フジ大型特番『THE CONTE』コント師が憧れる舞台を成立させた“濃密さ”(マイナビニュース) – Yahoo!ニュース – Yahoo!ニュース

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『THE CONTE』MCの東京03(左)とかまいたち (C)フジテレビ
一流のコント師たちが次々にネタを披露するフジテレビ系バラエティ特番『THE CONTE』(7日20:00~)。昨年『キングオブコント2021』(TBS)で優勝した空気階段が「なんで『THE MANZAI』のような番組がコント師にはないのだろう」と言ったのをきっかけに、漫才師にとっての『THE MANZAI』のような憧れのステージを、コント師にも用意すべく誕生した。 【写真】サンドウィッチマンをはじめ日本を代表するコント師たちが集結(全8枚) 『キングオブコントの会』(TBS)のように、コンビやトリオをシャッフルしてユニットコントを展開するのではなく、それぞれがこん身のネタを1本披露。それを、客前のステージで見せていくという、これまでにありそうでなかったスタイルだが、コント師が憧れるプレミアムな舞台をどのように作ったのか。一足先に目撃した――。 ■引き立て役に徹する出囃子&スタジオセット 『THE MANZAI』が生まれたのは1980年。当時、漫才が披露されるのは“演芸番組”というジャンルだったが、若い世代に訴求すべく、番組タイトルをアルファベット表記に、出囃子を洋楽に、ナレーションをDJの小林克也にすることで、従来のイメージを刷新し、たちまち“漫才ブーム”を生み出す大ヒット番組となった。 それからブランクを空け、賞レースとして復活し、2015年から現在の形式に。当時の演出担当者が「ネタを新規で書いてきてくれるような気合いの入る舞台にしたい」と発注した豪華なセットを建て、出囃子はアレンジを加えながら40年の伝統を引き継ぎ、80年代当時のトップランナーだったツービートのビートたけしを最高顧問に置くことで、“年に一度の漫才の祭典”たる格を持たせている。 翻って、今回の『THE CONTE』がコント師の憧れのステージとなるために、どんな演出が行われているのか。 まず出囃子だが、コントにおいて難しいのは、ここが目立ちすぎると、ネタの世界観を邪魔してしまうということ。そこで、GENTLE FOREST JAZZ BANDによる出囃子を芸人紹介の前フリVTRに収め、コント本編と分離することで、引き立て役に徹した。 スタジオセットも、コントのための大道具や小道具を並べる上で、当然目立ってはいけない部分だけに、ステージに奥行きを感じさせる洗練されたデザインでショーアップしながら、シルバーを基調とした控えめな配色を採用している。 ■プロ目線でネタを掘り下げるトークコーナー こうして側(ガワ)を整えた上で、中身については“濃密さ”を打ち出している印象を受けた。それを象徴するのが、ネタ終わりのコント師とMC陣によるトークコーナーだ。 従来のネタ番組で繰り広げられるトークは、MC卓にネタを終えた芸人がやって来て、軽く感想を言い合ったり、もうひと笑い取ったりという程度の位置づけだったが、この番組では観覧客を背にしてこのコーナー専用の場所を設け、披露したばかりのコントを、東京03とかまいたちというプロ目線の質問によって掘り下げていく。 空気階段に対し、「どっから作ったの? このネタ」と飯塚悟志が切り出して創作秘話が明かされるほか、「笑いを起こす前に緊張感を作る怖さ」や「ツカミで狙った笑いが来なかったときの恐怖」など、第一線のプレイヤーならではの切り口で共感し合い、とても興味深い濃厚なトークを展開。さらに、副音声ではコント師が自分のネタを見ながら解説をするという試みを導入した。 MCだけの受けトークでも、「バイきんぐ西村の悲しそうな顔」「あれはめちゃくちゃ盛り上がる終わり方」など、プロならではのネタの見方を自ずと解説してくれるので、ネタとネタの間も見逃せない。 そんなMC2組もネタを披露するというのが、『THE CONTE』の特色の1つ。『THE MANZAI』における東の爆笑問題、西の中川家のような安心感がありつつ、貫禄のコントで番組を引き締める。何より、MC自らネタを披露することで、トークコーナーや受けコメントの説得力になっている。 ■コント師へのリスペクトが伝わるカット割り “濃密さ”で言えば、ネタ中の画面は、ほぼ100%ネタを披露するステージ上のコント師たちに割り振られている。それを見て笑うMCの姿が映るのは、1ネタに1回あるかないかの必要最低限にとどめており、ネタやコント師たちへのリスペクトが伝わってくるカット割りだ。MCや賞レースの審査員、観覧客のリアクションを映す頻度が高いとSNSで批判が高まる傾向にあるが、この番組においてそうした心配はないだろう。 また、リアクションが画面に映らない観覧客たちだが、前述のトークコーナーや、引きの画で確認すると、全員がおそろいの番組オリジナルTシャツを着用していることが分かる。コント好きの人たちが、濃密なコント漬けの空間に集まっている様子がうかがえ、この番組の楽しみ方を示しているかのようだ。 今回のように、ステージでコントを次々に披露していく番組の場合、『THE MANZAI』と違って大道具や小道具をセッティングするなど準備に時間がかかるため、ネタとネタの間が空いてしまうことになる。そうなると、観客の熱気も下がりがちになってしまうところだが、映像ではそれを全く感じさせない。 すべてのネタが終わり、濱家隆一は「最高でしたね!」と抜群の手応え。山内健司も「全組違うし面白いから、あっという間でした」というが、総勢15組の中で“テント”を見事に活用してスタジオの笑いをかっさらったコント師が偶然2組いるので、ぜひご注目を。 最後に飯塚が「毎年夏に恒例になってほしい!」と熱望しているが、“冬の『THE MANZAI』”と“夏の『THE CONTE』”が双璧をなす形で、フジの恒例お笑い特番となっていくことを期待したい。
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