音楽プロデューサー・松尾潔がこの夏の選んだ「2枚の名盤」を解説 | RKBオンライン – rkb.jp

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RKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』のレギュラーコメンテーターを務める、音楽プロデューサー・松尾潔さんのラジオコラム「Catch Up」。8月8日の放送では「今年をのちのち思い出す、記憶のトリガーになるであろうという2枚のアルバム」を紹介した。
 
ビヨンセは元デスティニーズ・チャイルドで、かつてSMAP時代の木村拓哉さんがミュージックビデオの真似をして、日本でも割とお茶の間に溶け込んだ感じの人です。しかしビヨンセって来月41歳ということで、もう大御所なんですよ。だから若者向けの音楽をやっているというよりも、文字通りアメリカの国民的な存在だし、世界的な存在です。
 
最近ではアルバムを出すたびに、音楽のトレンドだけじゃなくて、ライフスタイルの提唱をしているようなところもあって、今回の6年ぶり7枚目のアルバム「ルネサンス」は、コロナ禍以降に出す初めてのアルバムでもあるし、ルネサンスって言っているのは「再び生まれ変わりましょう」という意味合いで、このタイトルをつけたみたいですね。
 
ところで、アメリカのオバマ元大統領は大変音楽好きで、音楽に造詣が深いってことはご存知ですか。彼は毎年、夏を迎える時期になると「夏のプレイリスト」っていうのをSpotifyで公開するんです。大体R&Bをメインに、ジャズからロック、ちょっと通好みのヒップホップとかも併せて紹介して、そこに皆さんからのレスポンスがあると、どんどんまたリストに追加していくっていう、本当に好ましい音楽好きのおじさんぶりを見せています。
 
そのオバマさんが今年の夏のプレイリストとして公開した全44曲の1曲目が、ビヨンセの「Break My Soul」でした。この新曲をいち早く入れてくるっていうオバマさんを見ていると「アメリカはすごいな。大統領がこれなんだ」みたいな感じがします。
 
その「Break My Soul」が先行シングルになっている「ルネサンス」の中でも僕がおすすめしたい曲は「Cuff it」です。車に乗っている方はドライブ行きたいだろうし、そうじゃない人でもなんかちょっと遠出したくなるような曲です。
 
こういうビートはここ数年R&Bシーンに限らず、世界中を席巻するブギーって言われている、ちょっとノリの良いベースのリズムがあります。ちゃんとトレンドを押さえながら、そこにビヨンセの多重コーラスが被さってくるときの、この安心感、定番感というか、初めて聞くのにちょっと懐かしい感じもあり、でもなんかこうグイグイ前に、ここじゃないどこかに連れ出してくれる感じ。この辺りはもうやっぱり、ビヨンセって突出した才能の持ち主なんだなあと思っちゃいますね。
ビヨンセよりもちょっと通好みになるかもしれません。カルヴィン・ハリスという、スコットランド出身のDJ・音楽プロデューサーはご存知ですか。ここ10年ぐらいでしょうか、年収何億何十億っていうような、セレブDJがたくさん登場していますが、その中でも頂点に位置するDJです。
 
わかりやすいところで言うと、2015年から16年ぐらいにかけて、テイラー・スウィフトの彼氏として、いろいろメディアに出ることが多かったですね。才能もあってイケメンで本当に「憎いあんちくしょう」って感じなんですが、彼の音楽が本当に気持ちいいのです。
 
今38歳、スコットランドのDJですが、アメリカのR&Bアーティストやダンスミュージックのアーティスト達とのコラボレーションも多くて、踊らせる音楽を作ることで有名になりました。
 
ところが2017年にそれまでとは毛色の違う、ファンク・ウェーブっていう、夏の時期に、それこそ車の中で聞きたいような「ファンク・ウェーヴ・バウンシズVol.1」ってアルバムを出したんですね。これが大変に評判が良くて、このたびVol.2をリリースしたんです。
 
今は配信やYouTubeで楽しめますが、僕のおすすめ曲は、Dua Lipa and Young Thugというラッパーとフィーチャーしている「Potion」です。
 
これほとんどすべての楽器を1人で演奏するんですよ。元々DJとして出てきたんですけど、どんどん楽器が上手くなって「30過ぎても楽器ってうまくなるんだ」っていう妙な感心もあります。アルバムのリリースが増えていくと、カルヴィン・ハリスが演奏できる楽器が増えていくっていう、なんとも世界中でシークゲームを楽しんでいるようなところがあります。
 
ファンク・ウェーヴのシリーズは、なんといっても夏のCHILL OUTというか、まったり過ごすのにすごくいいんですよね。だからプールサイドなんかで聞くのもいいんだけど、冷房の効いた部屋で聞くのもいいかなっていう。



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