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「へうげもの」（山田芳裕／講談社）
2022年は本能寺の変から440年というメモリアルイヤー。リレー連載「天下布武の創り方～信長クリエイターに訊く『コンテンツとしての織田信長の魅力』」では、ゲーム、マンガ、ソーシャルゲーム、ライトノベル等、これまでの「信長像」に新たな視点を加えてきた気鋭のクリエイターたちに取材。第3回は、戦国の世を乱舞した、茶器とそれを好む“数奇者”からみた歴史を描いた大作漫画「へうげもの」の作者・山田芳裕氏のインタビューをお届けする。 【マンガを読む】「へうげもの」3巻無料公開はこちら！ 本当に、心の底から欲しい、欲しい！ と、思う物に出会ってしまった時、人はどのような顔をしてしまうのか――。 「へうげもの」(「ひょうげもの」と読む)は安土桃山時代に信長、秀吉、家康に仕えた武将、茶人・古田織部の人生を描く歴史長編漫画。安土桃山文化にスポットが当てられた作品となっている。戦国時代を血の色に染めた武人達の活躍は隅に追いやられ、そこにあるのは安土桃山文化に対する強い欲望。城を購入できるほどの価値を持つ名物茶器や侘び寂びといった茶道の心得に没頭する偉人たちの思惑が赤裸々に描かれている。 本作においても織田信長は重要な役割を持つ。単行本全25巻のうち、3巻序盤で物語から退場するが、死して尚、織部もちろん天下人への道を突き進む秀吉らの心に強い影響を与えている。 「へうげもの」信長に込められた想いとは。そして今も尚語り草となっている「へげもの」本能寺の変はどのように生まれたのか。「へうげもの」原作者・山田芳裕さんにお話を伺った。
「へうげもの」（山田芳裕／講談社）第1巻より
――(オンライン取材でアメスピに火を灯す山田さん。洋モクといえば洋楽！ )「へうげもの」のサブタイトルはローリング・ストーンズなど洋楽を中心に、様々な楽曲名のパロティになっていて印象に残っています。時代背景は戦国なのに、おしゃれな感じだな、と。 ひゃひゃひゃっ(笑)。ああ、あれはね、俺は書いてなくて、実は編集者。要所々々で少しアイデアを出したけど、ほとんどお任せ。あの時代(戦国)は結構ロックな時代だったので、そういうのが似合ったかもしれないね。 ――(山田さんは「へうげもの」の信長みたいに笑う方だ……)物語は古田左介が軍議の場で他の武将の服装を内心で評価し、無粋な武将をあざ笑うというユニークなシーンから始まります。定番の軍記ではなく、安土桃山の文化にスポットを当てたこの物語は、どのように構想されましたか。 もともと戦国時代ではなく、日本人の価値観のルーツを描きたかった。和風といわれるもののルーツに茶道・茶の湯。茶の湯と言えば千利休。というところから構想して、利休の周囲を調べました。 ――現在連載中の「望郷太郎」もそうですが、先生の作品は人間の内面・心をテーマにした作品が多いですね。 そうですね。なんと言えばいいのか……例えば、今、「黒い服を着るのがかっこいい」という流行があったとして、なぜそういうふうになったのか、それに至る経緯に興味がいっちゃうんですよね。「ミニマリズム」とかも流行りましたよね。ああいう心理に至るルーツを調べたくなっちゃう。 だから「へうげもの」では、戦国武将の活躍は後回し(笑)。まずは千利休。そしてその周辺を探り、古田織部へと行き着きました。調べていくうちに、利休よりも古田織部のほうが面白いのではと。しかも織部は考え方が現代的。実は織部焼は現代のものではなく、古田織部が指導してできた歴史あるものだと知り、さらに織部に魅了されました。
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