武瑠 | Skream! インタビュー 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト – Skream!

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INTERVIEW
Japanese
2022年08月号掲載
インタビュアー:山口 哲生
音楽人生15周年を迎えた武瑠が、ベスト・アルバム『STREET GOTHIC STYLE』をリリースする。今年3月に行ったsleepyheadのラスト・ライヴで、満を持して武瑠という名義で活動していくことを発表。5月に開催した恵比寿LIQUIDROOMでのワンマン・ライヴでSuG、浮気者、sleepyheadとこれまで活動してきた全キャリアの中から、武瑠による自作曲をリアレンジして披露したが、本作には同ライヴでも演奏された全18曲が収録されている。今回のインタビューでは”15周年自己ベスト・アルバム”はもちろん、11月22日に豊洲PITで開催する主催フェス”武瑠 15TH ANNIVERSARY STREET GOTHIC FES”のこと、そして、これから彼がどんな活動をしていこうと考えているのか、じっくりと話してもらった。
-今年3月にsleepyheadとしての活動を終了させたわけですが、武瑠名義で活動をスタートしようというのは、いつ頃から考えていたんですか?
いつだったっけ……(笑)。たしか、ハコを抑えたのが去年の秋ぐらいだったのかな。武瑠名義で5月11日にライヴ(”武瑠 15TH ANNIVERSARY LIVE「butterfly BoY」”)をやろうっていうのを先に決めていて、2021年中にsleepyheadを終わらせようと思っていたんだけど、コロナで遅れて2022年の3月17日になっちゃったんだっけな。で、準備期間が全然なくなってしまって。曲をどうするのかっていうのがめっちゃ大変でしたね。
-武瑠名義で始めようと思ったときに、まずはライヴをやることと、これまで発表してきた楽曲をリアレンジしてアルバムにすることは、セットで考えていたと。
そうですね。『センチメンタルワールズエンド』(2021年リリースのsleepyheadの2ndフル・アルバム)でやりきった感じがあったから、それを超えるにはいったん過去を整理しようかなっていうフェーズに入った感じです。
-そこに至ったのは、比較的自然な流れでもあったんですか?
自然にですかね。実は次にやろうと思っていたプロジェクトがあったんですけど、それが今の時代的にやりづらいからっていうのもあるかもしれないです。本当はいろんな国に行こうと思っていたんですけど、コロナのせいで全然できないから(苦笑)、じゃあ振り返っておくか、みたいな。
-以前からインタビューで、『センチメンタルワールズエンド』を作ったら旅人になると宣言していましたけど、ガチで旅人になろうとしてたんですね。
そうですね(笑)。例えば、インドに1ヶ月住んで、そこで知り合った人と曲を作って……みたいな。そういう体験型みたいなことをやろうかなと思っていたんですけど、それは浮気者でやっていたようなことというか。
-浮気者は、2012年にSuGが一度活動休止をしたあと、2013年に始動させたソロ・プロジェクトで、いろんな人とコラボしていくというところからその名前になっていて。
結局、SuGが忙しすぎて動けなくなっちゃったんですけど、浮気者って実はもっと曲を作ってたんですよ。最近聴き直していて、これ出したかったなって思ったんですけど、モー娘。(モーニング娘。)の「抱いてHOLD ON ME!」をリアレンジしてカバーするとか。あと、その当時に韓国のアーティストとも曲を作っていたんですけど、次のプロジェクトはそのことが基盤になっているかもしれないです。これをもっと面白くできるんじゃないかなって。それをやりたいんですけど、全然できないんで、時代的に。
-なかなか歯痒いですね、それは。
いったん振り返るかっていう自然な感じでした。15周年だし。だから、ずっと前からやろうと思っていたわけでもなかったです。でも、どこかで”武瑠”にしなきゃいけないなとは思っていたので。
-当時の心境的にそうじゃなかったというのは大きかったと思うんですけど、SuGが解散したあとに、”sleepyhead”ではなく、武瑠名義でやろうとは考えなかったんですか?
うーん、そこはなんとなくだったんですよ。”sleepyhead”って思いついたんで。絶対に”武瑠”のほうが良かったんですけどね。検索しやすいし、宣伝的な意味ではどう考えても”武瑠”で行くべきだったけど、なんか思いついちゃったからやりかったんだと思う(笑)。だから、アルバムみたいな捉え方をしていたのかもしれないです。”sleepyhead編”みたいな感じというか。
-お話を聞いていて思ったんですが、sleepyhead自体が、『センチメンタルワールズエンド』を作るために始めたプロジェクトだったから、ある意味ゴールが見えていたわけじゃないですか。それもあって、この期間はこの名前で行こうみたいな気持ちもあったんでしょうか。
あぁ。そうかもしれないですね。sleepyheadはプロジェクトの最後までがなんとなく見えていたけど、今はもうゴールもないし、年計もある程度立ててはいるけど目指す先がわからない状態になっているので、世界の状況的に(笑)。だから”武瑠”にしたのかもしれないです。
-アルバム『STREET GOTHIC STYLE』の収録曲はSuG、浮気者、sleepyheadとこれまでのキャリアの中で武瑠さんが作詞作曲してきた楽曲の中からセレクトされているわけですけども、どの曲を入れるかはすぐに決まりました? 
リアレンジする曲はすぐに決まったんですけど、収録曲に関しては超悩みました。sleepyheadで入れたいものがいっぱいあったので。「HOPELESS」(2018年リリースの1stフル・アルバム『DRIPPING』収録曲)とか「akubi_girl」(2019年3月リリースの2nd EP『meltbeat』収録曲)とかも入れたかったけど、収録曲数が限界でした(笑)。あと、ライヴ基盤で考えすぎちゃったところもあったんですよ。
-実質、LIQUIDROOMのセットリストが、ほぼベスト・アルバムの曲順になってますね。
そうです。今となると、2枚組にすれば良かったなって(笑)。あと「VAMP VAMP VAMP」(2009年リリースのSuG のシングル『39GalaxyZ』収録曲)を入れようか悩んで止めました。
-SuGがインディーズ時代に出した楽曲ですけど、なぜまた?
あの路線だったら、もっといい曲がすぐ作れるなと思ったんで。イントロのメイン・リフとかサビはめっちゃいいんだけど、ラップはこうじゃないほうがいいなとか。それなら「白痴美」みたいな、もっといいのができちゃうだろうなと思って落としました。で、「SOS」を聴き直したら、これは違うアレンジをしたほうがもっと良くなるなと思って、そっちを追加してますね。
-そこからアレンジャーの方たちと細かく詰めていったと。
詰めたところもあるけど、曲によってはおまかせしているものもあって。でも、やっぱり噛み合わなくて、作り直したりとかも結構しました。「Howling Magic」とかは結構時間がかかった気がしますね。なかなかいいビート感にならなくて、だいぶやり直した気がします。
-主にリアレンジされているのはSuGの楽曲ですけど、基本的には歌詞とメロディはもちろん、小節数やBPMも変えてないですよね。
そうですね。ラップを若干変えたぐらいで、基本的にはほぼ一緒です。で、sleepyheadの楽曲はリアレンジしないってことに決めてました。全部録り直すとキリがないんで(笑)。
-過去の曲を今やろうと思ったときに、例えばテンポをちょっと落とそうとか、ちょっと違うフックを入れてみようってなりそうな気もしそうですけど。
好きなアーティストのリアレンジ・カバーって、がっかりすることがめっちゃあるんですよ。めちゃめちゃテンポが遅くなってて、コードも変わっていて、なんか気持ち悪い……みたいな(笑)。そういうがっかりを出したくなかったから、あくまでも原型の良さをレベルアップさせる、みたいな感じでしたね。コードとかはわりと変わっているところもあるんだけど、メイン・リフはそのまま生かしているし、がっかり感はあまりないんじゃないかなって。
-リスナー的な目線や感覚も大事にしながら進めていったと。
でも、それも意識したというよりは自然な感じでしたけどね。そんなに変えまくるんだったら違う曲を作ったほうがいいなと思うので。トリビュートものとかでも、原曲を無理矢理変えようとして、全然良くなくなっちゃったなっていうことあるじゃないですか。だから無理して変えないっていうのはあったかもしれないです。変わっているものは変わっているけど、パっと聴いた感じの曲の個性はそのままみたいな感じかもしれないですね。「SOS」とかは結構変えてるけど、基本的には同じ属性のまま、ただ洗練されたみたいな感じがします。
-先ほど「Howling Magic」は時間がかかったというお話がありましたけど、他にもそういう曲はあったんですか?
収録曲の中だと、「不完全Beautyfool Days」が一番手こずった気がします。LIQUIDROOM当日にできたぐらいなんで。
-ライヴ当日に……?
めちゃくちゃなやり方してますよね(苦笑)。でも、元SuGのギターのyujiが、”「不完全Beautyfool Days」が一番良かった”って言ってました。あの曲、ものすごく複雑なコード展開をしてるんですよ。クラシック要素とかも入っていたりするから、たぶんアレンジャーも、これどうなってんだ……? みたいな(笑)。やっぱりTom-H@ckさんが変態的なアレンジをしてたんで。
-改めてすごさを感じました?
すごかったですね。だいぶ複雑なことをやっていたんだなって。あと、原曲の作り方もめちゃくちゃだったんですよ。あまりよくわからないままメロディを考えていて、理論的に破綻した作り方をしていたから、まぁそうなっちゃうよねっていう感じではあるんですけど。
-その当時のパッションや思いをそのまま詰め込んだというか。
「不完全Beautyfool Days」は特にそうだったと思います。あれは結構衝撃的な体験のあとに作っていて。3.11のあとだったんですけど、電車を待っていたときに、隣にいた人が急に飛び込んで亡くなっちゃったんですよ。それまで人の死をそんな近くで見たことがなくて、当たり前の話なんですけど、人って死ぬんだなって改めて思って。そのときに考えたことを曲にしたから、完全に理論ではなく感情で作っているというか。ああいう作り方は今の自分にはできないかもなって。
-すごい体験でしたね……。そういえば、3.11のあとに、世界の裏側にいる人よりも今は隣にいる人を救うことのほうが大事なんじゃないか、みたいな話を武瑠さんがしていた記憶があります。
そうですね。「Toy Soldier」(2011年リリースのSuGのシングル表題曲)の歌詞でそういうことを書いていて、そのあとに「不完全Beautyfool Days」を書いて。自殺防止ソングみたいなキャッチコピーにしてたんですけど、でも、本当にダメと思っていないというか。そこは「死んでも良い」とかの思想に繋がってくると思うんですけど。死にたかったら死んでもいいって自分はずっと思っている派なので。でも、それは自分が思っているだけのことであって、それを相手に押しつけようとは全然思っていないし、これはもっと議論されるべき話ですけど、自分がつらいからって他人を巻き込む人がどんどん増えているじゃないですか。それは本当に良くないから。そういうことをぼんやりと思っていたんですけど、じゃあ自分なりに死なないほうが良くない? っていう言葉って、どんなものがいいんだろうと思ったときに、”主役の舞台 自ら降りちゃうような奴はさ 来世にモテないぜ”って。来世に嫌われるよ? っていうぐらいで、ダメとも言わないし、呪われるとも思わないし、それぐらいの表現がいいかなと思って書いた歌詞でしたね。
自身の音楽人生15周年を迎え、これまでのキャリアで発表してきた自作曲を再編曲/編纂した”15周年自己ベスト・アルバム”。自身が初作詞/作曲を手掛け、SuGの代表曲でもあった「LOVE SCREAM PARTY」から、様々なアーティストとのコラボレーションを行った浮気者の「I 狂 U」、そして「死んでも良い」をはじめとした、sleepyheadのラスト作品『センチメンタルワールズエンド』収録曲まで、全キャリアからピックアップされた18曲を収録。主にリアレンジされているのはSuG時代の楽曲だが、どれも原曲が持つ空気感を壊すことなく、現在の形にアップデートされている。過去と今を繋ぎ合わせ、ここから彼はどのように進んでいくのか。その礎にもなるであろう1枚。(山口 哲生)
音楽人生15周年を機に、全キャリアを総括する”15周年自己ベスト・アルバム”
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Skream! 2022年08月号
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