新連載「lit!」第11回:maras k、KIRA、Glue、稲葉曇……ボカロ楽曲の自由度の高さを体感できるクリエイターたち – リアルサウンド

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 今回の「lit!」のテーマはボカロPの楽曲。ネットからキャリアを初め、お茶の間に進出するボカロPやシンガー、クリエイターも多い昨今。それだけでなく、スマホゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」を通してボカロPの楽曲が広く知られるようになったり、『ボカコレ(The VOCALOID Collection」)』などの開催により若手や新人ボカロPがフックアップされる機会も増えている。
 元々自由に曲を作って投稿するという場だけあって、それぞれのボカロPの癖や作風が色濃く見えてくるのが、ボカロ作品を追う面白さのひとつでもある。今回は、そんなことも踏まえながらボカロPの新作をピックアップした。
 ピアニストでありボカロPとしても活動しているまらしぃは、BEMANIシリーズなどに曲提供しているトラックメイカーkors kとのユニット、maras kとして「回せツインテール」をリリース。まらしぃと親交の深いミュージシャンが集まったイベント『まらフェス2022』のテーマソングでもある今作、kors kの構築するクラブミュージックにまらしぃの軽やかなピアノフレーズが行き来する、心躍る楽曲となっている。サビのメロディを基調にした間奏のピアノソロでは、明るい音色が駆け上がることでさらに気分を高揚させる。初音ミクの歌声は甲高いというよりも、トラックに馴染む、かつピアノの高音のフレーズを邪魔しないスモーキーな声色。歌い始めのしゃくりや語尾を跳ね上げるヒーカップがキュートな印象で、声色とのギャップも聴きどころだ。〈な な なんでsing a song?そりゃやっちゃっちゃらちゃん♪ まあ嘆いたってみんなミュージックの虜でしょ?〉というあっけらかんとしたサビをはじめとする開放的な歌詞もフェスのテーマソングに相応しい明るさで、サウンドとともに幸福感の溢れる1曲である。
 ドイツ在住のボカロP KIRAは、「VOICE feat.Hatsune Miku & GUMI」を発表した。これまで、低音を効かせたビートに英語版ボーカロイドを合わせたスタイリッシュなダンスミュージックを作ってきたKIRAだが、GUMIと初音ミクによるツインボーカルの今作は、これまでよりもスローテンポでシンプルな楽曲となっている。ヴァースでは心音のようなくぐもったキックとスナップからなるトラックに、ミクとGUMIのそれぞれ呟くようなボーカルが乗る。続くコーラスは高音のボーカルが奏でるリズミカルな歌詞が存在感を表し、シンプルな音色ながら緩急のある楽曲構成だ。2コーラス目でも引き続き音数は少な目ながら、メロディの変化や効果音的に使われるサンプルの変化、コーラスへの進行などが異なるほか、ミクやGUMIの歌声も呟くようだった1コーラス目に比べてより歌心ある歌唱になっており、細かな工夫の数々を耳にすることができる。高音が立ったどこか可憐なミクの歌声と、落ち着いたGUMIの歌声の対比もじっくりと楽しめる今作は、KIRAの新たな魅力を見せた。






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