Perfume「PLASMA」ロングインタビュー|今のありのままの姿を映して回る、3つのミラーボールたち – 音楽ナタリー 特集・インタビュー – 音楽ナタリー

POP

Perfume「PLASMA」 PR
2022年7月28日
Perfumeがニューアルバム「PLASMA」をリリースした。途中でベストアルバムを挟んではいるが、オリジナルアルバムとしては「Future Pop」以来4年ぶりの新作だ。
ここ10年ほどのアルバムでは、トロピカルハウスやフューチャーベースなどその時々の最新のダンスミュージックにアプローチし、自分たちのものとして乗りこなしてきた彼女たち。しかし今作ではそんな流れから少し離れ、根底に変わらないPerfumeらしさを持ちつつも、都会的な雰囲気の漂うしっとりしたポップスや、メロウなファンクチューンなど、近未来的でありながらどこか懐かしさを感じる楽曲に挑んでいる。これは昨今のシティポップブームに呼応したものというよりは、キャリアを重ねて成熟したPerfumeをありのままに表現した結果なのではないか。
アップデートした今のPerfumeを象徴する1枚となったこのアルバムについて、メンバー3人に話を聞いた。
取材・文 / 橋本尚平
──4年ぶりのオリジナルアルバムということで、今までで一番長くスパンが空きました。
かしゆか でもあんまり「ひさびさ」っていう実感はないですね。配信でコンスタントに新曲をリリースはしてたんで止まってた感覚はしないし、「4年も経ってたんだ」って感じです。
のっち アルバムって「これからのPerfumeがどう進んでいくのか」の指標になる面もあるので、「次のアルバムはどんなコンセプトになるんだろうな」というのは楽しみにしてました。
──実際に曲をもらったときに、今回のアルバムのコンセプトをどう捉えましたか?
のっち 「この元気ない世の中を、私たちが盛り上げていくぞ! ゴーゴー!」みたいなダンサブルでイケイケな感じでは全然なく、聴いてくれる人の日常に寄り添って「こんな考え方をしたら楽に生きられそうじゃない」って提案するような、すごく優しいアルバムだなって思いました。
あ~ちゃん うん、聴いてくれる人のテンションを無理に上げようとするんじゃなくて、「こんなのもあるんじゃない?」みたいに楽しみ方の角度を変えるというか。
──気付きを与える?
あ~ちゃん そうそうそう。そういう中田(ヤスタカ)さんの新しいアプローチを感じますね。中田さんはこのアルバムについて「余裕感」というキーワードで話してました。ただコンセプトということでいうと、何か1つ決まったものがあるわけじゃないのかもしれない。「ハテナビト」と「マワルカガミ」は「ポリゴンウェイヴ EP」収録曲と同じ時期にレコーディングしたんですけど、この頃からレコーディングに対する考え方を「リリースとかを見据えて曲を作るのではなく、とにかくどんどん曲を作っていって、いいなと思ったものを集めながらなんとなくゴールに向かおう」というスタイルに変えてるんですよ。その結果できあがったのが「PLASMA」なので、コンセプチュアルなアルバムというよりは、いろんなジャンルの曲があって、それぞれの中にいろんな起承転結のストーリーがある、そういうアルバムになったと思います。
──でもそのわりには、1枚を通してすごくまとまりを感じたんですよね。通底するカラーがあるというか。
かしゆか 全体的に今の中田さんのモードが反映されてるから、ひとまとまりに感じられるのかもしれないですね。あと、新しい曲がどれも個性が強いから、そのインパクトでそう感じるのもあると思う。
Perfume
──「Spinning World」も「マワルカガミ」も「∞ループ」も“回る”ことがテーマの曲ですし、初回生産限定盤のジャケットでも皆さんは回っていますし、“回る”というのはこのアルバムのコンセプトの1つなのかな?と思っていたんですが。
あ~ちゃん どこまで中田さんが考えて作ったのかは聞いてないよね。「回る曲が多い」ってのは人に言われたけど。
のっち うん、そのとき言われて気付いた。
──オリジナルアルバムの世界観はその後のリリースツアーで表現されるものじゃないですか。だから「PLASMA」を聴きながら「ああ、たぶんこういう“回る”ライブを準備してるんだろうな」って思って。
のっち ははは、どうでしょう(笑)。
あ~ちゃん でも確かに“回る”っていうのは、今度のツアーでの1つのキーワードになるかもしれないね。いろんな意味で。
かしゆか うん、いろんな意味がある。ターンすることだけじゃない。
あ~ちゃん 私たちは「ポリリズム」で「巡り巡るよ」って歌って認知していただいた人たちなので(笑)。例えば「思い悩んで頭の中を嫌なことが巡る」というループもあるし、「時代は同じことを繰り返す」っていうのもループだし、「いいことも悪いこともずっと回ってるんだ」というのが中田さんの考えなんでしょうね。そして「そのループを脱却することだってできる」みたいな前向きなメッセージも感じられるし。
──なるほど、今までも中田さんの中にあった一貫したテーマが、さらに濃厚に出たのが今回のアルバム、ということなのかもしれませんね。
あ~ちゃん 中田さん、すごいですよ。楽曲が湯水のごとく出てきてる。
かしゆか 作ってて楽しそうだよね。レコーディングのときも、中田さん自身が曲を作るのを楽しんでくれているのが伝わってきました。
──今までと比べてもですか?
かしゆか そうですね。「実験的にやれる面白さ」を楽しんでいる感じがします。「アルバムとしてまとめるために、あと何曲作らないと」って感じじゃなくて、いっぱい思いついたアイデアを自由にどんどん試せるので。
──もしかしたら制作において、昔と比べてPerfumeに対する距離感が変わってきているのかもしれないですね。ただの楽曲提供者というのではなく、中田さん自身がメンバーの一員に近い立場になってきたというか。
あ~ちゃん あー、どう思ってるのか聞いてみたいですね。最近ときどき話してくれるんですよ、「Perfumeがこうなったらカッコいいよね」って。とんでもないド級なことを。
あ~ちゃん
──昔はそういうことはなかったんですか?
かしゆか 心の中では思ってたのかもしれないけど、私たちとの会話で直接言うことはなかったね。
のっち 言わないけど自分の中で、どういう道筋をたどるのか構想は立ててたのかもね。私たちに語ってくれた夢は、ちょっと口に出せないくらいド級だったけどね(笑)。
あ~ちゃん でも、うちらにそうやって希望を持ってくれてるんだっていうのはうれしかったな。かしゆかのママも、昔からド級な夢を言うんですよ。例えば「私が海外に行くとしたらPerfumeがグラミー賞を取るとき。それまでは行かんよ」とか(笑)。何言ってんねんっていう話をずっとしてるんですけど、そういう夢を本当に信じてくれてる人が周りにいると、いつまでも石橋を叩き続けてるような小心者の私たちでも「少しやってみようかな」という気になる。「中田さんもそういう人なんだ」「そんなド級なこと考えてたんだ」っていうのはすごく意外だったけど、Perfumeを愛して大切にしてくれてるってことを知れて、すごくうれしかったです。
──さっきから何度も「ド級」と言ってるからすごく気になるんですけど(笑)、中田さんは具体的にどんな話をしていたんですか?
かしゆか 「グラミー賞を取るまで海外に行かない」と同じくらいド級なことです(笑)。ただ、何かを受賞するとか自分の地位が上がるみたいなことではなく、「こんな存在になってほしいんだよね」という優しい気持ちを感じる話でした。
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作ってもらう曲に対して、うぬぼれちゃダメだなって気持ちがあるんですよ
DISC 1
DISC 2
DISC 1
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