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Japanese

ライター:宮﨑 大樹
振り返ってみれば、PEDROの始動もゲリラ的なものだった。2018年9月19日、ミニ・アルバム『zoozoosea』を無告知でリリースしてPEDROは始動。ベース初心者がわずか3年で日本武道館単独公演を成功させるという、まるで映画のようなバンドのサクセス・ストーリーを歩み、アユニ・D自身も人間的、アーティスト的に目覚ましい成長を遂げていく。だからこそ、このプロジェクトは、次はどんな作品を生み出してくれるんだろう、次はどんな景色を見せてくれるんだろうと、常に”その次”に期待を抱かせてくれたのだ。そうしてBiSHからのファンはもちろん、PEDROから入ったリスナーも、その熱狂の流れに身を投じ続けていたように思える。

そんななか9月7日の“SENTIMENTAL POOLSIDE TOUR”東京公演で突如発表された無期限活動休止。”なぜこのタイミングで?”と感じる人も多かったのではないだろうか。実際、この日の東京公演を含め、PEDROは音源を出すたび、ツアーを回るたびにバンドとしての純度を高め、”バンド・プロジェクト”から純然たるロック・バンドそのものに変わっていたのだから、”活動休止がもったいない”という言葉に尽きる。しかも活動休止の発表後には、アユニ・Dが昨年末から名前を伏せて“歌ってみた”動画をアップしてきた歌い手プロジェクト”青虫”のデビューEP『103号』のリリースも発表。新たな表現を身に付けた彼女が、それをどうPEDROに還元していくのか期待せずにはいられないところなのに……。

そんなPEDROは、青虫『103号』のリリースと同日に1stフル・アルバム『THUMB SUCKER』および2ndフル・アルバム『浪漫』のアナログLPをリリースした――のだが、このプロジェクトは再び得意のサプライズを仕掛けてきた。同作のフラゲ日に行った、3rdアルバムのアナログ盤の300枚限定ゲリラ・リリースである。一瞬でCDショップから姿を消したであろう本作の名は”後日改めて伺います”。そのタイトルだけでも、込み上げるものがある。

このアルバムは、全曲でアユニ・Dが作詞作曲を手掛けた。彼女は以前、1stミニ・アルバム『zoozoosea』についての取材(※2018年10月号掲載)で”松隈さんや渡辺さんから冗談で「次は全曲アユニが作曲しないとな」って言われました(笑)”と話していたことがある。それを思うと、3年前には冗談でしかなかったことが現実になったわけだ。

作風としては2ndフル・アルバム『浪漫』、2ndシングル『東京』と、PEDROが近作で鳴らしてきた温度感のあるロック・サウンド、背伸びをしない自然体のアユニ・Dが感じられる歌詞で綴られた曲が基本軸になっている。ここまでのPEDROの活動で築き上げてきたバンドのグルーヴ感が音源にも反映されていることが感慨深い作品でもある。

1曲目は「人」。その曲名と歌い出しの”怒らせたり許してみたり/お互い様で生きている”という歌詞からわかる通り、人との繋がりをテーマに、生きる意志を歌った1曲だ。始動時には内向的な歌詞を書いていた、アユニ・Dというひとりの”人”の成長ストーリーでもあったPEDROの最新作の始まりとして相応しい1曲だと言える。続いて、ミドル・テンポに乗せる田渕ひさ子の歪んだギターが心地いい「魔法」は、吐息混じりにメロディを紡ぎ上げる歌唱が聴きどころ。ここに来て歌姫的な才を感じさせる表現力と声質で”あなたは死なないわ/不安にならないで/私が魔法で守るもの”と、ヒロインのような物言いで歌う聴感は堪らないものがある。3曲目はミュージック・ビデオが公開されている「吸って、吐いて」。”歪んだギターに酔っていたい/ずっと気持ちよく息していたい/あんまり目立つのは嫌だけど/でも言いたいこと言っていたいね”――PEDROのアユニ・Dとしてのありのまま、等身大の想いを歌ったように思えるこの曲は、感情の昂りに呼応するように変化していくサビのメロディが心を掴む良曲だ。ここから、オルタナティヴ・ロック色が強めで、NUMBER GIRLが思い浮かぶギターの味つけやベース・ラインに高まる「ぶきっちょ」を経て、荒々しく、吐き捨てるように歌う「死ぬ時も笑ってたいのよ」の流れが、アナログ・レコードで言うところのA面を完結させるところが面白い。

アルバム折り返し(B面)は、陽だまりを思わせる温かな音世界が包み込む「安眠」から始まり、一転してアルバム内でも最もリリックが攻撃的な「いっそ僕の知らない世界の道端でのたれ死んでください」に繋がれる。弱い自分を曝け出し、”嫌いなあいつ”へ毒を吐く。なんだかデビュー作『zoozoosea』のころのアユニ・Dを思い起こさせて懐かしい気持ちにもなるが、音の面はもちろんPEDROの最新モード。あくまで筆者個人の感覚だが、本作の中でもとりわけメロディが良く、それを歌うアユニ・Dの裏声も聴きどころだ。疾走感があり衝動的な3ピース・サウンドを響かせる「万々歳」、跳ねるようなリフと推進力のあるドラムで自然と身体が縦にノる「おバカね」。そして、アルバムを締めくくるのが「雪の街」だ。イントロから雪景色が浮かぶこの曲は、故郷 北海道札幌市と、そこにいる大切な人たちを想いながら書いたのだろう。聴いているだけで自然と涙がこぼれそうになる歌唱と、余韻が残る長めのアウトロ。”よくぞこれだけの曲を作ってくれた”と感謝したい。きっと名曲として長く語り継がれていく曲になるだろう。

『後日改めて伺います』に収録された全10曲。その真意は定かではないが、アユニ・Dはこのアルバムを制作するにあたり、これまでの人生、PEDROの活動と作品を、一度立ち止まって、見つめ直していったのではないだろうか。故郷や、PEDROの楽曲、PEDROチームとファン――これらすべてへの想いと祈りが詰まったアルバムだからこそ、活動休止前の集大成と言える作品に仕上がったように思えてならない。

活動休止前ラスト・ライヴ”横浜アリーナ単独公演「さすらひ」”を終えて、PEDROは”さすらい”の旅に出る。活動再開については明らかになっていないが、”後日改めて伺います”と名付けられたこの作品には、3人の意志が宿っているはずだ。

このアルバムを聴きながら、”その次”を期待して再会の日を待とう。”改めて伺いました”なんて言いながら照れくさそうに笑う3人の姿をライヴハウスで観たい。

▼リリース情報
PEDRO
3rdアルバム
『後日改めて伺います』
2021.11.17 ON SALE

PEDRO_GOJITSU_H1_LTD.jpg
【初回盤】(AL+Blu-ray+2LIVE CD+PHOTOBOOK)
UPCH-29414/¥11,000(税込)
amazon TOWER RECORDS HMV
※BOX仕様

PEDRO_GOJITSU_H1_CD_DVD.jpg
【映像付通常盤】(AL+DVD)
UPCH-20597/¥6,600(税込)
amazon TOWER RECORDS HMV

PEDRO_GOJITSU_H1_CD.jpg
【通常盤】(CD)
UPCH-20598/¥3,300(税込)
amazon TOWER RECORDS HMV

[CD] ※共通
1. 人
2. 魔法
3. 吸って、吐いて
4. ぶきっちょ
5. 死ぬ時も笑ってたいのよ
6. 安眠
7. いっそ僕の知らない世界の道端でのたれ死んでください
8. 万々歳
9. おバカね
10. 雪の街
[2LIVE CD] ※初回盤のみ
2021.09.07
SENTIMENTAL POOLSIDE TOUR
Zepp DiverCity

[Blu-ray / DVD] ※初回盤、映像付通常盤
2021.09.07
SENTIMENTAL POOLSIDE TOUR
Zepp DiverCity
東京
愛してるベイベー
猫背矯正中
Dickins
GALILEO
無問題
日常
おちこぼれブルース
EDGE OF NINETEEN
SKYFISH GIRL
pistol in my hand
乾杯

浪漫
空っぽ人間
生活革命
自律神経出張中
感傷謳歌
-ENCORE-
うた
NIGHT NIGHT

PEDRO_gojitsu_sideA.jpg
side A配信中
100円シングル
『後日改めて伺います』
NOW ON SALE
PRON-5095/¥110(税込)
TOWER RECORDS
1. side A
2. side B
初回生産限定商品、TOWER RECORDS限定
※一部取り扱いのない店舗もございます
3rdアルバム アナログ盤
『後日改めて伺います』
NOW ON SALE
PRON-7005/¥11,000(税込)
TOWER RECORDS
※歌詞カード、ダウンロード・コード付、300枚限定、TOWER RECORDS限定
※一部取り扱いのない店舗もございます

[Side A] 1. 人
2. 魔法
3. 吸って、吐いて
4. ぶきっちょ
5. 死ぬ時も笑ってたいのよ

[Side B] 1. 安眠
2. いっそ僕の知らない世界の道端でのたれ死んでください
3. 万々歳
4. おバカね
5. 雪の街
12インチ・アナログ
『THUMB SUCKER』
NOW ON SALE
PRON-7003/¥4,400(税込)
TOWER RECORDS
TOWER RECORDS専売、数量限定初回生産限定盤

[side A] 1. 猫背矯正中
2. Dickins
3. STUPID HERO
4. NIGHT NIGHT
5. SKYFISH GIRL
6. EDGE OF NINETEEN
7. ボケナス青春

[side B] 1. おちこぼれブルース
2. NOSTALGIC NOSTRADAMUS
3. ironic baby
4. 玄関物語
5. アナタワールド
6. ラブというソング
12インチ・アナログ
『浪漫』
NOW ON SALE
PRON-7004/¥4,400(税込)
TOWER RECORDS
TOWER RECORDS専売、数量限定初回生産限定盤

[side A] 1. 来ないでワールドエンド
2. pistol in my hand
3. 浪漫
4. 後ろ指さす奴に中指立てる
5. 空っぽ人間
6. さよならだけが人生だ

[side B] 1. 乾杯
2. 愛してるベイベー
3. WORLD IS PAIN
4. 感傷謳歌
5. へなちょこ
楽器を持たないパンク・バンド BiSHのメンバー、そしてロック・バンド PEDROのフロントマンとしての顔を持つアユニ・Dが、また新たな表現の場に歩みだした。それがこの歌い手プロジェクト”青虫”だ。昨年末から名前を伏せて”歌ってみた”動画をアップしてきた彼女が、いよいよボカロP くじらのサウンド・プロデュースによるデビューEP『103号』をリリース。オープニングの「ケーキみたいだ」で、メロウなサウンドに寄り添ったアユニ・Dの新たな歌の表情を見せられて早速驚かされる。そのほか、落ち着きながらも自然と小さくリズムを刻んでしまうアーバンなナンバー「ゆぶね」など全4曲を収録。曲ごとに彼女の知られざる魅力を発見できる驚きと、全体的な聴感の心地よさがたまらない作品に仕上がった。(宮﨑 大樹)
ケースにヒビ割れの特殊加工を施した”破壊盤”でも話題の、メジャー4thアルバム。”GOiNG TO DESTRUCTiON”のタイトルにも表れている通り、本作のキーワードは”破壊”。ひと言で”破壊”と言っても、迷いや焦燥感に立ち向かって内外の壁を壊して進んでいく意志だったり、新たな創造のための破壊だったり、様々な解釈で捉えられた”破壊”が本作に潜んでいるように思えてならない。BiSH節全開の「CAN WE STiLL BE??」から始まり、アユニ・Dが作詞した、人肌のような温かみを持つ「STAR」で締めくくるまで、全14曲の重厚な1枚に仕上がった。メンバーの個性を生かしたソロ活動も増え、たくさんの刺激を貰ってアーティストとして成長をしていった個々の表現力にも注目。(宮﨑 大樹)
BiSHと清掃員(※ファンの総称)の再会。332日ぶりの有観客ライヴが映像作品化された。開幕でメンバーひとりひとりから届けられた”ただいま”の声に、このライヴへ懸けた想いが滲み出る。コロナ禍で制作されたBiSHから清掃員への手紙「LETTERS」を感情たっぷりに届けてからは、これまでの鬱憤を晴らすように、一転してアグレッシヴな攻めのセットリストへ。そのパフォーマンスは、BiSHの魅力をこれでもかと凝縮して封じ込めたかのようだ。BiSHがメインの映像なのは言うまでもないが、感極まる清掃員の表情、涙も切り取られ、彼らがもうひとりの主役にも思えた。生バンドによるゴージャスでクリアな伴奏も聴きどころだ。BiSH史に残る特別な一夜を収めた本作は、ファン必携だろう。(宮﨑 大樹)
天性のハスキーな声質、感情の表現力、歌唱技術の高さ。その唯一無二の歌声で、ここ最近はフィーチャリングやトリビュート作品に引っ張りだこのアイナ・ジ・エンド(BiSH)が、全曲本人による作詞作曲、サウンド・プロデュースを亀田誠治が手掛けた(「死にたい夜にかぎって」は除く)ソロ1stアルバムを完成させた。このアーティストが只者ではないことはBiSHの活動でもわかっていたことだが、この作品で感じさせた詩世界の奥行きと深み、メロディ・センスの高さは、本作を機に彼女が遥かな高みへと羽ばたいていく予感を抱くには十分すぎる。Disc2は、これまでに外仕事として参加してきた曲を1枚にまとめた”AiNA WORKS”。多様なジャンルや曲調に乗せた名楽器”アイナ・ジ・エンド”の響きを堪能すべし。(宮﨑 大樹)
BiSH初のベスト・アルバムには、「BiSH -星が瞬く夜に-」、「オーケストラ」、「プロミスザスター」といった代表曲から、「MONSTERS」、「OTNK」、「GiANT KiLLERS」を始めとするキラーチューン、そして最新シングルの「KiND PEOPLE」、「リズム」まで全27曲が収録された。本作の配信は行われずCDショップとそのECサイトのみで販売されるのだが、エイベックスおよびWACKの収益全額は、デビュー以来BiSHがワンマンや自主企画を開催してきた全国のライヴハウスに全額が寄付されるという。今や飛ぶ鳥を落とす勢いとなった、楽器を持たないパンク・バンドのその姿勢と生き様に、そしてそんな彼女たちのエネルギーがぎっしりと詰め込まれた作品に改めて痺れた。(宮﨑 大樹)
当初はシングルのリリースを予定していたが、コロナ禍による現状を見据えて新たに曲を制作したというメジャー3.5thアルバム。壮大なストリングスで幕を開ける「LETTERS」は、そんな現状をメンバーと共に耐え忍んでいる清掃員(※BiSHファン)に向けて”あなたいるこの世界守りたいと叫ぶ”とストレートに想いを綴ったまさに手紙のような1曲に。「I’m waiting for my dawn」では、暗い話題の多い日々の夜明けをじっと待ちわびている心を歌った歌詞と、メンバーの歌唱をじっくりと受け取ってほしい。東京スカパラダイスオーケストラのホーン隊を招いた「ロケンロー」では、スカパラとの化学反応と彼女たちの新境地を堪能することができる。こんな時代だからこそ生まれた、こんな時代に必要な1枚。(宮﨑 大樹)
タイトルの”CARROTS and STiCKS”は日本語で”飴と鞭”の意。本作では、第1の先行配信EP『STiCKS』の持つ凶悪さと、第2の先行配信EP『CARROTS』の持つ爽快さを1枚に収めることで、アルバムの中に赤と青のような強いコントラストが生まれ、BiSHの持つ二面性を見事に表現している。この1枚を聴くことで、清掃員(※BiSHファン)の中でも意見が分かれる”BiSHらしさとは何か”という核心に近づくことができるかも。さらに、ライヴの新たな定番となることを予感させる曲や、どことなく1stアルバム時代の匂いを感じさせる曲など、EP収録曲以外にも粒ぞろいの新曲が揃う。ボーナス・ディスクには2018年のシングル曲などが収録されており、今の彼女たちのすべてが詰まった作品と言える。(宮﨑 大樹)
BiSHのメジャー5thシングル表題曲「stereo future」は、PlayStation®4/STEAM®用ゲームソフト”GOD EATER 3″のOPテーマ。壮大で疾走感のあるこの曲は、ゲームの世界観に沿いつつも、孤独を感じているというBiSH自身のことを歌ったようでもあり、さらには日々何かと戦っている聴き手を奮い立たせるようにも感じさせる。なお、実際のゲームでは一部の歌詞とアレンジが異なることで印象の変わった”GOD EATER 3 Ver.”を使用しており、こちらは初回生産限定盤にも収録されている。c/wは表題曲から一転して激しくアグレッシヴなナンバーの「S・H・i・T」。アユニ・Dがツアー中にBiSHをテーマに作詞した歌詞は、”今この瞬間”の彼女たちを切り取った、BiSHへの想いを詰め込んだ1曲だ。(宮﨑 大樹)
全12ヶ所の全国ツアー”BiSH pUBLic imAGE LiMiTEd TOUR”から、5月の横浜アリーナ公演[BiSH “TO THE END”]までの舞台裏に完全密着したドキュメンタリー作品。ライヴ前後の楽屋や打ち上げといった場で覗かせる、ステージやオフィシャルな場での表情とはまた違った面が見られるのは、ファンにとって嬉しいところだろう。それも垣間見えるのは、いわゆる普通の女の子に戻る瞬間というより、悩み、葛藤したり、メンバーを慮ったり、時に真っ向からぶつかる、それぞれが徹頭徹尾BiSHである姿。とにかく真面目、でもって全然器用じゃないし、それを言い訳にしない。そんな彼女たちの在り方が記録されている。BiSHの歌が持つ肯定感や、ある種のパンクイズム的なものの説得力は、彼女たち自身によるものだとわかる内容だろう。(吉羽 さおり)
2018年1月から全国12ヶ所で開催した”BiSH pUBLic imAGE LiMiTEd TOUR”を経て、5月22日、自身最大規模となる横浜アリーナでのワンマン[BiSH “TO THE END”]を行ったBiSH。チケットは即日完売し1万2,000人の観客と迎えた大舞台は、BiSHが立たなければならない舞台であり、通過点のひとつだったという。今回は、生バンドの演奏を取り入れたり、アリーナ会場ならではの舞台セットや舞台装置を用いたりすることはせず、6人だけでステージを作り上げた。アンコール含め、全22曲。全力で走り、会場をしっかりと掌握しつつ、また観客の圧倒的な熱量と化学変化を起こしながら、ソリッドで、リアルで、現在のBiSHの等身大をぶつけるステージとなった。新たな始まりへの余韻とイントロを感じさせる濃厚な一夜が収録されている。(吉羽 さおり)
『Life is beautiful / HiDE the BLUE』の発売日同日にゲリラ・リリースされた2曲入りシングル。攻めに攻めたタイトル、曲調、歌詞に、型破りなパフォーマンスを続けてきた初期BiSHの姿を思い出す人も多いのでは。だが当時と違うのは、彼女たちのヴォーカルが、必死に食らいつくというより堂々としていること。ダーク且つヘヴィでシンフォニックな楽曲でありながら爽快感が生まれているところに、BiSHのポップ・アイコンとしての才も垣間見る。変拍子や難易度の高いフレーズが多数組み込まれたポスト・ロック的アプローチのカップリングは、サウンド的にも新機軸。声を素材的に使う場面もあれば、妖艶にメロディをなぞるシーンもある。単なるイロモノ盤で終わらせないところにプロデュース・チームの手腕が光る。(沖 さやこ)
前作『PAiNT it BLACK』から3ヶ月というインターバルでリリースされる、タイアップ曲2曲が収録された両A面シングル。「HiDE the BLUE」は、若者ならではの葛藤や悩み、青春が綴られた、ストリングスも鮮やかなロック・ナンバー。歌詞の内容やタイトル性など、「PAiNT it BLACK」と双子的存在の楽曲とも言える。「Life is beautiful」は、”愛してるよダーリン”や”幸せ感じたいの”という慈しみに満ちた言葉も印象的なミディアム・ナンバー。切なく温かい空気感のなかで、普段は見せない素朴で柔らかい表情を見せる6人のヴォーカルが際立つ。淡々としつつも叙情的なギターのリフレインも楽曲の大きなアクセントだ。タイアップ作品とのコラボ効果で、BiSHの持つ清純性を楽しめる。(沖 さやこ)
昨年11月にメジャー2ndアルバムをリリース、”ミュージックステーション”や”スッキリ”などの地上波番組に出演し、所属事務所WACKでのシャッフル・ユニットやメンバーのソロ活動など、精力的な動きを見せるBiSHのニュー・シングルは、TVアニメ”ブラッククローバー”のOPテーマ。作品と親和性の高い正統派J-ROCKと6人が次々に入れ替わるヴォーカル・ワークが特徴的で、さらに向上した6人の歌唱力と表現力が堪能できる。c/wは「オーケストラ」と近い方向性の華やかで壮大なロック・ナンバー。メンバー全員が挑戦する曲中の台詞朗読にも注目だ。2曲とも若者の青春感が主題になっており、葛藤や陰の要素も孕んでいる。楽曲の強度が高いのは等身大の彼女たちが反映されているからだろう。(沖 さやこ)
現メンバーになり2枚目となるフル・アルバム。特筆すべきは前作『GiANT KiLLERS』で見せた各メンバーの個性や人間性をさらに色濃く見せ、BiSHというグループの強度を高めているということ。各メンバーの表現力や歌唱力の成長に加え、ハーモニーやユニゾン、耳を劈くシャウトなども随所で用いられており、ヴォーカル・ワークの華やかさが増した。メンバー全員が個々で書いた歌詞からも、2017年の等身大の彼女たちとひとりひとりの成長を感じることができるだろう。バンド・サウンドを主体としたロックやメロコア、パンク、オルタナ、ストリングス・アレンジを施した壮大な楽曲、センチメンタルでポップなミディアム・ナンバーなど、過去作と同様に振れ幅の広い楽曲が揃っている。(沖 さやこ)
年明けから精力的なライヴ活動を続けているBiSHのモードをそのまま封じ込めた作品と言っていい。『プロミスザスター』もメンバーの個性が生かされていたが、今作はそれに磨きがかかっている。表題曲は楽曲自体もアグレッシヴなストリングスもインパクト大で、かなりパンチが効いたパンク・ナンバー。曲以上に6人のヴォーカルの存在感が大きく、遊び心のある飛び道具的なヴォーカルは瞬発力も増している。現在の6人で場数を踏んできたからこそのクオリティだ。5曲中4曲がメンバー作詞曲で、特にモモコグミカンパニーによる、BiSHやWACK(所属音楽会社)の未来を綴ったTrack.3は「オーケストラ」、「プロミスザスター」に並ぶ名曲になるのでは。昨年夏に加入したアユニ・Dの成長も目覚ましく、6人の進化を存分に感じられる。(沖 さやこ)
前作のメジャー1stフル・アルバム『KiLLER BiSH』のリード曲「オーケストラ」を超える名曲が誕生したと言ってもいいのではないだろうか。昨年8月に現在のメンバー編成となり、10月にはツアー・ファイナルの日比谷野外大音楽堂公演を成功させ、ひと回り成長し結束を強めた6人。ストリングスの美しい疾走感のあるバンド・サウンドは、等身大で希望へ向かって突き進んでいく彼女たちを後押しする追い風のような力強さと爽やかさを持つ。個々の歌声を活かした歌にもそれぞれの意志が通い、ヴォーカリストとしてのスキルアップも感じられる楽曲だ。リンリンとアイナ・ジ・エンドの詞をブレンドさせたカップリングは憂さ晴らしにもぴったりのいたずら心溢れるアッパー・チューン。両極端のBiSHの真髄を味わえる。(沖 さやこ)
ツアーやライヴを次々とソールド・アウトさせている女子6人組のメジャー・デビュー・シングル。表題曲は99秒のパンク・ナンバーで、ハスキー・ヴォイスのシャウトで畳み掛ける箇所や、力強く爽快感のあるユニゾンやハーモニーが心地よいサビなど、短尺ながら彼女たちの様々なヴォーカリゼーションが楽しめる。メジャーにフィールドを移しても勢いを止めるどころか”さらに加速していくぞ”と言わんばかりの気迫が非常にフレッシュだ。Track.2「earth」は小室哲哉が作曲を担当。高いキーに乗りリフレインする歌詞が狂気的で、表題曲とは異なる表情を見せる。2曲とも強烈なバンド・サウンドにもかかわらず、歌が音に飲み込まれていない。”楽器を持たないパンク・バンド”としての意志が着々と芽生えているのでは。(沖 さやこ)
横浜アリーナ単独公演”さすらひ”をもって無期限活動休止することを発表した、PEDROの3rdアルバム。本作のポイントは、なんと言ってもアユニ・Dが全曲で作詞作曲を手掛けたことだろう。作品としての一貫性が増し、これまでの活動で築き上げてきたバンドのグルーヴも合わさることで、PEDRO史上最高にロック・バンドとしての純度が高い1枚に仕上がった。プロジェクトを通じて人間として、アーティストとして成長してきたアユニ・Dの自然体を感じさせる全10曲。中でも、故郷とそこにいる大切な人たちを想いながら書いたであろう「雪の街」は、その歌声と情景によって自然と涙がこぼれそうになる珠玉の名曲だと言っていい。”後日改めて伺います”。そのタイトルに込められた想いを受け取り、信じて待とう。(宮﨑 大樹)
ベースを始めた少女が、わずか3年で日本武道館に立つ――快挙とも伝説とも言える、3ピース・ロック・バンド PEDROの日本武道館単独公演が映像作品化された。前週までツアーを回っていたこともあり、1曲目からアンコールまでの全25曲、最高のグルーヴ感で極上のガレージ・ロック、オルタナティヴ・ロックを360°の客席へぶつける本作。怪獣が咆哮を上げるかのような田渕ひさ子(NUMBER GIRL/toddle)のギター、パワフルな毛利匠太のドラミングも見どころ且つ聴きどころだが、ベース、歌唱、表情、すべてで魅せられるほどに成長したバンドのフロントマン アユニ・Dの姿は、どこを切り取っても絵になる。幸運にも会場へ足を運べた人も、そうでなかった人も、本作で記録を記憶として残してほしい。(宮﨑 大樹)
“人生は不条理で溢れてるけど、意外とロマンチックなんだよ”。そんな言葉を伝えたかったという、PEDROの2ndフル・アルバム。全編通してガレージ、オルタナを軸にしたロック・サウンドがカッコいいなかで、とりわけ注目すべき点は、「浪漫」と「へなちょこ」でアユニ自身が作詞作曲を行っていることだろう。前者は、日常のふとした幸せを感じながらも夢を見るような歌詞と、優しいサウンドが相まって温かい聴き心地に。後者は青春パンクのエッセンスをPEDROのサウンドに取り入れた1曲。”泣きたい夜は泣いていいですか”と問い掛けるサビが、最後に”泣きたい夜に泣けばいいよ”と変化するあたりが、PEDROの活動を経て変化した現在のアユニを反映しているようで感慨深い。(宮﨑 大樹)
BiSHのアユニ・Dによるソロ・バンド・プロジェクト PEDROの1stシングル。表題曲は、アユニ・Dのベース、田渕ひさ子(NUMBER GIRL/toddle)のギター、毛利匠太のドラムが三位一体となった、今やPEDRO節とも言えるガレージ・ロック、オルタナ・ロック調のサウンドがカッコ良すぎてイントロから痺れた。生きる意味を求め続けながらも、そんな旅の途中での出会いによって得た幸せを歌った歌詞は、叙情的であり物語的だ。c/wは「pistol in my hand」。サビがすべて英語詞になっているのは、PEDROの活動を通じて触れる機会の増えた洋楽の影響だろう。新たな扉を開き、常に進化を続けるPEDROは、我々の想像を超える景色を見せてくれる、そんな未来を思い描いた1枚。(宮﨑 大樹)
“衝動的に動いてる人間”へ憧れを抱くようになったというアユニ・Dが”衝動”をテーマに制作した1st EPには、前作『THUMB SUCKER』で確立したガレージ・サウンド感は残しつつも、表情の異なる4曲が収められた。全曲リード曲だけあって粒ぞろいだが、あえてひとつ挙げるとしたら、冒頭で衝動に任せたように音を鳴らしまくるノイズ・パートが感情を高ぶらせる「WORLD IS PAIN」は珠玉の1曲。これまでは意識的にパワー・ワードを入れていた歌詞が、本作ではより伝えることを意識してストレートな表現になっていることにも注目だ。PEDROとしては3作品目となる本作。キャリアを重ねるごとにロック・スターとして覚醒していくようなアユニ・DとPEDROの可能性が、なんとも末恐ろしい。(宮﨑 大樹)
前作での経験を経て広がったというアユニ・Dの音楽の幅がダイレクトに反映され、オルタナティヴ・ロックやガレージ・ロックのエッセンスを随所に感じられる1stフル・アルバムが完成した。本作には、キャッチーなリード曲「猫背矯正中」、「NIGHT NIGHT」をはじめ、粒揃いの新曲13曲を収録。中でも、アユニ・Dが衝動に任せて生み出したメロディを、音程を気にせず感情のままに歌った様が文句なしにカッコいい「EDGE OF NINETEEN」は、個人的にグッときた。さらに特筆すべき点は、初回生産限定盤に収録の再録曲含む全20曲に田渕ひさ子(NUMBER GIRL/toddle)が参加していること。田渕節とも言うべきギターが加わったPEDROの音楽、とにかく一度聴いてみてほしい。(宮﨑 大樹)
“楽器を持たないパンクバンド”BiSHのアユニ・Dがソロ・バンド・プロジェクト”PEDRO”を始動し、ゲリラ・リリースした1stミニ・アルバム。全7曲の作詞をアユニ自身が手掛けた本作には、BiSHでは書いたことがない恋愛ソング「ゴミ屑ロンリネス」、狂気の入り混じったダンス・ロック「MAD DANCE」など中毒性の高い曲が揃う。等身大の彼女の生々しい感情を、特異なワード・センスによって表現した独特すぎる世界観には終始圧倒される。リード曲「自律神経出張中」は日常的に批評に晒されている彼女自身の気持ちを歌った1曲。この曲のミュージック・ビデオには田渕ひさ子(ex-ナンバーガール/bloodthirsty butchers)が出演しており、新人バンドマンとは思えないほど堂々としたパフォーマンスを見せるアユニとの共演シーンも必見だ。(宮﨑 大樹)
遠くで別々に歌っていても一緒の気持ちで歌っていた
“BiSHらしさ”とは何か――BiSHの二面性と彼女たちのすべてが詰まったニュー・アルバム
BiSHの孤独な感じも、この「stereo future」に表れてるのかなって思います
絶対に立たなきゃいけない場所だった――怒濤のツアーと自身最大規模の横浜アリーナ公演を収録した、濃厚な映像作品のリリースが決定!
正統派シングルとゲリラ・シングルを2枚同時リリース。BiSHが見せる多面性の真骨頂
BiSHは”ワンランク上がらないといけない”というタイミング
いまの勢いをもっと加速させたい
“弱い者が自分の身の丈に合っていない大きいものを倒す”という意味が込められている
全員が未来に向かって前向きになっているBiSHが歌うからいい
“素敵な明日を迎えるための場所を作りたい” 楽器を持たないパンク・バンド”BiSH”、結成から約1年でメジャー・デビュー
“人生は不条理で溢れてるけど、意外とロマンチックなんだよ”って伝えたい
嫌なことがあったらすぐ”死にたい”とか思っていたんです。 今は、”なんとかなるし、どうせ死ぬなら頑張ろう”みたいな感じで
“自分の好みの音楽がはっきりとしてきた”――アユニ・D(BiSH)のソロ・バンド・プロジェクト PEDRO、待望の本格始動
BiSHのアユニ・Dによるソロ・プロジェクト”PEDRO”始動! 初のベース・ヴォーカルに挑み全曲作詞を手掛けたミニ・アルバムをゲリラ・リリース
"その次"を期待して再会の日を待とう―― 活動休止前の集大成と言える3rdアルバム『後日改めて伺います』
"BiSH史上最高のLIVE"が早くも映像作品化!
史上最長ツアーのファイナル公演 日比谷野外大音楽堂、その熱演の記録
メジャー・デビューから激動の約4ヶ月 猛スピードで走り続ける6人の様々な表情が刻まれた1stフル・アルバム
新しい自分を開拓し続ける楽器を持たないパンク・バンド"BiSH"がメジャー・デビュー
もしも"PEDRO"が映画だったら、「東京」は、その第1章でエンドロールに流れる曲に相応しい
2020.12.24 @国立代々木競技場 第一体育館
2020.08.01 @
2020.01.23 @NHKホール
2018.12.22 @幕張メッセ 9・10・11ホール
2018.05.22 @横浜アリーナ
2017.07.22 @幕張メッセ イベントホール
2016.10.08 @日比谷野外大音楽堂
2021.12.22 @横浜アリーナ
2021.09.07 @Zepp DiverCity(TOKYO)
2021.02.13 @日本武道館
2020.09.24 @LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
2019.08.29 @渋谷TSUTAYA O-EAST
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Skream! 2022年04月号
26時のマスカレイドの"26時の音楽図鑑"
月蝕會議エンドウ.の"月蝕會議室24時"
"YONA YONA WEEKENDERSキイチの漫ろ歩き"
あれくんの"僕の視界に映るもの全てを"
"SPARK!!SOUND!!SHOW!! チヨの部屋"
"#This is LASTのいる生活"
緑黄色社会 穴見真吾の"部屋とけん玉と穴見"
ドラマストアの「“コレ”推し!」
ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"
GANG PARADE ユメノユアの"ROCK ON!#YuaPlaying"
挫・人間 下川リヲの“モノホンプレーヤーになれねえ”
THE BACK HORN 松田晋二の"宇宙のへその緒"
indigo la End 長田カーティスの「月刊長田」
アルカラの「ぐるぐるムニムニ化計画」
cinema staff 「萌えもemo」
フクザワさんによるあの曲のイメージイラスト

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