバー:今村 力(Vo) 浅井 龍(Gt) ヤマザキタイキ(Gt) John S.Kobatake(Ba)
インタビュアー:山口 智男
東京を拠点としている4人組ロック・バンド Jam Fuzz Kidが、フィジカルとしては約1年8ヶ月ぶりとなる新作『DANCING IN SWEET ADVERSITY』をリリース。タイトルの”ADVERSITY”とは逆境という意味だが、コロナ禍やメンバーの脱退という逆境を乗り越え、そんな状況下でもバンドを、音楽を楽しもうと思えるほどにバンドはタフになったようだ。そんな変化は、UKロックの申し子からの脱皮を思わせる今回の4曲にもしっかりと表れている。コロナ禍の中、精力的に配信シングルをリリースし続け、力を蓄えてきたJam Fuzz Kidの反撃がここから始まる。
-まず新メンバーを紹介してください。
今村:自分でどうぞ(笑)。自分のことは自分が一番知ってるでしょ。

浅井:たしかに(笑)。新メンバーの浅井 龍です。今年2月に脱退した黒木(徹)先輩の後輩です。つまり、彼ら(今村、ヤマザキ、小畠)の大学の後輩ですね。もっと言えば、ヤマザキとJohnの高校の後輩でもあるんです。7~8年ほど一緒に青春を送った仲間ですね(笑)。
-どんな音楽が好きなんですか?
浅井:UKロックも普通に聴くんですけど、どちらかと言うと、ファンクとかソウルとか、ブラック・ミュージックに影響を受けてます。あと、John MayerとかCory Wongとか、最近のギター・ヒーローがめちゃめちゃ好きです。なので、ジャムファズ(Jam Fuzz Kid)の中でも、そういう新しい風を吹かせられたらと思ってます。

今村:って感じです(笑)。大学のサークルに1個下で入ってきたんですよ。そのサークル内のコピー・バンドでは何度か演奏したこともあったんです。黒木の脱退が決まったとき、”サポートを見つけなきゃ”となったんですけど、活動の勢いを止めたくなかったからライヴのキャンセルはしたくなかったんですよ。それで浅井に、ギターがめっちゃうまいって自分らもわかってたから、”頼むよ!”って。そのときはメンバーになってもらおうなんて全然考えてなくて、自分たちの音源にあるものをそのままライヴで弾いてくれたらいいかなって感じでした。そのあと、何回かライヴを重ねていくうちに”めっちゃ良くない?”ってなって、俺たちから”やってよ!”って何ヶ月かかけて口説いたんです。遠征もあったんですけど、それも一緒に行ってくれて、その間も”一緒にやろうよ”って言い続けてました(笑)。
-正式メンバーにと言われたとき、浅井さんはどう思ったんですか?
浅井:もともと、ジャムファズのいちファンだったんですよ。1st EP(2019年リリースの『Chased by the sun』)が出る前の、無料で配ってたCDも未だに持っているくらいの、いわゆる古参なんです(笑)。だから、普段から聴いていた曲を、自分が弾くのかって驚きがありつつ、すごく嬉しかったですね。
-ヤマザキさんは浅井さんと、どんなアンサンブルが作っていけると期待しましたか?
ヤマザキ:俺は、それなりにギターは弾けるんですけど、別にギターが大好きでずっと弾いていたいってタイプではないんです。それよりも曲を作ることや、MVの制作とか、そういう全体を通しての表現みたいなことが好きなんですよ。だから、そんな俺とは全然違うタイプの浅井と一緒にやるのは面白いですね。俺がやりたいことを浅井のギターで形にしてもらうという意味では、とても心強いです。
-そんな浅井さんを正式に迎えたタイミングで、2nd EP『DANCING IN SWEET ADVERSITY』をリリースしたわけですが、タイトルで謳っている甘い逆境とは、やはりコロナ禍とかメンバーの脱退とかを指しているんですか?
今村:そうですね。結成からまるっと3年間やってきて、その半分ぐらいがコロナ禍っていうのもあるし、もちろんメンバーがやめたってこともあるし、そのなかで葛藤もあって。自分たちはコロナ禍の前から始めているんで、オープニング・アクトをやらせてもらったことも含め、若手ながら”うわ、すげぇ。ライヴハウスってこんなにパンパンになるんだ”ってものを見ちゃってるんですよ。そこからコロナ禍じゃないですか。でも、新しいバンドっていうか、ひとつ下の代のバンドはコロナ禍の中でスタートしているから、良くも悪くもパンパンのライヴハウスをまだ知らない。だからこそ、コロナ禍のライヴ状況に多少は適応できたんじゃないか。パンパンのライヴハウスを知らないがゆえに、まだやれる、まだやれるって気持ちになれたと思うんですよ。でも、自分たちはいい景色を1回でも見てしまっているから、こんなに俺たちは力がないのかって。もちろん、そんなことはなかったと思うんですけど、そういう気持ちが自分の中にあったんです。だからこそ、自分たちがかっこいいと思える音源を作ることはずっとやめなかったし、ただ怒るのではなく、逆境の中でも楽しむ気持ちを忘れずに、まっすぐなロックンロールにプラスして、絶対最後に笑うのは俺たちだって気持ちを少しずつ見せたいなという気持ちもあって。そのなかで選んだ言葉が甘い逆境。逆境も味方につけて、そういう苦しいなかでも踊っちゃうくらい、俺たちかっこいいし自信たっぷりだよって意味で今回のタイトルを付けました。かっこ良くないですか(笑)?
-逆境も楽しもうって思えるようになったのはいつ頃だったんですか?
今村:最近じゃないですかね。いろいろあったんですよ。ドラムの村松(知哉)がジストニアになって活休せざるを得なくなって、サポートに頼らないといけないとか、黒木が抜けて、浅井以外のサポートも迎えるとか、ほんと新体制だったんですよ。そのなかで、自分たちのライヴ・パフォーマンスのスタイルを、見つめ直す新たなきっかけになったというか。音源は常に高みを目指し続けていたんですけど、ハイエースを買って、地方にバンバン行けるようになってからは、いろいろなところにカチコミに行って、ライヴをやってということを繰り返していくうちに”ライヴって楽しい!”って思えるようになったんです。もちろんそれまでも楽しかったんですけど、さらなる楽しさを見つけたところから、”バンド、楽しいかも”って気持ちがどんどん大きくなっていって。プラス、悔しい思いもしましたけど、それも含め、うまくアウトプットできるようになったのかな。ステージで怒ってるだけだったら、お客さんつまらないですからね。今までは、そういうことが多かったんですよ。もちろん今だって怒りは忘れてはいないですけど、うまく消化して、お客さんを巻き込んでいけるスタイルを確立し始めている。音源もそうですね。ジャムファズらしさっていうのかな。
-そんななかで今村さんのルックスというか、髪型も変わっていって(笑)。
今村:そうなんですよ(笑)。以前はロン毛でしたからね。この坊主頭にも歴史があって。短髪にしたきっかけは、一昨年、”SUPERSONIC”にLiam Gallagherも来るから、出たいと思って、”出れんの!?スパソニ!?”に応募したんですけど、落ちちゃったんです。そのとき短髪にしたんですけど、1回切り出したら止まらなくなっちゃって(笑)。いくなら0の坊主までいきたいという気持ちがあったんですけど、周りから”それは急すぎる”って止められてて。でも、気持ちを抑えきれずに去年、「601」(2021年リリースのデジタル・シングル)のMVを撮ったあとに坊主にしちゃったんです。そしたら「601」のMVを観て、ライヴを観に来た人が、”あれ、ヴォーカル違う!? 変わった!?”みたいな(笑)。それから1年ぐらいずっと坊主だったんですけど、最近は坊主にも飽きちゃって、ちょっとずつ伸ばしているんです。でも、いい変化だったのかな。ファン層もがらっと変わって。前は下北沢の女の子がすごい来てたんですよ。今も、ほんとに好きな子は来てくれるんですけど、1回それがリセットされて、98パーセント男性みたいな(笑)。 

-ファン層ってそんなにがらっと変わるんですか?
浅井:ルックスは大きいですね。

今村:でも、手が上がるようになりました。昔は、この人たち楽しいのかなってくらい微動だにしなかった。もちろん、楽しんでくれてたとは思うんですけど、この頃は男女ともに年齢層高い人たちも若い人たちも増えてきて、ひとり手を上げると、連鎖的に上げていいんだって感じになるんで、やっとですね。
-そんなふうにいい方向に、どんどん変化してきたところで、新たなJam Fuzz Kidを打ち出すのが今回のEPだ、と。フィジカルとしては約1年8ヶ月ぶりのリリースですが、2020年の12月から精力的にシングルを配信リリースしてきたじゃないですか。そのなかで、このタイミングでフィジカルのリリースとなったのはどんな考えからだったんですか?
今村:出したいという気持ちはずっとあったんですよ。ただコロナ禍の中、出したところでうまく動けなかったから。それがやっとライヴの規制も緩和されて、お客さんも行ってもいいかな、怖くないかなって気持ちになってきたという意味では、いいタイミングだと思います。バンドとしても新メンバーが入って、新体制でまとまり始めた安定と勢いが重なったというタイミングだとは感じますね。
-先行配信した「KABUKI」はサウンド、メッセージともに大きなインパクトがありますが、フィジカルを出すときには、これをリード曲にしようと考えていたんですか?
今村:いや、最後にできたんですよ。EPを出すことが決まって、”ラスト1曲どうする?”ってなって。

John:今年の2月頃、僕がデモを上げたんですけど、最初はやらないかもなぐらいの気持ちで。ただ、当時ヤマザキと僕が同じような曲のデモを上げるタイミングがあって、だったらそのふたつをミックスしたら、もしかしたらジャムファズの曲になるかもっていう軽い気持ちで作って、上げてみたら、全員のリアクションが良かったんですよ。今までとは曲調は違うけど、やってみたら面白いんじゃないかってなりました。
-今までの曲調とは違うというのは、ファンキーな要素のことですよね?
John:リズム感が全然違いますよね。そもそもUK(ロック風)ではないなっていう。去年、配信リリースするなかでジャムファズらしさっていうのが見えてきたところがあったので、それの延長線上にはあるのかな。そこからさらに先に進んだものとして、ひとつ「KABUKI」はありじゃないかっていうのはありました。
-さっき話題に出た「601」もファンキーな要素がありましたよね?
今村:そうです。あれは脱退した黒木が作ったんですけど、最初、OKAMOTO’Sの曲にありそうだからってボツになったんですよ。でも、去年配信リリースしていくなかで、改めてデモを聴いて、ブラッシュアップできるものはブラッシュアップして引っ張り上げようってなったとき、1回やってみようってメロディとコーラスをつけてやってみたら、ジャムファズらしい曲になったという手応えがあって。結構新たな試みだったんですよね。俺らはOASISが大好きだけど、そのイメージがつきまとってはいるから、その殻を破るきっかけになるんじゃないかって思いました。あの曲で破れたとは思ってないですけど、ひびでも入れてやろうっていうきっかけになった曲で、そこから徐々に俺らっぽさが強くなっていったところはあります。自由になっていったんですよ。
-「KABUKI」は自由になったJam Fuzz Kidの新境地を打ち出す曲になると思うのですが、そういう曲で傾奇者というテーマを歌ったのは、どんなきっかけからだったんですか?
今村:Johnとヤマザキが似たような曲をデモとして上げてきたって話をしましたけど、そのとき――

John:僕のデモのタイトルが”チョップキック袈裟固め”で(笑)、それは攻撃的な曲って意味で付けたんですけど、ヤマザキのタイトルが”KABUKI”だったんですよ。

今村:”KABUKI”! 面白い! ってなって、だから逆ですね。”KABUKI”ってワードから歌詞を書いていったんですよ。
-ヤマザキさんは、なぜ”KABUKI”とタイトルを付けたんですか?
ヤマザキ:直感で付けることが多いんですけど、”KABUKI”もそうで、華やか且つキマっているってイメージで付けたんだと思います。

今村:かぶくって言葉本来の奇抜で、とっぽいことをしているって意味で捉えることもできるんですけど、流行に乗っかるだけじゃなくて自分らを貫き通すというか、そのなかで自分らにかぶくというか、長いものに巻かれないっていうコンセプトですね。自分は好きなことをやっていて、たくさんのバンドがいる中で、上に行けば行くほどいろいろなことがあると思うけど、やっぱり自分らを貫き通すってところが、自分たちの一番かっこいい部分、コアになっていると思うんで、それを改めて提示しつつ、プラスそのコアの部分は変わっていないということも伝えたかったんです。サウンドは変わってるけどそこは変わってないっていう。俺たちのファンはそこを求めているのかな。それを傾奇者のイメージに乗っけたんです。
-このバンドにぴったりのコンセプトだと思いました。だから、そこを意識して、”KABUKI”と付けたのかなと思ったんですけど。
今村:偶然の産物だったっていう(笑)。ヤマザキが”KABUKI”ってタイトルを付けなかったら、この歌詞は書いてないと思います。
-しかも、傾奇者と呼ばれた人たちは仲間同士の結束が強かったそうです。そういうところもバンドにぴったりだと思いました。
今村:一番大切なのはJam Fuzz Kidチームのメンバー、スタッフなんですけど、そこがぐっとまとまっていかないと、内側から壊れていっちゃうから。そういうバンドも結構いると思うんですよ。それなのに、かっこつけて何が響くんだって気持ちがあるんですよ。
メンバー・チェンジを経てリリースされる2nd EP。一貫してUKギター・ロックへのリスペクトを感じさせる、彼らのこれまでの楽曲の中でも異色なオルタナ・テイストの強い「KABUKI」を、1曲目にバーンと出してくるのが逆にJam Fuzz Kidっぽいと言えるのかもしれない。挑戦的な歌詞とクロスオーバーなグルーヴが勢いのあるメロディに乗って、なんだかワクワクさせてくれる1曲だ。そのあとに続く「anomie」が期待通りのブリットポップ・サウンドに落ち着くのも、緩急があっていい。リード曲という扱いなのはテクニカルなギターが際立つ「Shimmer」だが、ミドル・テンポの「Wheels」も含め、どの曲がリード曲でもおかしくない、盛りだくさんな内容だ。(山本 真由)
平均年齢21.8歳の東京の5人組が結成から2年でリリースする堂々の1stフル・アルバム。OASISをはじめとする90年代のUKロックをバックボーンに大音量で鳴らすロックンロールという意味では、前作(1st EP『Chased by the sun』)と変わらないものの、全13曲収録ということでストリングスやピアノも使った王道のバラード、エクスペリメンタルなインスト、アコースティック・ギターの弾き語りといったある意味、変化球も交え、今回はバンドが持つスケールのデカさをアピールしている。ギターの音色も轟音だけにとどまらない広がりが出てきた。緩急自在に直球勝負を挑みながら、歌メロやリード・ギターのフレーズに滲む泣きの要素がナチュラル・シュートのように効き始めたところも聴きどころだ。(山口 智男)
現在のシーンに窮屈さを感じているのか、ここ数年の間に生まれたトレンドとは別のサウンドを求めるバンドが、増え始めた。この平均年齢20歳の5人組も、そのひと組。彼らが結成からわずか1年で大きな存在感をアピールし始めたのは、90年代のUKロックをバックボーンに大音量で鳴らす、ロックンロールのスケールのデカさもさることながら、少なくない人が、”こいつらならシーンにどデカい風穴を空けるに違いない”と期待しているからだ。堂々の全国デビューを印象づける全6曲収録の1st EP。OASISからSEX PISTOLSに遡ることもできる、大音量のギター・ロック・サウンドとキャッチーなポップ・メロディに乗せ、彼らは苛立ちと共に”俺たちの時代を取り戻すんだ”、”革命を始めるんだ”と歌う。(山口 智男)
逆境も味方につけて踊っちゃうくらい、俺たちかっこいいし自信たっぷりなんです
自分たちの”好き”と”最高”を貫き通した アンセムだらけのロック・アルバムがここに完成
平均年齢20歳の5人組が大音量のロックンロールと共に掲げる堂々のロック・スター宣言
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